UKで働くUIデザイナーに学ぶ人生とキャリア 〜後編〜

UKで働くUIデザイナーに学ぶ人生とキャリア 〜後編〜

この記事を書いた人

粟飯原 匠

SEOとCVR改善が得意なWeb制作会社PENGINの代表。医療系・介護系(SaaS)の上場企業や創業100年以上のレガシー産業などを中心に事業立ち上げ・マーケティング支援を行なっています。

こんにちは!

合同会社PENGINでマーケティングを担当しているケインです😊

前回に引き続き、イギリスでUIデザイナーをしているキャシさんにインタビューさせていただいた内容をお伝えします!

▼前編の記事はこちら

UKで働くUIデザイナーに学ぶ人生とキャリア 〜前編〜

今回の後編では、一度グラフィックデザインから離れたキャシさんが、「どのようにUIデザイナーとして働くに至ったのか」、「現在どのようなスタンスで仕事やスキルアップに取り組んでいるのか」を中心にご紹介します。

実際に何を・どうやって・どのくらい学習したのかもお聞きしたので、日本に収まらず海外でデザイナーとして活躍したいと思っている方にぜひ読んでいただきたい内容です。

それではいってみましょう!

キャシさんのプロフィール

・アメリカの2年制カレッジでグラフィックデザインを学ぶ
・日本に帰国後、当時はデジタルのデザインの仕事がほとんどなかったため、様々な職種を経験
・2016年からフロントエンド、UXデザイン、UIデザインを2年半学ぶ
・現在、イギリスに住みながら、on株式会社のデザイナーとして、デザインシステムやFigmaルール策定、勉強会・デザインチェックからアートディレクションのサポートまで幅広く担当している

Twitter:@UIAlchemist

デザインから離れて様々な仕事を経験

ケイン:アメリカでデザイナーになったあとは、そのままデザインの仕事を続けていたんですか?

キャシ:いえ、実はデザインからは一度離れていたんです。
個人的な事情で日本に帰国したんですけど、当時はデジタルでデザインするという文化が一般的ではなくて、ほとんど仕事がありませんでした。

ケイン:確かに今はデザインが必要とされる領域が増えていますが、パソコンやスマホが一般的な存在になる前はデザインってかなり限られた人がやるものという認識でしたね。

キャシ:そんな状況だったので、システムアドミニストレーターの方向に進みました。その後、縁あってエリクソンという通信関係の会社に秘書として採用されました。

ケイン:(超グローバルカンパニー…)

キャシ:エリクソンの仕事はとても楽しかったんですよ!
ただ、産休中に配置替えがあって、勤務先の場所などを考慮するととても続けられる自信がなかったので辞めてしまいました。
このタイミングでエリクソンを辞めたとうのが、人生で唯一公開していることなんですよね。 「あのとき辞めていなければ今頃は違う人生があったんじゃないか」と、最近までしょっちゅう思っていました。

ケイン:そうだったんですね。確かに、それほど働くのが楽しいと思える職場は稀かもしれませんね。

キャシ:そうなんですよ。
だから皆さんに伝えたいのは、心から楽しんでいることがある場合は、ちょっとやそっとの困難でかんたんに辞めない方がいいということですね。続けることができる方法や可能性を模索しないと、後悔する可能性が高いのではないかと思います。
辞めるのは一瞬なので。

ケイン:(胸に刻んでおこう)
その後はどんなお仕事を経験したのですか?

キャシ:その後はスタバでバリスタしたり、リサーチャーをやったり、歯科医院でレセプションをやったりしていました。それで、歯科医院に勤めているときに「今のままここで働いても新たな成長はないな」と思って、フロントエンドの勉強をはじめました。

2年半と100万円を投じてスキルをつける

ケイン:学習はいつ頃からどれくらいやったのですか??

キャシ:2016年からフロントエンドとUXデザインの勉強をフルタイムで働きながらやって、その後仕事を辞めてUIデザインの学校に3ヶ月間通いました。 フロントエンドの学習は「Free Code Camp」 というオンラインサービスでやりました。これ、無料で学べるんですよ!

freeCodeCamp.org

ケイン:海外だと無料で学べるサービスありますよね!!(すごい!めっちゃ充実してる)

キャシ:そのあと、「CAREERFOUNDRY」というオンラインサービスでUXデザインを学んだんです。今は値段上がっているけど、そのときは10万円くらいで受けられました。
このときに、UXデザインはどの分野でも必要になる能力だと思いました。
歯科医院でレセプションをしていたときも、秘書をやっていたときも、お客さんの要望に答える必要がありました。お客さんの言うことを聞くのではなく、お客さんが言葉にしない真の要望を見つけないといけないんです。 その点がUXデザインと共通しているなと思いました。

UX Design Course With A Job Guarantee

ケイン:メモメモ…(UXデザインは顧客が言葉にしない真の要望に応えるスキルである)

キャシ:UXデザインを学ぶ中で、UIに特化したらグラフィックデザインの知識も使えていいなぁと思って、仕事を辞めて3ヶ月間UIデザインの学校に通うことにしました。
その学校は結構お金かかりましたね。7000ポンドなので100万円くらいですかね。そこは投資と割り切ってドーンといきました。

ケイン:そうだったんですね!
てっきり、ずっとデザイナーをやっていて、グラフィックからUIに転身したんだと思っていました。
がっつり学び直しの期間があったんですね。

キャシ原則は変わりませんが、技術は常に変わるので学び直しは必要です。
私は自分が納得するまで勉強したくて、2年半くらい勉強しました。フルタイムでUIデザインの勉強をしているときは毎日8〜10時間くらいはやってましたね。 働くに足るスキルを短期間で習得するのは無理だと思っています。

ケイン:そうですね。基礎を固める期間はしっかり取った方がいいと思います。 ツイッターなどのSNSでは、短期間で高い収入を稼ぐ人が注目されがちですが。。

キャシ:あと、未経験を強調する人をたまに見かけますけど、やめた方がいいと思っています。絶対にどこかでみんな経験があるはずなので。 使える経験を全く持っていない人なんていないですよ。

ケイン:デザイナーじゃなくても、身の回りにデザインは溢れてますもんね。誰かの困りごとを解決する経験もみんなあるだろうし。自分が現状持ってる経験やスキルを自覚するのはたしかに大切かもしれません。

UIデザイナーとしてのキャリアとこれから

ケイン:UIデザイナーになってからはどんなお仕事をしているんですか?

キャシ:最初は戦略のコンサルとかもやっているデザインファームでUIデザイナーとして働いていました。ただ、通勤に時間がかなりかかる場所だったので、ロンドンでフルタイムの仕事を探していたときに、流れでフリーランスになってしまいました笑

ケイン:流れってありますよね笑
キャシさんは最近、GoogleやFigmaからもオファーが来たらしいですね?それってどういうことしてたら来るんですか?

キャシLinkedinというビジネス系のSNSのアカウントを持っていて、特に投稿とかはしていないんですけど、職歴やプロフィール分は定期的に改善というかアップデートしています。 そうすると、ほぼ毎日リクルーターから連絡が来るんですよ。

ケイン:そういうことなんですね!Figmaには行かないんですか??笑

キャシ:そりゃあ行けるものなら行きたいですよ!笑
でも、今はon株式会社で重要度の高いプロジェクトに関わっているので、このタイミングではないですね。Figmaはまた募集かかると思うんで、今回は見送りました。

on株式会社

ケイン:なるほど〜!
キャシさんってすごく勉強熱心な印象があるんですけど、今何かやっていることとかありますか?

キャシ:今はGoogleのUX Design Certificateで、UXデザインを学んでいます。
自分の好きなことをやっているので、意識しなくても何かやっちゃいますね。好きだから、苦にならないし、もっとうまくなりたいとずっと思っています。

Google UX Design

ケイン:デザイナーって、デザインが好きでずっと勉強してるって人が本当に多いですよね!

キャシ:あとは、仲間に貢献したい・みんなに使ってもらえるものを作りたいと思っています。その辺を達成するためにも学び続ける必要がありますよね。

ケイン:デザイナーって仕事好きな人が多いと思うんですけど、その中で頭ひとつ抜けるコツとかってあるんですかね?

キャシ:デザイナーとして頭ひとつ抜けるコツは、他人のことをあまり気にしないことだと思います。
やっぱり「この人じゃないと持っていない何か」を持っていないと難しいです。そのためには他人の目を気にしないで、自分のやりたい道に突き進むのが重要なのではないかと思います。自分もまだまだですが笑
「この人じゃないとダメ」と思ってもらえる理由を持つことが大事なので、そういう意味では恋愛に似ているかもしれませんね。

ケイン:(….素敵)

やりたいことに出会うヒント

ケイン:キャシさんのこれまでの話を聞いて、やりたいことを追求する姿勢がすごいなと思いました。
普通だったら、大学の勉強や会社の仕事が100%自分のやりたいことじゃなくても「まあこんなもんか」って思ってしまいそうなものですが、心からやりたいことに出会うまで探し求めるってすごいですよね。

キャシ:良し悪しはわかりませんけどね笑
私、目標って持ってないんです。「何歳までにどうなりたい」とか、「今何歳だからこうすべき」とか、まったく思っていなくて。
そういった意味では年齢が足かせにならないというのはあるかもしれません。

ケイン:僕も「長期的かつ具体的な目標」はあまり役に立たないと思っています。
キャシさんが言ってたように、昔はPCでデザインする仕事ってほとんどなかったけど、今ではかなり増えているというように、世の中ってめちゃくちゃ変わりますからね。
「今やりたい」と思えることを本気でやるしかないですよね。

キャシ:あとは人の意見に惑わされないことも、とっても大事。 SNSとかでデザイナーさんが「今どきのデザイナーはこれを勉強しておいたほうがいい」みたいな情報発信していたりしますけど、盲目的・反射的に受け入れる必要はないです。
人の意見に惑わされない・人と比べて落ち込まない。それが重要です。

ケイン:本当に大事ですね! 本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!!

キャシ:こちらこそ!ありがとうございました😊

あとがき

2回に渡ってお送りしたキャシさんへのインタビュー、お楽しみいただけたでしょうか??

SNS上でしかコミュニケーションをとったことがなかったキャシさんと初めてお会いして、1時間半に渡りインタビューさせていただきました。
憧れの方とお話することができて、若干いつもよりテンションの高い記事になっていたかと思います😊

キャシさんの妥協しない性格や行動力の高さ、デザイナーとしての仕事へのこだわりなど、いろいろなお話の中でヒントになることがたくさんありました。僕自身にとっても非常に良い刺激になり、もっともっと成長していきたいと思っています。

キャシさん、お忙しい中、本当にありがとうございました!