システム開発で作られるシステムには、いくつかの種類があります。
基本的には、どれも設計工程と開発工程を経て完成されるものではありますが、それぞれのシステムの機能や役割によって種類が分かれたり、また、企業によって開発が得意なシステムの種類も異なります。
システム開発を外注する場合は、どの企業がどの種類のシステム開発を得意としているかを調査することも大切です。
今回は、システムの代表的な種類について、その詳細をご紹介します。
主なシステムの種類と特徴
システムの種類は主に、Web系、業務系、組み込み系の3つに分けられます。
Web系
Web系システムは、PCやスマートフォンに搭載されている、GoogleChromeやSafariなどのWebブラウザを介して操作することが出来るシステムです。
Webブラウザさえあれば動作するため、ユーザーにシステムを利用してもらうためのハードルが低いことが特徴です。
また、PCだけでなく、タブレットやスマートフォンといった端末でも容易にアクセスして利用することが出来るシステムもWeb系システムには多いです。
またWeb系システムは、社内システムとして作るようなBtoBの領域ではなく、多くの顧客やユーザーを対象としたBtoCの形で開発されることが多いです。
そのため、システムにアクセスが集中した場合のサーバーの負荷対策や、悪意ある第三者からのサイバー攻撃や情報漏えい事故への対策は特に重視しなければなりません。
システムを安全に利用してもらうためにも、日頃から脆弱性診断を行うことが推奨されます。
脆弱性診断については、こちらの記事でも詳しく紹介しているのでぜひご確認ください。
業務系
業務系システムは、主に企業の業務効率化や自動化を目的に開発されるシステムのことを指します。
もともと業務系システムとして開発されるシステムは、汎用機という大型のコンピュータで動作するためのシステムを開発するケースが多く、汎用系システムとも呼ばれていました。
しかし、現代では1人1台支給されるほどにパソコンの普及が広がったため、汎用機だけでなく、様々な環境のパソコンで利用されることを想定してシステムを開発するようになりました。
そのため、業務系システムは、汎用機だけで動作する閉鎖的なシステムとは対照的に、オープン系システムとも呼ばれています。
業務系システムを活用することで、業務効率化やコスト削減、自動化によるミスの減少が期待出来ます。
また、企業の業務に直結するシステムについては基幹系システムとも呼ばれます。
広義的には、基幹系システムも業務系システムの内に入りますが、基幹系システムは業務上で必要不可欠なシステム、業務系システムはそれ以外のシステム、といった認識で分けられるケースが多いです。
組み込み系
組み込み系は、家電や自動車等の独立した機械の中に組み込まれる、特定の機能を実現するために開発されるシステムのことを指します。
家電や自動車には、マイコンと呼ばれる小型のコンピュータが搭載されています。
このマイコンを制御するためのプログラミングを内部のソフトウェアに組み込むことで、製品に必要な特定の機能を実装することが出来ます
Web系システムや業務系システムはソフトウェアを開発しますが、組み込み系システム開発の業務では、稀にハードウェアを開発することもあります。
各システムはどんなものに使用されているの?
それぞれのシステムが、実際にどのような製品・サービスに利用されているのかを、具体例を挙げてご紹介します。
Web系システムの例
・ECサイト
EC(Electronic Commerce)サイトとは、電子商取引を行うWebサイトの総称です。
商品やサービスの売買を、インターネットを通じて行うためのWebサイトになります。
ECサイトは、自社サイト型とモール型の2種類に分けられます。
自社サイト型は、企業が自社の製品やサービスを販売するために開設する独自のECサイトです。
自社にあったイメージでサイトの設計やデザインを行い、公開することが出来ますが、決済システムの開発や他サービスの導入など、導入までにかかる作業コストは高いです。
一方モール型は、1つの様々な店舗を集めた、インターネット上のショッピングモールサイトです。
ユーザーは購入だけでなく、テナント料を払うことで、サイト内に店舗を出店することが出来ます。代表的なモール型サイトとしては、Amazonや楽天市場などが挙げられます。
・SNS
SNS(Social Networking Service)とは、インターネット上で展開されるコミュニティサービスです。
情報収集や情報発信、友人や知人とのメッセージ・通話でのコミュニケーション、またビジネス上の連絡ツールとしてなど、幅広く活用されています。
代表的なSNSとしては、Twitter、Facebook、LINEなどが挙げられます。
・レビューサイト
レビューサイトとは、製品やサービスの評価について、購入者が評価を投稿できるサービスです。
対象の製品やサービスの購入を考えているユーザーが、事前に具体的な情報を得るために利用します。
利用者の感想や類似サービスとの比較など、サイト毎に様々なレビュー基準を設けています。
また、レビューサイトはレビュー機能と併せて、製品やサービス購入・予約のシステムも実装されているケースが多いです。
代表的なレビューサイトとしては、食べログやぐるナビといった飲食系、家電等を取り扱う価格.comなどが挙げられます。
業務系システムの例
・勤怠管理システム
社員の労働状況を一元管理するためのシステムです。
勤怠管理システムを用いることで、月の労働時間の算出が容易になったり、残業時間の明確化、勤務表の出力などを効率的に行えます。
・販売管理システム
製品の売り上げや、在庫の管理を行うシステムです。
データとして一元管理することで、業務の効率化が図れます。
組み込み系システムの例
・家電
炊飯器やエアコン、テレビなどの家電には、特定の操作を行うためのシステムが組み込まれています。
モードの切り替えやタイマー設定などは、内部のマイコンにソフトウェアが搭載されていることで実現出来ています。
また、IoT化(モノのインターネット化)により、家電をインターネットに接続して相互通信を可能とする技術も浸透しており、そのための組み込み系システムの開発は注目を集めています。
・自動車
自動車にも、組み込み系システムが導入されています。
画像認識による車線逸脱や障害物検知時のアラームや、アクセル・ブレーキの制御、カーナビによる位置情報管理など、自動車には多くの組み込み系システムが搭載されています。
また、自動車のIoT化も進んでおり、自動運転技術の発達も近年期待されています。
【まとめ】システムの種類と特徴を理解し、役立てよう
Web系、業務系、組み込み系のシステムには、それぞれ特徴があります。
システムを開発する場合は、そのシステムの目的や利用状況を考えて、どの種類のシステムとして開発を進めていくべきかを判断する必要があります。
また、システムの種類を決めた上で開発を外部に依頼する場合は、外注先が対象の種類のシステム開発を得意としているかについても事前に調べておきましょう。
システム開発の種類と特徴を理解し役立てて、最適なシステムを開発しましょう。