ソフトウェアテストには様々なプロセスがあり手間と時間がかかります。またすべて担当者がおこなっていたら、業務負担が大きくなりコストもかかります。
そこでソフトウェア自動化を導入する企業が増えているのですが、すべてのシステムに導入できるわけではありません。さらに担当者が担当した方が効率が良い場合もあります。
この記事ではソフトウェアテストの自動化導入することによるメリットやデメリット、注意するべきポイントなど詳しく説明していきます。
ソフトウェアテストに自動化が求められる3つの理由
ソフトウェアテストに自動化が求められるのは次の3つの理由があるためです。
- 開発手法の変化
- ビジネス環境の変化
- 品質の維持
1.開発手法の変化
従来ソフトウェア開発として利用されていたウォーターフォール型開発は、開発におけるそれぞれのプロセスにおいてじっくりと時間をかける方法です。しかし、現在では市場の動きが激しく市場の動きについていけなくなるリスクが生じます。
そこで、近年ではウォーターフォール型開発に変わってアジャイル型開発が活用されています。2019年では大企業においての7割がアジャイル型開発を採用している、もしくは採用を予定しているといったアンケート結果もあります。
2.ビジネス環境の変化
これまでソフトウェア開発において適切に計画通りに進めることを目標としており、開発に1年以上かけることは少なくありませんでした。しかし市場の動きが早い現在に置いて開発に時間をかけているとユーザーのニーズが変わってしまうため、リリースしても必要とされない可能性があるのです。
そのため効率的かつスピーディーなソフトウェア開発が求められるようになりました。そこで業務負担を減らしてスピーディーなソフトウェア開発を進めるために、ソフトウェアテストに自動化が導入されています。
3.品質の維持
限られたコストやスピーディーにテストをおこなう必要があることから、十分なテストができる品質の低下が懸念されます。そこで、ソフトウェアテストを自動化することによって業務負担を減らし、人件費の削減などによりコスト削減にも繋がります。
低コストでの運用や限られた時間において品質の維持を保てるようになったのです。
ソフトウェアのテストを自動化する5つのメリット
ソフトウェアのテストを自動化することで次の5つのメリットが生まれます。
- 不具合を早期に発見できる
- 人的リソースの影響を受けない
- コストを抑えつつ品質を高められる
- ヒューマンエラーを防止できる
- 高速かつ正確に実施できる
1.不具合を早期に発見できる
ソフトウェアのテストを自動化することにより、定期的に繰り返しテストを実行することから不具合を短い時間で発見できます。
担当者が定期的にテストを行うのは時間も手間もかかります。しかし自動化することにより手間や時間をかけずに、問題があった場合の早期発見ができ業務効率化につながります。
2.人的リソースの影響を受けない
ソフトウェアテストを自動化することにより、なんらかの問題により人手不足となったとしてもテストを実行できます。動かしていないと人手不足の影響によりテストができなくなり、不具合が見つかるまで時間かかってしまいトラブルにつながるリスクがあります。
さらにソフトウェアテストを自動化することによって、大量のデータを比較したり大規模な性能テストをしたりなどさまざまな活用方法があります。
3.コストを抑えつつ品質を高められる
担当者が品質保証するためには手間や時間がかかり、手間が増えた分コストがかかります。しかしコスト削減をするためにテストが不十分になってしまうと、システム障害につながる可能性があるのです。
そこでテストを自動化することによって手間をかけずに定期的にテストを行うことができ、コストを抑えながら品質向上ができます。
4.ヒューマンエラーを防止できる
経験豊富な担当者であっても人の手でテストを行うとヒューマンエラーを起こす可能性があります。しかし、ソフトウェアテストを自動化することによってヒューマンエラーを防止できます。
逆に人の手であれば対応できることであっても、自動化する場合は設定した内容以外は対応できない点に注意が必要です。
5.高速かつ正確に実施できる
ソフトウェアのテストを自動化することによって担当者がテストするよりも、 高速でなおかつ正確に勧められる場合があります。しかし必ずしも高速で正確であるとは限らないので、ツールの精度やテスト内容などを確認しましょう。
ソフトウェアのテストを自動化する4つのデメリット
ソフトウェアのテストを自動化することで、次のようなデメリットもあり注意が必要です。
- 初期コストが大きくなりやすい
- 自動化が適していないケースもある
- 保守運用が必要になる
- 事前に設計したテストしか実施できない
1.初期コストが大きくなりやすい
ソフトウェアテストを自動化することにより、テストコードを作成する必要が出てきます。そのためテストコードを作成するための学習に対する費用がかかります。
コストの面においても自動化することでメリットがあるのかどうかを総合的に判断することが重要です。
2.自動化が適していないケースもある
テスト自動化は繰り返し実行するタイプのシステムには適していますが、場合によっては担当者がテストを行ったほうが効率的である場合もあります。さらに、ソフトウェアが自動テストに対応していない設計の場合もあるので注意が必要です。
3.保守運用が必要になる
テストを自動化することですぐに結果が出るわけではありません。長期間にわたって運用することで結果が出るのですが、テストを自動化するシステムに対しても保守業務が必要です。
さらに自動テストがアップデートされた場合はテストコードの修正になったり、その他修正対応が必要になったりします。
4.事前に設計したテストしか実施できない
ソフトウェア等に限らず自動化をする場合は、前もって設定しておいたコード通りにしか実行できません。そのためテストの途中で予想がつかないようなトラブルが起こった場合でも、対応できない可能性があります。
中には人の目に明らかなレイアウトが崩れている場合などでも、事前に設定していなければ自動化ソフトでは対応できません。このように担当者が対応した方が効率的な場合もあるので確認が必要です。
ソフトウェアのテストを自動化する際の5ステップ
ソフトウェアのテストを自動化するためには次のステップで進めることが一般的です。
- 事前調査と検証
- 導入目的の明確化
- 自動化の対象と範囲の決定
- 手法やツールの選定
- 環境構築とテストケースの作成
ステップ1.事前調査と検証
ソフトウェアテストを行う前に、開発の手順や費用などを確認することが重要です。全ての手順において自動化の導入が可能なわけではなく、導入可能であるかどうかのフィジビリティスタディが必要です。
ステップ2.導入目的の明確化
テスト自動化の目的は一つではなく、企業やシステムによって異なります。そのため業務効率化やコスト削減など、優先して達成したい導入目的を明確にすることが重要です。
ステップ3.自動化の対象と範囲の決定
導入目的を設定したら次にどの部分を自動化するのか対象や範囲を決定するようにしましょう。
この時点で必要コストを見積もり費用対効果が良いかどうかの判断をします。費用対効果が悪い場合は、対応する範囲を見直したり導入自体を考え直したりする必要があります。
ステップ4.手法やツールの選定
ソフトウェアテストの自動化ツールによってもさまざまな種類がありそれぞれ特徴があります。また手法もさまざまな方法があるため、時差やシステムに合った手法やツールを選ぶことが重要です。
特に手法やツールによってコストが大幅に変わるため、費用対効果があるかどうかを確認することが重要です。
ステップ5.環境構築とテストケースの作成
テスト自動化をする目的や範囲、活用する場所などが決まったらテスト自動化をするための環境作りをします。さらにテストスクリプトやテストケースを作成し、実際にテストを進めていきます。
一度導入したら終わりではなく、効果を検証し改善を繰り返すことが重要です。
ソフトウェアのテスト自動化でよくある3つの質問
ソフトウェアのテスト自動化でよくある質問として、次の3つを説明します。
- テストを自動化する際の注意点はありますか?
- テスト自動化の導入を成功させるコツはありますか?
- おすすめのテスト自動化ツールはありますか?
質問1.テストを自動化する際の注意点はありますか?
ソフトウェアのテスト自動化することで必ずテストのプロセスが減り、業務効率化につながるわけではありません。ソフトウェアのテスト自動化は見落としがちなバグを効率的に見つけたり、高速で開発する必要がある現場において品質保証書を適合することに向いています。
ソフトウェアテストの自動化は通常担当者がしなければいけないことに対して効果的に配分することが主な目的です。
質問2.テスト自動化の導入を成功させるコツはありますか?
テスト自動化の導入を成功させるためには 、まずテスト自動化に向いているかどうかを判断することが重要です。さらにテスト自動化を導入することにより費用対効果を意識することも重要でしょう。
場合によっては担当者がテストを進める方が、コスト面においてもメリットがある場合もあります。
質問3.おすすめのテスト自動化ツールはありますか?
Webアプリに対応しているおすすめのテスト自動化ツールとして、T-DASHやTestablishなどが挙げられます。
T-DASHは月額3,600円と安価であり、テストの設計から実行までノーコードで活用できる点が特徴です。Testablishは直感的な操作でテストコードを作ることができるため、知識が十分でない場合もテスト自動化ツールの運用が可能です。
このようにそれぞれのツールにおいて特徴が異なるため、自社のニーズにあったツールを選ぶようにしましょう。
まとめ
ソフトウェアテスト自動化を導入することによって、これまで担当者が行なっていたテストを自動化することで業務の負担を減らし不具合を早期発見できる場合があります。しかし必ずしも自動化ツールを導入することによって、業務軽減になるとは限りません。
担当者がテストをしたほうが効率的である場合や、そもそも自動化ツールに対応していない場合もあります。さらに自動化ツールにも様々な種類があり、自社に合ったものを選ぶことが重要です。