プロジェクトをリリースした後に不具合が起きてしまう可能性があります。不具合が起きる可能性として必要なテストが漏れていることが少なくありません。

このような漏れを防ぐためにテスト計画書を作る必要があります。この記事ではテスト計画書に記載するべき要件や質を高めるコツを詳しく説明していきます。

テスト計画書とは

テスト計画書とは

テスト計画書とは、テストをするために必要な戦略やタスク、目的、スケジュール、注意点などが記載されている書類です。テスト計画書には個別計画書と全体計画書の2種類あります。

個別テスト計画書とは、全体テスト計画書において定義されたテストレベルごとに作られます。テストの準備から実行までにおけるタスクにおいて、プロセスやテスト観点を定義することにより詳細に計画を設定するのです。

全体テスト計画書とは、結合テスト工程や単体でのテスト工程におけるテストレベルを定義したものです。さらにそれぞれのテストレベルにおいて必要なリソースを定義することも必要です。

その他にもテストにおける品質のモニタリングや進捗などを定義することもあります。

テスト計画書を作成する目的

テスト計画書を作成することにおいて、プロダクトやプロジェクトに必要なテストが抜けてしまわないようにすることが目的です。

リリースした後に不具合が起きる原因として本来するべきテストが抜けている可能性が高いのです。プロジェクトの都合を優先してテスト計画を立てていたり、これまで行なったテストをそのまま流用していることも少なくありません。

リリースした後に不具合が起きてしまうとプロダクトへの信頼性が落ち、さらにコストが増大するといったリスクがあります。このような事態を防ぐためにもテスト計画書が重要です。

テスト計画書に記載すべき7つの要件

テスト計画書に記載すべき7つの要件

テスト計画書には、次の7つの要件を記載しましょう。

  • テストの目的や方針
  • テストを実施する範囲
  • テスト環境とアプローチ方法
  • テストの体制やスケジュール
  • テストのタスク
  • リスクと対策
  • 成果物

1.テストの目的や方針

テスト計画書にまず必要なのはテストの目的や方針です。テスト目的を達成するために、品質保証や不具合の防止といったテストの方向性を明確にすることが重要です。

プロジェクトにおいて予想されるリスクやテスト方針などを踏まえて決定しましょう。テスト方針は、実現可能なテストであることやスケジュール、コストなどを考慮することが求められます。 

2.テストを実施する範囲

次に記載するべきはテストを実施する範囲です。テスト項目やハードウェアやソフトウェアの範囲、他のシステムをテストする範囲などを明確にします。

特に、インターフェースやテスト対象となる機能、逆に対象外となる機能も明確にしましょう。

3.テスト環境とアプローチ方法

テスト計画書にはテスト環境やアプローチ方法を記載することが大切です。テストをする上で対象となるネットワーク情報やサーバー統合のスペックをはじめとしたテスト環境情報を記載します。

そのほかにもテストを行う担当者や方法、プロセス、準備するべきツールなど詳しく記載します。テスト環境やアプローチ方法をお伝えするためにはテスト技法やテストの目的、プロジェクトを進める上でのリスクなどを把握しておくことが重要です。

4.テストの体制やスケジュール

続いてテスト計画書に記載するのはテストのスケジュールや体制です。

テストを進める上でのスケジュールの定義や担当する組織、責任の所在などを明確にします。外部の関係者がいる場合でもそれぞれ役割や責任について記載することが重要です。

5.テストのタスク

続いてテストでのタスクを明確にしましょう。テストをする上で必要になる作業やそれぞれに関連する特殊技能などを詳しく説明していきます。

6.リスクと対策

テスト計画書には発生しうるリスクやリスクに対応する方法などを明確にしましょう。

安全性やプロジェクトを進める上で想定されるリスク、またリスクに対応する方法における優先順位を明確にしておきましょう。テスト計画書においてリスク対策を明確にしておくことで、リスクが発生した場合でも速やかに対処できるのです。

7.成果物

最後にテストにおける成果物について明確にしましょう。テストを実行することによって必要なドキュメントリスト化することが一般的です。また成果物の内容に対して問題や不備がないかをチェックすることも重要です。

テスト計画書の質を高める4つのコツ

テスト計画書の質を高める4つのコツ

テスト計画書の質を高めるコツには次の4つが挙げられます。

  • テスト計画書作成の難しさを理解する
  • 国際標準規格を活用する
  • テスト対象を正確に把握する
  • 第三者企業への支援を依頼する

1.テスト計画書作成の難しさを理解する

まずは、テスト計画書を作成することの難しさを理解しましょう。

プロジェクトのリーダーやマネージャーであっても、テストの概要レベルにおける全体像を把握できていない場合は少なくありません。テスト計画をすることで、プロジェクトの全体像を把握することが最低条件となります。

しかし、プロジェクトの全体像を把握できるようなテスト計画書を作るのは決して容易ではありません。システムを機能分解するプロセスを理解することが特に難しく、これらを理解することではじめてテスト計画書の作成ができるのです。 

2.国際標準規格を活用する

鉄道計画においてドキュメントの国際標準規格となるISO/IEC/IEEE 29119-3: Test Documentationを活用する方法があります。国際標準規格を基準とすることで検討漏れを減らせます。 

3.テスト対象を正確に把握する

テスト計画書の質を高めるためには対象を正確に把握することが重要です。テストの仕様だけでなくシステムに実装されている機能群や概要図レベルの構成などを具体的に把握することが求められます。

さらにテスト計画はそのものに対しての理解を求められます。テストに関連する規格や知識などを身に着けるようにしましょう。 

4.第三者企業への支援を依頼する

テスト計画書作成の精度を高めるためには、専門家である第三者企業の支援を依頼する方法もあります。経験豊富でノウハウを持った専門家に依頼することによってテスト計画を高めることが可能です。 

まとめ

まとめ

テスト計画書を作ることによって、リリース後に不具合が起きる可能性を少しでも減らせます。

リリース後に不具合が起きてしまうと、プロジェクトへの信頼感を失い、さらに修正するためのコストがかかります。 不具合の原因として必要なテスト事項が抜けているケースが多くあるのです。

このようなことが起きないように明確なテスト計画書を作成することが重要です。テスト計画書はリリース後に起きる不具合を極力減らすことが目的です。