LP制作の費用相場は、シンプルなデザインで10万円前後から、本格的なものになると60万円以上と幅があります。しかし、LP制作にかかる費用の内訳や、予算の立て方のポイントが分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、LP制作を手掛けてきた経験をもとに、LP制作の相場と費用の内訳、予算を左右する要因と注意点、依頼前に準備しておくべき事項について詳しく解説します。
LP制作の予算を決める際の参考になるよう、費用の内訳や相場、予算に影響を与える要素について具体的に説明し、効果的なLPを適切な予算で制作するための知見を提供します。
LPとは
LPとは「ランディングページ(Landing Page)」の略称で、Web広告やマーケティングキャンペーンからリンクされ、ユーザーが最初に訪れるページを指します。LPの主な目的は次の2つです。
- 特定の製品やサービス、プロモーションを詳しく説明すること
- ユーザーに具体的なアクション(商品購入、サービス登録、情報ダウンロードなど)を促すこと
通常のWebサイトと異なり、LPはユーザーを特定の目的に導くために最適化されています。そのため、ユーザーの注意を散らす要素は必要最小限に抑えられています。
たとえば、ECサイトの場合、広告バナーをクリックしてLPに飛ぶと、そのバナーで宣伝していた商品の詳細情報や購入ボタンが目立つように配置されています。これにより、ユーザーは迷わず商品購入へと誘導されるのです。
LP制作の業務委託範囲
LP制作を外注する際は、自社で委託したい業務範囲が含まれているかを確認することが重要です。予算に余裕があれば、運用と改善に対応している会社へ依頼することをおすすめします。
なぜなら、効果的なLPの運用と継続的な改善を実現することで、投資対効果を最大限に高められるためです。
ここでは、LP制作における業務委託範囲をそれぞれ解説します。
戦略設計
戦略設計は、効果的なランディングページを開発するために欠かせない工程です。この段階では、以下の2点を明確にすることが重要です。
- ターゲットユーザーの特定と理解
- 競合との差別化を図るための独自の価値提案
まず、プロモーション対象の商品やサービスを、どの市場や消費者層にどのように訴求するかを計画します。ターゲットユーザーの属性(年齢、性別、職業など)や課題、ニーズを深く理解することが必要です。
次に、ユーザーの行動を予測し、その行動を促すための設計を行います。具体的には、以下2つの戦略の明確化です。
- 入口戦略:ターゲットユーザーをいかにしてLPに誘導するか
- 出口戦略:LPからユーザーにどのようなアクションを取ってもらうか
たとえば、入口戦略としてSNS広告を使う場合は、ターゲットユーザーが興味を持ちそうな広告文句やビジュアルを使用します。出口戦略としては、「今すぐ購入」「無料で資料請求」など、ユーザーが次に取るべきアクションを明確に提示します。
最後に、自社の商品やサービスの独自性や優位性を打ち出し、競合との差別化を図るまでが一連の流れです。ターゲットユーザーが魅力を感じる価値提案を考え、LPに反映させられているかの確認が重要です。
ディレクション
ディレクションは、戦略設計で立てた計画を実行に移すために重要な工程です。この段階では、以下の2つの作業が中心です。
- 自社からの情報収集
- ランディングページの内容構築
まず、自社が提供している商品やサービスの情報を詳しく聞き取ります。What(何を)、Why(なぜ)、Who(誰に)、How(どのように)の観点から、LPの目的や訴求ポイントを明確にしていきます。
次に、戦略設計で得られた市場調査やターゲット分析の結果を基に、LPの具体的な内容を組み立てる流れです。
戦略設計で立てた計画を、ディレクションで具現化することにより、訪問したユーザーを顧客へ転換する確率を高められます。
LP制作会社のディレクターは、単なる受注処理ではなく、自社のマーケティング目標の達成に貢献できる能力が求められます。上記の点を踏まえて、最適なディレクターを選定しましょう。
デザイン
ランディングページのデザインは、ユーザーの興味を引き付け、目的のアクションへと導くために極めて重要な要素です。優れたデザインは、ユーザーの滞在時間を延ばし、コンバージョン率の向上につながります。
さらに、オリジナルデザインを採用することで、競合他社との差別化を図ることも可能です。ユーザーの記憶に残るビジュアルを用いることで、ブランドの認知度向上や信頼感の醸成にもつながるでしょう。
ランディングページの目的を理解し、ユーザー視点に立ったデザインを心がけることが、高い変換率を達成するカギとなります。
コーディング
ランディングページのコーディングでは、設計されたデザインを正確にWebページとして再現する技術が求められます。このプロセスには、HTML、CSS、JavaScriptなどの言語が用いられ、ユーザー体験を最適化するためのレスポンシブデザインの実装が不可欠です。
コーディングの品質は、ページの読み込み速度や操作性に直接影響します。これらの要素は、ユーザーのサイト滞在時間や変換率に大きく関わってくるため、高い技術力が要求されます。
コーディングは、デザインの意図を正確に反映し、ユーザーにストレスのない閲覧体験を提供するための重要な工程です。単純なミスが致命的な結果を招くこともあるため、細部にまで気を配る必要があります。
効果測定・改善
ランディングページの効果測定と改善は、サイトのパフォーマンスを継続的に向上させるために必要なプロセスです。この段階では、ユーザーの行動を詳細に分析し、課題を特定することが重要となります。
具体的には、以下のようなツールを活用して、データに基づいた改善を行います。
- Googleアナリティクス
- ヒートマップツール
効果測定を通じて得られた知見を元に、ランディングページの改善を継続的に行うことが重要です。初回のリリース時点で完璧なページを作ることは難しいため、PDCAサイクルを回しながら、段階的に最適化を図ることをおすすめします。
なお、改善の際は、以下の点に留意しましょう。
- ユーザーの行動データに基づいた仮説を立てる
- 一度に多くの変更を加えず、小さな改善を積み重ねる
- 変更の効果を適切に測定し、次の施策に活かす
効果測定と改善のプロセスを繰り返すことで、ユーザーにとって価値のあるランディングページを作り上げることができます。最終的なコンバージョン率の向上だけでなく、ブランドイメージの向上や、顧客とのより強固な関係構築にもつながるでしょう。
LP制作を依頼する際、事前に準備しておくべき2つのポイント
LP制作を外部に依頼する際、事前に準備しておくべきポイントは以下の2つです。
- 商品のPRポイントを整理しておく
- 依頼したい作業範囲を整理しておく
これらのポイントを踏まえることで、効果的なランディングページの制作が依頼できます。それでは、それぞれについて詳しく解説しましょう。
1. 商品のPRポイントを整理しておく
ランディングページの目的は、商品の魅力を最大限に伝え、見込み客を購入やお問い合わせへと導くことです。そのため、LP制作を外部に依頼する前に、商品の特長や強みを明確に整理し、簡潔に伝えられるように準備することが重要です。
具体的には、以下のような情報をまとめておくとよいでしょう。
- 商品の主な機能や特徴
- ターゲットとなる顧客層と、その利用シーン
- 競合商品との差別化ポイント
- 顧客の声や成果事例
これらの情報を制作会社に提供することで、商品の魅力を最大限に引き出すコンテンツを作成しやすくなります。結果として、より説得力のあるランディングページを効率的に制作できるでしょう。
2. 依頼したい作業範囲を整理しておく
LPの制作には、企画、デザイン、ライティング、コーディングなど、様々な工程が含まれます。すべてを一度に外注すると、コストが高くなる傾向があるため、依頼する作業範囲を明確に定めることが重要です。
自社の予算や体制に合わせて、以下のような点を検討しましょう。
- デザインは外注し、コンテンツのライティングは内製する
- LPの目的に応じて、必要な機能やデザイン要素を絞り込む
- 初回制作は外注し、継続的な運用や改善は内製する
目的に合わせて作業範囲を調整し、必要最小限の機能で効果を最大化させることが、コストと効果のバランスを取るポイントです。
LP制作を外部に依頼する際は、これらの2つのポイントを事前に準備しておくことで、円滑にプロジェクトを進められます。制作会社とコミュニケーションを取りながら、魅力的で効果の高いランディングページを作成しましょう。
LP制作の外注先を選ぶときの3つのチェックポイント
LP制作を外部に委託する際は、適切なパートナー選びが成功のカギを握ります。外注先を選定する際は、以下の3つのポイントを重点的にチェックしましょう。
- これまでの実績
- 基本的なプラン内容が明らかになっているか
- ヒアリングの時間を設けているか
これらの観点から制作会社を評価することで、自社のニーズに合ったベストなパートナーを見つけられます。それでは、各ポイントについて詳しく解説します。
1. これまでの実績
LP制作会社の選定において、過去の実績は重要な判断材料となります。特に、自社と同業種や類似商品のLPを手がけた経験があるかどうかは大きなポイントです。
業界特有のニーズや顧客心理を理解しているパートナーであれば、的確なアドバイスやより効果的なLPの制作が期待できます。過去の成功事例や顧客からの推薦も、制作会社の能力を裏付ける材料になるでしょう。
2. 基本的なプラン内容が明らかになっているか
LP制作の依頼に際しては、提供される基本プランの内容を入念にチェックすることが重要です。具体的には、以下のような点を確認しましょう。
- 基本料金に含まれるサービスの範囲
- 追加料金が発生する可能性のあるオプション
- 戦略設計からデザイン、コーディング、テスト、公開後のサポートまでの一連のプロセスがカバーされているか
料金体系を事前に把握しておくことで、プロジェクト途中での予期せぬ追加費用を避けられます。また、サービス内容の精査により、自社のニーズに合ったプランを選択しやすくなります。
3. ヒアリングの時間を設けているか
優れたLPを作るには、自社と制作会社の緊密なコミュニケーションが欠かせません。制作会社がヒアリングに十分な時間を割いているかどうかは、パートナーとしての適性を測る重要な指標です。
ヒアリングを通じて、自社のニーズや商品の特性、市場環境を深く理解することが、説得力のあるLPを制作するための第一歩となります。単なる制作作業ではなく、自社のビジネス成功に真剣に取り組む姿勢が感じられる会社を選びましょう。
LP制作の外注先選定には、これらの3つのポイントを押さえることが重要です。自社の目的や予算に照らし合わせながら、最適なパートナーを見つけることで、ハイクオリティなLPを効率的に制作できます。
LP制作の費用ごとの違い
LP制作の費用は、予算に応じて提供されるサービス内容が大きく異なります。ここでは、予算別にLP制作の特徴を詳しく解説します。
〜10万円(簡単なデザイン、コーディング)
10万円以下のLP制作は、主にシンプルなテンプレートを用いたデザインが中心です。この予算帯では、フリーランスや小規模制作会社の対応が多い傾向にあります。
クラウドソーシングを活用すれば、低コストで比較的短期間にLPを制作できるメリットがあります。ただし、カスタマイズの自由度が低く、競合との差別化が難しい点や、追加サポートが受けられない可能性がある点に注意が必要です。
10~30万円(ディレクション以降)
10万円から30万円の予算では、オリジナルデザインと基本的なディレクションが提供されます。この価格帯の制作会社は、構成案の作成やブランドに合わせたデザインを提案できるため、独自性のあるLPを期待できます。
ただし、競合分析や広告戦略の立案といった専門的なサービスが含まれることは稀です。よって、原稿や素材は依頼者側で用意する必要があります。
30~60万円(戦略設計以降)
30万円から60万円の予算になると、戦略設計から始まる高度にカスタマイズされたLP制作が可能です。制作会社は、競合調査や市場分析を行い、それに基づいた戦略立案、コンテンツのライティング、デザインを提供します。
また、素材選定やプロフェッショナルなコーディングも予算内で対応可能です。完成度の高い、市場に適したLPを期待できますが、アフターサポートの有無は別途確認が必要です。
60万円以上(戦略設計から効果測定・改善まで)
60万円以上の予算では、LP制作のすべてのプロセスを包括的にサポートしてもらえます。初期の市場調査、戦略設計、オリジナルデザイン、コーディング、LP公開後の運用・最適化まで、一貫した対応が可能です。
この予算規模であれば、ランディングページの最適化(LPO)にも取り組め、継続的な分析と改善によってLPの効果を最大化できます。ただし、プロジェクトに十分な時間を確保し、入念な計画を立てる必要があります。
LP制作の費用に影響を与える6つのポイント
LP制作の費用は、さまざまな要因によって変動します。ここでは、費用に大きく影響を与える以下6つのポイントを詳しく解説します。
- 素材の用意、写真撮影
- Web広告の運用
- レスポンシブ対応か
- ページのボリューム
- 納品形式はサーバーへのアップロードか
- LPO
1. 素材準備や写真撮影
LP内で使用する写真素材の撮影や準備は、費用に大きく影響します。撮影するカット数や所要時間によってコストが変わるため、事前の綿密な計画が重要です。
基本的な撮影は15,000円から50,000円で可能ですが、コストを抑えたい場合は自社での素材撮影を検討しましょう。
2. Web広告の運用
LP制作後のWeb広告運用を外注する場合、費用は大きく異なります。運用規模によっては、20万円から100万円以上の予算が必要になることもあります。
広告運用を内製化するか外部委託するかによって、予算計画を見直しましょう。
3. レスポンシブ対応
レスポンシブデザインは、様々なデバイスに最適化された表示を実現するために不可欠な要素です。この対応を含む場合、一般的に約150,000円の追加費用が発生します。モバイルユーザーの重要度は増しているため、このコストを予算に組み込むことをおすすめします。
4. ページのボリューム
ページの長さや内容量も、制作費用に影響を与えます。詳細な情報や多数のセクションを含むLPは、より高額な制作費が必要になるのが一般的です。複数の制作会社から見積もりを取り、コストパフォーマンスの比較検討が重要です。
5. 納品形式
LPの納品形式も費用に影響します。ファイル納品の場合は比較的安価ですが、サーバーへのアップロードと実装を含む場合は、約10万円の追加コストが発生することがあります。納品形式を事前に確認し、適切な予算配分を行いましょう。
6. LPO(ランディングページ最適化)
LPOを実施することで、LPのパフォーマンスを継続的に改善できます。LPOには月額約15万円のコンサルティング費用と別途実装費用が必要になる場合があります。LP制作後の効果的な運用のためにも、これらの費用を計画に含めることが理想的です。
LP制作の料金・費用で注意すべき3つのポイント
LP制作の料金・費用を検討する際、以下3つのポイントに注意が必要です。
- ブラウザ・OS対応
- バナー制作
- 改善サポート
1. ブラウザ・OS対応
ランディングページを設計する際、多様なユーザーがアクセスできるよう、さまざまなブラウザやオペレーティングシステムへの対応が求められます。特に古いブラウザや特定のOSへの対応が必要な場合、追加料金が発生することがあります。
レスポンシブデザインの基本料金に含まれていないケースが多いため、サポートするデバイスやブラウザを事前に明確にし、それに応じた費用を確認しておくことが重要です。
2. バナー制作
LPと連動してデジタル広告を展開する際、視覚的に訴求力のあるバナーが必要不可欠です。バナー制作には専門的なデザインスキルが要求されるため、LP制作とは別に費用がかかるのが一般的です。
制作会社がバナー制作にも対応しているか確認し、必要であれば予算計画に組み込みましょう。バナーのサイズやデザインの複雑さによって価格が変動するため、具体的な仕様を事前に決めておくことをおすすめします。
3. 改善をサポート
ランディングページの初期制作後、実際のユーザーの反応を分析し、迅速に改善を行うことで、より高いコンバージョン率を目指します。改善サポート(LPO)が制作契約に含まれているかどうかは、特に重要な確認ポイントです。
改善サポートが不十分だと、効果の乏しいLPに投資し続けることになりかねません。また、初期費用が安価でも、改善サポートが別途高額になるケースもあるため、トータルのコストパフォーマンスを見極めることが肝心です。
改善サービスの詳細と費用を明確にしておくことで、後のトラブルを未然に防げます。
LP制作の費用相場に関してよくある3つの質問
LP制作の費用相場に関してよくある質問は、以下の3つです。
- LPはどうやってつくりますか?
- LP制作の相場はいくらですか?
- LP制作の期間を教えてください
それぞれの質問に対する詳細な回答をみていきましょう。
1. LPはどうやってつくりますか?
LPを作成する方法は主に2つあります。
- LP作成ツールを使う方法:無料から有料まで様々なツールがあり、機能も決済や分析など多岐にわたります。
- プロの制作会社やフリーランスに依頼する方法:デザインのみ、コーディングのみなど、作業範囲を選ぶことができます。
目的や予算に合わせて、適切な方法を選ぶことが重要です。
2. LP制作の相場はいくらですか?
LP制作の費用相場は、目的や依頼内容によって大きく異なります。
- 簡単なもの:10万円前後から可能
- デザインにこだわるもの:30万円前後
- 戦略からコンテンツ制作まで含む全面的なサポート:60万円以上
制作会社によっても価格が変わるため、複数の見積もりを比較することをおすすめします。
3. LP制作の期間を教えてください
LP制作の期間は、依頼内容によって大きく変わります。
- 単純なデザイン変更やテンプレートのカスタマイズ:1~2週間
- 一から戦略を立ててコンテンツを作成:1~2ヶ月
写真撮影やオリジナルのイラスト制作が必要な場合は、さらに時間がかかることもあります。
正確なスケジュールは、依頼内容と制作会社のスケジュールによって左右されます。事前に入念な打ち合わせを行うことが大切です。
まとめ
この記事では、LP制作の費用相場や制作費用に影響を与える要因について詳しく解説しました。制作会社に依頼する際、提供してもらう業務範囲によって必要となる費用が大きく変わります。
また、依頼する前に準備しておくべきポイントや、予算に影響を及ぼす要素を理解することで、より効率的でコストパフォーマンスの高い選択が可能になります。
ランディングページは、事業の成功に大きな影響を与える重要な要素です。単にコストだけでなく、品質や制作会社との連携なども考慮に入れ、慎重に判断することをおすすめします。
適切なパートナー選びと綿密なコミュニケーションを通じて、自社のビジネスに最適なLPを作り上げていきましょう。