本記事ではアドホックテストの概要やメリット・デメリット、探索的テストとの違いなどについて紹介していきます。
「アドホックテストについて知りたい!」や「アドホックテストとは、どんな時に利用するものなの?」と考える方は、ぜひご一読ください!
アドホックテストとは?
アドホックテストとは、ソフトウェア開発の中で不具合を検知しエラーを取り除くために行うソフトウェアテストの1つです。
システムやソフトウェアの機能の動作を確認するために必要な項目をまとめた「テスト観点」や手順や期待結果を記載した「テストケース」を用いるテスト設計を使わずに実行する「場当たり的」で「特定の目的を持つ」テストを指します。
国際的な資格であるソフトウェアテスト技術者資格認定の日本の運営組織JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)によると「公式なテストの準備をせず、非公式に実施するテスト」と、定められています。
アドホックテストと探索的テストの違い
探索的テストはアドホックテストと同様にテストケースを必要とせず、混同しやすいため注意が必要です。
JSTQBでは、探索的テストについて「テストを実施する過程で、テスト担当者がテスト実施情報を活用しながらテスト設計をコントロールし、積極的に質の高い新しいテストケースを設計する」ものと定義しています。
ランダムでテストを実施し、従来のプロセスでは発見できないエラーや不具合を探していくアドホックテストに対して、探索的テストは実行する目的の指針となるテストチャーターを用いたり、テスト結果をもとに再度テストを実施する前提で行う、といった違いがあります。
アドホックテストの3つの種類
アドホックテストには次の種類があります。
- バディテスト
- ペアテスト
- モンキーテスト
ここでは、それぞれの詳しい内容について解説します。
1.バディテスト
バディテストは、開発担当者とテスターが2人1組で作業します。それぞれが異なる立場を想定しながら行うことで、広範囲のテストを実行できます。
2.ペアテスト
ペアテストは文字通り、2人のテスターがペアになって作業を行います。2人の担当者がアイデアを持ち寄り議論することで、効果的なテスト内容を目指せます。
3.モンキーテスト
モンキーテストは単一のモジュールを対象にして行う単体テストに近い範囲で行われます。完全にランダムで自由な発想で確認します。
アドホックテストのメリット
アドホックテストのメリットは大きく分けて2点あります。
- 想定しきれなかったエラーを検知できることがある
- テスト設計の作成を省略することで、工数のコストを抑えてテストを行える
まず、柔軟にテストを進めていくことで、仕様書や設計書にはない想定外の不具合をあぶり出すことができます。
また、短い期間でテストを実施することが可能なため、限られた工期の中、時間的コストをかけずに行うことができます。
アドホックテストのデメリット
アドホックテストのデメリットは、従来のテストと違って潜在的な不具合を探るテストであるため、範囲を予測できる経験豊富なテスターが担当する必要があります。
また、アドホックテストはテスト設計仕様書を作成しないため、通常のソフトウェアテストとは異なり、テストの実施記録を残さないのが一般的です。
そのため、不具合を検出しても手順の特殊さや複雑さから再現性が低い点はでメリットといわざるえません。
アドホックテストにおける注意点
アドホックテストの注意点として次の2つが挙げられます。
- 不具合を検出した場合でも再現が難しいことがある
- テストを実行しても品質評価には活かしづらい
それぞれの詳しい内容を解説します。
不具合を検出した場合でも再現が難しいことがある
前述の通り、通常のソフトウェアテストとは異なり、アドホックテストではテスト設計を作成しないのが一般的です。
そのため、実施記録を残さないケースが多く、再現が困難であったり再現ができないケースもあります。テストを実行した担当者は、その手順を記憶しながら行っていく必要があります。
テストを実行しても品質評価には活かしづらい
場当たり的なアドホックテストは、網羅的に行うテストではありません。品質の評価や比較に活かすことは難しいでしょう。
アドホックテストはどんな時におすすめ?
アドホックテストは、従来のテストの補完的な役割として用いるテストです。
ソフトウェアテストを実施し、想定できるエラーを修正した上で行うと効果的です。他のテストを行わないうちに実行すると多くのエラーが発生し、原因の特定が困難になるため、最終工程で行うと良いでしょう。
まとめ
さまざまな角度から不具合を探っていくことで、ソフトウェアの品質向上につなげることができます。
アドホックテストを活用して従来のテストでは取りこぼしてしまうエラーを発見し、ワンランク上の成果を目指してみてはいかがでしょうか。
↓合わせて読みたい