システム開発において、コスト削減は必ず降りかかってくる問題です。システムの運用費やライセンス費、それに人件費等、規模が大きくなるほどコストも掛かってきます。
今回はシステム開発のコスト削減について、様々な観点から8つのポイントにまとめましたので、ご紹介します。
システム開発の工数削減のために最初にやる2つのこと
システム開発の工数・コストを削減するために、まずやるべき2つのことがあります。
- コストの内訳の把握
- コストの内訳の可視化
コストの内訳の把握
コストを削減するためには、まず掛かるコストの内訳について把握することが重要です。
例えば、システム開発では大きく分けて以下のようなコストが掛かります。
- ハードウェア費
- ソフトウェア費
- 人件費
ハードウェア費は、機器そのものの購入費やリース費、設置費等、システムを利用する端末を整える必要がある場合に掛かるコストです。
ソフトウェア費は、ソフトウェアの開発費、そしてソフトウェアの利用そのものや、内部で連携させている外部サービスのライセンス費等、システムを利用するために掛かってくるコストです。
そして人件費は、ハードウェア、ソフトウェアを含めた、その全ての作業に関わる人たち全般の費用です。
システム開発は内部だけでなく、外部に一部業務を委託する場合もあります。その場合は内部人件費とは別に、外部委託費が掛かってきます。
これらの委託費も、人件費としてコストに加算されます。
コストの内訳を可視化
コストの内訳を把握した後は、実際に自社で発生しているシステム開発におけるコストの詳細について書き出して、可視化しましょう。
リストアップして全ての項目を詳しく見ていくと、無駄なものであったり、もう少しコストを削減する余地がある項目が見つかってきます。
例えば、開発機材を新規で導入する場合、購入するかリース契約にするかで掛かるコストは大きく変わってきます。
リース契約でも十分事足りる場合は、高いコストを掛けて購入の選択肢を選ばなくともよい訳です。
また、業務の一部を外注(アウトソーシング)することで、人件費を大幅に削減出来るケースもあります。
システム開発のコストを削減するための8つのポイント
システム開発のコストを削減するための8つのポイントをまとめました。
コスト削減は様々な観点で考えていくことが大切です。詳しくご紹介します。
システム開発目的の明確化
システム開発の目的を明確にして、その目的に沿った設計を行う必要があります。
開発工程に入ってからの急な仕様変更や、不要な機能の実装等、スケジュールが大幅に崩れたり、無駄な工数が掛かってしまうことを避けるためにも、開発目的を経営陣と明確にすり合わせることが大切です。
開発そのものが目的とならないように注意しましょう。
また、開発手法についても事前に決めておくことで、以降の作業効率が大きく変わってきます。
開発手法については、こちらの記事でも詳しく紹介しているのでぜひご確認ください。
目的に合わせた要件定義
開発途中の急な仕様変更を避けるためにも、要件定義は顧客と綿密に進めていきましょう。
目的に合わせた要求の細分化、予算、人員、スケジュールの策定を行うことで、無駄なコストを排除しましょう。
開発に必要な情報共有、チーム内の認識を揃える
システム開発は、ほとんどの場合チームで開発を進めます。
プロジェクトマネージャー主導のもと、設計を進めていく人、コーディングを行う人、テストを行う人、様々な役割を持ってチームとして動いていきます。
複数人で進めていく分、人件費はそれだけ多く掛かってきます。
その中で大切なのは、チーム全体の工数削減を目指していくことです。
開発に必要な情報の共有、認識合わせの基盤を整えることで、各個人の作業効率を上げて、開発期間短縮を図りましょう。
クラウドサーバーを活用する
サーバーの設置費と維持費は、コスト削減では要検討するべき点です。
サーバーをクラウドサーバーでの運用に切り替えることで、自社でサーバー設置やメンテナンスを行う必要がなくなります。
導入するにあたっては、どのクラウドサーバーが自社に適しているのか、コスト削減のために費用はもちろんですが、セキュリティリスクが少なく、信頼性の高いクラウドサーバーを慎重に選んで検討しましょう。
型化・自動化をする
開発において繰り返し発生する処理については、スクリプトを自作したり、既存のツールやフレームワークを使って自動化しましょう。
繰り返し発生する処理を全て一から作業していくとなると、その分工数も掛かってしまいます。
開発ツールやスクリプトに対する知識をつけて、効率よく開発作業を進めていきましょう。
エキスパートへの相談は早期に行う
作業を進めるにあたって、自身だけでは分からない問題に直面することが多々あります。
その分野に詳しいエキスパートが社内にいる場合は、悩みすぎる前に相談してみましょう。
人に聞くことが恥ずかしいと思ってしまう人は現代少なくありませんが、分からないものをそのままにしていても解決はせず、作業効率を下げてしまい、結果的にその時間は無駄なコストとなってしまいます。
プロジェクトリーダーは、チームのメンバーが相談しやすい環境を作ってあげることも大切です。
社内対応可能なものは社内で対応する
作業の外注(アウトソーシング)はコスト削減に時には有効ですが、作業内容によっては自社で行った方がコストが掛からない場合もあります。
例えば、システム開発全体を外注すると、コーディングやテストの下流工程だけでなく、要件定義等の上流工程も見積もりの中に入ってしまいます。
自社側でまなかえる作業と、外注した方がコスト削減できる作業は明確に区別してから依頼しましょう。
ユーザーからのフィードバックを早期にもらう
システムが完全に出来上がった状態で公開して、要求漏れや仕様変更があった場合、その修正に多くの工数が掛かってしまいます。
これは開発するシステムにもよりますが、ある程度の機能が実装出来た状態でユーザーにシステムを早期公開して、利用してもらいフィードバックを得るのも一つの方法です。
早期にフィードバックを得ることで対応も早く取ることが出来るため、完成後に全てを対応するよりも修正に掛かる工数は大幅に削減されます。
オフショア開発も1つの選択肢
コストを削減するには、オフショア開発に頼るのも1つの効果的な方法です。
オフショア開発とは?
オフショア開発とは、海外の開発会社や子会社へ、システムやソフトウェア開発業務を委託・発注する開発手法です。
近年IT技術者の需要が高まっていく中で、日本のIT技術者不足と人件費の高騰に伴い、オフショア開発の市場規模は年々大きくなってきています。
オフショア開発のメリット
オフショア開発は、コスト削減やリソース確保等、様々なメリットがあります。
人件費削減になる
オフショア開発が盛んな外国では、人月費用が日本国内と比べると約50%程度と言われています。
開発業務のコストの中でも多くの割合を占めている人件費を大幅に抑えることが出来ます。
社内のリソース不足を解決できる
国内のIT技術者不足に伴い、各企業は優秀な技術者の確保が年々課題となっています。
オフショア開発で海外に視野を広げれば、高いスキルを持つエンジニアに作業してもらうことが可能となります。
社内に開発や運用の環境を整備しなくてよい
開発に必要な機材の購入費や設置費、維持費もコスト削減における大きな問題です。
オフショア開発として開発業務を発注することで、それらの整備を自社で行う必要がなくなり、コストの削減が見込めます。
完成までの時間短縮
リソース不足や人員にかかるコストの問題で、システムの完成までに時間が掛かってしまうことがあります。
オフショア開発では、スキルが高く人月費が安い多くの人材に開発を進めてもらうため、短期間での納品が可能です。
コスト内訳の把握からコスト削減を始めよう
システム開発のコスト削減は、プロジェクト内の様々な観点に目を向けることが大切です。
コストの内訳を把握・可視化して、ムダなもの、減らせるものをリストアップしてみましょう。
そして、必要に応じてクラウドサーバーの導入やオフショア開発の発注等、目的を明確にしたコスト削減を進めていきましょう。