ゲーム業界で必ず欠かせない「ゲームデバッガー」をご存知でしょうか?
開発されたゲームをリリース前にバグがないかテストを行う役割です。
今回は、そんなゲームデバッガーの仕事内容やデバッガーに向いている人、必要なスキルや年収について解説していきます。

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ゲームデバッガーとは

ゲームデバッガーは「ゲームのバグを見つける」仕事のことです。
1つのゲームを作成するために、ゲームのシナリオを考えるゲームプランナー、デザイナー、エンジニアなど、様々な担当者が協働する必要があります。
実際にゲームを動かす実装を行っているのはエンジニアです。エンジニアは何十人規模で大量のプログラムで書いていきます。

そこで発生するのが「バグ」です。
開発中、バグはどれだけ注意しても必ず発生します。バグが発生したままゲームを発売してしまうと問題になってしまいます。
そういった問題を防ぐために重要なのが「デバッグ作業を行うゲームデバッガー」の存在です。

デバッグとは?

デバッグとは、開発されたプログラムのバグを探すことです。
バグは設計段階〜開発完了の間で想定していない箇所で多数発生します。

また、ゲーム設計者/開発者が想定していなかった操作をユーザーがすることもあります。想定していない箇所でバグが発生してしまうので、ゲームユーザーの様々な動きを想定し真似をすることで、一つひとつ細かくバグが発生しないかの確認作業を行う必要があります。

ゲームで発生するバグ

ゲームで発生するバグは「ビジュアル」または「処理」の2つ問題に大きく分けられます。

「ビジュアルに問題がある」を具体的に説明すると、人や建物や服装などの見た目が本来の設計と違うことや、本来存在しない人が表示されてしまっている、壁を貫通してしまう。などのことを指します。

「処理に問題がある」ケースは、ラグが発生していて映像がカクついている。急にスムーズに操作ができなくなった。などのことです。
どちらのバグも発生してしまうとユーザーはストレスを感じてしまう致命的な問題です。

ゲームエンジニアとゲームデバッガーは違う?

デバッグはゲーム業界以外でも活用されています。
他の業界でのデバッグは「バグを見つける → バグを修正する 」まで1人で行うケースが一般的です。

ゲームデバッガー(テスターとも呼ばれています)の業務範囲は、「バグを見つけるのみ」のケースが一般的です。
見つかったバグをゲームエンジニアがバグの解消方法を考え実際に修正していきます。
ゲームエンジニアがバグを見つけて修正する作業を行っている会社も少なくありません。
中にはデバッグを専門に行っている会社も存在します。

ゲームデバッガーの仕事内容

では、実際にゲームデバッガーの仕事内容について解説します。
ゲームデバッガーはバグを見つけることが重要ですが、見つけたバグを的確に報告する作業もとても重要です。また、ゲームデバッガーは開発者側視点とユーザー側視点を両方持ちつつテストする需要な役割です。

大きく分けると3つの工程になります。

用意された仕様書(チェックリスト)に沿ってテストする

予め操作する手順が決まっており、仕様書に沿って操作を進めてバグを見つける方法です。ゲームを通常通り進め、誤字脱字や色や動き、音の違和感が無いかを確認します。

その他には、同じストーリーを進めて行く際に、あらゆるパターンの操作が指定されており、一つずつ正確に従い、時には同じ操作を何度も何度も繰り返しテストを進めていきます。
実際にあるテスト指示では、「壁にぶつかり続ける」「同じ場所で何度も回り続ける」「同じ人に何度も話しかける」など根気が必要な作業もあります。

バグが発生した場合、指定されているシートに「どの状況で」「何が生じた」かなどを記入をしていきます。会社によっては指示された行動でバグが発生したかどうかを「YES,NO」のみで回答してくチェックリストになっているケースもあります。

自由に操作を行いバグを見つける

こちらは自身が気になる行動を自由に行いテストをする方法です。

ここで重要なのは、テスト観点を持ちテストを行うことです。テスト観点を持ちつつテストすることで、普段プレイしていると気にならない部分を注視することができ、バグの発見に繋がります。

ゲームには、ユーザーが操作する数え切れないほどの行動が存在するので、あらゆる観点からバグが発生していないのか確認することが重要です。

テストやデバッグの結果を記録して提出する

挙動テスト終了後、見つけたバグを報告します。報告には見つけたバグを相手に伝わるように心がけることが大切です。せっかく見つけたバグも、うまく報告できず解消されなかった事態が発生すれば、バグを見つけた工数が無駄になってしまうからです。

的確に説明できるよう、文章力や伝達力について学んでおくとよいでしょう。

スマートフォンのゲームシェアが拡大している

一昔前は、ゲームをするなら家庭用据え置きゲーム(プレイステーションやSwitchなど)でしたが、近年では、スマートフォン向けゲームアプリの市場が急拡大しています。その流れに伴い、ゲームデバッガーもスマートフォン向けゲームアプリのデバッグ作業が増えています。

スマートフォンは誰でも持っている時代になっているので、デバッグ作業を自宅で可能な会社も増えています。

ゲームデバッガーに必要なスキル

では、ゲームデバッガーになるためにはどんなスキルが必要でしょうか?
回答は「特別なスキルは必要ない」です。
指示された通りに操作をすることが一般的なので、特別なスキルや資格などは必要ありせん。

しかし、持っていればゲームデバッガーとして更に活躍可能なスキルはありますので、今回はいくつか紹介します。給料UPにも繋がる可能性が高いので必見です!

プログラミング

ゲームは基本的にプログラムを組むことでなりたっています。バグはプログラムのコード構成に問題があることがほとんどです。ソースコードを読むスキルがあれば、バグを発見して修正する作業まで一貫して行えます。

ゲームデバッガーでソースコードの修正までできると市場価値は非常に高くなるため、スキル習得へのリターンが大きいスキルになります。

コミニュケーション能力や伝える力

発見したバグを正確に伝えられることは非常に価値があります。
デバッガーは、ユーザー視点でテストを行っているので「ここの難易度高すぎる」や「説明が分かりづらい」など開発者側では理解しづらい点を見つけることが可能です。
その時に、開発者側に適切な意見を伝えられるデバッガーは重宝されます。

しかし、仕様書沿ってチェックして、問題があればシートに記入していくのみ。の作業も沢山あるので、最低限の伝える力があれば問題なく務まる仕事でもあります。

様々なジャンルのゲームを体験している

デバッグ専門で行っている会社では、様々なジャンルのゲームをテストすることになります。シューティング、レース、パズル、アクションと操作が激しいものからゆっくりなものまで、テスト方法は様々です。

普段やったことの無いジャンルだと、通常時の挙動基準が分からないため、バグを見つけづらくなります。
様々なジャンルのゲームを体験していることは、ジャンルごとの面白さや難しさを理解しており、ゲームデバッガーにとっては大きなメリットだといえます。

パソコンの操作

主にパソコンでの仕事が必要な会社が多く、ゲームの仕様書や手順書や資料系がワードやエクセルなどで渡されるケースが一般的です。
また、バグの報告を短時間で正確に伝えるためには文章量が多くなるのでタイピングに慣れておくと、自分の時給アップにつながります。

ゲームデバッガーに向いている人・向いてない人

ゲームデバッガーは、様々なジャンルのゲームや、未発売のゲームをテストすることが可能です。また、特別なスキルを必要とせず室内で黙々と作業を行えます。
その反面、何度も何度も同じことを繰り返す作業があったりと、根気が必要な仕事でもあります。

向いている:単純作業が好きな人

仕様書・手順書に従って、何度も同じこと繰り返す単純作業がメインになります。
給料も決して低くはないので、単純作業が苦でない人にはオススメです。

向いている:ゲーム業界でのキャリアを考えている人・興味がある人

色々なジャンルをテストすることができますので、「このゲームの魅力」や「このゲームが売れるかどうか」「ここをもっとこうした方が面白くなる」などの判断ができるようになります。
なので、今後ゲーム業界で働くことを考えている人にとっての第一歩としてはオススメできます。

向いていない:集中力が短く単純作業が苦手な人

数時間、単純な作業を繰り返すことも稀ではありません。ゲームを楽しむより単純作業がメインとなりますので、長時間の単純作業が苦手な人には向いていない可能性があります。
報告されたバグを再現するまで繰り返す作業なども発生しますので、ゲームデバッガーには忍耐力が必要になります。

ゲームデバッガーの求人を出している企業

ゲームデバッガーの求人を出している企業は大きく2つ分けられます。
現状の募集状況や、募集形態について紹介します。

デバッグ専門会社

色々なゲーム制作会社から開発されたゲームのデバッグを請け負っている会社です。
近年では、ゲーム制作会社は開発後のテストはデバッグ専門会社に委託するケースが増えています。
ゲームデバッガーの求人比率では一番多く、アルバイト採用も積極的に行っています。

ゲーム制作会社

こちらはゲームデバッガー単体での採用はあまり行っていません。特に規模が大きい会社ほど自社でゲームデバッガーを採用に積極的ではありません。
ゲームエンジニアとして採用し入社後、業務に慣れる期間、デバッグ作業を担当するケースが増えています。

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ゲームデバッガーの平均年収

求人を見るとアルバイト募集が多く出ています。アルバイトの場合、時給は1100~1300円がスタートの相場となります。
正社員の場合、年収350万~500万円が相場となっています。
ゲームデバッガーでもバグの修正まで対応可能かどうかで金額大きく変わります。

近年、スマホアプリゲームの市場が急拡大したことが影響して、ゲーム業界自体の市場も年々拡大しており、ゲームデバッガーの平均年収も上昇しています。
今後数年は需要が高まる見込みとなっています。

ゲームデバッガーのキャリアパス

デバッガーとして市場価値を上げるためには、テスト計画から実行までを1人でできるようになる必要があります。そうすることにより、デバッガチームを取りまとめるプロジェクトリーダーになれます。まずは小規模のデバッグから始めて徐々に規模を大きくしていくことをオススメします。

また、デバッガーからゲームエンジニアに転向する人も珍しくありません。エンジニアを目指す際にはステップアップとしてゲームデバッガーは最適だといえます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はゲームデバッガーの仕事内容やキャリアのこと、求人についての情報を紹介しました。
ゲームデバッガーはゲーム開発においてとても重要な役割であり、決して欠かせません。

単純作業かつ地味なイメージを持たれがちですが、ゲームデバッガーがバグを見つけ出し、修正することにより、面白いゲームを世に届けることができています。
ゲーム業界に興味がある方は、まずゲームデバッガーから始めて業界を体験してみてはいかがでしょうか。