2023年、アパレルEC市場はどのような規模に達し、どのような新しいトレンドが浮かび上がっているのでしょうか。
この記事では、業界の最新情報をもとに市場規模やEC化率、成功しているアパレルECサイトの戦略から課題までを解説しています。これからアパレルEC事業をはじめる方や、すでにはじめているが課題に行き詰まっている方は、ぜひ参考にしてください。
アパレルECの現状
アパレルECの現状について解説します。
- アパレルECの市場規模
- アパレルのEC化率
- アパレルECのトレンド
それぞれについて詳しくみていきましょう。
アパレルECの市場規模
アパレルECの現在の市場規模を、経済産業省のデータを元に解説します。アパレルECの市場規模は2022年に2兆5,499億円に達し、EC化率は21.56%でした。
2014年から2022年までの市場規模とEC化率は右肩上がりで増加しています。また、コロナ禍の2020年には消費者のECシフトが顕著になり、EC化率が5%以上伸びました。
アパレルのEC化率
ファッション・アパレルのEC化率は、コロナの影響もあって増加傾向にあります。2019年から2021年にかけてのEC化率は、13.87%から21.15%へとわずか3年で約8ポイント上昇しています。
これは書籍(46.20%)や生活家電(38.13%)、生活雑貨(28.25%)などに続いて4番目の数値です。
アパレルECのトレンド
ファッション・アパレルECのトレンドは、時代と環境の変化によって進化しています。現在のトレンドとしては、サステナブルファッションとオンライン接客の強化が注目されています。
また、リサイクル推進やダイバーシティへの取り組みが行われ、リニア・エコノミーからサーキュラー・エコノミーへの転換期にあるのが現状です。
ZOZOTOWNの古着販売や専門ECサイトが現れ、オンライン接客は能動的なスタイルへと変わりつつあります。具体的には、ライブ配信などを利用してユーザーとの交流が盛んに行われています。
アパレルECの主な種類は5つ
アパレルECの主な種類には、以下の5つが挙げられます。
- モール型EC
- ブランド・メーカー直販
- フリマアプリ
- シェアリングエコノミー
- 自社ブランド販売
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.モール型EC
モール型ECには、以下の2種類があります。
- 総合型:楽天やAmazonなど
- アパレル特化型:ZOZOTOWNなど
月間1,000万人以上のアクティブユーザーを有する大手モールが存在し、売上を伸ばすことが比較的容易です。
しかし、ダイレクトコミュニケーションの取りづらさや、サイトカスタマイズの自由度の低さがデメリットだといえます。また、売上がECモールに依存することにより、自社ECサイトが上手くいかないケースもあります。
以下の記事では、ECモールの売上ランキングを紹介しているため、あわせてご覧ください。
⇒【2023年最新版】国内外におけるECモールの売上ランキング|市場規模やEC化率の推移も徹底解説!
2.ブランド・メーカー直販
ブランド・メーカー直販は、オリジナルブランドを持つメーカーが顧客に直接販売する形態です。SNSを通じてブランドを直接訴求し、顧客と距離感が近いコミュニケーションを図ることが可能です。
また、小売店や代理店を介さずにマーケティングや商品開発ができ、D2Cが大手・中堅ブランドのスタンダードになりつつあります。
3.フリマアプリ
フリマアプリは、メルカリやヤフオクなどのCtoCプラットフォームが挙げられます。ECサイト構築や初期設定の手間が少なく、販売者にとって非常に有利です。
しかし、商品ごとに手数料が発生し、在庫の縦積みが難しいことが課題だといえます。事業者としてはテストマーケティングの場として活用するのが最適です。また、ファッションに興味がある10〜20代の若年層の利用者が多い傾向にあります。
4.シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーは、エアークローゼットやメチャカリなどの衣服レンタルサービスです。具体的な例を挙げると、スタイリストが選んだ服をレンタルできる月額制のサブスクモデルが採用されています。
プラットフォーマー側でのクリーニングやメンテナンスなどの付加価値を提供可能です。また、新作のPRやアパレル廃棄問題の解決策として位置付けられています。
5.自社ブランド販売
自社ブランド販売は、個人事業主や中小企業が自らアパレルECを展開することです。インフルエンサーによるファン向けオリジナルブランドの商品販売や、OEMを活用した商品開発をし、低コストかつ在庫を抱えるリスクを軽減しながら展開できます。
しかし、自社で集客から受注、配送まで担う必要があり、自社にノウハウがなければ軌道に乗るまで時間がかかるおそれがあります。
アパレルECで成功している企業5選
アパレルECで成功している企業を5社ピックアップしてそれぞれご紹介します。
1.ZOZOTOWN
引用:ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、幅広い商品を取り扱うモール型ECサイトです。20〜30代の男女がターゲット層となり、利用者の平均年齢は33歳です。
また、「ワンクリックアクション機能」が特徴となり、一般的に購入するまでに必要な「サイズ・色の選択〜カートに入れる」手間をワンクリックで済ませられます。このことによって離脱率を下げ、コンバージョン率を高めています。
2.アダストリア
引用:アダストリア
アダストリアは、[.st](ドットエスティー)が運営しており、売上が急上昇しているECサイトです。実店舗とスマホ利用者の両方を利用するユーザーが売上の約40%を占めています。
オンラインで買い物する不安を軽減する施策として、購入経験があるアイテムとの比較や商品の質感を表現し、購入しやすくなるような工夫が施されています。
3.ユニクロ
引用:ユニクロ
ユニクロはオムニチャネル化を推進し、「いつでも、どこでも」買い物できるシステムを実現しています。自社運営のメーカー直販型である利点を用いて、顧客情報をマーケティングに活用していることが特徴です。
そのため、店舗における在庫確認やレビュー、サイズアシスト機能を一貫して提供しています。
4.ワールド オンラインストア
ワールドオンラインストアは、60以上のブランドを展開しており、幅広いターゲットを対象としています。公式ECサイトでは、独自の世界観をユーザーへ体験させることに成功しています。
また、自社ブランド以外の商品も取り扱っており、あらゆるアイテムを豊富に取りそろえていることも特徴です。
5.ベイクルーズ
引用:ベイクルーズ
ベイクルーズは、JOURNAL STANDARDなど20代全般〜30代後半をターゲットにした約50ブランドを運営しています。
EC売上比率は約40%を誇り、過去5年で3倍以上に拡大しています。また、自社サイトの売上が全体の70%以上を占め、開発・運営の内製化に成功している企業です。
アパレルECにおける5つの課題
アパレルECにおける課題には、以下の5つが挙げられます。
- アパレル市場全体は縮小傾向にある
- 実店舗のショールーミング化が著しい
- 在庫の一元管理が必要になる
- IT人材の採用が難しい
- 自社での集客が必要になる
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.アパレル市場全体は縮小傾向にある
ファッション・アパレル業界にはこれまでの勢いがなく、縮小傾向にあります。特に若年層をターゲットとしたブランドにとって、少子高齢化は大きな課題です。
これはターゲットの人口が減少していることとなり、国内市場だけでは厳しい状況だといえます。対策としては、海外市場への展開や訪日外国人のインバウンド需要、越境ECなどが挙げられます。
越境EC市場は成長しており、中国とアメリカが主要な取引国です。このように市場の大きな国へ展開していくことが求められます。
2.実店舗のショールーミング化が著しい
EC事業が台頭することにより、実店舗のショールーミング化が問題となっています。
ショールーミング化とは、実店舗で商品を見たあとにECで購入する傾向のことです。オンラインとオフラインの食い合いや、実店舗スタッフの士気が低下する事態が起こりかねません。
しかし、BEAMSでは実店舗スタッフのオムニチャネル化を実施し、購入率が上昇した事例があります。
3.在庫の一元管理が必要になる
自社ECとモールECにおける、在庫管理の一元化が必要です。たとえば、商品在庫をモール側の倉庫に入れることがありますが、自社サイトとの在庫状況が異なるケースがあります。
そのため、「自社サイトでは品切れしているが、モールでは販売されている」という状況を防がなければなりません。対策としては、全商品の在庫をモールの物流センターに集約し、物流をアウトソーシングすることが挙げられます。
現在では、物流網の整備が進み、利用しやすい価格帯でのアウトソーシングが可能です。
4.IT人材の採用が難しい
EC運営をするうえで、デジタルマーケティングやシステム開発・運用の内製化がひとつの目標です。しかし、IT人材が不足しており、採用が難しい傾向にあります。
そのため、外部ベンダーへの依存が高く、社内のDXが進まないことはデメリットです。また、競合他社との開発スピードで負けてしまうリスクや採用ブランディングが難しい状況にあります。
正社員での採用にこだわらず、副業やフリーランス、社外顧問などの幅広い雇用形態で採用を目指すことが重要です。
5.自社での集客が必要になる
自社ECサイトでは、モールECに比べて集客が課題となります。モールECでは、多くの会員がいるため、自社でプロモーションをしなくてもトラフィックが多い傾向にあります。
しかし、自社で集客する場合、独自性のある商品や体験を提供し、ブランディングの強化が欠かせません。また、自社ECサイトは地道に顧客育成するための施策実施が重要です。
もし、自社サイトでの集客に悩んでいる方は、弊社、ジャグーまでお気軽にご相談ください。
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アパレルECでよくある3つの質問
アパレルECでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.アパレルECサイト運営に向いている人の特徴は?
- 質問2.アパレルECサイト運営に向いていない人の特徴は?
- 質問3.コロナ禍の消費者における購買行動の変化は?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.アパレルECサイト運営に向いている人の特徴は?
アパレルECサイト運営に向いている人の特徴には、以下のようなものが挙げられます。
- ECサイトを利用する
- クリエイティブな仕事に興味がある
- webマーケティングの知識がある
- 分析力がある
- ユーザー目線に立てる
これらの経験や実績があることで、長期的にECサイト運営に取り組めます。特に、ユーザー目線に立って戦略を考えなければ、売上を伸ばし続けることは難しいかもしれません。
質問2.アパレルECサイト運営に向いていない人の特徴は?
アパレルECサイト運営に向いていない人の特徴として以下が挙げられます。
- パソコン作業が苦手
- 接客がしたい
- 臨機応変に対応できない
アパレルECはデスクワークが中心となり、直接コミュニケーションを図ることはありません。そのため、最低限のPCスキルは必須です。また、ECはトラブルも多いため、臨機応変に対応することが苦手な人も運営に向いていないといえます。
質問3.コロナ禍の消費者における購買行動の変化は?
コロナ禍の消費者における購買行動の変化は、アパレルECの市場規模の拡大をみるとよくわかります。
2019〜2020年にかけて市場規模・EC化率とともに上昇していることから、新型コロナウイルスの外出自粛によってECサイト利用が当たり前のものとして受け入れられるようになったといえます。
そのほかにも、アパレル業界における参入ブランドの増加や利便性の向上が市場規模の拡大に影響していると考えられるかもしれません。
まとめ
アパレルECにおける2023年の現状と、成功しているアパレルECなどをご紹介しました。アパレルEC市場はさまざまな企業が新しいトレンドを取り入れて、競争に勝ち残る戦略を練っています。
しかし、市場縮小や実店舗のショールーミング化などの課題も存在し、アパレルECを事業として行う上での慎重な戦略と革新的なアプローチが求められています。
あなたのアパレルEC事業を一層発展させるために、この記事をぜひ参考にしてみてください。
なお、自社サイトにおける集客にお困りの方は、弊社、ジャグーまでお気軽にご相談ください。
⇒ジャグー株式会社