Amazonでは様々な広告メニューが用意されている中、スポンサーブランド動画広告は利用している競合が少なく、より具体的に情報を届けることができることから、効率的に売上を伸ばすには重要なツールの一つです。
この記事ではスポンサーブランド動画広告を利用するためのステップ、注意点について解説します。
Amazonの「スポンサーブランド動画広告」とは?
スポンサーブランド動画広告とは、Amazonで用意されているスポンサーブランド広告の一種で、Amazon DSPで配信できる動画広告メニューとは異なる広告となります。
動画の長さは6~45秒とされており、一つの商品詳細と共に構成され、Amazonの検索結果に表示されます。
リンク先はAmazonストアまたは商品詳細ページに設定することができ、広告を見たユーザーが動画か商品詳細をクリックすると遷移する仕様です。
スポンサーブランド動画広告の配信要件
動画広告の表示
動画広告の表示は主に3つに分けることができます。
①商品の情報
→商品詳細ページに掲載された主な商品画像と商品情報 (タイトル、レビューの評価、レビュー数、価格、プライムマーク)が表示されます。
②動画
→画面が50%以上表示されると自動的に再生される仕様となります。
動画の時間は6~45秒です。
③ミュート切り替えボタン
→動画画面の右下に表示され、音声の再生をコントロールすることができます。
デフォルトでは常にミュートが設定されており、ユーザーが音声を再生しない限りは音声なしで再生されます。
動画に音声が設定されていない場合はミュート切り替えボタンも表示されません。
掲載できる動画と音声
掲載可能な動画と音声に関するレギュレーションは下記の通りです。
再生時間 | 6~45秒(20秒以下を強くお勧めします) |
動画のサイズ | 1280×720ピクセル、1920×1080ピクセル、または3840×2160ピクセル |
ファイルサイズ | 500MB以下 |
ファイル形式 | .MP4または.MOV |
アスペクト比 | 16:9(正方形ピクセル)のみ |
動画コーデック | H.264またはH.265 |
動画のプロファイル | メインまたはベースライン |
フレームレート | 23.976fps、23.98fps、24fps、25fps、29.97fps、29.98fps、または30fps |
動画のビットレート | 最小1Mbps(4Mbps以上を推奨) |
動画スキャンの種類 | プログレッシブ |
音声コーデック | PCM、AAC、またはMP3 |
音声形式 | ステレオまたはモノラル |
音声ビットレート | 最小96kbps |
音声サンプルレート | 最小44.1kHz |
引用:スポンサーブランド動画広告クリエイティブ(Amazon広告公式)
音声に関するレギュレーションも記載しておりますが、決して必須という訳ではありません。
音声が無い動画の場合でも掲載可能なのでハードルは少し下がりますね。
広告ガイドライン
スポンサーブランド広告にはガイドラインが存在し、基本的には商品やブランドとの関連性が高くある必要があります。以下がガイドラインとなりますので、動画作成前のポイントとして目を通しておくと良いでしょう。
動画アセットの要件
動画が以下のガイドラインに準拠していることを確認してください。
- レターボックスまたはピラーボックス形式: 動画コンテンツのいずれの側にもバーを表示しないでください。
- 動画の最初や最後に空白または黒のフレームを使用することは許可されていません。
- 動画広告では、説明(ナレーション、スピーチ、またはテキスト)が文章の途中で切れるような仕方で終了することはできません。
コンテンツガイドライン
動画は一般のオーディエンスに適した内容で、宣伝対象のブランドまたは商品を明確に表すブランド名、ロゴ、または商品を含める必要があります。動画は、禁止コンテンツや主張など、Amazonのポリシーに準拠している必要があります。
スポンサーブランド動画広告は、音声なしで自動再生され、お客様がクリックすると音声が流れます。そのため、音声がなくても理解しやすく訴求力の高い動画をお勧めします。
以下の場合は、音声トラックのない動画も許可されています。
- 動画に音声がないことがお客様にとって明確でなければなりません(たとえば、「音声なし」という免責条項を広告に表示するか、セリフを話す人物が登場しない)
- 音声がなくても動画の内容をお客様が理解できる必要があります
- 動画は、広告が表示されるAmazonストアの地域の主要言語(「現地語」)でなければなりません
- 音声は現地語でなければなりません。音声が別の言語の場合は、現地語の字幕(またはテキストトランスクリプト/翻訳)が必要です
- 動画内の重要なテキスト(商品情報や説明など)は、現地語でなければなりません
動画のフォーマットと品質
カスタマーエクスペリエンスを向上させるため、広告の動画には以下を含めることはできません。
- ぼやけた、不鮮明、または認識できない映像
- 広告テンプレートの読みやすさを妨げるクリエイティブ要素。たとえば、スポンサータグやミュートボタン(動画に音声が含まれない場合は除く)など。詳細情報については、動画セーフゾーンテンプレートを参照してください
- カスタマーレビュー(レビューの星の数を含む)、レビューがAmazon内からのものでも同様。
- セール、割引、その他の値引きプロモーション
- 注意力を削ぐ画像(オブジェクトやテキストの点滅、回転、振動、またはコントラストの高い画像の切り替わり)
- 注意力を削ぐ、かん高い、予想外の、または暴力的で、不快感を与える音声。これには、音量の急激な変化、非常に高い音声、予期しないまたは文脈的に無関係な音が含まれます
- 判読不能なテキスト。テキストのサイズは、一般的なお客様が読めるように十分な大きさでなければなりません。広告では、テキストと背景に同じ色または類似の色を使用できません(ライトグレーの背景に白のテキストなど)。これは、テキストが判読不能になるためです
- 雑音、パチパチという音、かすかなメッセージ、低い音声、ペースが速い、聞こえない、明瞭でない、認識できないなど、音質が悪いもの
- 画質の悪い動画、低い解像度
- お客様のクリックや購入の誘導を目的とした、圧倒させられる、挑発的な、または緊急性をほのめかす言い回し
- 詳細情報については、Amazonの購入者に働きかけるブランドクリエイティブの構築方法をご覧ください
引用:動画のガイドライン
Amazonスポンサーブランド動画広告を出稿する2つのメリット
1.画面占有率が高く目立つ
メリットの一つ目は画面の占有率が高いという点です。
検索結果に表示された際、スポンサーブランド広告は画面上部に表示され、静止画が並んでいる中で唯一の動画で多くの情報を提供できるという点もユーザーの目を引くポイントとなります。
Amazonにおいては、利用ユーザーの75%が検索によって商品を見つけると言われている中で、検索結果で目立つということは非常に大きなメリットとなります。
2.具体的なアクションを起こしやすい
二つ目のメリットはユーザーが具体的なアクションを起こしやすいという点です。
スポンサーブランド動画広告は単なる動画のコンテンツではなく、前述の通り商品情報も表示されますので、動画を見て興味を持ったユーザーはすぐにAmazonストアや商品詳細ページに遷移し、購入や欲しいものリストへの追加などのアクションを起こすことが可能です。
Amazonスポンサーブランド動画広告の効果を高める5つのコツ
1.最初の1秒で興味を引く
スポンサーブランド動画広告だけではない話ですが、動画広告は開始直後の1秒でいかに興味を引くかが長く広告を見てもらうための重要なポイントとなります。
何についての動画なのか、世界観などが最初の1秒で伝わることを意識して動画を作成しましょう。
2.音声が再生されない想定でクリエイティブを作る
スポンサーブランド動画広告が表示される際、最初はミュートがデフォルトで設定されています。
ユーザーがミュートを解除しない限り音声は再生されませんので、音楽やナレーションに頼った動画ではなく、しっかりと文字入れを行うことが重要です。
最初から音声は再生されない前提で動画を作成することをおススメします。
3.動画の長さは15秒~30秒に抑える
スポンサーブランド動画広告は6~45秒の動画を掲載することが可能ですが、Amazonのレギュレーションでも20秒程度を推奨されているように長い動画が良いという訳ではありません。
動画広告は長く見てもらうことよりも、いかに短い時間の中で商品やブランドに興味を持ってもらうかが重要です。伝えたいメッセージや訴求が端的に伝わる動画を意識して作成しましょう。
4.ループ再生された際のつながりを意識する
スポンサーブランド動画広告は再生が終了すると自動的にループ再生される仕組みとなります。
ですので、最後に空白の時間を作らないなど動画の最後と最初の繋がりに違和感がないかも注意を払って作成するとより良い動画広告になるでしょう。
5.ワクワク感と好奇心を促す
動画広告は静止画とは違い、動的に情報を伝えられることが大きな特徴です。
動画を見たユーザーが興味を抱いたり購入したくなるようなワクワク感や好奇心を促す動画が作成できれば広告の効果も更に良くなります。
ユーザーがアクションを起こすきっかけとなることを意識し、キャッチーな動画を作成することをおススメします。
Amazonスポンサーブランド動画広告の設定手順は5ステップ
ステップ1.自社のブランドを登録する
スポンサーブランド動画広告を配信するために、まずは自社のブランドをAmazonに登録する必要があります。
(他のスポンサーブランド広告を配信している場合はこのステップは既に行っているのでスキップ可能です。)
以下のページからブランド登録を行うことができます。
参考:Amazon|Amazonブランド登録
ステップ2.キャンペーンを作成する
キャンペーンのページに行き、画面下部にある「キャンペーンの作成」をクリックします。
次にキャンペーンの種類の選択で画面中央の「スポンサーブランド広告」をクリックします。
そうするとキャンペーンの作成画面が表示されますので、下記項目を選定します。
- キャンペーン名
- 開始日、終了日
- 予算
ステップ3.広告フォーマットを選択する
次に広告グループを作成します。
今回はスポンサーブランド動画広告なので、フォーマットは「動画」を選択してください。
ランディングページは「Amazon内のストア(サブページを含む)」か「商品詳細ページ」のいずれかを指定します。
ステップ4.広告のクリエイティブを指定する
次は広告の作成です。
広告に配信したい商品と動画クリエイティブを設定してください。
ここで動画内に写っていない商品を設定すると、審査に落ちますのでご注意ください。
ステップ5.キーワードターゲティングを設定する
ターゲティングは以下の二種類があります。
- キーワードターゲティング
- 商品ターゲティング
今回は比較的効果が見込めるキーワードターゲティングについてご紹介します。
キーワードターゲティングでは「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」のマッチタイプ選択が可能です。
この時、広告に出したくないキーワードを除外キーワードとして登録することもできるので、既に出したくないキーワードが決まっている方は余計な掲載を防ぐためにも登録しておいた方が良いですね。
スポンサーブランド動画広告の審査に落ちる5つの理由
1.黒フレーム・空フレームが入っている
ここからはスポンサーブランド動画広告の審査に落ちる理由を説明します。
まずスポンサーブランド動画広告の審査では黒フレーム・空フレームが入っていると審査に通りません。
前述したように動画広告では最初の1秒でユーザーの興味を引くことが非常に重要なポイントです。
動画の最初が黒フレーム・空フレームだと、それだけで動画を見ずに離脱するユーザーが一気に増えますので、黒フレーム・空フレームは使わないようにしましょう。
2.緊急性をほのめかすような訴求をしている
「今だけ!」「期間限定」といったユーザーのクリック、購入を促すような言い回しは禁止とされています。
こういった文言はECにおいては定石で、入れたくなる気持ちは分かりますが使わないようにしましょう。
3.カスタマーレビューを動画内に含めている
顧客の口コミを動画内に入れることも審査落ちの対象となります。
商品のレビューだけでなく、評価の数値を入れることも禁止されていますので、注意しましょう。
また、商品によっては薬機法に抵触する可能性がありますので、動画でなくとも顧客の口コミを利用する際は細心の注意を払う必要があります。
4.45秒よりも長い動画を使用している
スポンサーブランド動画広告で許可されている長さは6~45秒です。
それ以上に長い動画の場合は途中でカットされてしまいます。
切れている動画は言わずもがな効果が良いはずがありませんので、規定に沿った秒数の動画を用意しましょう。
5.テキストのガイドラインを遵守していない
最後に注意すべきポイントはテキストです。
スポンサーブランド動画広告にはテキストにもガイドラインが設けられており、一例ではありますがテキストが大きすぎる場合は審査に通りません。
あくまでもメインは動画ですが、補完するためのテキストも非常に重要な役割ですのでガイドラインを守ったテキストサイズで文字入れを行いましょう。
Amazonスポンサーブランド動画広告でよくある3つの質問
質問①Amazonスポンサーブランド動画広告の入札方法は?
スポンサーブランド動画広告には下記3つのターゲティングにそれぞれ入札方法が存在します。
①キーワードターゲティング
②商品ターゲティング
③除外ターゲティング
①キーワードターゲティング
入札方法は推奨入札額、カスタム入札額、入札額の初期値が利用できます。
スポンサーブランド動画広告は、他の広告と比べて競合が少ないため低めの額で入札し、徐々に上げていくことをおススメします。
推奨入札額:類似する広告で最近表示を獲得した入札額のグループから計算された推奨された入札額です。こちらは毎日のパフォーマンス状況に応じて更新されます。
カスタム入札額:キーワードごとに任意の入札額を適用することが可能です。キーワードまたは商品ターゲットのセットにカスタム入札額を一括で適用することも可能です。
入札額の初期値:1つの入札額に複数のキーワードを紐付けることができます。この入札額を変更すると紐付けられているキーワード全てに適用されます。
②商品ターゲティング
こちらもキーワードターゲティングと同じく、推奨入札額、カスタム入札額、入札額の初期値が利用できます。キーワードターゲティングと比較すると商品ターゲティングの方が高くなる傾向があるため、はじめは控え目な入札額を設定することをおススメします。
③除外ターゲティング
除外ターゲティングではキーワードターゲティングと商品ターゲティングの両方で利用することができます。キーワードターゲティングでは広告に出したくないキーワードを「完全一致」と「フレーズ一致」で登録することが可能です。
商品ターゲティングでは広告に出したくない商品を「商品(ASIN)単位」と「ブランド単位」で登録することが可能です。
質問②Amazonスポンサーブランド動画広告を出すために必要な準備は?
スポンサーブランド動画広告を出すためにはブランド登録とAmazonストア作成が必要です。
- ブランド登録
Amazonでは商標登録された自社ブランドの登録が可能です。
スポンサーブランド動画広告ではブランド登録が必須となりますので、これからという方は下記リンクから手続きを進めていきましょう。
リンク:ブランド登録へようこそ(Amazon)
- Amazonストア作成
こちらは必須ではありませんが、「自社のブランドや商品をPRできる」というメリットがありますので作成することをおススメします。セラーセントラルの「ストア」から作成でき、ブランドの数だけ作成が可能となります。
これらの準備を済ませたらいよいよ出稿する広告の作成に入ります。
ここからの手順は上記「Amazonスポンサーブランド動画広告の設定手順は5ステップ」で説明しておりますのでご参照ください。
質問③Amazonにおける広告売り上げ推移は?
Amazonにおける広告売上の推移は2022年は約377億ドルで前年同期比で約21%増と大きく伸長しております。
この売上は会員サービス「Amazonプライム」などから収益を得るサブスクリプション(定額課金)部門を超えており、今や広告はAmazonにおいて収益の大きな柱となっております。
まとめ
今回はAmazonにおけるスポンサーブランド動画広告についてご紹介させて頂きました。動画広告は静止画とは異なり、より具体的に情報を伝えることができます。
より商品やブランドの魅力を分かりやすく伝えるためにも動画広告は積極的に活用していきたいものですね。しかし、広告を活用するには、豊富な経験やノウハウが求められます。
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