【初学者必見】BtoBマーケティングとは?手法やトレンドまで網羅的に解説!

【初学者必見】BtoBマーケティングとは?手法やトレンドまで網羅的に解説!

この記事の監修者

粟飯原匠 |プロデューサー

マーケティングを得意とするホームページ制作会社PENGINの代表。教育系スタートアップで新規事業開発を経験し、独立後は上場企業やレガシー産業のホームページ制作・SEO対策・CVR改善の支援を行うPENGINを創業。「ワクワクする。ワクワクさせる。」を理念に掲げてコツコツと頑張っています。

BtoBマーケティングとは、企業間で行われるマーケティング活動を意味します。

一般消費者となる顧客(Customer)とは、販売する商材やマーケティング手法が大きく異なるため、正しい知識を持って臨まなければ成功しません。

当記事では、BtoBマーケティングの基礎を学びたい初学者でもわかるように、BtoBマーケティングの必要性や
具体的な手法などをご紹介します。

  • 企業向けの商品やサービス販売を成功させたい
  • マーケター志望で就職や転職活動をしているため、基礎知識を身に着けたい
  • 学習方法や役に立つ資格を知っておきたい

事例も交えて解説しますので、上記の考えを持っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

デジタルを活用したマーケティングを学びたいならこちらで解説

BtoBマーケティングとは

BtoBとは「Business to Business」の略で、企業間で行われる取引きを指します。その中でBtoBマーケティングとは、企業間の取引における仕組みや活動内容を意味します。

表面上では見えにくい活動が多いですが、下記例のように、業界としてBtoBが主となるところも多く存在しています。

  • 小売店に商品を卸す「商社」
  • 工業製品の素材を製造する「メーカー」
  • 企業の広報戦略を受け持つ「広告代理店」
  • 政府や自治体から受注し、建設会社へ発注する「大手ゼネコン」
  • 企業の経営戦略の支援をする「コンサルティング」
  • 企業向けのOA機器の「製造販売」

BtoBマーケティングは、事業を成功させるための根幹となる活動とも言えるため、各社業界や商材の特性に合わせた手法を用いて実施されています。

BtoCマーケティングとの違い

BtoCとは「Business to Consumer」の略で、企業が一般消費者に向けて商品やサービスを提供するビジネスを意味します。

BtoBとは、顧客となる対象が異なるだけでなく、さまざまな点で違いがあります。

BtoBBtoC
顧客企業個人
取引額高額少額
購入単価低い高い
決裁者担当部署内の管理者など利用者本人
購入の理由企業の利益、課題解決利便性、満足度、体験
検討期間長い短い
取引回数多い少ない

商材次第で異なる点も多いため、一概にひとまとめにはできませんが、上記表はマーケティング活動をするうえで認識しておかなければならない基本的な違いです。

BtoBの特徴として、決裁者が複数にまたがることで受注までに時間がかかりやすい点や、購入理由が自分以外(組織のため)である点などがあります。

また、企業単位での買い物になると、取引額がBtoCと比べて高額になることは想像に容易いと思いますが、同一商品をまとめて大量に購入することで、個当たりの単価は個人で購入するよりも低価格になることはあります。

ビジネスモデルによって適切なマーケティング手法は異なるため、それぞれにあわせた施策を見極めて実行することが重要です。

BtoBマーケティングのトレンド

マーケティングのトレンドは、時代の移り変わりにともない大きく変わります。そのため、BtoBマーケティングを成功させるには、現時点で市場が求めていることを把握することが重要です。

ここではBtoBマーケティングのトレンドとあわせ、BtoBマーケティングの重要性や求められる理由について触れていきます。

デジタルマーケティングの活性化

デジタルマーケティングとは、IT技術全般を駆使したマーケティング手法を指します。

現代はデジタルによるデータ提供の需要が加速しており、総務省の情報流通行政局情報通信政策課情報通信経済室の発表によると、2017〜2022年に全世界のIPトラフィックは3倍強まで増大しているというデータもあります。

総務省|デジタルデータの経済的価値の計測と 活用の現状に関する調査研究の請負 報告書 p.12

コロナ禍といった未曽有の事態に直面した中、BtoBでも直接の折衝機会が減少したことで、オンラインでの営業活動が当たり前になってきています。

Zoomなどのコミュニケーションツールをはじめ、SFAやCRMなどBtoB営業で活用されるシステムなど、デジタルマーケティングを活用したBtoBマーケティングの活性化は今後も続いていくでしょう。

インサイドセールス需要の増加

インサイドセールス(内勤型営業)とは、見込み顧客へ電話やメールなどを活用した「非対面の営業活動」を意味します。

インサイドセールスの目的は、顧客の温度感を高める=育成することで、成約率を上げることです。

コロナ禍により対面営業が厳しくなった昨今、このインサイドセールスの重要性が高まってきています。特にBtoBの場合は、オンラインMTGツールが一般化したことで、インサイドセールスの重要性がより高まっています。

アカウントベースドマーケティングの台頭

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、ターゲットとなる1社をひとつの市場とみなして組織的にアプローチをおこなうマーケティング戦略で、キーアカウントマーケティングとも呼ばれます。

多くのリーチを獲得するために営業網を広げる手法を「デマンド・ジェネレーション」と呼びますが、アカウントベースマーケティングはその逆の考え方です。

一般的には大企業などで採用される営業手法で、大口の既存顧客に対するマーケティング戦略として採用されることが多く、対象を絞り込むマーケティング手法となります。

デジタルのマーケティングツールが普及してきたことで、ターゲットに寄り添った細やかな提案も効率的に実施できるようになったため、近年ますます注目を浴びています。

BtoBマーケティングの基本的な流れ(リードマーケティングとの関係性)

BtoBマーケティングの一般的な進め方について解説します。

BtoCと同じ部分もあれば、リードジェネレーションやリードナーチャリングなど、BtoBマーケティングで特に重視される工程もあることに注目して読み進めていただければと思います。

STEP1:市場調査

まずは、ターゲットとする企業や業界の置かれている状況=市場を調査します。

市場調査の過程で、どのような課題やニーズがあるのかを分析し、最適な商材と提案方法を決めていくことになります。

市場調査をするためには、WebやSNSでのアンケート取得や、街頭インタビュー、競合他社の分析などからも情報収集できます。

STEP2:商品・サービス開発

市場調査で見いだせたソリューション(課題解決案)をもとに、実際に売り込む商品やサービスの開発に取り組みます。

このとき、売上を最大化するためにマーケターはマーケティング手法を決める必要があるため、どのように顧客と接触を図るのか、商品やサービスをより効果的に届けるにはどうしたいいのか、といった戦略も練っておく必要があります。

STEP3:リードジェネレーション

リードとは見込み顧客を意味するマーケティング用語です。そして、リードジェネレーションとは、見込み客を「獲得」するための活動を意味します。

具体的な手法としては、自社の運営するWebサイトやLP、SNSや広告などのWebを経由したものから、展示会やセミナーなどオフラインを活用したものまで様々あります。

自社商品やサービスの見込み顧客となりうる企業に対して、どのようなチャネル(窓口)でどのようなアプローチをしかけるかを決めて実践にうつします。

STEP4:リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、見込み顧客の「育成」に必要な活動を意味します。商品の理解度や購入に対する温度感を上げ、成約率向上を目的として活動します。

保有する見込み顧客の中でも、成約への確率に影響する商品の認知レベルや温度感にはバラつきがあるものです。その状況のまま、商談やクロージングまでいっても成功確率は上がりません。

リードナーチャリングでは、オウンドメディアやDMなどの手法を用いて、購入意思が上がるような役立つ情報を配信し、見込み顧客の温度感を上げることで育成します。

STEP5:リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションとは、見込み顧客を絞り込む作業となります。

商談効率の向上を目的に、リードナーチャリングで育成した見込み顧客の中でも、より成約率の高そうな見込み顧客を抽出します。

絞り込みの作業には、顧客属性やデータ収集できた行動履歴などをスコア化し、よりスコアの高い見込み顧客を抽出する「スコアリング」という手法が一般的に用いられます。

スコアリングはWebサイト内のユーザー行動をトラッキングしたデータや、メールの開封率、アンケートの返信率など、自社で独自に決められるものですが、効率化のためにMAツールを使用する企業も増加してきています。

STEP6:商談

見込み顧客の獲得→育成→絞り込みまで実施したら、実際にアポイントなどをとって商談します。

最近では、現地で顔を合わせて行われることも増えてきましたが、まだまだオンラインで完結させることを希望する業界もあります。

幅広い顧客に合わせられるよう、オンラインMTGツール(ZoomやGoogle Meetなど)も使えるようにしておくとよいでしょう。

STEP7:受注後フォロー

BtoBでは、単価の高い商材や、継続利用を前提としたサービスも多いため、受注後のフォローも重要となります。

受注後のフォローは、既存顧客にとってのロイヤリティとなり、結果的にLTV(取り引き終了までの顧客利益)にも影響することを意識しておく必要があります。

あらかじめサポート体制を用意することも考慮したうえで、サービス設計や予算決めをしておくとよいでしょう。

BtoBマーケティングで用いられる手法

BtoBマーケティングの手法として紹介されるものは、主に「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」にあたる内容が多いです。

ここでは、多岐に渡るBtoBマーケティング手法についてご紹介します。

顧客の発見や獲得(リードジェネレーション)

顧客の発見や獲得(リードジェネレーション)では、接触回数の増加を目的に、なるべく多くの対象者にアプローチできることや、リード化のために効果的な手法を選定する必要があります。

SEO

SEOとは、和訳すると「検索エンジン最適化」となり、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいてページを上位に表示させるマーケティング手法を意味します。

検索結果上では、上位に表示されているページほどクリック率は高いです。そのためSEOの目的としては、検索上位を獲得し、検索ユーザーからより多くアクセスを獲得することになります。

検索ユーザーは、なにかしらの課題解消や要望を満たすために検索行動をとっているため、効果的なコンテンツが用意できていれば、リード獲得やCVR向上の実現にもつながります。

ユーザーに寄り添ったコンテンツで検索上位を目指す手法を「コンテンツSEO」と呼び、成果が出るまでに時間はかかるものの、Webサイトの資産にもなる重要なマーケティング手法と言えるでしょう。

Web広告

Web広告とは、コストをかけてWeb上に出稿する広告のことを意味します。利用頻度の高い以下のWeb広告について解説します。

  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • リターゲティング広告
  • SNS広告
リスティング広告

リスティング広告とは、検索連動型広告とも呼ばれ、検索結果画面の上位に表示される広告です。

検索したキーワードを元に、検索結果画面に表示されるという特性はSEOと同じですが、リスティング広告の場合、コストをかけることで確実に上位表示できることが特徴です。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、WEBサイト上やアプリケーション上に表示される広告を意味します。

広告タイプは、バナー画像やテキストなどさまざまあり、コンテンツを閲覧しているユーザー全体へ訴求できる点がメリットとなります。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、1回以上自社のWebサイトやアプリに訪れたユーザー情報を取得し、それ以降のユーザー画面に追跡する形で広告配信する手法です。

広告が掲載される箇所は、ディスプレイ広告同様、Webページやアプリ上になります。

仕組みとしては、訪れたユーザーに識別情報となる「タグ」を発行し、「Cookie」で配信者の管理をすることで、追跡配信が可能となります。

SNS広告

SNS広告とは、SNSのタイムライン上などに配信する広告のことです。

SNS上に登録された年齢や性別、趣味などの個人情報を活用することで、配信する対象者を絞り込むことも可能です。

SNS運用

SNSで発信することで、自社のことをまだ知らない層や、今後潜在的に顧客になり得る層にリーチできるようになります。

新たな顧客開拓や、見込み顧客への訴求を目的に、企業用の公式アカウントを作成して運用することが基本です。

具体的には、商品やサービスに関する情報発信や、ユーザーとのコミュニケーションをメインにおこないます。

ユーザーとの距離が近いSNSの特性をうまく活用できれば、企業のブランディングやユーザーのファン化につなげることも可能です。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、企業の課題に対して解決策を紹介する報告書のことです。

自社が持つノウハウの紹介や成功事例などを掲載することで、自社を認知してもらうことや、リード獲得につなげることを目的に実施します。

配信方法として、自社のWebサイトやメルマガなどからダウンロードできるような形をとることが一般的です。

テレアポ

昔からある営業手法ではありますが、ターゲットと直接対話できることで、リアルタイムに課題をヒアリングしながら提案できる点がメリットとなります。

テレアポを新規顧客開拓の手段とすることで、商談のアポイントやサービス資料の郵送許可などを取得します。

非対面の営業手法として「インサイドセールス」という言葉がありますが、テレアポはインサイドセールスに含まれる手法のひとつとして考えられます。

マスメディアCM

マスメディアとは、対象を絞らない大衆向けの情報配信媒体を意味し、主にテレビやラジオ、新聞などを指して使われます。

対象が絞られていないため、リード獲得に直結する施策とはなりにくいですが、マスメディアにCMを打てば多くの人に自社を認知してもらえるようになります。

展示会出展

ユーザーに自社サービスを直接体験してもらうには、展示会を開催し出展することが効果的です。

展示会に来訪してもらった方に対し、資料の配布やアンケート取得などすることで自社のリードとします。

見込み顧客の育成(リードナーチャリング)

上記例のような施策を実行することで見込みとなった顧客に対し、自社サービスの理解度を高めるための訴求を実施することで成約率向上を目指します。

ここではリードナーチャリングとして採用される具体的な施策例をご紹介します。

オウンドメディア運用

オウンドメディアとは自社運営のWebメディアを指します。メディアとは、さまざまな情報発信媒体を取りまとめる役割を持ちますが、多くはブログ型サイトとして記事ページを公開する手法で情報発信されます。

見込み顧客にとって必要な有益情報を継続的に配信することで、自社やサービスに対する知識も高まり、購買意欲を高めます。

高品質な情報が配信されていることで企業への信頼感も高まるため、自社を知らなかった層へのリードジェネレーションにつながる施策とも言えます。

メール配信

リードに対して、自社サービスの紹介や関連情報をメールで配信するメール配信も有効な手段です。

SNSなどと違い、メールには多くの情報が掲載できる点も特徴のひとつとも言えます。

全体へ定期配信するメルマガや、スケジュールに沿って見込み顧客に自動配信するステップメールなどがあります。

セミナー・ウェビナー

セミナーとは、自社の製品を顧客に直接説明できる催しで、自社内や別会場をおさえて実施することが一般的です。

ウェビナーはWeb上でおこなうセミナーのことです。会場を用意する必要がない点で開催ハードルは低く、無形商材などWeb上の説明で完結する場合に利用できます。

セミナーやウェビナーを実施することで、見込み顧客の購買意欲が効果的に高められます。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、自社のwebサイトやアプリなどを訪問したユーザー情報を取得・追跡し、他のwebサイトなどを閲覧しているときに自社広告を表示させる広告手法です。

顧客の印象に残りやすいため、広告から再訪問させることでコンバージョンに至る可能性も高いといえます。

BtoBマーケティングの成功事例

【ソフトウェア開発】アドビ株式会社

企業名アドビ株式会社
マーケティング手法SEO
成果ツール契約

アドビ株式会社の販売している製品の中に、マーケティングの自動化ツール「Adobe Marketo Engage」があります。

Adobe Marketo Engageの受注のため、検索意図がある程度明確になっている企業担当者にペルソナを設定し、「MA」などのキーワードで検索上位を獲得しています。

成約に近いキーワードで上位表示できたことで、リード獲得数約150%アップ、商談件数も約130%向上の成果が上がりました。

【マーケティングリサーチ】株式会社アスマーク

企業名株式会社アスマーク
マーケティング手法ウェビナー開催
成果リードナーチャリング

市場調査やHR Techサービスなどの運用支援などを手掛けるマスアーク社ですが、ウェビナーを開催することで参加者の行動履歴をマーケティングツールで管理し、リードナーチャリングを実施。

リード獲得数は倍以上に増加し、購買意欲の高い顧客数の増加につなげています。

BtoBマーケティングが学べる書籍紹介

現場のプロが教える! BtoBマーケティングの基礎知識

BtoBマーケティングにおいて、豊富な実績を誇る企業の実務家たちがノウハウを提供してまとめた一冊。

BtoBの経験が浅い初学者の方でもわかりやすいよう、基礎知識から丁寧に解説されており、BtoBマーケティングの現場で求められる考え方が理解できる書籍になっています。

事例で学ぶBtoBマーケティングの戦略と実践

マーケティング支援事業において業界トップを走る株式会社才流の代表、栗原氏が執筆した一冊。

実際に成果があがった企業の事例を参考にしたケーススタディを主体に、BtoBマーケティングで実現できることが明瞭に理解できる書籍です。

究極のBtoBマーケティング ABM

シンフォニーマーケティング株式会社の代表取締役、庭山氏が執筆。

欧米のマーケティング界隈から始まり、現在日本のBtoBマーケティング市場でも導入が広がっているABMについて全体像を解説されています。

ABMとは何なのか、日本のビジネスモデルにどう影響するのかを理解できる一冊です。

BtoBマーケティングで失敗しないために

  • 個人管理ではなくチーム全体で管理できる体制をつくる
  • マーケティングツールを導入する
  • マーケティング支援会社を活用する

BtoBマーケティングはBtoCと比較し、見込み顧客の獲得から育成、成約に至るまで中長期で対応するケースも多いです。

意思決定に至るまでのステップを正確に管理するため、個人単位ではなく、管理職や営業チームも巻き込んでマーケティングできる体制をとれることが理想です。

予算の都合がつく場合はMAなどの自動化ツールを導入することも検討するとよいでしょう。しかし、リソース的に自社対応が難しい場合は、マーケティング支援をおこなう専門会社に依頼するのもオススメです。

PENGINではWeb制作からマーケティング支援までおこなっています。内製化に課題を感じている企業さまは、お気軽にご相談ください。