売上の公式
売上=アクセス人数×転換率×客単価
売上UPの改善を行う中で一般的に後回しにされやすい客単価の施策ですが、客単価を上げることは売上だけではなく、配送件数の減少や同梱率の増加による配送コストの削減につながり、店舗の利益率の改善につながりやすい要素です。
しっかりと客単価を上げることでアクセスが増えたときに相乗効果で売上を最大化できます。
この記事を読み終えると客単価を上げるイメージを具体的に持つことができ、行動に移せます。
楽天市場における「客単価」とは?
1回の購入でユーザがどのくらいの金額で購入しているかを数値化したものです。
RMSの店舗カルテに表示される客単価は、お店全体の売上を売上件数で割って算出しています。
客単価の計算式
客単価=お店全体の売り上げ÷注文件数で算出できます。
また、RMSの店舗カルテの機能では新規顧客とリピーターに分けて客単価を確認することも可能です。
それぞれのユーザー毎の客単価を比較することで、より詳細な対策を検討しましょう。
客単価が低下する主な原因
客単価が低下する原因には大きく2つあります。
- 1人あたりの購入金額の減少
- 1人あたりの購入個数の減少
それぞれがどういった事が原因で起こるのか、いくつかケースを洗い出してみましょう。
1人あたりの購入金額
主に値引きやクーポン施策など、商品の販売金額を下げる施策を行う場合に購入金額が下がります。
※楽天の検索やランキングのロジックではクーポン値引き額は加味されない計上の仕方になっているため、あえてクーポン施策を積極的に行う方法もあります。
ただ、購入金額が下がるということは購入のハードルも下がるため、購入件数を増やすことで売り上げ自体をカバーすることが出来ます。
また商材によっては、例えば電動歯ブラシのように単価の高い本体を購入した後にブラシヘッドを購入するなど、本体を購入したあとに付属品を購入するケースでは客単価が減少しやすいケースもあります。購入金額が減少すること自体は必ずしも悪いとは限らないので、必ずなぜ減少しているのか?その原因を特定するようにしましょう。
1人あたりの購入個数
楽天お買い物マラソンや楽天スーパーSALEなどのイベントが定期的に開催されます。
イベントのタイミングに合わせてクーポンや値引き等の施策を実施することが多いと思いますが、定期的に施策を続けていくとエンドユーザーがイベント以外に商品を買わなくなり、1人当たりの購入個数が減少する傾向にあります。
また、上記の楽天イベントも1店舗内の買い回りよりも複数店舗での買い回りを推奨するポイントアップシステムになっているので、楽天市場のエンドユーザーは1店舗あたりの購入額を抑えて複数店舗で購入し、買い回りポイントを貯めていくような状況になっています。
楽天市場で客単価を向上させる5つの施策
客単価を向上させることは、費用がかかるRPPや楽天市場広告での集客施策と連動することで売り上げを最大限に上げることができます。
また、客単価を上げることでそれぞれの広告の費用対効果の改善も期待できるので、以下の5つの方法を積極的に取りいれましょう。
1.組み合わせ販売設定を追加する
RMSには指定した組み合わせの商品をエンドユーザーが一括でお買い物かごに入れる機能「組み合わせ販売設定」があります。1つの商品(親商品)に対して最大3つの商品(子商品)を、関連商品として店舗様で組み合わせることができます。
組み合わせられた子商品は親商品のページにて関連商品として表示され、ユーザーは親商品と子商品をまとめてお買い物かごに入れることができます。また、1つの商品に対して、2つの組み合わせまで表示できます。
たとえば家電の親商品に対して延長保証の子商品、ギフトの親商品に対してラッピングの子商品など、商材の特性にあった組み合わせを設定することで客単価の向上が見込めます。
ただし組み合わせ販売を出来ない商品も多く、子商品の登録については項目選択肢在庫商品(バリエーション)や項目選択肢(商品オプション)を設定している商品は登録できないので、店舗様によっては組み合わせの幅に制限があることも多いです。
もし可能な組み合わせがあればぜひ登録してください。
2.セット商品を登録する
本体+詰め替え、ギフトラッピングセットなど、特定の商品を組み合わせた商品を販売することで単価が上がりやすくなります。化粧品だとクリスマスコフレや、年始の福袋等、季節のイベントに合わせた商材を登録することでイベントと併せて客単価の高い商品を売ることが出来ます。
また、別々に買うよりもセットで購入すると、配送も1つに同梱できるので配送費の負担を少なくすることができます。配送費の節約分、値引きやクーポンを設定して販売を促進することで売り上げを促進することが出来ます。
注意点は新たに商品を登録すると販売実績が0からのスタートになるので、景表法の観点で値引きの訴求がしづらいことや検索結果が上位化されていない状況からのスタートとなります。セット商品を登録する際には店舗の回遊導線を強化してしっかりとエンドユーザーの目に留まるように工夫しましょう。
3.クーポンの利用最低金額を設定する
クーポンを使用する際に利用最低金額を設定できます。例えば通常時の客単価が4,000円の店舗様なら5,000円以上で使えるクーポン等、通常時の客単価より少し高い金額ラインを設定しましょう。
あまりに高すぎると使われる可能性も低くなるので、現実的なラインを見極めてください。クーポンは利用されなければコストにならないので、色々な金額ラインを試して一番購入されやすい金額ラインを見極めましょう。
例えば条件無しだとクーポンを設定することで赤字になってしまうような商品も、利用最低金額を設定することで安心してオファーとして訴求することができます。また、クーポン利用の売り上げはクーポンやランキングのロジック上値引き前の金額がスコアとして反映されるので値引き施策よりもSEOを最適化しやすいメリットもあります。
4.まとめ買いクーポンを発行する
クーポンには利用最低金額だけではなく、購入数にも条件を付けることが可能です。例えば1,000円の商品に対して、3つ以上で使える300円OFFクーポンといった設定が可能です。
特に消耗品を扱う店舗様には有効な施策で、自店舗の商品特性を考え、複数買ってもエンドユーザーが困らない商品か確認してから発行しましょう。
また、金額や個数など、利用個数の条件をつけるときにはクーポンの「1ユーザあたりの
利用回数上限」に注意しましょう。こちらはクーポンの対象商品の有無によって定義が変わってしまいます。
全品対象の場合:1注文ごとにクーポンが1回適用されます。
指定した回数=1ユーザーがこのクーポンを何回お買い物に使えるかとなります。
指定商品対象の場合:商品1点ごとにクーポンが1回適用されます。
指定した回数=割引が適用される商品数となります。
例えば、3000円以上で300円OFFクーポンを発行した際に
全品対象の場合:
1ユーザーあたりの利用回数3回→1注文につき300円OFFの値引き
指定商品対象の場合:
1ユーザーあたりの利用回数3回→1注文につき最大900円OFFの値引き(商品1つに対して300円OFFになるため)
と予想外の値引きコストが発生してしまう可能性があります。
クーポンを発行する際には十分に気を付けましょう。
5.上位商品への導線を作る
同じ商品のよりスペックが高い商品や、容量違いの商品がある場合は、より大容量の商品への導線を設定することで客単価の向上を狙えます。容量違いの商品でしたら、少量の商品と比べて金額単価を少し安く設定しましょう。
例えばお肉などの生鮮食品ではスーパー等でパックに「100gあたりの金額」が表示されています。
商品ページ上でも「100gあたりの金額」を容量毎に記載し、一番多い容量の商品の金額単価を安く設定することでエンドユーザーにお得感が伝わりやすくなります。
またSKUプロジェクト移行済の店舗様はマルチSKUを活用することで1商品の中に容量毎の商品を登録することが出来るので、回遊導線を貼ることなく大容量の商品を見せることが出来ます。
ただしクーポンやポイント変倍はSKU毎に設定できないので、容量毎に施策を行っている店舗様はそのままページをまとめると全ての容量にクーポンやポイント変倍が適用されてしまうので注意しましょう。
客単価以外で楽天の売上アップにつながる3つの要素
さて、ここまでは客単価を上げる施策について説明してきました。
上記の施策はアクセス、転換率アップの施策と組み合わせることで売上を最大化することができます。
売上アップのために他にどんなことが出来るのか確認していきましょう。
1.アクセス数
アクセスを上げるには楽天市場広告の活用や、SEO対策による検索結果の上位化、楽天ランキングへの入賞などが挙げられます。客単価を上げる施策を同時に行うことで、アクセス数の向上を狙えます。例えばセット品を登録することで、商品の入口を増やすことができます。
ニッチな商品の場合、KWによる検索結果が数店舗の商品で1ページを独占している例もあります。その場合はセット商品等の新商品を登録することで「1ページに占める自店の商品数」を増やすことができ、結果アクセス数の向上につながります。
一方、市場広告を使った場合は一般的に価格の低い商品の方がアクセスされやすい傾向にありますので、単価の高い商品は広告の入口として向かない場合が多いです。単価の低い商品を入口に、店舗内回遊で単価の高い商品に誘導させるのが良いでしょう。
以下の記事では、楽天SEOについて詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
⇒【初心者必見】楽天SEOとは?売上を上げる10の施策や注意すべきポイントについて徹底解説します!
2.転換率
転換率はページにアクセスしてきたユーザーに対しての購入率を指します。
購入率を上げるには、値引き、クーポン、ポイント変倍等のオファーを付与する施策や、ページコンテンツのリッチ化が挙げられます。
オファーを付与すると客単価が下がる懸念があるので、客単価の向上も維持しながら転換率を挙げるにはページコンテンツのリッチ化を行いましょう。
まずは、
- フリック画像は20枚入っているか
- スマートフォンで見た際に見やすい画像になっているか
- 他社に負けない魅力は訴求できているか
等、ページに商品の画像が画像がしっかり入っているかだけでも確認しましょう。費用をかければ伸ばせるアクセスと違い、大きく数字を改善することは難しいです。
ただし1%転換率を向上させれば、アクセス、客単価の向上にともない売り上げを大きく伸ばせることが出来ますので、こちらもしっかり対策しましょう。
なお、転換率のアップさせるコツについて以下の記事で解説しているため、ぜひご覧ください。
⇒【店舗担当者向け】楽天市場における転換率とは?低くなる原因やアップさせるコツを徹底解説します!
3.リピーター
一般的には新規よりリピーターの方が客単価が高い傾向になります。また、新規顧客と違い広告等を使わずとも店舗にアクセスしてくれるので、費用対効果が高く売り上げを作ることができます。
何よりも商品や店舗のことを好きになってくれている顧客ですので、リピーター施策も積極的に取り入れましょう。例えばメルマガやLINE限定のシークレットクーポンを発行することでリピーターに特別感を与えることが重要です。
また、自店のリピーターが何を購入しているのかをしっかり分析し、近しい商品のバリエーションを増やしたりすることも有効です。商材によってリピーターの特性が大きく異なりますので、自店のリピーターが何を購入しているのか把握しましょう。
楽天市場の客単価でよくある3つの質問
こちらでは客単価を挙げるためによく挙げられる質問をまとめました。
質問①組み合わせ販売設定の方法は?
RMSの「商品管理」画面に「組み合わせ販売設定」というボタンがあります。
組み合わせ登録画面で組み合わせの名称や説明文、親商品、子商品を登録することが出来ます。
質問②楽天市場での「客単価」を把握する方法は?
RMSのデータ分析→店舗カルテから確認できます。店舗カルテではお店全体の客単価だけではなく、新規、リピート別の客単価も確認できます。
客単価を上げる施策を実施するときには新規向けの施策か、リピーター向けの施策かを意識して分けましょう。買い方が異なるので、それぞれの購買活動にあった施策を実施することが重要です。
質問③楽天市場における客単価アップの相談先は?
自店で客単価アップをはじめ、売り上げを上げるときに困った場合は外部のプロに任せるのも一つの手です。客単価アップの施策においてもジャグーでは商品の利益まで計算した上で施策を提案するので、「売り上げが上がっても利益がとれない」といった悩みはありません。ぜひご気軽に相談してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?この記事では客単価を上げるために何をすれば良いのか解説しました。
客単価が下がる原因をしっかり特定し、客単価を上げるための具体例をいくつか紹介いたしました。それでも、もし客単価アップに迷ったらECのプロであるジャグー株式会社にご相談いただければと思います。
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