初めてのリスティング広告運用|やり方から費用まで分かりやすく解説

初めてのリスティング広告運用|やり方から費用まで分かりやすく解説

この記事の監修者

粟飯原匠 |プロデューサー

マーケティングを得意とするホームページ制作会社PENGINの代表。教育系スタートアップで新規事業開発を経験し、独立後は上場企業やレガシー産業のホームページ制作・SEO対策・CVR改善の支援を行うPENGINを創業。「ワクワクする。ワクワクさせる。」を理念に掲げてコツコツと頑張っています。

「自社サイトのアクセス数を増やしたいけれど、どうすればいいのか分からない」といった悩みに対して、広告を出して露出を増やすべきか、とお考えになる方は多くいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、Web広告の中でもっともポピュラーな「リスティング広告」について詳しく解説します。

リスティング広告とSEOや検索連動型広告との違い、リスティング広告の費用や費用相場、始め方などを解説しています。また、リスティング広告運用で押さえておきたい違反を避けるためのコツなども詳しく解説しています。

リスティング広告の効果を最大限に引き出すために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

リスティング広告とは?

リスティング広告とは、GoogleやYahooなどの検索窓で検索したキーワードから、ニーズを推測してマッチする広告を検索画面やWebサイト内に表示させる広告です。

掲載箇所検索結果画面上部
ビジュアルテキスト形式
種類「検索連動型広告」「ディスプレイ広告」

リスティング広告には大きく分けて「検索連動型広告」「コンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告))」の2種類あります。

しかし、一般的にリスティング広告と言えば検索連動型広告を指して説明されることも多く、他の広告について調べているうちに混乱してしまうこともあるため、注意しておきましょう。

そのため、リスティング広告とは「ユーザーのニーズや興味に沿った広告を、ユーザーが閲覧するWeb上の画面に表示させる広告」と広義の意味で理解しておきましょう。

リスティング広告関連の用語について

リスティング広告と混同されやすい用語について解説します。それぞれの言葉の意味を正しく理解しておきましょう。

リスティング広告と 検索連動型広告の違い

検索連動型広告とは、Google や Yahoo! などの検索窓で検索した際、ユーザーが検索したキーワードに応じて検索結果ページの上下に表示されるテキスト広告です。

広義的には、リスティング広告に分類される広告の内のひとつに検索連動型広告がある、と理解しておくとよいでしょう。

しかし、一般的にリスティング広告=検索連動型広告を指して使われることが多く、当記事でも検索連動型広告を中心に解説することになります。

検索連動型広告は、検索キーワードから検索エンジン側がニーズを読み取り、ユーザーに合わせた広告が表示されるため、ある程度ニーズが明確になっている顕在層にアプローチできることが特徴です。

リスティング広告とコンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告)の違い

ディスプレイ広告は、ユーザーが閲覧しているWebサイトの広告枠に、バナーや動画などのビジュアル要素で表示される広告です。

こちらもユーザーの興味関心のあるコンテンツを読み取ったうえで広告が表示されるため、広義的には、リスティング広告に分類される広告の内のひとつと理解しておきましょう。

ディスプレイ広告でアプローチできる層は、キーワード検索をしているユーザーと比較するとニーズが明確でない場合も多いですが、潜在的に顧客になり得る層にアプローチできる点ではメリットがあると言えます。

リスティング広告とPPCの違い

PPC広告とは、「クリック課金型」と呼ばれる広告の一種で、Pay Per Clickの頭文字をとったものです。

リスティング広告は、ユーザーの検索キーワードや閲覧履歴などからニーズに沿った広告を表示させる広告=広告のシステムで分類されますが、PPC広告は課金のシステムで分類されているという点に違いがあります。

  • 課金システムで分類される→PPC広告
  • 表示システムで分類される→リスティング広告

そのうえで、リスティング広告の課金システムにはクリック課金制が用いられることもあるため、リスティング広告はPPC広告に分類される、ともいえます。

リスティング広告と SEOの違い

SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジンのアルゴリズムを読み取りながら上位表示させるための施策を講じる手法です。

検索結果画面に表示される点で、リスティング広告の中にある検索連動型広告と比較されることもありますが、検索連動型広告は広告費を払うことで上下1〜4位の目立つ箇所に、確実に表示させられます。

しかし、広告出稿しないSEOの結果は検索エンジンのアルゴリズムに委ねられるため、コンテンツをどの位置で表示できるかは不確定です。

また、ドメインの評価やキーワードの種類によっても異なりますが、SEOでは検索結果上位に表示されるまで時間がかかりますが、リスティング広告は即効性がある点にも違いがあります。

リスティング広告の仕組みと費用について

リスティング広告の費用体系は、「クリック課金制」と「オークション形式」を組み合わせて決まります。

それぞれの仕組みとあわせて、どのように費用がかかるのかについて解説します。

「クリック課金制」と「オークション形式」

リスティング広告では、広告を出稿したい人=広告主が関連するキーワードを設定し、該当のキーワードが検索された際に出稿した広告がWeb上に表示される仕組みになっています。

リスティング広告は、クリックされると広告主に課金されるようになっており、ユーザーの画面上に表示されているだけでは広告主側に課金請求はされない「クリック課金制」です。

人気のあるキーワードは取り合いになるため、自社の広告をどの位置に表示できるかは「オークション形式」で競りが行われます。広告には最低入札価格が定められており、キーワードの検索ボリュームによって最低入札価格も高くなります。

出稿時はクリックされた際に支払う金額を入札し、基本的には入札額が高いほど上位に表示されます。
しかし、広告の品質スコアで変動することはあります。

品質スコアは、他の広告主様と比べた広告の品質の目安をスコアで表示する診断ツールです。
スコアは 1〜10 の数値で示され、キーワード単位で確認できます。品質スコアが高ければ、そのキーワードを検索しているユーザーにとって、お客様の広告とランディング ページが、他の広告主様のものと比べて的確で有用であることを意味します。

品質スコアについて – Google 広告 ヘルプ

Yahoo!では「品質インデックス」と呼ばれるこの評価は、広告のクリック率やキーワードと広告のマッチ度合い、リンク先ページの品質などから判定されます。

入札額や品質スコアを複合的に判断し、リスティング広告の「広告ランク」という値が割り当てられ、実際に掲載される位置が決まる仕組みとなっています。

リスティング広告費の相場

業界やキーワード、入札単価などで費用は大きく変動するため、リスティング広告費用における定量的な相場を出すことは難しいですが、20万円〜30万円(月額)程度の費用をかけている企業が割合としては多いようです。広告代理店に運用を委託する場合、請求額は広告費の20%程度で設定されていることが多いため、広告費が100万円であれば費用は20万円程度ということになります。

リスティング広告費用は、広告を1回クリックしたときにかかる費用、クリック単価(CPC)と、想定されるクリック数で判断されることが多いです。

クリック単価(CPC)から計算する費用例

想定クリック単価:300円
想定クリック数:1,000件
→必要予算:300円×1,000件=300,000円

クリック単価や想定の費用は、Googleのキーワードプランナーから確認できます。

→ Googleキーワードプランナー

Google AdSenseのキャプチャ01
Googleキーワードプランナーの例1
Google AdSenseのキャプチャ02
Googleキーワードプランナーの例2

Googleアカウントがあれば、出稿しない方も無料で試すことができます(検索ボリュームは大雑把な値しか確認できません)。キーワードプランナーでは、キーワードを入力して検索すると、関連するキーワードとあわせて月間の検索ボリュームやページ上部に掲載された広告の入札単価などが確認が可能です。

クリック単価の相場もキーワードによって異なり、数十円から数千円と広いレンジで設定されています。はじめて試す場合、Webサイトの集客後、どれくらい成約(CV)するのか検証も必要になりますので、検索ボリュームなども参考に10〜20万円程度に抑えることを目標にしながら運用するとよいでしょう。

リスティング広告のメリット

リスティング広告に手を出すべきかどうか、メリットとデメリットを把握したうえで判断したい、という方も多くいらっしゃるかと思います。

まずはメリットから解説します。

的確にターゲティングできる

リスティング広告は、検索クエリやユーザーの履歴などをもとに、ターゲットユーザーに向けて広告を配信できます。

そのため、広告のクリック率が高く、より多くのユーザーに効果的にアプローチできます。

費用のコントロールがしやすい

クリック課金制のため、予算内で効率的に広告を配信できます。

また、広告配信の開始・停止やクリック単価の調整なども自由自在に行うことができます。

計測・分析が行いやすい

広告の表示回数やクリック数、コンバージョン率などのデータをリアルタイムで取得できるため、広告の効果を正確に測定できます。

そのため、広告の改善点を見つけやすく、より効果的な広告を作成ができます。

出稿から配信されるまでの期間が短い

リスティング広告は、広告作成から配信までの期間が短く、迅速に反応・効果を確認できます。

また、クリックされた広告は直接サイトに誘導されるため、アクションを起こしやすく、コンバージョン率の向上につながります。

広告表示位置の最適化が可能

リスティング広告は表示位置の最適化が可能であり、より目立つ位置に広告を表示できます。
また、競合他社との広告表示位置を比較し、戦略的に広告を配信することもできます。

リスティング広告のデメリット

リスティング広告は出稿すれば成果が出る、といった簡単なマーケティング手法ではありません。

ここではデメリットについて解説します。

クリック単価が高騰する場合がある

オークション制のため、クリック単価が高騰する可能性があります。

競合他社と同じキーワードに入札している場合、クリック単価が高くなるため、広告掲載にかかるコストが高くなる可能性があります。

費用対効果が落ちることもある

広告=Webサイトへクリック誘導できたとしても、購買など目標行動に繋がらない場合もあります。

キーワードによっては、クリック数が多くてもコンバージョン率が低い場合があるため、広告費用対効果が悪くなる可能性があります。

広告がブロックされる場合がある

ユーザーが広告ブロック機能を使用している場合、出稿しているリスティング広告表示がされないため、効果が損なわれる可能性があります。

広告作成や数値改善などの運用に時間がかかる

効果的な広告を作成するためには、ターゲット層を明確にし、魅力的なコピーを作成する必要があるため、広告作成にも時間はかかります。

また、数値を改善するには何度も分析を繰り返す必要がありますので、目標達成までに時間がかかる可能性があることも理解しておきましょう。

リスティング広告を自分でやりたい方向け・手順を解説

ここでは広告代理店などの業者に依頼せず、自分でリスティング広告をはじめて運用したいという方向けに、基本的な手順を解説します。

STEP1:リスティング広告を掲載するプラットフォームの選定

まずは、自社が掲載する広告の対象となるプラットフォームを選定する必要があります。

主なプラットフォームとしては、Google AdsやYahoo!プロモーション広告、Amazon広告などがあります。

それぞれのプラットフォームによって特長や傾向が異なるため、事前に運用目的や対象となるユーザー層を明確にし、最適なプラットフォームを選定することが重要です。

また、ここで作成する「アカウント」が、リスティング広告を運用するにあたってもっとも大元のレイヤーとなります。

STEP2:キーワード選定とキーワードグルーピング

掲載する広告に使用するキーワードをリサーチします。キーワードは「出稿した広告をクリックしてくれそうなユーザーが検索するであろうキーワード」を想定して選定します。リサーチには、Google Adsのキーワードプランナーなどのツールを利用することが一般的です。

検索ボリュームが多ければ露出も多くなりますが、そのぶん入札単価が高く、競合も多くなります。検索ボリュームと難易度のバランスを考慮し、競合他社が使用していないキーワードはないか調べるなど、うまく自社の広告が露出できるようなキーワードを探すことが重要です。

また、選定した複数のキーワードは、意味やニュアンスが似たもの同士でグルーピングできます。

キーワードグループ名キーワード例
ブラウンシューズブラウンシューズ、ブラウン ローファー、メンズ ブラウンシューズ
スポーツシューズランニングシューズ、バスケットシューズ、スポーツ用シューズ
ハイキング山登り、ハイキング靴、登山用品
キャンプ用品テント、寝袋、アウトドア用品
ウェアスポーツウェア、アウトドアウェア、トレーニングウェア

キーワードグループは、次に設定する広告グループ設定の前段階として、的確にキーワードを選択し、組み合わせやすいようにするための準備にもなります。

STEP3:広告グループの設定

広告グループとは、共通のターゲットに向けた複数の広告をグループ化したものです。広告文やキーワード・リンク先URLをセットにして構成されたもので、1つの広告グループごとに入札単価も設定できます。

広告グループには、類似したターゲットを共有する広告が 1 個以上含まれています。
各キャンペーンの中には、複数の広告グループを作成できます。
宣伝したい商品やサービスなど、テーマごとに広告グル―プを作成します。そうすることで、その広告に興味を持ちそうなユーザーに広告を表示することができます。

広告グループとは – Google 広告 ヘルプ
広告グループ名キーワードランディングページ
スマートフォンスマートフォン、iPhone、Androidhttps:/〇〇〇.com/smartphone
タブレットタブレット、iPad、Androidタブレットhttps://〇〇〇.com/tablet
ノートパソコンノートパソコン、PC、Windowshttps://〇〇〇.com/laptop
デスクトップパソコンデスクトップパソコン、PC、Windowshttps://〇〇〇.com/desktop
ゲームPCゲームPC、ゲーム用パソコン、ゲーム用PChttps://〇〇〇.com/gamepc

広告グループは事前に設定したキーワードグループと同じ名称・意味合いで分類することで、キーワード設定などの効率化が図れます。

STEP4:広告の作成

広告の作成では、それぞれの広告グループに合わせて、Webページ上に表示されるタイトルや説明文(ディスクリプション)、表示URLなどを設定します。Google広告の「ショッピング広告」というメニューでは、画像の掲載も可能です。

広告文には、競合との優位性をアピールし、ユーザーがクリックしたくなる魅力的な内容を設定することが重要です。

しかし、それぞれの媒体で文字数や記号、表現などのルールもありますので、事前に確認をしておきましょう。

STEP5:キャンペーンの設定

リスティング広告のキャンペーン設定とは、広告の配信期間や予算、配信地域やデバイスなどのターゲティングを設定することです。

キャンペーンは類似のキーワードを含んだ複数の広告グループで構成し、共通の広告配信設定を持たせます。

キャンペーンを設定することにより、広告主は広告配信の期間や予算を自由に調整することができます。また、ターゲティングの精度も高まり、クリック率やコンバージョン率の向上、予算オーバーの回避につながります。

STEP5:データ収集と分析

広告を出稿した後は、アクセス数やクリック数、コンバージョン率などのデータを収集して分析します。

分析結果をもとに、広告の改善点や効果的なキーワードの再設定などを行い、より効果的な広告運用を目指します。

リスティング広告の違反とは

リスティング広告を出稿する際には、違反行為に該当する広告にならないよう注意が必要です。

以下に代表的な例をあげています。また、Google広告ポリシーのページにも詳しく記載されているため、リンク先をご紹介しておきます。

→ Google 広告のポリシー – Google 広告ポリシー ヘルプ

禁止された商品・サービスの宣伝

リスティング広告では、法律や規約で禁止された商品やサービスの宣伝はできません。例えば、違法な薬物、違法な賭博サイト、違法な情報商材などが該当します。

不正なクリックやアクセス

競合他社が自社広告をクリックしてムダに課金額を増加させるような行為が行われることがありますが、このような行為は違反行為になります。また、広告主自身で自社の広告をクリックしたりすることも違反です。

あくまで自然なクリックが必要であり、その他のクリック行為は行わないようにしましょう。

不適切なキーワード使用

リスティング広告では、広告と関係のないキーワードを使用することができません。例えば、特定の商品を扱うサイトに、競合他社の商品名をキーワードに含めることは禁止されています。

また、会社名や商標登録されている名称は、自社・他社に関わらず、リスティング広告での使用を控えましょう。

誇張表現や、「実績No.1」「最も安い」などの最上級表現もNGとなるため、設定するキーワードには注意が必要です。

著作権侵害

著作権を侵害する広告を出すこともできません。そのため、著作物となるコンテンツを、自社の広告として使用することはNGとなります。

著作権で保護されていたとしても、使用権限が法的に認められている場合、認定のための申請をすることで利用できる場合もあります。

まとめ

リスティング広告は、効果的なターゲティングやコストコントロール、データ収集・分析のしやすさなど、メリットが多くあります。

しかし、クリック単価の高騰によるコスト増などのデメリットもあるため、しっかり特徴を把握した上で運営することが重要です。

自分でリスティング広告を行う場合は、プラットフォーム選定からキーワード選定、広告作成、キャンペーン設定、そしてデータ収集と分析まで多くの工程があります。

はじめてで不安な方は広告代理店やWebマーケティングを支援する会社に依頼することも検討しておいたほうがいいでしょう。