EC店舗の運営担当者にとって、どのモールにおいても「転換率」は向上させたい指標の一つですよね。
しかし、楽天市場やYahoo!ショッピングと違って自由度の低いAmazonにおいて、この指標を向上させるために「具体的に何をすれば良いのか?」のイメージが湧かない方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、Amazonにおける転換率UPの具体的な方法を10個厳選して解説します。
中には費用をかけずに行える施策も多くございますので、一つずつ消化して売上UPに繋げていましょう!

テキスト型:

画像型:

Amazonにおける転換率(CVR)とは?

Amazonにおける転換率

まずは、Amazonにおける転換率の指標を解説させていただきます。

厳密にはAmazonでは、「ユニットセッション率」と呼ばれる指標に着目します。

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ユニットセッション率(%):

特定の商品のページを閲覧した購入者数に対して、購入された商品のユニット数の割合。

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ユニットセッション率

※Amazonセラーセントラル「ビジネスレポート」より

ユニットセッション率は、指定した期間内のユニット数 ÷ セッション数で算出されます。

関連指標の定義もこちらに記載しておきます。

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ユニット数:

一定の期間内に販売した商品数。

購入者が同一商品を2個買った場合は、2ユニットとカウントされます。

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セッション数:

出品者の商品詳細ページを24時間以内に購入者が訪問した回数。

※ストアフロントやブラウザノードが訪問された回数は、セッションとしてカウントされない。

Amazonで転換率が重要視される理由

転換率(Amazonにおいてはユニットセッション率)は、楽天市場やYahoo!ショッピングと同様、Amazonでも大変重要な指標になり、店舗様の売上を大きく左右します。

弊社のブログをご覧いただいている方はお察しの通りだと思いますが、「売上の公式」の一部となっているからです。

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売上 = セッション数 × ユニットセッション率 × 平均売価

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売上を算出する上記の式からも分かるように、セッション数、ユニットセッション率、平均売価、いずれかの指標が向上すれば、売上は向上します。

とは言えセッション数は、ある程度まで到達するとそれ以上向上させるためには広告費が必要となります。

また、平均売価は商品ラインナップにも依存するので、同じ商品群の中で向上させようとすると、まとめ買い施策(クーポン値引き等)のコストがかかります。

一方でユニットセッション率については、工夫次第では1%→2%のように倍の数値への引き上げも期待することができ、単純計算でこの数値が2倍になると売上も2倍です。また、工夫というのは商品の魅力の伝え方も含まれるため、費用をかけずに向上させることも可能です。

Amazonにおける転換率の目安

商品ジャンルや価格帯にもよりますが、まずは5%を1つの基準として目指しましょう。

Amazonに限らず、ECサイト全体的な傾向として平均的なコンバージョン率は1〜5%と言われています。

転換率とユニットセッション率の違い

楽天市場における「転換率」、Yahoo!ショッピングにおける「平均購買率」と比較すると、意味が若干異なります。

「転換率」、「平均購買率」は、アクセスに対する購入者の人数の割合を表しております。

一方で、「ユニットセッション率」は商品の個数の割合を表しております。

楽天やYahoo、Amazonにおいてこれらの指標の数値を単純比較すると、捉え方に相違が発生してしまいます。ここはしっかり抑えておきましょう。

Amazonの転換率を上げる10の方法

1. 商品の画像を充実させる

メイン画像、サブ画像の2種類に区別して対策を考えていきましょう。

①メイン画像

メイン画像

メイン画像は、商品検索画面に表示される画像です。背景には純粋な白(RGBカラー値:255,255,255 と明確に規定)を使用する必要があり、商品の上部または背景に、テキスト、ロゴ、縁取り、カラーブロック、透かし、その他のグラフィック等の配置は禁止されております。自由度がかなり低いので、一目でどんな商品かが分かるような画像を準備しましょう。

また、Amazonの商品画像エリアには「ズーム機能」があります。(以下参照)

ズーム機能が使用できる商品詳細ページは購入転換率UPが期待できることが証明されているため、必ず本機能の要件を満たすような画像を用意しましょう。ズーム機能が表示される画像の最小サイズは長辺1,000ピクセル、最適に使用するには長辺1,600ピクセル以上が必要です。

ズーム機能

②サブ画像

商品の魅力を効果的に伝えるような画像を用意しましょう。6枚は設定することをお勧めします。

Brand Registryに登録している出品者であれば、商品ページへの動画設置も可能となります。可能な商品は是非設置しましょう。

サブ画像

弊社ではサポートさせていただく店舗様から、「サブ画像ではどのような訴求をするのがベストか?」とご質問いただく機会もございます。

そこで今回は、画像構成の一例を記載しますので、参考にしていただけますと幸いです。

枚数訴求内容
1枚目白背景メイン画像
2枚目権威性(受賞歴、メディア掲載事例等)
3枚目商品説明(ユーザーの課題解決)
4枚目商品説明(強み、こだわりポイント)
5枚目商品説明(スペックや使用方法)
6枚目品質保証や検品体制、競合比較
7枚目動画

なお、商品画像については以下の記事でも詳しく解説しています。コツだけではなく注意点もお伝えしているため合わせてご覧ください。

【2023年最新版】Amazonで売れる商品画像を作る10のコツ|重要な理由や種類、注意点を解説!

2.商品の価格を見直す

転換率対策はノーコストで出来る事が多いとは言っても、競合との価格差があまりに開きすぎている場合はその効果も大幅にダウンしてしまいます。最低でもまずは、お客様が比較検討していただけるレベルまでの価格調整は行いましょう。商品が出品者のオリジナル商品の場合は、価格への納得性の高い商品情報が記載されているかも重要です。

3.FBAを活用する

FBA(フルフィルメント by Amazon)とは、出品者が商品をAmazonフルフィルメントセンターに納品し、Amazonがこれらの商品をピッキング、梱包、出荷して、カスタマーサービスの提供をも行うサービスの名称です。

FBAを利用することで、FBAを導入した商品に「primeマーク」が付与されます。

(Amazonプライム会員ユーザーのみ。非プライム会員には非表示。)

検索結果ページや広告内など、至る所にこのアイコンが表示されます。

FBAを活用する
FBAを活用する

FBAを導入することで「お急ぎ便」や「お届け日時指定便」が無料で利用でき、またカート獲得率の向上も期待できるため、転換率UPにも繋がります。

4.商品紹介コンテンツ(A+)を利用する

商品紹介コンテンツ(A+)とは、商品ページ内におけるコンテンツの1つで、商品画像(メイン/サブ)や商品説明文で表現しきれない商品情報、ブランド情報を訴求できるエリアです。画像や文章を組み合わせて商品ページに掲載することで、商品の訴求力を高め、よりリッチなページを作成することができます。

こちらのコンテンツを利用して商品の魅力を伝えたり、商品の特徴を強調することで否定的なレビューを減らしたりと、本機能を利用するメリットは数多くあります。今や、Amazonで売上を伸ばすためには必要不可欠な機能となっております。(一部の機能を除き、基本的には無料でご利用いただけます!)

商品紹介コンテンツ(A+)では、様々なモジュール(添付画像参照)からパーツを選びながら、作成を進めていきます。モジュールの種類も2023年9月末時点で全17種類と、豊富なパターンから選択することができます。各モジュール内に設定できる画像は、縦横サイズが決まっておりますので画像サイズや画質も意識しながら作成を進めてみてください。

商品紹介コンテンツ(A+)を利用する
商品紹介コンテンツ(A+)を利用する

弊社調査では、商品紹介コンテンツ(A+)を利用することにより平均3%〜8%のCVR向上が見込めます。

是非、商品ページ作成の際にはこちらの機能を利用しましょう。

5.良いレビューを集める

今やEC運営において、レビュー評価は抑えるべき重要なポイントとなっています。

株式会社情報通信総合研究所の調査結果では、どの世代においても全体の8割近いECユーザーが「レビューを参考にする」と回答しています。この傾向は若いユーザー程顕著に現れており、これらの世代が今後全体のボリュームゾーンを構成していくことを考えると、レビュー対策は避けて通れないものであることが分かります。

良いレビューを集める

また、レビューを読む際に重視する点として「情報量が多い」「最近の」「信頼度」を重視しており、端的な点数よりも参考にしているという調査結果もあります。あまりに極端なレビュー点数は、ユーザーからサクラを疑われる風潮も強まっている時代ですので、真摯な対応が必要になっていきますね。

良いレビューを集める

出典元:GDPに現れないICTの社会的厚生への貢献 に関する調査研究

良いレビューを集める対策をお伝えする前に、Amazonではカスタマーから高い評価を受けるために意識すべきことがまとめられています。前提としてこれらはしっかり抑えて運営しましょう。

その上で、良いレビュー多くを集めるためには

  • 質の高い商品、サービス提供
  • 注文履歴 > レビューリクエスト機能を利用する
  • カスタマーレビュー機能を利用して、低評価レビューの購入者をフォローする(要ブランド登録)

等が挙げられます。

中でもレビューリクエスト機能はどんな出品者でも条件無く利用できるものであり、コツコツとルーティンワークとして実施されることをおすすめします。

レビューリクエスト機能

また、直接的な対応では無いですが先述した「商品画像の登録」「商品紹介コンテンツ(A+)の利用」も重要です。不完全な商品情報の掲載は、購入後のユーザーに「知らなかった」「騙された」とネガティブな印象を与えかねません。正しい情報を明確に商品ページに記載することで、これら低評価レビューに繋がるようなポイントを事前に防ぐことも重要です。

6.カスタマーQ&Aを活用する

カスタマーQ&Aとは、お客様が商品に関する質問を商品ページ内に投稿し、出品者もしくはお客様が回答する機能のことを指します。商品画像、商品説明、商品紹介コンテンツ(A+)等で訴求しきれない情報に対して、お客様からの疑問や質問に対応できる、というものです。実は購入者は、結構な割合でこちらを見ています。しっかり対応して転換率UPに繋げましょう。

次の添付画像の赤枠の部分のように、レビュー評価の隣に回答済み質問数が表示されます。こちらをクリックすると商品ページ下部にあるQ&Aエリアに遷移します。

カスタマーQ&Aを活用する

回答する際には、質問をクリックすると該当ページに飛ぶことができます。テキストはもちろんのこと、動画による回答も可能ですので、できるだけ購入前のユーザーが疑問を解消しやすいような回答を心がけましょう。

また、カスタマーQ&Aに質問が投稿されることはすなわち、「商品ページの訴求内容に不足がある」と解釈することもできます。質問の内容に応じて商品画像を修正したり、訴求内容を入れ替えたりと、ページ改善を検討する機会提供の場として捉えるようにしましょう。

カスタマーQ&A

カスタマーQ&A

余談ですが、商品ページによってはこのカスタマーQ&Aが表示されていないケース(検索KW入力して初めて表示される)がございます。特定の商品のQ&A一覧を見たい場合、以下のURLを利用してみてください。

7.プロモーション割引を利用する

タイムセールへの参加やクーポン、プロモーションの利用も転換率UPに繋がります。

特に販売開始後、間もない商品は売上の初速をつけるためにもこれらの割引施策は効果的です。

プロモーション機能は、商品ページに表示しない(非公開)設定も可能です。

これを活用することで、「LINE友だち登録者限定」「SNS投稿を見た方限定」のような、Amazon外部のユーザー獲得の施策にも活用できますので、実施したいキャンペーンの内容に併せて使い分けましょう。

プロモーション割引を利用する

8.配信キーワードを見直す

転換率UPを目指して、スポンサープロダクト広告・スポンサーブランド広告の配信キーワード見直しを行いましょう。もし、掲載している商品に対してニーズの異なるキーワードでの流入が発生している場合、それらのユーザーは離脱に繋がっている(=転換率引き下げ要因になっている)可能性が高いです。

配信キーワードを定期的に見直すことは転換率の向上にも繋がりますので、定期的に行いましょう。

9.Amazonおすすめやベストセラーのマークを付与する

「Amazonおすすめ(旧Amazon’s Choice)」や「Amazonベストセラー」のアイコンは、お客様の目に留まりやすく商品や出品者への信頼も高まりますので、是非とも獲得したいものです。

Amazonおすすめやベストセラーのマークを付与する

①Amazonおすすめ(旧Amazon’s Choice)

①Amazonおすすめ(旧Amazon’s Choice)

下記のように定義している商品を指します。

Amazonおすすめには、すぐに発送ができて、評価が高く、お求めやすい価格の商品が揃っています。

明確なアイコン取得基準は公開されておりませんが、以下の3つ観点からサービスを向上させることが、アイコン獲得に繋がる対応策となります。

  • 発送の早さ …FBAの利用を検討
  • 評価の高さ …先述のレビュー対応策や商品ページの改善
  • 価格の安さ …相場や競合と比較してお求めやすい価格に設定

原則、1つの検索キーワードに対して1商品、Amazonおすすめアイコンが付与されます。

②Amazonベストセラー

②Amazonベストセラー

一方で「Amazonベストセラー」は、特定のAmazonカテゴリーランキングで1位を獲得した商品に付与されます。こちらも「Amazonおすすめ」同様、付与基準は公表されておりませんが、一般的には特定カテゴリにおける最新&累計販売数が影響していると言われており、Amazonもそのような言い方をしております。ランキングは商品登録情報のカテゴリ・サブカテゴリ(ブラウズノード)に対して獲得するものなので、商品は適切なカテゴリに登録するようにしましょう。また、ランキングは1時間ごとに更新されておりますので、1時間毎にベストセラーも更新されていると考えられます。

「Amazonおすすめ」とは異なり、「Amazonベストセラー」はカスタマーレビューや配送に関する指標の影響を受けません。販売方法次第では、新規登録商品にも獲得するチャンスがありますね。アイコンは大型イベント時に表示されていることが望ましいので、イベント開始数時間前にSALEをスタートさせ、開始直前でのランキング受賞を狙うような施策も効果的だと考えられます。

10.カートボックスを獲得する

こちらもとても重要な対応です。

原則、Amazonでは1商品に対して1事業者のみが、以下のような「カートに入れる」ボタンを獲得できます。この事を、よく「カートを獲得する」「おすすめ出品になる」のような言い方をします。逆に獲得が出来ていなければ、下部の「こちらからもご購入いただけます」のエリアに落ちてしまうので、カートボックス獲得の対象か否かは大きな差となります。

カートボックスを獲得する

対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

①出品形態 …大口出品者である必要があります。

②パフォーマンス指標 …3つの指標「注文不良率」「キャンセル率」「出荷遅延率」が見られます。これらのパフォーマンスが良ければ対象となる可能性が高くなります。

③注文数 …一定の注文数が必要になります。(必要な注文数はカテゴリ毎に異なる)

FBAを利用している出品者は、②と③のパフォーマンスが向上する傾向にあるため、利用を検討されることをおすすめします。詳細は、以下のAmazonヘルプページもご確認ください。

Amazonの転換率でよくある3つの質問

ここからは、Amazon転換率UP施策についてお客様とお話しする際に、よくご質問をいただく内容について説明していきます。

質問①AmazonプレミアムA+とは何?

2022年8月12日に新着情報で案内された機能で、従来の「商品紹介コンテンツ(A+)」のアップグレード版です。ブランドオーナー(Amazonブランド登録者)が使用できます。

従来版とプレミアム版の違いを簡単な表にまとめると、以下のようなイメージになります。

タイプ従来版A+コンテンツプレミアムA+コンテンツ
テキストと画像
画像サイズ(px)970 x 3001464 x 600
比較表
商品ページで利用可能なモジュール数77
利用可能なモジュールの選択肢1720
ビデオ(動画)×
カルーセル(スライダー)×

ビデオやカルーセルを利用できることで、従来版と比べてもよりリッチなコンテンツが作成できることは大きいですね。さらに「Q&Aモジュール」もあるので、よりユーザーに寄り添ったコンテンツの作成が可能となりました。

質問①AmazonプレミアムA+とは何?
質問①AmazonプレミアムA+とは何?

利用可能な出品者様は、是非プレミアムA+でのコンテンツ作成にチャレンジしてみましょう。

質問②転換率のアップに欠かせないビジネスレポートとは?

売上実績やセッション数、ユニットセッション率、平均売価など、売上に関する様々な指標が確認できるレポートのことを指します。日々の売上と各指標の動きを見ながら、改善に役立てることもできます。

質問②転換率のアップに欠かせないビジネスレポートとは?

なお、以下の記事では、レポートの確認方法や確認すべきポイントについて解説していますので、あわせてご覧ください。

【2023年版】Amazonにおけるレポートの確認方法を徹底解説!確認すべきポイントもご紹介!

まとめ

いかがでしたでしょうか。

転換率UP施策は、中には地道な作業も多く、店舗運営を行っていると日々の目の前の業務に追われるため、知ってはいるものの後回しにしているものがあるかもしれません。

一方で、弊社も様々な企業様を支援させていただいておりますが、売上を作っている店舗様はこれらの作業時間をしっかり確保し、着実に前に進めている傾向にあります。

本テーマは、売上アップや利益拡大がミッションとなるEC運営において、避けては通れない内容になりますので、「どうしても手が足りない!」といった店舗様は是非一度お問合せください。弊社メンバーがお力になれることも多いかと思います。