この記事を書いた人
粟飯原 匠
こんにちは!
PENGINでマーケティングを担当しているケインです!
今回は、個人事業主としてWebサイトやシステム開発のPM・ディテレクターをしているホンマさんへのインタビュー企画第三弾です!
▼前回の記事はこちら
【ベテランPMインタビュー 第二弾】Web業界に入るまでを振り返るこの記事では、ホンマさんが個人事業主になってからの活動や仕事に対する思いに焦点を当ててまとめていきます!
第一線で活躍中のディレクターの思考を学んでいきましょう!!
【ホンマさんのプロフィール】
- 大学時代に派遣で様々な仕事を経験する
- 引っ越し屋さんをやりながら、デビューを目指してバンド活動
- 求職者支援訓練校の講師としてHTML/CSSを120名以上に教える
- BAにPM候補として入社
- 現在、個人事業主として多数のプロジェクトにPM・ディレクターとして関わりながら、クリエイターのためのコミュニティ『シナカフェ』を運営中
ホンマさんのツイッターアカウント:https://twitter.com/hirohom2
クリエイターズシナジーカフェ(シナカフェ):https://csc.innovasica.jp/
ディレクター・PMってなんですか??
ディレクター・PMの役割
ケイン:そもそもの話なんですけど、ディレクターとかPMとかって何する職種なんですか??
ホンマ:プロジェクトを完遂させる役割の総称をディレクターと呼ぶと考えています。
ディレクターがやるべき仕事って、IA(情報設計)、要件定義、仕様を詰める、顧客との折衝など、いろいろなことがあるんですが、これを一人でやる必要はないんですよね。
会社によっては、テクニカルディレクターやアートディレクター、クリエイティブディレクターなど、役割ごとにディレクターがいて、分担している場合もあります。
もちろん一人でやっている会社もありますが…
ケイン:ありがとうございます!
PMとディレクターの違いって、どんなところにあるんですか?
ホンマ:これも会社によると思うんですが、僕の中では「お金に関わるか否か」で明確に区別しています。
概算の見積もりやアサインなど、お金に絡む部分を担当するのがPM。PMと現場をつなぐのがディレクターと定義しています。
これはあくまで僕の定義なので、人によって異なる部分だと思います。
ディレクターに必要な知識・スキル
ケイン:PMになるにはどんな知識やスキルが必要なんですか?
ホンマ:工数を見積もれないといけないので、デザイナーまたはエンジニアからディレクターを経てPMになるのが理想ですね。そうじゃない場合でも、Webのリテラシーを網羅的に把握している必要があると思っています。
ケイン:Webのリテラシーとは具体的にどういうものを指しますか?
ホンマ:例えば、ネットワークの基礎とか、グラフィックデザインってどういうものかとか、Webデザインにはどんな工数がかかるかとか、HTMLを書けなくても読めるとか、設計の概念とか、httpとかDNSって何かとか…. そういったWebに関するありとあらゆる知識は学んでおいた方がよいと思いますね。
ケイン:なるほど!
自分たちの作っているものに関して幅広い知識を持っているべきということですね。 どうやって学ぶのがおすすめとかありますか??
ホンマ:Webの技術については『イラスト図解式 この一冊で全部わかる Web技術の基本』って本がおすすめです。
1回じゃよくいわからない部分もあると思うので、何回か読み込んてほしい1冊ですね。
ケイン:読みます!(Amazonポチっと!)
IA(情報設計)って何ですか?
ケイン:情報設計って言ったときに、それが何を指すのかっていまいちよくわからないんですけど、ホンマさんはどう考えていますか?
ホンマ:情報設計という言葉は使う人によって定義が異なるので、チームのメンバー間で認識を合わせておくことが大切ですね。
僕の場合は、要件定義が終わってからワイヤーフレームを作るまでの過程が情報設計であると定義しています。
ケイン:ふむふむ…
ホンマ:例えば、美容室のサイトを作るとしたら、「ターゲットは誰?」、「その美容室がある場所にはどんな人が住んでるの?」、「そのターゲットってどんなコンテンツを用意していたら興味もってくれるの?」、「コンテンツの順番はどうなっているとターゲットユーザーに伝わりやすいの?」 っていうことを数字を元に組み立てていくんですね。
で、そこまでに用意した情報とワイヤーフレームを組み合わせたらデザインの仕様書ができるので、そこまでの過程を情報設計と位置づけています。
ケイン:なるほどです。 今の説明だと「よくわからん」っていう人は、以下のホンマさんのnoteを読むと理解が深まると思います!!(このnoteめっちゃ勉強になる!)
WebサイトのIA(情報設計)について|hirohom|note仕事をつくる仕事をしよう
ケイン:ホンマさんがPM・ディレクターとして仕事をするうえで、大事にしている考え方とかってえありますか??
ホンマ:いつも言っているのは仕事をつくる仕事をするってことですね。
ケイン:というと??
ホンマ:クライアントは、「売上を上げる」とか「採用を拡大する」とか、様々な目的を持って僕たちにご依頼くださるわけです。つまり、僕たちはその目的を達成できるものを作らないといけないはずです。
例えば、クライアントの目的が売上の向上にある場合、僕らがクライアントの売上を上げることができれば、クライアントはそのお金を元手に新しい事業を始めたり、事業を拡大させていったりできるんですね。
自分たちにもまた発注という形で新たな仕事が来る可能性がある。
これって、「あるあずのなかった仕事をつくっている」ということなんですよね。
そういう意味で、仕事をつくる仕事をするということは意識しています。
ケイン:(メモメモ…)
ホンマ:あと、よくSNSとかで単価を上げるテクニック的な情報がたまにあったりしますけど、僕の考えですが、単価はクライアントが勝手に上げてくれるものだと思ってます。
ケイン:??
具体的に何をしたらいいんですか??
ホンマ:クライアントの売上を上げればいいんです。毎回。
ポイントとしては、売上という「結果」はもちろん、「プロセス」も大事です。やりとりがスムーズかどうかとか、クライアントの満足度が高い仕事の進め方ができているかどうかとか。
ケイン:クライアントの満足度が高い仕事の進め方というと、具体的にどういうことですか?
ホンマ:僕の場合はIAを手を抜かずにやることですね。
IAがしっかりしていると売上は上がるし、ディレクションをしっかりやって、先々の問題が起こりそうな部分を、要件定義や契約書で予め潰しておく。
そうすると、クライアントはスムーズにプロジェクトが進んだと思ってくれます。
ケイン:先々に起こりそうな問題を予め潰しておくためには何が必要ですか?
ホンマ:ifを考えておくことが大事です。
「もし、今この要件定義書にこの一文を入れなかっったらどうなるでしょう?」というのをいろいろなパターンを想定して考えておくことです。
初心者の方を就職まで導いた話
ケイン:前回のインタビューで「この人向いてるかも」って思った人は育てちゃうタイプとおっしゃっていましたが、その辺の話をお聞きしていいですか?
ホンマ:最初は、「サポート兄さん」というものをやり始めたんですよ。 30分3000円で何でも相談乗るよっていうやつなんですけど。
ケイン:あ〜、存在は認識しておりました。
ホンマ:あれ、なんでやり始めたかっていうと、相談や質問のDMが来ないようにしたいと思って始めたんですよ。 だから少し高い金額にして、導線も面倒くさくしたんですけど、それを乗り越えてくる猛者がわりといまして…笑
そのときに出会った人とは割と今でも関係が続いています。
ケイン:そうだったんですね。
で、そのときに初心者の人と出会っていろいろ相談に乗っていたと。
ホンマ:そうです。
ケイン:そのときのエピソードや、どんな相談に乗ったかなどを知りたいです!
ホンマ:そのときに、西東さんとまるこさんという方に出会って、それぞれデザイナー志望とエンジニア志望の方だったんですね。
ケイン:ふむふむ…
ホンマ:それで、そのときにぽんさんという方から、納期がいつでもいいという仕事が来たので、「これを新人だけでやりきろう」という計画が立ち上がったんです。
で、初心者の方たちで「アンダースコア」というチームを結成して、ロゴとかもつくって、デザインとコーディングをまるまるやってもらいました。
ケイン:そうなんですね!
ホンマ:まず、要件定義をしている間にやることがないので、ロゴを作ってもらったり、座学で基本事項を教えたりしていました。
座学で原則的なことだけ教えて、あとは仕事を進める中で、実際にやってもらって、それに対してフィードバックするというのを何回も繰り返しました。
基本的にはすべてを教えないで、「なぜそうなのか」を考える余地を残していました。
ケイン:自分で考えてもらうことを重視したということですね?
ホンマ:そうですね。
「なぜそうなのか」を考えてもらって、考えてたことを書類にまとめてもらうということを繰り返すと、デザインの仕様書ができるんですね。
そうすると、ディレクターの仕事も部分的に体感してもらうことができるので、そういった方法を取りました。
ケイン:(めっちゃ考えてる…)
ホンマ:エンジニア志望のまるこさんには、CSSをまるっと教えるのは非常に難しいので、HTML/CSSの基本的な部分とセマンティックの概念について教えました。
で、あとは「自分で調べて、調べたことを書類にまとめてね」って言ったら、書類のクオリティがすごくて高くて笑
そのあとに、単純なレイアウトのパーツを複数作る練習をしてもらいました。
ヘッダー、ヒーローエリア、フッター、カードリストなどの基本的なレイアウトをそれぞれ3種類の方法で実装してもらうということをまずやって、それができたら、使い回せるコンポーネントするにはどうやってコーディングすればいいかを考えてもらってましたね。
ケイン:それがしっかりできたら、1サイト作れますね!
ホンマ:あとはそこからSassを教えました。
Sassも概要を伝えて、環境構築だけ手伝いました。
Sassの勉強におすすめの本を教えたら、一人ですばらしく効率化されたコードを書くようになりましたね。とにかくコードがきれいで、第三者に引き継いでも絶対わかりやすいと思います。
ケイン:すばらしいですね!
そういった経験がシナカフェを始めるきかっかけになっていったんですかね?
ホンマ:一つの要因になっているかもしれません。
ケイン:では、続いてシナカフェの話を詳しくお聞きできればと思います!
必要なのは「つながり」と「失敗できる場所」
ホンマ:僕は何かやるときに必ず事業計画書を作るんですけど、クリエイター向けのコミュニティをつくろうと思って事業計画書を作ったものの、忙しくて放置していたんです。
ケイン:そうなんですね!
コミュニティはなぜつくろうと思ったんですか?
ホンマ:大きな理由は2つです。
1つには、その頃ツイッター上で怪しげな情報が増えてきていたこと、もう一つは苦労は必要だけど、しなくても良い苦労はあると常々感じていたことです。
ケイン:それらを解消するためにコミュニティを作ろうとしたけど、忙しくて放置していたと。
ホンマ:そうですね。
ただ知人の繋がりから、現在シナカフェを共同運営している石油王とマリコさんと知り合って、「こんなコミュニティあったらいいよね」って話で盛り上がって、僕が作っていた事業計画書を3人でブラッシュアップして、準備期間1ヶ月くらいでスタートしました。
あのタイミングで石油王とマリコさんと出会ってなかったら、たぶん今もやってないと思います笑
ケイン:そういう経緯だったんですね!
シナカフェってコミュニティとしてすごくうまくいってると思うんですけど、どういう点に注意してつくったんですか?
ホンマ:「ユーザーがどうしたら使いやすいのか?」ということを考えて、めっちゃ設計しました。
入ったばかりの人に対しては必要最低限の情報を伝えて、自分で情報を取捨選択できるような形にしています。
このあたりは石油王がすごく考えてくれて、彼の「人に対して真摯に向き合う姿勢」が素晴らしいと感じました!
値段設定も、誰もが気軽に参加できるように赤字にならないぎりぎりのラインで月額税込み1100円にしています。
あとは、失敗できる環境をつくるということも意識しました。個人事業主として請負で仕事をしていると、失敗したら損害賠償なので。そのため、コミュニティ内でコンペを企画したりして、プロからレビューを受けられるようにしています。
ケイン:素晴らしいですね!
コミュニティ内で自発的なコミュニケーションが起こるように工夫した点とかありますか?
ホンマ:制作物評価部屋という会員同士で作ったもののレビューをし合うSlackチャンネルがあるんですけど、それは自発的なコミュニケーションが起きるきっかけになっていると思います。
ケイン:たしかに!
誰でも制作物を投稿できて、プロも初心者もレビューのコメントができるのは非常にいいですよね!
ホンマ:プロじゃない人の目線って、よりユーザーに近いので大切なんですよね。
初心者の方にとっても、制作物に対するレビューをすることで言語化の練習にもなるので、レビューする方もされる方も両者にとっていいと思っています。
あと、最近oViceというバーチャルオフィスを導入させていただいたんですが、昼夜構わずいろんな人が使ってくれていて、oViceにくると自然とコミュニケーションが生まれやすいかなと思います。
ケイン:oViceいいですよね。 「ひとりじゃない感」があってフリーランスの方や独学中の方にとってめちゃくちゃありがたいと思います!!
oVice 「オヴィス」 – コミュニケーションを促進するバーチャル空間ホンマ:他にも、いわゆるROM専の方にとっても有益なコミュニティであるように設計できていると思います。
レビュー部屋や質問部屋には自分がほしい情報がある可能性がありますし、過去のウェビナーは図書室というチャンネルにアーカイブしています。なので、積極的に他の会員さんとコミュニケーションを取らない人にとっても有益になるようにしようというのはありますね。
ケイン:僕も人見知りするタイプなので、それは非常にありがたいです笑
ホンマ:自発的に発信しなくても有益な情報に出会える、でも自発的に発信するとお友達ができやすい。
シナカフェはそんなコミュニティになっていると思います。
ケイン:あとは、ベテラン勢が多いのもシナカフェの特徴ですよね?
ホンマ:そうですね。
個人事業主としてやっている人や会社の社長さんとかもいたりするので、仕事につながる可能性はあると思います。会員同士で仕事を依頼しあう部屋もありますし。
ケイン:ですよね!
PENIGINも法人化したので、今後シナカフェの「お仕事紹介部屋」を使わせていただくかもしれません笑
今後、シナカフェはどんなふうにしていこうと思っているんですか?
ホンマ:当初シナカフェは、何かを教えたり、お勉強をする場ではなく、輪が広がるコミュニティにしたかったんですよ。なので、コロナがなければオフ会をたくさんやるようなコミュニティになっていたはずで。情報交換って飲み会の場で行われるものだとも思っています。
今後も、会員同士がつながって、遊んだり、一緒に仕事をしたりとか、みんなが自由に交流できる場として機能していけばと思っていますね。
ケイン:シナカフェ、めっちゃいいコミュニティだと思います!
ホンマさん、長丁場のインタビューお時間取っていただき本当にありがとうございました!
ホンマさんへのインタビューもこれが最後となりました。
(ちょっと寂しい…)
これまで3回に渡り連載してきたホンマさんへのインタビュー、皆様お楽しみいただけたでしょうか。
これからも業界の最前線で活躍する方にお話を聞いてコンテンツ化していけたらと思っていますので、よろしくお願いいたします😊