自社商品やサービスを宣伝する新しいマーケティング手法を模索している企業社長やマーケティング担当者は多くいらっしゃるかと思います。
顧客に企業の価値観を知ってもらったうえで、商品を購入してもらいたいと考えている場合は、コンテンツマーケティングがおすすめです。
この記事では、コンテンツマーケティングの概要や具体的な手法、成功事例などを紹介し、自社商品の売り込みに適切なコンテンツマーケティングの手法を知ることができるようにしています。
是非、自社商品やサービスのマーケティングにお困りの方は参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、「コンテンツ (Content)」を用いたマーケティング活動のことです。一般的にコンテンツとは、商品・サービス・企業・ブランドなどの広報に用いられる「情報」を意味します。
- ブログ形式の記事
- SNSによる投稿
- 画像や動画
- オンラインセミナー
- ホワイトペーパー
- ラジオ配信の音声
- 電子書籍
上記はコンテンツマーケティングに用いられるコンテンツの具体例で、多様な形式があります。それぞれのコンテンツを効果的に訴求するための伝達手段=マーケティング手法も数多くあり、適切な手法を選定することも重要です。
コンテンツマーケティングでは、コンテンツを通じてターゲットに価値提供し、信頼を築くことでビジネスの目的達成を目指します。
コンテンツマーケティングの目的・メリットとは?
コンテンツマーケティングを実施する具体的な目的や望まれる成果とは、どういったものがあるのでしょうか。
- 潜在顧客のリードジェネレーションにつながる
- 広告なしの集客手段が構築できる
- コンテンツを自社の営業資産として蓄積できる
- ブランディングが図れる
- 顧客のロイヤリティが高まる
上記内容について解説します。
潜在顧客のリードジェネレーションにつながる
コンテンツマーケティングは、市場に存在する潜在顧客を見つけるために有効な手法と言えます。
価値のある有益なコンテンツを提供し、ユーザーの興味関心を得ることができれば、まだ接触できていなかった潜在顧客の発掘=リードジェネレーションにつながることがあります。
自社のことを知らない方に対するアプローチが必要な場合、コンテンツマーケティングは有効な手法と言えるでしょう。
広告なしの集客手段が構築できる
コンテンツマーケティングは、有料広告を使わない集客手段としても有効です。
リスティング広告やSNS広告などと異なり、コンテンツそのものの発信工程にはコストがかかりません。
広告と比較し、自然な形でユーザーに届けられることもメリットと言えます。
Googleなどの検索エンジンにおいて、記事型コンテンツで上位表示ができれば、継続的な集客窓口としても機能するようになります。
コンテンツを自社の営業資産として蓄積できる
作成したコンテンツは、自社の営業資産として蓄積することができます。
自社のWebサイト上に、商品やサービスに関連したコンテンツを残すことで、営業や商談時の提案資料として活用することも可能です。
また、検索エンジンで上位表示できるようになっているWebコンテンツは、継続的な集客窓口としても価値の高い資産になります。
ブランディングが図れる
コンテンツマーケティングでは、企業のイメージ向上につながるブランディングにも活用できます。
配信するコンテンツが有益であると認めてもらえている場合、配信者である企業のイメージも向上します。
また、コンテンツを通じて企業がどのような価値観を持っているのか、どのような目的を持っているのかを伝えることもできます。顧客もコンテンツを通して企業のことを知ろうとする過程で、企業に対する信頼感が向上することで、ファン化の促進を狙えます。
顧客のロイヤリティが高まる
ロイヤリティとは、企業ブランドや商品に対する、愛着を意味する言葉です。
顧客目線で作成したコンテンツは、広告などと異なり、顧客とのコミュニケーション促進にも役立ちます。有益なコンテンツを配信し、顧客との繋がりが持てると、企業に対する顧客のロイヤルティは高まります。
ロイヤリティの高い顧客は商品のリピート率も上がるため、顧客のロイヤルティを高めることは、企業にとって大きなメリットとなります。
コンテンツマーケティングを実施するデメリット
コンテンツマーケティングを実施する際には、一定のデメリットも生じます。
ひとつは、コンテンツ制作に時間と労力が必要となることです。時間と労力がかかるということは、その過程で人件費などのコストもかかります。自社のリソースが足りない場合、ライターやデザイナーなど必要な人材に外注するコストも必要となります。
ふたつめは、集客などの成果が出るまで時間がかかる、もしくは期待通りの成果が出ないこともある点です。同様のマーケティングを実施している競合が多い場合などはとくに、難易度は上がります。
以上の点を踏まえ、コンテンツマーケティングを実施する際には、リソースを適切に配分し、戦略的に取り組むことが重要です。
コンテンツマーケティング6つの手法を紹介
コンテンツマーケティングをおこなう際に用いられる、以下6つの手法について解説します。
- SEO
- SNS
- Web広告
- メール
- ホワイトペーパー
- ウェビナー
基本的な考えとして、ターゲットに対し、制作したコンテンツを「どのように届けるか」といった手法の違いであると理解していただければと思います。
SEO
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、和訳すると「検索エンジン最適化」となります。また、検索エンジンからの流入を「自然検索」や「Organic Search」とも呼びます。
SEOの目的は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、ページを上位に表示させることで自然検索からのアクセスを図ることです。
コンテンツマーケティングにおいては、キーワードの選定やコンテンツの最適化などがSEOの一環として重要な要素となります。SEOを行うことで、自社のWebサイトやコンテンツをより多くのユーザーに見てもらえるようになります。
SEOには、ページ品質の高さを見る「Needs Met」や、経験や権威性などを見る「E-E-A-T」などの考え方が上位表示されるアルゴリズムに組み込まれています。そのため、ユーザー目線のコンテンツマーケティングを実行することは、SEOの施策とも関連するため、相互的に意識する必要があると言えるでしょう。
SNS
TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSでは、自社商品に興味がありそうなユーザー層にターゲットを絞ってコンテンツ発信することで、新規顧客の開拓につなげることが可能です。また、SNSはユーザーの声を収集分析できるため(ソーシャルリスニング)、コンテンツのクオリティ向上に活用しやすい、といった特徴もあります。
SNSを活用したコンテンツマーケティングでは、SNSの媒体毎に異なる特性を把握したうえで、コンテンツ制作・発信することが必要です。
また、適切な情報発信とユーザーとのコミュニケーションを大切にすることが、SNSを活用したコンテンツマーケティングの成功につながります。
Web広告
Web広告は、広告主となる企業が設定した条件に合致するユーザーに対して、広告を配信することで、商品やサービスを訴求する手法です。検索結果画面に表示させる「リスティング広告」や、SNSのタイムライン上に表示させる「SNS広告」など、さまざまな種類があります。
コンテンツマーケティングは、お客様から興味をもってもらうことを目的としたプル型の手法となるため、Web広告とアプローチの性質は異なります。
そのため、拡散のスピードを上げたい場合など、コンテンツの魅力を短期間のうちに訴求する必要があるのであれば、作成したコンテンツに対して広告を打つ施策は効果的です。
メール
コンテンツマーケティングでメールを活用する手法をメールマーケティングと呼びます。メールマーケティングでは、オウンドメディアの更新通知やセミナー開催の告知などをメールを用いてアプローチします。
メールマーケティングは、中長期的スパンでの実施を前提とした施策であり、顧客とコミュニケーションをとることも目的に含まれており、コンテンツマーケティングの目指す形との親和性も高いです。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、商品やサービスに関する情報をまとめた資料全般を意味します。
制作したコンテンツから顧客の獲得や育成に活用されており、とくにBtoBマーケティングの領域において導入されることが多い手法です。
コンテンツマーケティングを促進するコンテンツの一つとして、多くの企業が導入しています。
ウェビナー
ウェビナーとは、Webとセミナーが組み合わさった造語で、オンライン上で行われるセミナーのことで、オフラインのセミナーより低コストかつ集客力に優れている点が特徴です。
企業が用意したコンテンツを元にウェビナーを開催することで、見込み客の育成(リードナーチャリング)につながります。
Web上で記録されるウェビナーは、アーカイブを残せば再利用もできるため、資産性も高い手法と言えます。
コンテンツマーケティングで抑えておきたいトレンドは?
コンテンツマーケティングは顧客の価値観によって左右される傾向にあるため、市場のトレンドを把握しておくことも重要です。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、有名人や専門家など影響力のある人(インフルエンサー)を活用し、商品やサービスを宣伝するマーケティング手法です。
消費者の検索行動が多様化するなか、「誰が発信した内容か?」といった点を重視する層も多くいます。検索エンジンだけでなく、TwitterやInstagramなどのSNSを活用した購買行動も普及してきているため、インフルエンサーによる発信の効果は高まっているような状況です。
自社の商品やサービスと親和性の高いインフルエンサーを起用することで、訴求効果は最大化します。インフルエンサーはブログやSNSなどで自社のコンテンツを紹介することで、ファンやフォロワーに影響を与えます。
また、インフルエンサーとタッグを組んだ企画を実施することで、企業のブランディングにもつながります。
ショート動画コンテンツ
ショート動画コンテンツとは、15秒から1分程度の短い動画コンテンツのことです。さまざまな形態の情報・コンテンツが溢れている昨今では、ショート動画の需要が高まっています。
テキストや静止画とくらべて豊富な情報量を掲載できる動画コンテンツを、短時間で手軽に視聴できるサイズにすることで、手短に情報を得たいというニーズを満たすことができます。
ショート動画コンテンツでは、商品・サービスの紹介を要約した内容や、開催するイベントのポイントなどを端的に伝える内容にすることがポイントです。うまくいけば、視聴者の印象に残りやすくなるため、高い宣伝効果が見込めるでしょう。
コンテンツマーケティングの進め方
コンテンツマーケティングの概要や手法がわかったところで、ここでは具体的な進め方について5つのステップに分けて解説します。
- ペルソナ設計
- カスタマージャーニーマップの作成
- コンテンツ設計
- コンテンツ制作
- 数値分析と課題の抽出
STEP1:ペルソナ設計
マーケティングにおけるペルソナとは、ターゲットとなるユーザー像のことです。
ペルソナを明確にしなければ、効果的なコンテンツ制作は難しく、ペルソナの設計をすることは、マーケティング戦略を練るうえで必要な工程となります。
ペルソナ設計では、年齢・性別・住居・趣味・ライフスタイル・職業など、人となりが分かる程度の具体的な情報を設計する必要があります。
このステップで設定されたペルソナは、後のステップでのコンテンツ制作に影響を与えます。
STEP2:カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品やサービスを知る、購入するまでの流れを可視化したものです。カスタマージャーニーが作成できると、ユーザーが何に困っているか、何を求めているかを理解することができます。
カスタマージャーニーマップを作成することで、ユーザーが必要としている情報を提供し、顧客満足度を高めることができます。
また、顧客が求める情報を提供することで、コンテンツマーケティングの効果も高めることができます。
STEP3:コンテンツ設計
コンテンツ制作をするにあたって、事前にどのようなコンテンツを作るのか綿密な設計が必要となります。
ペルソナやカスタマージャーニーマップをベースに、ユーザーが求める情報や課題を整理、それらを解決するためのコンテンツを考えます。
要素 | 説明 |
---|---|
目的 | コンテンツを作成する目的を明確にし、ターゲットオーディエンスのニーズや関心に合わせて内容を決定する |
フォーマット | コンテンツの形式を選択する。例えば、ブログ記事、動画、インフォグラフィックス、音声など。 |
トピック | ターゲットオーディエンスにとって有益なトピックを選択する。キーワード調査を行い、検索トレンドや業界の話題を把握することも重要です。 |
対象読者 | コンテンツを読む対象者(ペルソナ) |
タイトル | コンテンツのタイトル |
コンテンツの構成 | コンテンツの構成を決定する。タイトル、サブタイトル、段落、画像、引用、リストなどの要素を含める。 |
キーメッセージ | コンテンツの中心となるキーメッセージを明確にし、読者に伝えたいことを述べる。 |
デザイン | コンテンツのデザインに関連するテーマを検討する。フォント、色、レイアウトなどを含め、ブランディングに合わせて統一することが望ましい。 |
SEO | SEOを考慮し、キーワードを含むタイトル、メタディスクリプション、URLなどを作成する。 |
プロモーション | コンテンツのプロモーション方法を決定する。SNSやメールマーケティング、PRなどの方法を検討する。 |
KPI | 成果を測定するために、コンテンツのKPIを決定する。例えば、ページビュー数、クリック数、コンバージョン率など。 |
どのような形式にするのか、コンテンツでは何を解決するのか、どのようにコンテンツを伝えるか、どのように作成するのかなど、具体的な設計を行います。
STEP4:コンテンツ制作
コンテンツ設計に基づいて、実際にコンテンツを制作します。
作成したコンテンツはWebの記事や、動画、SNS投稿などの手段で発信します。制作したコンテンツがターゲットユーザーに響くように、専門知識や技術力を駆使して高品質なコンテンツを制作する必要があります。
コンテンツ制作は時間がかかるため、納期をしっかりと決め、進捗管理をすることが大切です。
STEP5:数値分析と課題の抽出
コンテンツ配信後は、アクセス数やクリック数などの数値分析を行い、課題点を抽出します。課題点に対して改善策を考え、改善点を反映させることで、より効果的なコンテンツマーケティングが実現できます。
数値分析には、アクセス数やクリック数、コンバージョン率などのデータを用います。数値分析によって、どのようなユーザーがコンテンツに興味を示したかや、どのようなコンテンツが好まれたかなどが明らかになります。その結果を踏まえ、今後のコンテンツマーケティング戦略を考えることができます。
また、数値分析の結果から、改善点や課題を抽出し、次のコンテンツ制作に反映することが重要です。数値分析と課題抽出を繰り返すことで、コンテンツマーケティングを改善し、効果的なマーケティングができるようになります。
コンテンツマーケティングの成功事例
コンテンツマーケティングでどのような成果が出るのか、具体的にイメージが持てるよう、企業の成功事例をご紹介します。
コカ・コーラ
コカ・コーラ社は、コンテンツマーケティングにおいて多くの成功事例を持っていますが、その中で代表例をあげると「シェア・ア・コーク」というキャンペーンがあります。
このキャンペーンでは、人々の名前をコカ・コーラのボトルに印刷し、人々が自分自身や友人とコカ・コーラをシェアできるようにしました。このキャンペーンは、ソーシャルメディアを中心に展開され、消費者が自分のボトルを投稿することで、大きな話題となりました。
「シェア・ア・コーク」は、コカ・コーラ社にとって広告キャンペーンとしてだけではなく、顧客との接点を増やし、関係をより強固にすることができる貴重な機会となりました。
また、オリジナルムービー「あなたがここにいて欲しい Coke ON×SCHOOL OF LOCK!」を製作した際は、SNS上で広く拡散させることで、若年層をターゲットにしたマーケティングに成功しています。
北欧、暮らしの道具店
北欧、暮らしの道具店では、他の一般的なインテリアや雑貨店と比べて独自性がある北欧家具を取り扱っています。
運営ブログの「LUOTO」では、北欧のライフスタイルや文化、商品の使い方などを紹介することで購買につながる導線を作っているコンテンツマーケティングです。LUOTOは、北欧ファンだけでなく、ライフスタイルに興味がある人からも注目され、多くのアクセスを集めています。
また、InstagramやYouTubeなどのSNSでも、商品の魅力を伝えるコンテンツが好評を得ています。
株式会社アイスタイル
日本最大級のコスメ・化粧品・美容の総合情報サイト「アットコスメ」を運営する株式会社アイスタイルは、自社のECサイトやSNSを活用し、美容や健康に関する情報を提供することで、消費者との関係性を構築しています。
アイスタイルのECサイトでは、商品とともに美容や健康に関する情報を掲載し、消費者が商品を購入する前に情報を得ることができます。また、アイスタイルのSNSでは、美容や健康に関する記事を定期的に発信しており、消費者からの反応が非常に高いとされています。
通販サイト「楽天市場」に出品する商品も、商品紹介ページで動画を使った解説を盛り込むなどコンテンツを充実させることで、消費者の購買意欲を高めることに成功し、売上アップをはかっています。
初心者にもオススメのコンテンツマーケティングが学べる書籍
自社でコンテンツマーケティングを実施する場合だけでなく、業者に依頼する場合であっても、担当者の方は最低限の知識は身に着けておいたほうがよいでしょう。。
ここではマーケティング初心者の方でも、コンテンツマーケティングの基礎が学べるオススメの書籍をご紹介します。
いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本
当書籍は、初心者の方にもわかりやすくコンテンツマーケティングについて解説している書籍で、コンテンツマーケティングの基本的な考え方や戦略、具体的な手法について丁寧に解説されています。
また、実践的なアドバイスや成功事例も豊富に紹介されており、読者はコンテンツマーケティングについて深く理解することができます。
全体的に、初心者でも理解しやすい文章と豊富な事例によって、コンテンツマーケティングについて幅広い知識を身につけることができます。
できるところからスタートする コンテンツマーケティングの手法88
初心者から上級者まで、幅広いレベルの人が役立てられる88の手法が紹介されています。
SNSでの情報発信や、ブログの更新方法、SEO対策など、多様なテーマが取り上げられています。
また、各章の終わりには、練習問題も用意されており、読み進めながら習得できるようになっており、初めてコンテンツマーケティングに取り組む人や、実践的なテクニックを身につけたい人におすすめの一冊です。
沈黙のWebマーケティング-Webマーケッターボーンの逆襲-
ボーンというキャラクターを主人公に、漫画のタッチでコンテンツマーケティングやリスティング広告、SEO対策など、Webマーケティング全般に必要不可欠な内容をわかりやすく解説されています。
Webマーケティングに関する誤解や、企業が陥りがちな失敗例も紹介されており、実践的なアドバイスが満載です。
こちらもWebマーケティング初心者から上級者まで、幅広い層におすすめの一冊です。
まとめ
今回は、自社商品やサービスの宣伝に苦慮する企業社長やマーケティング担当者に向けて、コンテンツマーケティングに関する内容を解説しました。
コンテンツマーケティングの概要や手法から、自社商品やサービスのプロモーションに取り入れられる点はないか検討してみてください。
BtoBマーケティングを対象とする場合は、こちらの記事では基礎知識を解説していますのでぜひご覧ください。