国内外で多くのユーザーを抱え、企業の広告配信先として利用されている「SNS広告」は、商材やサービスのブランディングはもちろんのこと、売上アップにつながるマーケティング施策として活用されています。
本記事では、SNS広告を検討している経営者や担当者の方向けに特徴や種類、費用対効果を上げるポイントなどについてわかりやすく解説します。
SNS広告とは
各ソーシャルメディアのプラットフォーム内で配信する方法をSNS広告と呼びますが、ほかにも「ソーシャルメディア広告」と呼ばれる場合もあります。主に利用するユーザーが多いソーシャルメディアは以下のとおりです。
- LINE
- YouTube
- TikTok
日常的に情報収集をしているユーザーに対して認知拡大を目的とした利用が向いている方法で、各社が保有する個人情報や検索結果に基づいた細かなターゲティングが可能です。
日々、ターゲットユーザーの行動を観測しながら改善を繰り返しながら運用していくため、リスティング広告と同様の「運用型広告」と聞くこともあるでしょう。
従来の掲載方法はテキストやバナーが多いイメージですが、最近では動画を活用した広告掲載も増えています。費用も低コストにおさえられるため、注目が集まっている広告方法です。
SNSの利用者は年々増加しており、SNS広告の運用の需要は今後も伸びていく可能性が大きいでしょう。幅広いターゲットユーザーや潜在層、二次拡散が期待できるSNS広告は、大きな広告効果が期待できます。
SNS広告が持つ4つの特徴
注目の高いSNS広告が持つ特徴は以下の4つです。
- 特徴1.ターゲティング精度が高い
- 特徴2.潜在顧客に情報を届けることができる
- 特徴3.少ない費用で運用できる
- 特徴4.比較的にユーザーから受け入れられやすい
SNS広告の特徴は今後の自社の広告運用に大きく影響してくる大切な部分ですので、特徴を詳しく見ていきましょう。
特徴1.ターゲティング精度が高い
各ソーシャルメディアは利用するために氏名や性別、居住地などの個人情報の登録を促し、データを保有しています。そのため登録されたデータを利用した精度の高いターゲティングが可能です。
ほかにもユーザーが検索した情報に基づいたターゲティングやユーザーの「フォロー情報」「いいね・シェア」などの行動もターゲティングより精度を高められる材料となります。
精度の高いターゲティングは結果的に必要なユーザーへ必要な情報を届ける役目もあると言えます。
特徴2.潜在顧客に情報を届けることができる
上記でお伝えした精度の高いターゲティングで潜在顧客に情報を提供できるのがSNS広告の特徴でもあります。自社の商品やサービスに興味を持っているユーザーに向けて広告を掲載し、認知してもらうと、サービスの利用につなげられる可能性も高いと言えるでしょう。
競合サービスとの差別化を測るなど、より自社のサービスの良さを伝えるためにも活用できる特徴があります。人気のあるインフルエンサーなど二次拡散を獲得できれば、より多くの潜在顧客にアピールが可能です。
特徴3.少ない費用で運用できる
マス広告やほかのWeb広告に比較して費用を少なくおさえることができます。各ソーシャルメディアでのSNS広告費用の目安一覧は以下の通りです。
SNSの種類 | 出稿できる最低金額 | 月の費用相場 |
100円〜 | 5〜20万円 | |
100円〜 | 5万〜集中して認知拡大を狙うなら月10万円以上 | |
数千円〜 | 10万円〜事業規模により30万円以上の場合もある | |
LINE | 100円〜 | 10〜30万円 |
YouTube | 配信面で変動1再生3〜20円の入札から開始 | 10〜30万円本格的な運用なら月100万円以上 |
TikTok | 広告の種類で変動 | 利用が多いインフィード広告では42〜50万円 |
100円から出稿可能なメディアが多数ありますが、効果的な運用をしていくためには、まとまった費用が必要になります。
特徴4.比較的にユーザーから受け入れられやすい
スマートフォンやPCなどのデジタルデバイスが主流となっている昨今、SNS広告は比較的にユーザーから受け入れられやすい特徴があります。
SNS広告は配信方法が多く、タイムラインに溶け込んだ掲載はユーザーの行動の邪魔にならず、自然に目に止まりやすいのが特徴です。ユーザーが魅力的だと判断すれば、二次拡散で想定以上の効果を出すケースもあります。
SNS広告から期待できる2つの効果
SNS広告から期待できる効果は以下の2つが挙げられるでしょう。
- 商品やブランドのファン育成
- 新たなリーチの獲得
SNS広告を活用して得られる効果は今後の運用にも大きな影響を与えます。2つの効果を詳しく見ていきましょう。
1.商品やブランドのファン育成
商品やブランドの価値観やブランドイメージをSNS広告活用によって広げます。それにより、ブランドの「ファンづくり」や「ファン育成」に効果が期待できるでしょう。
ブランドの活動内容や取り組みを発信するなど、商品やサービスの差別化をおこない、ユーザーが日常でサービスを利用するイメージができれば顧客獲得の可能性が高くなります。
SNS広告でファンづくりの成功事例もあり、価値観に共感を得られるほど、二次拡散にもつながる大きな効果が期待できます。
2.新たなリーチの獲得
精度の高いターゲティングが可能なSNS広告では、購入意欲のある「顕在層」だけでなく「潜在層」にもアピールができるため、新たなリーチの獲得につながる効果が期待できます。
顕在層にアピールしやすいリスティング広告やリターゲティング広告ではほかの競合と競争になるだけでなく、潜在層には届きにくい特徴があります。
SNS広告では、サービスや商品を知ってもらいたいユーザーを精密にターゲティングできるため、認知拡大に効果的です。
SNS広告を利用するデメリット
SNS広告の特徴や効果をお伝えしましたが、デメリットも以下の2つが挙げられます。
- 炎上の可能性もともなう
- PDCAサイクルのため専門スタッフが必要
二次拡散でサービスや商品、ブランドの認知拡大に効果が期待できる反面、過大広告など悪い印象を与えてしまうものも拡散されてしまい、炎上してしまうケースも考えられます。
一度悪いイメージがついてしまうと、修正は難しく手間も時間も無駄になりかねません。そのため、広告表示する内容は幾度も見直しをおこない、ユーザー目線で不快にならないかの確認をおこないましょう。
また出稿したSNS広告は、一度出したら終わりではありません。ユーザーの行動や反応を見ながら、改善サイクルを回して効果を出していく必要があります。
解析などを日々おこなうケースも考えられるため、専門のスタッフが必要となるでしょう。専門家の意見などを求める必要も出てくる場合も想定しておいてください。
SNS広告を出稿できるプラットフォームの種類と特徴
SNS広告の出稿が可能な有名プラットフォームは以下の6種類が挙げられます。
- LINE
- YouTube
- TikTok
6種類のプラットフォームの特徴を詳しく見ていきましょう。
Facebook広告とは、Facebook内のフィードやストーリーズに掲載可能なSNS広告の一つです。Facebookでは、仮名ではなく「実名」や本人が登録している個人情報を保有しているため、その情報を利用した詳細で精密なターゲティングができる特徴があります。
また、ターゲットユーザーとWeb行動が類似しているユーザーを「類似オーディエンス」機能を用いたターゲティングも可能です。新規顧客の確保に有利な広告方法と考えられます。
Instagram広告はビジュアルをメインに広告表示できるSNS広告の一つです。Facebook広告内の管理画面からキャンペーン設計をおこない広告掲載をおこないます。
精密な情報を保有しているFacebookと紐づいているため詳細なターゲティングができる特徴があります。ECサイトへの動線確保ができる広告掲載など動画・静止画を活用したフォーマットの種類の多さも特徴的です。
特に美容やファッションなどに興味の高い若い女性をターゲットとする場合が多い傾向にあります。
Twitter広告とは、Twitter内でおこなわれた検索結果やタイムラインに掲載可能なSNS広告の一つです。主にターゲットユーザーが興味を持つものや趣味などを元にしてターゲティングしていくのが特徴と言えます。
Twitter広告は他のSNS広告に比較すると二次拡散性が高く、さらに二次拡散された広告は課金されないため、運用次第ではCPAをおさえることができるでしょう。
LINE
引用:【LINE広告】クリエイティブの基本│静止画と動画について
SNS広告のなかでも、年齢層の幅が広いため、リーチ力に優れています。日常的に利用しているユーザーは国内で月間8,900万人と大多数のやりとりがおこなわれているプラットフォームです。
年齢層が高いユーザーも多く、掲載可能なフォーマットの種類も豊富で幅広いユーザーへ広告を届けられる特徴があります。企業の公式アカウントに登録されている既存客には、最新のアプローチにも活用できるプラットフォームです。
YouTube
YouTubeで配信される動画などを利用した動画広告をさします。SNSの動画配信でも多く利用されているため有名な方法といえます。
画像やテキストに比べて、細かな表現が可能で共感を得られやすい特徴があります。YouTubeでも精度の高いターゲティングが可能なので効果的な訴求ができるでしょう。
テキスト形式が苦手なユーザーにも届けることができ、クリックしなくても広告表示される点もポイントの一つです。
TikTok
引用:【公式】TikTok For Business(TikTok広告)の広告出稿方法、配信面、機能を解説
TikTokの起動画面やショートムービーなどの視聴ページに広告掲載ができます。若い層に人気のプラットフォームとして有名ですが、30~40代にも利用するユーザーが拡大中です。
ほかのSNS広告との違いはユーザー参加型のチャレンジ広告が掲載できる点です。ユーザーを巻き込みながら拡散を見込む方法として注目されています。
TikTokは動画の視聴に特化したプラットフォームなので、動画広告との相性が良く、費用対効果も期待できるでしょう。YouTubeと同じく動画広告の需要は今後も増えていくと考えられます。
SNS広告の費用対効果を上げる5つのポイント
SNS広告で費用対効果を上げるポイントは以下の5つが挙げられます。
- 媒体ごとの特徴を理解する
- ペルソナ像の詳細を明確にする
- ユーザーに違和感や拒否感を与えないよう設計する
- プラットフォームごとの機能やサービスを複合的に活用する
- トレンドの変化に対応する
5つのポイントは費用対効果だけでなく、運用開始後にも大きく影響してきますので、詳しく見ていきましょう。
1.媒体ごとの特徴を理解する
上記で紹介した媒体ごとの特徴を理解して、広告を運用する媒体の選択が大切です。ターゲット層の利用頻度が少ない媒体では、広告効果は十分に得られません。
媒体ごとの広告の種類がターゲット層に効果的かどうかも媒体を選ぶポイントになります。媒体の特徴と広告の種類が自社のターゲット層に合っているか判断することが重要です。
2.ペルソナ像の詳細を明確にする
SNS広告の特徴として、精度の高いターゲティングがおこなえることです。効果をあげるためにペルソナ像の詳細を明確にする必要があります。
各SNSのプラットフォームでは独自のターゲティングができる機能を活用できるため、自社のペルソナ像を明確にして機能を上手く活用してみてください。主に以下のペルソナ像を推定しておきます。
- 性別
- 年齢
- 興味関心
- 趣味
- 行動パターン
ペルソナ像を設定は各SNSのプラットフォームで異なります。自社の目的や方向性を計画しましょう。
3.ユーザーに違和感や拒否感を与えないよう設計する
各媒体のプラットフォームで利用する広告の種類を上手く活用し、ユーザーに違和感や拒否感を与えないように設計を工夫しましょう。
SNSを利用するユーザーの目的や心理は各SNSで異なります。ターゲットユーザーを詳細に設定したとしても、何度も同じ広告が表示されると不快に感じるケースもあるでしょう。
広告表示の種類や特徴を把握して、本格的に運用する前に自社の目的や計画、テストなどの実施をしていく必要があると考えられます。同じ広告でもSNSの利用ユーザーが投稿するコンテンツを活用した広告は、受け入れられやすいのもポイントです。
4.プラットフォームごとの機能やサービスを複合的に活用する
SNS広告で、より効果的な成果を出していくために、プラットフォームごとの機能やサービスを複合的に活用していきましょう。
ショッピング機能であれば、申し込みの完結、商品の購入までSNSのプラットフォーム内でおこなえるため、購入の壁が低くなるメリットがあります。広告表示だけでなく、機能やサービスを組み合わせていけば、顧客獲得に効果が期待できます。
5.トレンドの変化に対応する
SNSでのトレンドは日々変化していきます。そのため、SNS広告の運用をしていくためにトレンドの変化に対応できるスキルが必要です。
変化するトレンドに対応できていない広告運用は、自社の利益にも大きな影響を与えてしまいます。トレンドに対応できるように広告内容やサービスも計画していく必要も出てくるでしょう。
SNS広告でよくある3つの質問
最後にSNS広告でよくある質問を3つ紹介します。
- SNS運用を代理店に委託する場合の相場はどのくらいですか?
- SNS広告の成功事例はありますか?
- SNS広告のCPMを下げるための対策はありますか?
SNS広告の運用を始めるにあたって、気になることばかりです。質問内容と回答を紹介します。
SNS運用を代理店に委託する場合の相場はどのくらいですか?
SNS広告の運用を依頼する先と内容によって料金は大きく異なります。大きな相場としては以下のとおりです。
依頼先 | 料金の相場 | 特徴 |
フリーランス | 約月5万円〜 | 投稿作成のみのケースが多く、長期的な運用は難しい |
企業 | 月50万円以上 | 企画、投稿作成、分析のほかレポーティングなども含まれている企業によってどこまで対応するかが変動する |
対応範囲はさまざまですので、見積もりを依頼して自社に合った相手を選びましょう。
SNS広告の成功事例はありますか?
SNS広告を活用している企業は数多く存在しますが、そのなかで公開されている成功事例を2つ紹介します。
企業名 | SNS広告の活用目的と方法 | 結果 |
モスバーガー | 若い世代層の利用を促すため動画広告をFacebookにて実施 | 動画の再生回数が152万回売上が実施前と比較して1.3倍 |
ゼクシィ | Instagramでストーリーズ広告採用アプリのインストール案内アプリストアへの誘導 | 導入後のアクション数2.1倍アプリインストール数3.1倍 |
参考:広告の成功事例:ヒントになるブランドの成功事例を紹介(Meta for Business)
SNS広告のCPMを下げるための対策はありますか?
SNS広告のCPMを下げるための対策は以下の2つが挙げられます。
- ターゲティングや広告の配信先を拡大
- 競合の多い広告をさける
ターゲティングや広告の配信先の拡大をすると、CPMをおさえる効果が期待できます。
しかし、広げすぎてターゲットユーザーに十分な訴求ができなくなる可能性もでてくるため、しっかりと考慮してみてください。
また、競合の少ない広告もCPMをおさえる効果があります。内容やターゲティング設定で調整ができますが、商品やサービス自体が同じであれば調整は難しいでしょう。
まとめ
SNS広告とは各ソーシャルメディアのプラットフォーム内で配信する広告方法です。各媒体ごとの種類ごとの特徴や効果を把握して、自社の商品やサービスとの相性を見て広告運用をどの媒体でおこなうか決めていきましょう。
また、費用対効果を上げる5つのポイントは重要となりますので、しっかりと対策しておく必要があります。
- 媒体ごとの特徴を理解する
- ペルソナ像の詳細を明確にする
- ユーザーに違和感や拒否感を与えないよう設計する
- プラットフォームごとの機能やサービスを複合的に活用する
- トレンドの変化に対応する
デジタルデバイスの普及でSNS広告の需要は増加傾向にあります。SNS広告の特徴や効果を理解して需要の波に乗りましょう。