ビジネスにおいてBtoBやBtoCという言葉を聞いたことがあるけれど、意味まで知らないという新社会人の人が多いのではないでしょうか。マーケティングの戦略を立てる際にBtoBが何を表し、どのターゲットを目的にしているのかを把握する上で大事です。
今回はBtoBの意味を押さえて、どのようにマーケティングで役立つのかを紹介します。BtoBにおけるよくある質問も最後に記載しているため、最後までチェックしてください。
BtoBマーケティングとは?
BtoB(Business to Business)は、商品やサービスを企業間で取引することや法人向けのビジネスモデルです。
BtoBマーケティングは商品やサービスを提供する企業が取引先の企業に対して、売れる商品を作る、売れる場所、売れる売り方、売れる値段で売るための戦略や仕組みを手助けしつつ、自社の売り上げに貢献します。
身近な例として、「Google Meet」や「Zoom」のWeb会議ツールや社員の勤務を管理する勤務管理システムなどが挙げられます。
BtoCマーケティングとの違い
BtoC(Business to Customer)は、企業対消費者になるため、対象者が企業から消費者へと変わります。ターゲットが異なることからマーケティングの戦略が異なり、特に「顧客数が増える」「購買までの期間が短かい」「商品の保有やサービスの体験といった購買目的が変わる」ということを押さえることが必要です。
また、社内検討が必要なBtoBと比べて、店舗やECサイト、広告から見て個人の意思決定によって商品を購入できることがBtoCの大きな特徴です。
営業戦略との違い
営業戦略はマーケティングの一部で、予算や写真といった自社のリソースを効率よく活用して既存の商品をどのように効果的に売り、売上向上やシェア向上を図るかの方策です。マーケティングは新しい市場や価値を作り出すことを目的としているため、営業戦略と比べると目的に応じた業務内容が異なってきます。
そのため、マーケティングではターゲティングや競合企業との差別化を図りながら売り、営業戦略で見込み獲得や顧客維持に対する施策を行います。
BtoBマーケティングが注目される3つの理由
BtoBマーケティングがここ数年で大きく注目されるようになりました。注目される理由として以下の3つが挙げられます。
- ユーザー側の情報収集が活発になっている
- 対面による個別営業が難しくなった
- 買い続ける顧客が少なくなっている
注目される理由として、技術や傾向といった時代背景があります。その理由を以下にみていきましょう。
1.ユーザー側の情報収集が活発になっている
以前までは必要な商品がある際には、営業担当によって商品の情報提供を直接行っていましたが、インターネットの発達によりユーザー側の情報収集が活発になっています。
必要なものがあればインターネットで検索することで、どのような企業がどんな商品を提供しているかを確認したり、他の企業と比較や検討したりすることが可能です。そのため、BtoBマーケティングでも問い合わせや検索ヒットするために戦略を立てることが必要になっています。
2.対面による個別営業が難しくなった
対面の営業で商品の魅力を伝えることが主流でしたが、2020年よりコロナ禍の影響で対面による個別営業が難しくなりました。そこで、BtoBマーケティングをメインにしている事業では営業をかけることから、不特定多数のユーザーの目に届く一気にアプローチをかけるマーケティングへとシフトしました。
BtoCでは店舗では不特定のユーザーによる商品の購入と広いアプローチが基本でしたが、数年かけて商談していたBtoBでは大きな変化となったため注目を浴びています。
3.買い続ける顧客が少なくなっている
アナログ時代からデジタル時代に変わったことで、いつも使っていたものや良好な関係のある企業といった理由で商品を買い続ける企業が少なくなってきています。
その要因として、顧客側が商品の比較や検討を簡単にできるようになったため、メリットが大きい商品へと乗り換えるようになったことが挙げられます。そのため、企業は顧客をつなぎとめるためにマーケティング戦略をしっかりと立てて、顧客が継続して商品を購入するよう施策をすることが必要です。
BtoBマーケティングを実施する4つのメリット
BtoBマーケティングを実施する上で実現できることがたくさんありますが、主なメリットとして以下の4つが得られます。
- 見込み客をプル型で獲得できる
- 商談獲得までの効果や効率を測定しやすい
- ニーズや検討状況を推測しやすい
- 商談に集中できる環境をつくれる
マーケティングでもBtoBだからこそ、測定や推測がしやすく結果が出せます。ここからは、4つのメリットについて詳しくみていきます。
1.見込み客をプル型で獲得できる
BtoBにおける購入のプロセスの変化や商品の検討と比較が簡単にできるようになったため、見込み客をプル型で獲得しやすくなりました。営業マンが企業をリストアップして商談していたときとプロセスが変わり、顧客自身がWebサイトから情報収集することが主流となったため見込み客へアプローチを直接かけられます。
そのため、Webサイトのマーケティング施策を行い、サイトに訪れるユーザーの母数を増やすことで見込み客を増やすことが可能です。
2.商談獲得までの効果や効率を測定しやすい
以前のBtoBの営業戦略では、営業マンの商談のスキルや経験値によって商談獲得の差が生まれていたため、感覚的な一連の流れが効果や効率の測定を難しくしていました。
BtoBマーケティングでは商談獲得までの活動プロセスを通じて効果や効率を測ることができ、そこから課題に対して分析し、解決策や改善点を立てることができるようになっています。
3.ニーズや検討状況を推測しやすい
デジタルマーケティングの発達により見込み客の行動を把握できるようになったことから、ニーズや検討状況が推測しやすくなりました。「見込み客がどのような情報に興味を持っているのか」「自社のどのサイトやページに関心があるのか」などのデータから、見込み客の検討状況を把握して効率的なアプローチがかけられます。
それにより、顧客の必要な情報を提供できたり商談がスムーズにいったりなど、顧客との関係性を高めることが可能です。
4.商談に集中できる環境をつくれる
BtoBマーケティングは顧客がニーズや検討状況を把握し、課題が顕著化したタイミングで声をかけてもらうといった商談に集中できる環境をつくれます。
日本では商談の起点を創り出すことに重点を置いており、本来時間を割くべきである顧客の課題解決や提案、関係を築くための商談ができていません。BtoBマーケティングでは、顧客の状況を把握して商談に集中し、あるべき本来の環境をつくれます。
BtoBマーケティングにおける購買の流れは4ステップ
BtoBマーケティングにおける購買流れは、以下4ステップです。
- 集客
- リード獲得
- リード育成
- クロージング
マーケティングにおいて、ユーザーから顧客、コンバージョンに至るまでのステップを踏まえて施策を立てることが重要です。購買のプロセスの特徴を押さえて集客するために必要なそれぞれのステップを参考にしてみましょう。
ステップ1.集客
自社の商品をユーザーに知ってもらうためには、最初に自社がどのような商品を提供している企業なのかを知ってもらうために集客が必要です。集客にはオフライン型の「展示会」「セミナー」やオンライン型の「広告」「コンテンツメディア運営」などの方法が挙げられます。
どの施策においても成果が出るまで時間がかかりますが、自社について知ってもらうことで顧客の商品購入につながる可能性が高まります。
ステップ2.リード獲得
次に、自社について知ったユーザーに興味や関心を持ってもらえるような施策を行い、ユーザーから顧客へとなりうる可能性が高い見込み客を獲得することです。
ここでの施策として「ホワイトペーパー」「メルマガ」などの様々な方法がある中から、それぞれの顧客のニーズや目的に見合った施策を行うことが重要です。そのため、顧客の行動をしっかりと分析することがポイントとなります。
ステップ3.リード育成
リード獲得により商品に興味を持ってくれている状態から、興味を高めて購入につなげるリード育成も重要です。「マガジン」「インサイドセールス」などで顧客に購買意欲を高めつつ、適切なタイミングでアプローチをかけることで信頼関係を築いてコンバージョンにつなげられます。
新規の顧客のみでなく、既存の顧客に対しても継続して購入してもらうよう定期的にアプローチをかけることも必要な要素のひとつです。
ステップ4.クロージング
最終ステップとして直接顧客にアプローチをかけるクロージングが必要です。ここでは、フィールドセールスが挙げられます。
マーケティング部が作った顧客との関係やニーズや課題解決などの情報を元に営業部がクロージングをします。その際に大事なこととして、マーケティング部と営業部の情報に相違がないようにしましょう。それにより、業務の効率化を図りスムーズに商品の購入につなげられます。
BtoBマーケティングを成功に導く4つのポイント
BtoBマーケティングを成功に導くためのポイントは以下の4つです。
- 会社を巻き込める体制を用意する
- 端子で成果が出やすい施策から実施する
- データクレンジングを実施する
- 専門家の知識をかりる
BtoBマーケティングをスタートしたときに、環境や対策をしっかり立てることで成功への道のりとなります。BtoBマーケティングを成功させるためのポイントについて詳しくみていきます。
ポイント1.全社を巻き込める体制を用意する
BtoBマーケティングは管理職の人がマーケティングの知識を持っているのがベストですが、他部署との連携で業務を進めることが多いので会社全体を巻き込める体制が必要です。
多くの場合が専門知識のある部署と管理職でチームを組んだり、マーケティング部署が他部署に協力をお願いしたりするケースが多くあります。そのため、スピーディーに業務をこなすためにも全社を巻き込む組織体制が欠かせません。
ポイント2.短期で成果が出やすい施策から実施する
短期間で成果の出せる施策を実施して、社内で情報を共有することが大事です。マーケティング戦略を立てる際に集客における様々な施策を行いますが、効果や成果が出るまで時間がかかります。
そのため、他部署からはマーケティングの状況がわからないといった状態になります。マーケティングの施策は短期で成果の出やすいものから実施し、「見込み客が1.5倍」「ホワイトページのダウンロードが2倍」といった数字での成果を共有できるようにしましょう。
次のページでは、BtoBマーケティングの戦略策定の手順を解説しています。こちらも参考にしてみてください。
参考:【初心者向け】BtoBマーケティングの戦略策定の手順とは?必要な知識や成功事例について紹介します
ポイント3.データクレンジングを実施する
マーケティングで成果を出したり業務の効率化を図ったりするために、データクレンジングを実施することが必要です。
例えば、BtoBの顧客リストには企業名と複数の担当者の名前があり、企業名が「株式会社」や「(株)」など表記のばらつきがあります。そのため、マーケティングの事前準備としてデータを整備して一元化するデータクレンジングが重要になります。
ポイント4.専門家の知恵をかりる
マーケティングの知識や経験が少ない企業や、専門知識がある社員のリソースが少ない企業は専門家の知識をかりることが成功に導く方法のひとつです。
経験豊富なマーケティング支援会社を利用することで、ITを利用した施策やマーケティング戦略の構築や定着などの支援を受けることができます。それにより、マーケティングを成功させる近道につながります。
次のページでは、BtoBマーケティング支援でおすすめの会社を22選紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
参考:【2023年最新】BtoBマーケティング支援でおすすめ会社22選|注目される理由やよくある質問も紹介
BtoBマーケティングでよくある3つの質問
BtoBマーケティングでよくある3つの質問は以下の通りです。
- 戦略を立てずにBtoBマーケティングを実行するリスクは?
- BtoBのマーケティングにおいて用いられる代表的な手法はありますか?
- BtoBのマーケティングで重要な顧客との「リレーション」とは何ですか?
BtoBマーケティングを考える前に知っておきたい内容です。質問の回答について詳しく見ていきましょう。
質問1.戦略を立てずにBtoBマーケティングを実行するリスクは?
サービスやツールの多様化が進んだことで、現状の分析や戦略を立てずに施策をする企業を見かけますが、成果が思うようにつながらないリスクが挙げられます。
施策の成果が出ないと管理職からの理解が得られずに社内の予算を受け取れなかったり、チームを解散したりする可能性が考えられます。そのため、しっかりと顧客のニーズや課題解決を分析して、顧客情報を把握した状態で戦略を立てることが重要です。
質問2.BtoBのマーケティングにおいて用いられる代表的な手法はありますか?
BtoBマーケティングにおいて、リード獲得とリード育成が重要です。マーケティングで用いられる主なリード獲得の手法として以下のものが挙げられます。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告やアカウント運用
- コンテンツSEO
- ホワイトペーパー
- テレアポ
広告やメディアはリソースや予算がかかる場合が多く、費用対効果や長期的な成果を測ることが必要です。また、リード育成では以下のものが挙げられます。
- セミナー
- メルマガ配信
- インサイドセールス
見込み客に商品の購入へと誘導するためにも、より詳細で継続的にアプローチをかけると効果的です。
質問3.BtoBのマーケティングで重要な顧客との「リレーション」とは何ですか?
BtoBマーケティングにおける顧客とのリレーションは、商品やサービスの認知から購入に至るまでに顧客との関係性を築き上げることを指します。BtoBマーケティングにおいてコンバージョンと売上向上につなげるためには、顧客とのリレーションは欠かせません。
集客からリード獲得、リード育成といったステップごとで顧客とのコミュニケーションをとったり、顧客の情報を把握したりすることで顧客との良いリレーションを築いていきましょう。
まとめ
BtoBマーケティングについて詳しく知らなかった人が押さえておきたいBtoBの基礎知識や、どのような特徴やメリットがあるのかを紹介しました。
BtoBマーケティングは企業対企業で商品の取り引きを行うため、店舗での販売やECにおけるBtoCの消費者とのやり取りとは異なります。顧客のニーズや課題といった情報からマーケティング施策を実施して、成果につなげましょう。