国内外のECモール市場は年々、規模が拡大しています。この記事では、2023年の最新データに基づき、ECモールの売上ランキングや市場規模について解説します。
これからEC市場に参入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
国内におけるEC市場規模・EC化率の推移
近年、Amazonや楽天市場などのECモールやメーカー・ブランド直売の通販サイトの需要が増加傾向にあります。
ここでは経済産業省が公表している「電子商取引に関する市場調査」報告書を元に、EC市場の規模やEC化率について解説します。データによると、2010年以降の市場は拡大の一途を辿り、最新のEC化率は8.08%です。
また、2019年〜2020年においては、1.32%の大きな成長を示していますが、国内のBtoC-EC市場の規模はまだ小さく、大きな伸び代が期待できます。
参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
分野別の取引市場規模
引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
令和元年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)に拡大しています。
同年のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は353.0兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)となりました。
また、EC化率は、BtoC-ECで6.76%(前年比0.54ポイント増)、BtoB-ECで31.7%(前年比1.5ポイント増)と増加傾向を示しており、商取引の電子化が着実に進展しています。
分野別の取引市場規模には、以下の3つが挙げられます。
- A.物販系分野
- B.サービス系分野
- C.デジタル系分野
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
A.物販系分野
引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
物販系分野の市場規模の内訳をみると、「衣類・服装雑貨等」(1兆9,100億円)、「食品、飲料、酒類」(1兆8,233億円)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(1兆8,239億円)が大きな割合を占めています。
一方、EC化率は「事務用品、文房具」が41.75%、「書籍、映像・音楽ソフト」が34.18%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が32.75%と、これらのカテゴリでは特に高い数字です。
B.サービス系分野
引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
サービス系分野の市場規模の内訳をみると、「旅行サービス」(3兆8,971億円)が大きな割合を占めています。
サービス系分野のBtoC-EC市場規模を多い順にいくつかピックアップすると、以下の通りです。
- 旅行サービス:38,971億円 (4.80%)
- 飲食サービス:7,290億円 (14.34%)
- チケット販売:5,583億円 (14.25%)
- 金融サービス:5,911億円 (▲1.90%)
- 理美容サービス:6,212億円 (26.06%)
合計すると、71,672億円となり、前年よりも7.82%の増加率となっています。
C.デジタル系分野
引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
デジタル系分野の市場規模の内訳をみると、「オンラインゲーム」(1兆3,914億円)が大きな割合を占めています。
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模を多い順にいくつかピックアップすると、以下の通りです。
- オンラインゲーム:13,914億円 (▲4.00%)
- 電子出版:3,355億円 (20.58%)
- 有料動画配信: 2,404億円 (62.76%)
- 有料音楽配信:706億円 (9.56%)
合計すると、21,422億円となっており、前年よりも5.11%の増加率となっています。
国内におけるECモールの売上ランキング
国内におけるECモールの売上ランキング上位10社について、ここではご紹介します。
1位.楽天市場(約5兆6301億円)
引用:楽天市場
売上1位を誇る楽天市場は、国内トップクラスのECモールであり、出店しているショップ数が最も多いです。
楽天グループが運営しているサービスであることから、楽天ポイントへの還元率が高いことが多くのユーザーから選ばれている理由だといえます。
最近では、楽天経済圏を意識して利用しているユーザーが増加しているため、楽天市場を含む全てのサービスが選ばれるようになりました。
特に、ファッションや食品など幅広いジャンルの商品が豊富に揃っていることが魅力となり、年間総売上高は約5兆6301億円と非常に大きな数値です。
ジャンルを問わず出品したい方は、楽天市場を利用することをおすすめします。
参考:流通総額(取扱高)、従業員数|楽天グループ株式会社
2位.Amazonジャパン(約3.2兆円)
引用:アマゾン
Amazonジャパンは、国内2位の売上高を誇るECモールです。日本でも、多くの人々が利用しており、高品質・豊富な商品数でユーザーから選ばれています。
さらに、注文から配送までの時間が早いことも利点とされ、スピードと品質を兼ね備えたECモールだといえます。
特に、電化製品や書籍、化粧品などのジャンルが人気です。また、Amazonプライム会員になると、配送料無料などの特典が利用できます。
ユーザーの利便性を最優先に考えたサービスが提供されているECモールです。
参考:Amazon年次報告書
3位.Yahoo!ショッピング(約1兆6,525億円)
引用:Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、株式会社ヤフーが運営する国内ランキング3位のECモールです。Yahoo!のポータルサイトから簡単にアクセスできるため、多くのYahoo!ユーザーから支持を受けています。
メリットとしては、ポイント還元率が高く、特にYahoo!プレミアム会員であればより多くのポイントを獲得できることが挙げられます。商品ラインナップも豊富にあり、衣料品や日用品などをお得に購入したいと考える層が数多く利用しているECモールです。
参考:決算説明会 | IR情報 | Zホールディングス株式会社
4位.メルカリ(約7,844億円)
引用:メルカリ
フリマアプリとして知られるメルカリは、国内ランキング4位のECモールです。最近では、中古品だけでなく、新品やハンドメイド商品などの展開も進めており、多様な商品が出品されています。
ユーザー同士で直接やり取りが行われるため、お得な価格で購入が可能です。さらに、出品者の評価制度があることで、評判の良いユーザーからの購入も可能となり、安心して利用できるECモールとしての信頼性が高まっています。
また、メルカリの利用者は増加を続けており、売上高も順調に伸びています。
参考:FY2022.6 1Q 決算説明資料
5位.auペイマーケット(約1,287億円)
引用:auPAYマーケット
auPAYマーケットは、大手携帯キャリアのauが運営するECモールです。国内ランキング5位の売上を誇ります。
ユーザーはスマートフォンを使って簡単に出品・購入ができるため、非常に利便性が高いサービスとして多くの利用者を集めています。
さらに、定期的にauユーザー向けのキャンペーンを展開することで、顧客の囲い込みを図っていますが、auユーザーでなくても手軽に利用可能です。
商品ラインナップを豊富に揃えており、ファッションや日用品から食品まで豊富です。特にスマートフォンやタブレット関連製品に強みがあります。
参考:2021年3月期第3四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
6位.楽天ブックス(約477億3,700万円)
引用:楽天ブックス
楽天市場の子会社である楽天ブックスは、書籍や漫画、CD・DVDなどのメディア製品を中心に取り扱っているオンライン書店です。
その豊富な商品ラインナップと、ほかのECモールに比べてのリーズナブルな価格設定がユーザーからの高い支持を受けています。
また、楽天ポイントの還元率が高いため、購入することによって多くのポイントを貯められることがユーザーのメリットです。
さらに、商品説明やカスタマーレビューを掲載することにより、ユーザーは安心して購入の検討ができることも強みだといえます。
7位.ZOZOTOWN(約5,088億円)
引用:ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、株式会社スタートトゥデイが運営するファッションECモールです。世界中の有名ブランドや国内の人気ブランドはもちろん、化粧品から雑貨まで幅広く取り扱っています。
海外のトレンドやSNSで話題のブランドの商品も見つけられるため、ファッション好きから絶大な支持を集めています。
出店するには知名度や規模、商品数が求められますが、売上を伸ばしやすいことがメリットです。
参考:ZOZO22年3月期、流通額が21.3%増の5088億円 コスメは今期で100億円の大台へ – WWDJAPAN
8位.ヤフオク!(約9,168億円)
引用:ヤフオク!
ヤフオク!は、Yahoo! JAPANが運営する日本最大級のオークションサイトです。
ユーザーがあらゆる商品を出品し、他のユーザーがこれに入札する仕組みが採用されています。また、商品の取り扱いが多岐にわたるため、日本国内外問わずあらゆる商品を出品することが可能です。
そのため、希少な商品や人気商品を出品することによって、売上拡大が期待できます。
また、出品者と落札者の直接交渉ができ、マージンもかからないため、ユーザー同士がお得に取引できます。
9位.Qoo10(約2,004億円)
引用:Qoo10
Qoo10は、アジア圏で人気のシンガポールを本拠地とする大手ECモールです。日本を含む各国で展開しています。
特徴は商品検索のしやすさです。検索欄に商品名を入力するだけで、目的の商品を見つけることが可能です。この使い勝手の良さから、個人出品者にとっても売上に繋がりやすいサイト構造だといえます。
また、日本国内で話題となるセールも魅力となり、出品することで売上を伸ばすことが期待できます。さらに、グローバル展開しているため、海外へ出品したい方にとっても最適です。
10位.楽天トラベル(約60億円)
引用:楽天トラベル
楽天トラベルは、楽天グループが運営するオンライン旅行予約サイトです。国内外の旅行情報や航空券、ホテル、観光、レンタカーといった旅行に必要な情報を総合的に提供しています。
旅行の中心となる宿泊施設も、全国のホテル、旅館、民宿など、約3万5000件以上が掲載されており、豊富な情報と操作しやすいサイト設計が魅力です。
目的地、日程、予算といった条件から詳細な検索ができ、口コミや評価、写真を参考にして、希望に合った宿泊施設を見つけられる点が高い評価を受けています。
また、「国内ECモールへ出店したい」と検討している方は、ジャグーまでご相談ください。
⇒ジャグー株式会社
海外におけるECモールの売上ランキング
海外におけるECモールの売上ランキング上位4社について、ここではご紹介します。
1位.アリババ
引用:アリババ
アリババは中国を代表するECモールです。その市場規模は世界的にもトップクラスとなっており、2019年は1兆円を突破しました。また、2020年にはわずか3ヶ月で1兆円を記録するなど、他国のECモールと比べても抜きん出た存在です。
アリババは中国国内のみならず、海外からも多くの利用者がおり、出店することで幅広い市場へのアクセスが期待できます。
11月11日にはアリババの大規模セールが開催されることから、この時期に出品することは売上を伸ばすうえで非常に有効です。
2位.アマゾン
引用:アマゾン
アマゾンは世界最大のECモールです。日本国内だけでも月間5000万人以上が利用しており、国民の約半数が毎月アクセスしています。ユーザーが数多く集まるため、強力な集客力が特徴です。
また、アマゾンは国境を越えての販売も容易にできるため、海外市場への展開も視野に入れている方におすすめします。さらに、FBAを利用することにより、商品の管理や発送をアマゾンに一任することが可能です。
その結果、他業務へリソースを割くことができるようになります。
3位.eBay
引用:eBay
eBayはアメリカ発のECモールです。世界で1.6億人以上のユーザーが利用しています。そのため、越境ECサイトとしての役割を果たしており、国内で需要が少ない商品を海外顧客に向けて販売したい方におすすめです。
また、日本製品に対する海外からの信頼性と評価が高いことから、価格を上乗せしても売れやすい傾向にあります。しかし、サイトの操作や出品には英語が必須となり、出品代行や翻訳ツールを利用することを検討してみてください。
4位.Walmart
引用:Walmart
Walmartはアメリカの大手小売店です。ECモールにおいても世界的な知名度を誇っています。アメリカ国内での支持は高く、1億2千万人以上の月間訪問者を誇り、アマゾンと並ぶ存在です。
売上規模ではアマゾンには劣るものの、世界最大の小売りの実績があるため、WalmartのECモールは注目を集めています。現状、競合が比較的少ない状況下にあるため、今のうちに出店を目指すことによって、将来的に大きなリターンを得られるかもしれません。
ECモールのランキングでよくある3つの質問
ECモールのランキングでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問①越境ECとは?
- 質問②日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は?
- 質問③ECモールの種類とは?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問①越境ECとは?
越境ECとは、国境を越えて国外のECモールでの商品の販売・購入を指します。例を挙げると、アメリカの企業が日本市場向けに商品を販売するケースです。
越境ECのメリットとしては、グローバルに市場を展開でき、国内市場だけに依存しない点が挙げられます。国内で競合が激しい商品やそれほど売れ行きが良くない商品でも、海外市場で販売することによって大きな利益を上げるチャンスが期待できます。また、国内の景気の変動からも影響を受けにくくなることもメリットです。
質問②日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は?
令和元年、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は増加しました。
中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆6,558億円(前年比7.9%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆94億円(前年比16.3%増)となっており、前年に続いて増加しています。
日本・米国・中国3カ国の越境EC市場規模は以下の通りです。
- 日本:3,175億円(伸び率14.8%)
- 米国:1兆5,570億円(伸び率11.8%)
- 中国:3兆6,652億円(伸び率12.3%)
質問③ECモールの種類とは?
ECモールの種類には、以下の3つが挙げられます。
- マーケットプレイス型ECモール
- テナント型ECモール
- 統合管理型ECモール
マーケットプレイス型ECモールは、インターネット上の大きな市場のようなものだといえます。各ショップはモールに出店するのではなく、商品を出品する形態をとり、代表的なものとしてAmazonが挙げられます。
ショップ側は商品をサイトに登録するだけで簡単にEC販売を始めることができるプラットフォームです。
テナント型ECモールは、大型のショッピング施設のようなものだといえます。その中で各ショップが店舗を構えて運営する形態をとり、代表的なものとしては楽天やYahoo!ショッピングなどが挙げられます。
マーケットプレイス型と比べて、店舗の独自性やオリジナリティを出しやすいことが特徴です。
統合管理型ECモールは、自社内で構築するECモールを指します。複数の独自ショップやブランドを一元管理して運営できるため、ターゲット層が異なる商材グループを持っている企業に適しています。
ブランディングにも役立ち、それぞれの顧客基盤を活かした相互送客も可能です。
まとめ
2023年の国内外ECモールをランキング形式でご紹介しました。EC市場は、成長を続けており、特定のモールが強固な地位を築きつつある一方、新規参入者も現れ、変化を続ける市場動向には目を離せません。
また、市場規模の増大とともに、EC化率も着実に上昇しており、これからもEC市場は拡大の一途を辿ると予想されています。
この記事を参考にしてECビジネスを戦略的に進めていきましょう。また、未経験でも効率的にECを展開したいと考えている方は、弊社ジャグーへご相談ください。
⇒ジャグー株式会社