システム開発のプロジェクトは、規模によっては多くのメンバーが参画して、開発業務にあたります。

分割された作業をタスクとして割り振って、メンバーは開発に取り組みますが、作業の進捗確認やフォローの管理が十分でなければ、効率の良い開発は出来ません。

求められる品質や納期、コストをもとに各メンバーの動静や作業全体の流れを把握して管理することが、プロジェクトの成功には必要不可欠です。

このように、リソースを適切に配分しながらプロジェクトを成功に導くために行う活動を、プロジェクトマネジメントと言います。

今回は、プロジェクトマネジメントの手法を体系的にまとめたPMBOKについてご紹介します。

PMBOKとは?

PMBOKとは?

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントを行う上で必要な手法・知識をまとめたものです。

1987年、アメリカの非営利団体PMIによって発表されました。

PMBOKは本来英語で表記されていますが、現在は日本語をはじめ多くの言語に翻訳されており、PMI監修の元、発行されています。

PMBOKの目的

PMBOKは、プロジェクトマネジメントの業務効率化のためのもの、突き詰めればQCDの達成を目的として、PMIが策定しました。

QCDとは、システム開発を成功させるために重要な3項目である品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)をまとめたものを指します。

このQCDの改善・達成は顧客満足度の高い開発へと繋がるため、システム開発では必要不可欠となっています。

QCDについては、こちらの記事でも詳しく紹介しているのでぜひご確認ください。(QCD記事のURLをこちらにお願いします。)

PMIとは?

PMI(Project Management Institute)は、PMBOKを策定した、アメリカにある非営利団体です。

1998年には日本にも支部が設置されて、PMBOKの普及やPMP資格の認定活動等を行なっています。

PMPとは?

PMP(Project Management Professional)とは、PMIがPMBOKガイドに基づいて認定する国家資格です。

プロジェクトマネジメントについての知識や技法だけでなく、マネジメントに対する姿勢等、実務的な内容も問われます。

PMPは一度取得すれば永久的に効力を発揮出来るわけではなく、3年毎に更新が必要となります。

資格認定を維持するためには、プロジェクトマネジメントに常に関わっておく必要がある、実務重視の資格です。

プロジェクト管理の知識体系

プロジェクト管理の知識体系

PMBOKの知識体系について、ご紹介します。

QCD達成のための5つのプロセス

PMBOKでは、QCD達成のための5つのプロセスを定義しています。

それぞれの概要は下記の通りです。

立ち上げ

プロジェクトの開始前に、プロジェクトの認可を得るためのプロセスです。

プロジェクトの目的や予算、成果の定義やステークホルダー(利害関係者)の特定を行います。

ステークホルダーには、プロジェクトへの出資者やクライアントが含まれます。

計画

プロジェクト遂行の具体的な計画を策定します。

メンバーの選定や、タスクの割り当て、プロジェクトの一連の流れについてもここで定義します。

実行

策定した計画に基づいてリソースを調整して、タスクを進めていきます。

監視・管理

実行中のプロセスがスケジュール通り進んでいるか、計画通りで差異がないか等をチェックして、ある場合は調整を行います。

終結

プロセスが完了したことを確認して、プロジェクトを公式に終結させるプロセスです。

今回のプロジェクトで得られた知識やノウハウについては、次回に活用できる形で保管しておきます。

PMの10の知識エリア

プロジェクトマネジメントに必要な知識を10種類に分割した、管理分野があります。

QCDの3要素と、プロセスを管理する7つの要素にそれぞれ分けられています。

総合管理

他の9種類の知識エリアを統合的に管理・調整してプロジェクトを進めていく分野です。

全体をマネジメントする位置付けとなっています。

スコープ管理

プロジェクトの実施範囲(スコープ)を定め、プロジェクトを成功させるための成果物やタスクを定義する分野です。

プロジェクトの成否に関わる分野であるため、10の知識エリアの中でも最重要の項目となっています。

スケジュール管理

プロジェクト成功に向けたスケジュールの管理や、生産性を高める時間の使い方を管理する分野です。

コスト管理

プロジェクトに必要なコストを正しく見積もり、予算が超過しないようマネジメントを行う分野です。

品質管理

プロジェクト成果物の品質を管理する分野です。クライアントの要求を満たす品質へと成果物を導きます。

組織管理

プロジェクトを成功させるための人材等のリソース調達、及び管理を行い、プロジェクト成功へ向けて活動できる組織編成を行う分野です。

コミュニケーション管理

メンバー間、及びステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に行うために管理する分野です。単なる情報の伝達だけにはとどまらず、理解を得るところまでをコミュニケーションとして扱います。

リスク管理

プロジェクトを進めていく中で発生するリスクを管理、対策を立てる分野です。リスクを単に回避するだけではなく、リスクをいかに最小化出来るか、前向きに対策を講じる考え方も含みます。

調達管理

プロジェクトを進めていく中で必要なサービスや資源の調達を管理する分野です。サービス連携や資源調達先との契約だけでなく、選定や納品までの進捗管理・検収等全てを管理します。

ステークホルダー管理

ステークホルダーにとって必要な情報を収集して、管理・伝達を正確に行う分野です。

PMBOKにおける3つのパート

PMBOKでは、知識エリアにはそれぞれ出力、ツールと実践技法、入力の3つのパートがあると定義しています。

10の知識エリアをさらに具体的に落とし込んだものになります。

出力

出力は、各知識エリアと各プロセスでの成果物を指します。

ツールと実践技法

各知識エリアと各プロセスで、どのようなツールや技法を使ってプロジェクトを進めていくかを指します。

入力

設計書やリソース等、なにをもってプロセスを進めていくのかを指します。

PMBOKの活用方法

PMBOKの活用方法

PMBOKが、プロジェクトマネジメントの具体的な方法を細かく示してくれている訳ではありません。

プロジェクトの規模や状況によって、プロジェクトマネジメントの最適解は変わってきます。

しかしながら、現在PMBOKによって制定されたノウハウや知識は世界標準となっているため、プロジェクトマネジメントを全般的に学ぶには、PMBOKの体系を理解することが重要となっています。

PMBOKを足掛かりに、自分たちのプロジェクトに活かすことの出来るプロジェクトマネジメントスキルを身につけましょう。

PMBOKを活用できるようになろう

PMBOKは、プロジェクトマネジメントの知識やノウハウ・考え方を学ぶためには最適なガイドです。

プロジェクトにおけるQCD達成のためにも、PMBOKを活用して、プロジェクトマネジメントスキルを磨きましょう。