昨今、注目を集めている「Web広告」は、スマートフォンやPCなどのデジタルデバイスが主流になっていることで活用する企業が増えてきています。Web広告はマス広告に比べ「詳細なターゲティング性」「コストダウン」「行動につながりやすい」という特徴も注目を集める理由です。
当記事では、Web広告の種類や選び方などを紹介します。また広告費用を決める際のポイントも詳しく解説していきますので、参考にしてください。
Web広告とは?
私たちが普段見ているインターネット上のメディアやSNSなどに掲載されている広告をまとめて「Web広告」と呼びます。最近では、検索エンジンや各メディアの広告枠に自社商品やサービスを掲載し、自社商品やサービスのマーケティングに活用している企業も増えてきています。
Web広告に注目が集まる理由
Web広告に注目が高まっている大きな理由として、PCやスマートフォンなどのデジタルデバイスが普及したことで、雑誌や新聞などの従来のマスメディア広告よりWeb上で広告を目にすることが増えたことが挙げられます。
それに伴い、Web広告に移行する企業も増えていることも理由として考えられるでしょう。Web広告はマス広告に比べ「詳細なターゲティング性」「コストダウン」「行動につながりやすい」という特徴も注目を集めている理由です。
2022年3月に「電通」が発表した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」では、インターネット広告費は2022年も2兆4,811億円に達し、前年比は115%に達すると見込まれています。
インターネットを利用した購買が日常的におこなわれており、今後もWeb広告の需要は継続されていくと考えられるでしょう。
参考:「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」 – News(ニュース) – 電通ウェブサイト
Web広告を利用する5つのメリット
Web広告のメリットは以下の5つが挙げられます。
- 予算に合わせて出稿できる
- 細かなターゲティングができる
- 効果を得るまでの期間が短い
- 施策の改善がしやすい
- 出稿中でも内容を変更できる
ここでは、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
1.予算に合わせて出稿できる
予算に合わせて出稿ができるのがWeb広告のメリットの一つです。広告費にかかる単価や合計金額などの上限を自由に設定できるため、マス広告と比べ、低コストで運用ができます。
また、ユーザーの行動で広告の課金方式を設定するため、全体的なコストをおさえられるメリットがあります。
2.細かなターゲティングができる
ユーザーの属性(性別・年齢・地域・興味や関心など)を細かく設定できるメリットがあります。
マス広告は不特定多数のユーザーを対象としますが、Web広告では、広告に興味をもってくれるユーザーをターゲティングして絞り込むことが可能です。これにより、より効果的な集客が見込まれるでしょう。
3.効果を得るまでの期間が短い
比較的、短い期間で効果を得やすいのがWeb広告の特徴です。マス広告やほかのWebマーケティングの中でも効果を早くに感じられるでしょう。
出稿自体も短期間でおこなえることと、詳細なターゲティングをおこなうことで必要な情報が必要な人に短期間で届けられることで効果も短縮されます。早ければユーザーアクションをすぐに確認できるケースもあります。
4.施策の改善がしやすい
早い段階でユーザーの行動を数値で確認できるため、内容の改善に数値を活用できます。現時点のユーザー行動を正確なデータで確認できますので、改善も早急に対応できるでしょう。
改善サイクルが早くなることにより、改善効果も感じられやすくなる点もメリットと言えます。
5.出稿中でも内容を変更できる
Web広告の大きなメリットとして、一度出してしまった広告内容も途中で変更や修正ができる点が挙げられます。
途中で変更できないマス広告の弱みをWeb広告ではカバーできていると言えるでしょう。始めに設定したターゲティングの変更も柔軟に対応できるため、改善を繰り返すことが可能です。
Web広告を利用する3つのデメリット
Web広告を利用するデメリットは以下の3つが挙げられます。
- 運用には知識が必要になる
- 広告費がかさむ場合がある
- 多角的な分析力を要する
Web広告を利用するデメリットも知っておくべき内容ばかりです。ここでは3つのデメリットの内容を詳しく見ていきましょう。
1.運用には知識が必要になる
Web広告の効果を高めて運用するには、専門の知識が必要になります。Web広告を活用できれば集客に大きなメリットを得ることが可能ですが、分析力や課題発見などのスキルが必要です。
運用しながら知識やスキルをつけていくことになりますが、時間や機関が限られている場合は、外部に委託するという選択肢も考えておきましょう。
2.広告費がかさむ場合がある
選定するキーワードによっては、広告の単価が高くなってしまう場合があります。競合の多さによって高単価になりやすく、結果として想定より広告費がかさんでしまうことも考えられます。
対策としては、「広告の品質を上げる」「費用対効果の高いキーワードにする」などが考えられます。どちらにしても、戦略を立てて実践してみてください。
3.多角的な分析力を要する
Web広告を運用していくためには、運用の専門知識以外にも、多角的な分析力が必要です。広告を効果的に運用するためには、どのキーワードを選定し、ターゲティングを適切にしていく能力が求められます。
常にユーザーの動きを把握し、改善サイクルも高めていかなければならないため、担当への負担も懸念されます。解析ツールなどを利用し、実践しながらスキルアップしていく必要があります。
Web広告の主な種類
Web広告の主な種類は以下の9種類が挙げられます。
- ディスプレイ広告
- リスティング広告
- ネイティブ広告
- リターゲティング広告
- アフィリエイト広告
- 動画広告
- リワード広告
- SNS広告
- メール広告
Web広告は、目的で適した広告媒体が異なるため、目的を明確にすることが大切なポイントです。種ごとの特徴を詳しく見ていきましょう。
ディスプレイ広告
引用:Yahoo!JAPAN
Webサイトやアプリなど広告枠に表示されている広告をディスプレイ広告と呼ばれています。テキスト以外にも、画像・動画を使用した広告で、ビジュアル的に目を引きやすい表示方法です。
ターゲットユーザーへの認知拡大を目的にする場合が多く、費用相場も10円〜数百円ほどでおさまることが多いでしょう。細かなターゲティングでクリックにつながりやすい特徴があります。
リスティング広告
引用:Google
GoogleやYahoo!などの検索エンジンでユーザーが検索した結果画面に表示される広告をリスティング広告と呼びます。ターゲットユーザーは目的を持って検索するため、売買につながりやすく人気の広告媒体です。
しかし、競合の多いキーワードは必然的に単価も高くなるため、専門的な戦略が必要となります。クリックの費用相場は数円〜数千円ほどと選定するキーワードで大きく変化します。
ネイティブ広告
引用:Yahoo!JAPAN
広告特有の圧力を感じさせないサイトの記事やコンテンツに同化させて表示している広告をネイティブ広告と呼びます。ユーザーが広告と認知しにくいためストレスを与えにくい効果があり、クリック率も高くなりやすいのが特徴です。
ただし、ネイティブ広告は課金方式が異なり、クリックでは20円〜70円ほど、1,000回表示方式では400円〜800円ほどと費用相場は高い傾向にあります。
リターゲティング広告
一度訪問したユーザーが別のサイトを表示したときに、自社の広告を表示させる方法をリターゲティング広告と呼びます。自社の商材やサービスに興味があるユーザーを限定するため、効果を得られやすいです。
とはいえ、くり返される広告表示を嫌がるユーザーには不快感を与えてしまう可能性もあります。
リターゲティング広告もキーワードによって広告単価の相場も変わります。数十円~数千円と幅広い価格の変動を考慮しておきましょう。
アフィリエイト広告
広告主の商品をASP(広告運用媒体)を通して、自身のブログやSNS・サイトに広告リンクを貼り付ける方法をアフィリエイト広告と呼びます。広告主が設定したユーザーアクション(契約・購入・資料請求など)で広告費用が発生する成果報酬型が特徴です。
そのため費用対効果も高くなる人気の広告媒体ですが、広告を広めるアフィリエイターへの成果報酬に魅力がなければ、登録をしてもらえない場合もあります。費用相場は幅広くあり、最大で5万円ほどです。
他の広告媒体より高い傾向であると考えておく必要があります。
動画広告
動画広告は名前のとおり、動画内で広告を表示する方法です。YouTubeやSNSの動画配信でも多く利用されているため有名な方法といえます。
動画広告では、画像やテキストに比べて、細かな表現が可能で共感を得られやすい特徴があります。テキスト形式が苦手なユーザーにも届けることができ、クリックしなくても広告表示される点もポイントの一つです。
費用相場は動画の形式で変動します。インストリーム広告であれば、動画のクリックか30秒視聴で約49円ほど、SNSを利用した動画広告では再生のたびに5円〜20円ほどとなるでしょう。
リワード広告
アフィリエイト広告の一つとされているリワード広告は、ユーザーが広告リンク先でアプリのインストール・商品の購入をすることでポイントを付与する方法です。
成果型報酬で、アプリのインストールに利用されることが多く、アプリの認知を拡大させるのに最適な広告方法と言えるでしょう。
ほかにも動画形式のリワード広告があり、ユーザーが再生を選べるため抵抗感を与えにくいメリットがあります。費用相場は1回のインストールで70円〜80円です。
SNS広告
「Instagram」「Twitter」「Facebook」などのSNS上に表示させる広告をSNS広告と呼びます。SNSを情報収集場所として利用しているユーザーに対して、正しいターゲティングをおこない、認知拡大を目的とした利用が向いている広告媒体です。
SNS広告は、人気が高い傾向ですが、ターゲティングの設定を正しくおこなう必要があります。定期的に設定を変更しなければ、始めの設定のまま配信され続けてしまうためです。とはいえ、今後もSNSの需要は伸びていくと考えられるため、広告効果も期待できます。
Facebook広告
Facebook広告とは、Facebook内のフィードやストーリーズに掲載可能なSNS広告の一つです。Facebookでは、仮名ではなく「実名」や本人が登録している個人情報を保有しているため、その情報を利用した詳細で精密なターゲティングができる特徴があります。
また、ターゲットユーザーとWeb行動が類似しているユーザーを「類似オーディエンス」機能を用いたターゲティングも可能です。新規顧客の確保に有利な広告方法と考えられます。
Twitter広告
Twitter広告とは、Twitter内でおこなわれた検索結果やタイムラインに掲載可能なSNS広告の一つです。主にターゲットユーザーが興味を持つものや趣味などを元にしてターゲティングしていくのが特徴と言えます。
Twitterの課金方法は主に以下の3種類です。
- インプレッション課金(CPM)
- クリック課金(CPC)
- エンゲージメント課金(CPE)※いいねやシェア
Twitter広告は他のSNS広告に比較すると二次拡散性が高く、さらに二次拡散された広告は課金されないため、運用次第ではCPAをおさえることができるでしょう。
Instagram広告
Instagram広告はビジュアルをメインに広告表示できるSNS広告の一つです。
精密な情報を保有しているFacebookと紐づいているため詳細なターゲティングができる特徴があります。Instagramでの課金方法は主に以下の通りです。
- インプレッション課金(CPM)
- クリック課金(CPC)
- アプリインストールによる課金(CPI)
- 動画再生による課金(CPV)
美容やファッションなどに興味の高い若い女性をターゲットとする場合が多い傾向にあります。
メール広告
電子メールに広告を掲載して送信したものをメール広告と呼び、配信方法は以下の2種類に分けられます。
- テキスト形式
- HTML形式
テキスト形式はテキストに簡易な装飾をして配信、HTML形式では画像などの挿入も可能です。
メール広告は既存の顧客や見込み客に配信することが多く、売上につながりやすいメリットがあります。
とはいえ、メールが開封されない場合もあり、他のWeb広告と比べると効果を感じにくいデメリットがあることを考えなくてはなりません。
記事広告
掲載先のメディアなどで第三者の目線で紹介されている記事を記事広告と呼びます。PR広告やタイアップ広告と表現される場合もあります。
記事風のコンテンツを利用した広告方法で、「広告らしさ」を出さない手法です。直接アピールするのではなく、ユーザーの悩みの解決を促す内容が多く、共感を得られれば効果を発揮します。
うまく活用できれば潜在層に届けられ、共感したユーザーの抵抗を減らせる点も大きなメリットと言えるでしょう。
Web広告の選び方
それでは、どのようなWeb広告を選ぶべきなのかを説明していきます。Web広告の選び方は以下の2通りです。
- ターゲットが利用している媒体を選択する
- 広告出稿する目的から選択する
Web広告は有効的な使い方で大きな売上につながりますが、適切な運用が必要になってきます。ここでは、広告の選び方を詳しく見ていきましょう。
ターゲットが利用している媒体を選択する
ターゲットとなる多くのユーザーが利用している媒体を選ぶことが重要になってきます。
例えば、若い女性であればInstagramなどを多く利用していることが考えられるでしょう。ターゲットの行動をリサーチして適切な広告媒体を選択するためにターゲティングを詳しく設定してみてください。
広告出稿する目的から選択する
広告出稿する目的で広告媒体を選択することも大切です。認知拡大であればSNSを利用した広告が向いていますが、購入に至るケースは多くありません。
興味程度で満足してしまうからです。商品購入を目的としているなら、検索エンジンで検索しているユーザーをターゲットに訴求する方が効果を見込めます。
Web広告における課金方式
Web広告における課金方式は大きく以下の7種類に分けられます。下記の表で7種類の課金方式の特徴をまとめました。
課金方式 | 特徴 |
クリック課金(CPC) | 広告をクリックした段階で料金が課金となるWeb広告で一般的な課金方式 |
インプレッション課金(CPM) | 広告の表示が1,000回で課金となる |
視聴課金(CPV) | 一定時間、動画広告の視聴で課金となる視聴時間は媒体によって変わる |
成果報酬課金(PPA) | 事前設定されたKPIの達成で課金となる |
エンゲージメント課金(CPE) | 広告をユーザーがシェアやいいねをすると課金となる |
掲載期間保証型課金(CPD) | 広告枠を一定期間、買い取る方式 |
配信数型課金 | メールなど配信数によって料金が変動する |
Web広告の費用を決める際の3つのポイント
まず、Web広告の予算を決めておきましょう。複雑に考えすぎず、目標とするCPAに目標CVをかけて必要予算を求めます。求めた予算を適切に運用するためのポイントは以下の3つが挙げられます。
- 撤退ラインを決める
- 増額基準を決める
- 中長期的な計画を描く
予算に合わせ、3つのポイントを決めることで運用がしやすくなります。
1.撤退ラインを決める
Web広告の効果が目標より低い場合、戦略の立て直しを考える必要があります。そのために事前に撤退するラインを決めておきましょう。
広告の予算は消化するだけでなく、成果を出していく必要があります。決められた予算を適切に運用していくためには、予算決めより大切なポイントとも言えるでしょう。定期的に運用状況の確認が必須です。
2.増額基準を決める
逆にWeb広告の効果が高い場合、広告費の増額を検討しましょう。そのために増額する基準も決めておく必要があります。
広告の効果が高い場合、広告配信の増やすことでより効果を高められる可能性があります。機会損失をしないためにも、増額基準を見極めてすぐに実行できる準備も大切なポイントです。
3.中長期的な計画を描く
Web広告は、中長期的に計画を描く必要があります。初月に広告の効果が出るとは限りません。数ヶ月かけて分析や改善するため、まずは予算の使い方を設計してください。なお、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と中長期で計画を描くのがポイントとなります。
Web広告についてよくある3つの質問
Web広告でよくある質問は以下の3つが挙げられます。
- Web広告を運用する際の注意点はありますか?
- Web広告を効果的に運用するための手順はありますか?
- Web広告を出すまでの手続きは難しいですか?
いずれも、初めてWeb広告を活用される担当者さんが疑問に思いやすい点ばかりです。それぞれについて詳しく説明します。
質問1.Web広告を運用する際の注意点はありますか?
Web広告は、初めて訪問するユーザーにとって、企業のサービスを体験する入り口となります。
初めに良くない印象を与えてしまうと、後から信用を取り戻すことは困難です。リピートにもつながりません。そのため自社のサービスの良さが十分に伝わる設計にしましょう。
質問2.Web広告を効果的に運用するための手順はありますか?
Web広告を効果的に運用する手順は大きく分けて4つの流れになります。
- 「目的」を明確にしてWeb広告を活用する
- ターゲティングを詳細に決める
- ターゲットユーザーの目線で設計する
- 目標値の設定をする
4つの流れは、事前に詳しく戦略を立てていく必要があります。広告効果に大きく影響するため要注意です。
質問3.Web広告を出すまでの手続きは難しいですか?
Web広告の出稿はいたってシンプルです。流れは以下のとおりになります。
- 広告媒体をどこにするのか決める
- 広告を作成する
- 広告媒体の審査を受ける
広告のターゲットが決まっていれば、広告媒体は目安がついているはずです。広告の作成は高品質なものを考えるなら専門家にお任せする場合もあります。広告媒体の審査は媒体によって基準が異なるため、事前に確認しておくとスムーズです。
まとめ
Web広告は、費用対効果も高く改善サイクルも回しやすいため、注目されている広告方式です。しかし、Web広告を適切に運用するためには、それなりの知識やスキルが必要となります。
今後も需要が伸びるであろうWeb広告を自社のマーケティングにうまく活用できると売上に大きな影響を与える可能性があります。今回ご紹介した内容をもとに、自社に適したWeb戦略を描いてみてください。
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