ECサイト運営において、過去に購入したことのある顧客に再びサイトを訪れてもらい、リピート購入してもらう「リピーター」の存在は非常に重要です。

リピーターを増やすことにより、安定的な売り上げやブランドの信頼性向上が期待できます。この記事では、リピーター獲得のメリットやおすすめ施策について詳しく解説します。

ECサイトにおける「リピーター」とは?

リピーターとは、何度も商品を購入してくれる顧客のことです。企業やブランドに愛着を持って継続的に購入してくれます。

もちろん、はじめは全員が新規顧客ですが、提供される商品に「自分が求める価値」を感じるとリピーターになることがほとんどです。また、リピーターの増加は売上の安定化につながり、集客コストの削減も期待できます。

実際、新規顧客を獲得するよりもリピーターの方が再購入しやすいため、リピーターを増やす施策はECサイトを運営するうえで非常に重要です。

この増加を見込む方法として、メールマガジンやステップメールなどの施策があります。

リピーター獲得の重要性

継続的に商品を購入する顧客の数が増加すれば、売上の予測を立てやすくなり、ECサイト経営の安定性が高まります。

リピーターを獲得することによって、自社の商品やECサイトに対する愛着が芽生え、競合他社ではなく自社を選んでくれる顧客を育成できれば、価格競争から逃れることが可能です。

これによって顧客生涯価値を示す経営指標、LTV(Life Time Value)の向上を実現できます。つまり、リピーターを増やすことは、ECサイトの長期的な安定と発展につながり、成功へ導くために重要な要素です。

流行客と優良客

リピーターには「流行客」と「優良客」の2種類が存在します。前者はセールや安売りの際にのみ購入を繰り返し、購入単価が低い傾向があります。後者は商品やECサイトを気に入り、長期にわたって購入を続ける優良な顧客層です。

特に、優良客は購入頻度や単価が高く、企業にとって非常に価値が高い存在だといえます。そのため、リピーター獲得の施策においては、新規顧客を優良客に育て、現在の優良客を維持することが重要です。

リピート率とは?

リピート率は、新規顧客が再び購入する割合を指し、これが高ければ初回購入者をリピーターに変えることに成功しているといえます。

しかし、リピート率が低い状態では、商品を一度は購入した顧客が再購入しないケースがほとんどです。そのため、リピート率を上げることは、BtoB・BtoCの双方において極めて重要であり、特に一般消費者向けのEC事業においては月商と直結します。

リピーターの増加で得られる3つのメリット

リピーターの増加で得られるメリットには、以下の3つが挙げられます。

  • 安定的な売り上げを期待できる
  • 集客コストを削減できる
  • ブランド価値を高めてくれる

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.安定的な売り上げを期待できる

リピーターの増加は、自社のECサイトを好むファンが増えることを意味し、繰り返し商品を購入することで、安定的な売上を生み出します。

ファンがサイトを気に入り、リピーターとして定期的に商品やサービスを購入すれば、新規顧客のみに頼るよりも、安定した運営が可能です。

また、リピーターは一回の購入価格が多くなる傾向があり、リピート率が5%増加すると利益率は20%向上するといわれています。このため、リピーターを増やし育てることは、ネットショップの売上を安定させ、ビジネスを発展させるうえで非常に重要です。

2.集客コストを削減できる

リピーターを増やすことは、集客コストを大幅に削減することにつながります。新規顧客を1人獲得するためには、リピーターを増やすための5倍のコストが必要だといわれています。

これは新しいユーザーに自社商品の魅力を伝え、ECサイトへ誘導するために広告を出し続ける必要があることが理由です。

現在、インターネット広告のコストは高騰しているため、新規顧客の獲得はますます難しくなっています。しかし、リピーターに対するアプローチはメールやSNSを活用することが主な方法となり、コストをかける必要がありません。

リピート購入を促進することで広告費などのコストを抑え、集客コストの削減が見込めます。

3.ブランド価値を高めてくれる

リピーターは、商品やサービス、さらには企業そのものに対してポジティブな印象を持っており、その経験をSNSや口コミサイトを通じて積極的に発信してくれる存在です。

そのため、新規顧客の獲得に寄与してくれる可能性が高まります。また、リアルな評判を目にした人々が新たなリピーターとなるケースも考えられます。

リピーターの口コミや評価は、事実上無料の広告として活用できるため、効率的な集客が可能です。これらの行動が重なり、自社のブランド価値の向上も見込めます。

リピーターの獲得が上手くいかない3つの理由

リピーターの獲得が上手くいかない理由には、以下の3つが挙げられます。

  • バイヤーズリモースが生じている
  • 集客方法がリピーター向けに考えられていない
  • 他サイトとの差別化ができていない

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.バイヤーズリモースが生じている

バイヤーズリモースとは、商品やサービスを購入したあと、顧客が抱く後悔の感情を指します。これは、情報不足からくる誤解が原因であることがほとんどです。

顧客が満足度を感じられずリピーターにならない主な原因には、商品やサービス、購入体験の質が低いことが挙げられます。

バイヤーズリモースを軽減し、顧客満足度を向上させるためには、購入前の情報を充実させ、商品の質・使用方法を丁寧に説明することが重要です。

また、サイトの利便性を向上させ、対応品質を高めることも、顧客の満足度を高めるために必要な要素だといえます。

こうしたアプローチを通じて「買ってよかった」という感情を持続させられると、バイヤーズリモースを防ぎながら、リピーター獲得にもつながります。

2.集客方法がリピーター向けに考えられていない

リピーターを増やすためには、単なる広告やSEOといった新規顧客向けの集客方法だけでは不十分です。リピート施策を検討・実施することが求められます。

ネットショップや商品に、印象を残して顧客の記憶に残らせることが重要です。たとえば、初回購入後には、ネットショップや商品の存在を忘れないように、サンキューレターやメルマガ、手書きの手紙などを活用して、顧客とのつながりを保ち続けるようにします。

これらの施策を実施することにより、結果的にリピーター増加が期待できます。

3.他サイトとの差別化ができていない

新規顧客のほとんどは商品を検索し、その結果からECサイトに辿りつきます。商品を希望の価格で購入できれば、どのECサイトを利用しても構わないと考える人がほとんどですが、ECサイト自体に強い印象を残すことは、実店舗に比べて難しい課題です。

顧客に自社ECサイトを覚えてもらい、再訪してもらうためには、ほかにはない独自の特徴を持ち、顧客と積極的にコミュニケーションを取ることが欠かせません。

このような努力を積み重ねることで、ECサイトは顧客にとって忘れられない存在となり、再訪やリピート購入へとつながります。

また、EC戦略に関する情報はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【2023年最新】ECサイト運営を成功に導く9つのマーケティング戦略|立案に役立つフレームワークも解説!

リピーターを獲得するための9つの施策

リピーターを獲得するための施策には、以下の9つが挙げられます。

  • ECサイト自体を使いやすくする
  • メルマガを配信する
  • 会員登録を促す
  • リターゲティング広告を活用する
  • ロイヤルティプログラムを用意する
  • 紹介に対する報酬を用意する
  • 商品にメッセージを同梱する
  • SNSのフォローを促す
  • 外部のコンサルタントを活用する

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.ECサイト自体を使いやすくする

新規顧客とリピーターでは、ECサイトを訪れた際に必要とする情報が異なる場合がほとんどです。

そのため、リピーターに対しては、ログイン後に専用のトップページを表示し、購入しやすい動線や購入履歴に基づいたメッセージを提供することをおすすめします。

これによって、ユーザーはサイト内を探し回ることなく求めている情報や商品を素早く見つけ出すことができ、快適にショッピングができます。

また、ECサイトの作り方に関することは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【初心者必見】ECサイトの主作り方は5つ|選ぶ際のポイントや代表的なサービスを徹底解説!

2.メルマガを配信する

情報やコンテンツを更新してもユーザーが気付かなければ意味がなく、メルマガはその点で非常に重要な役割を果たします。

メルマガを通じてユーザーに情報を届けることで、ECサイトの存在を意識させ、再訪のきっかけを作り出すことが可能です。

さらに、メルマガ限定のお得な情報を提供することによって、リピート購入の動機を与え、ユーザーとの接点を強化が期待できます。

3.会員登録を促す

ECサイトの進化に伴い、ユーザーの利便性を向上させる「ゲスト購入」を設定することが一般的になりつつあります。これは、はじめて訪れたECサイトにおいて、「個人情報の登録を避けたい」というユーザー心理に寄り添った施策です。

しかし、ユーザーをリピーターに変え、より効果的にマーケティングするには、属性などのデータを活用できる会員登録が欠かせません。たとえば、割引クーポンや送料無料などの特典を提供することで、会員登録するメリットを感じてもらえるように工夫してみてください。

4.リターゲティング広告を活用する

リピーターを増やす戦略として、リターゲティング広告の活用は非常に効果的です。この広告手法は、過去に商品を閲覧したり購入したりした履歴があるユーザーをターゲットに、再度の購入を促す広告を配信します。

顧客の購入頻度や広告の配信期間を細かく設定し、効果的に広告配信することが可能です。また、リターゲティング広告は検索エンジンに表示される検索結果だけでなく、幅広いメディアにも配信できます。

そのため、ターゲット層が利用しそうな媒体に出稿することが重要です。

5.ロイヤルティプログラムを用意する

ロイヤルティプログラムは、顧客を継続的にサービスや商品を利用させ、特典を提供するマーケティング施策です。代表的なものとしてはポイントが挙げられます。買い物して貯まったポイントを商品購入や景品交換に使用できる施策です。

また、ポイントの蓄積でランクアップし、VIP会員限定の特典を与えることも効果的です。VIP会員制度を設けると、リピート購入促進が期待できます。

6.紹介に対する報酬を用意する

ユーザー間の口コミ拡散が期待できる分野では、紹介報酬を用意すると効果的です。メルマガやサンキューレターなどを利用して、紹介するメリットをアピールしてみてください。

また、紹介者への特典は紹介した数に応じて、変化をつけることでより効果的に新規顧客を増やせるようになります。

7.商品にメッセージを同梱する

小規模ECサイトでは、リピーター獲得のため労力を惜しまない施策がおすすめです。商品に手書きメッセージを同梱することで、ユーザーに親しみを感じさせられるようになり、リピート購入が期待できます。

ほかにも、関連商品のカタログや試作品の提供で差別化を図ることが可能です。しかし、こちらの施策は規模拡大後に実施することが難しいため、初期段階で試してみてください。

8.SNSのフォローを促す

SNSを利用した広告は拡散されやすく、効率的に広いユーザーとの接点を持てます。近年、メルマガ効果は低下しているため、SNSを活用したコミュニケーションが重要です。

フォローを促すには、商品にQRコードを同梱することをおすすめします。また、発信内容としてはユーザーに役立つ情報を中心に提供することで、信頼関係の構築を目指してみてください。

9.外部のコンサルタントを活用する

ECサイト運営は、集客、接客、顧客管理など業務内容が多岐にわたります。そのため、はじめたばかりの頃は効果的な施策を実施することは難しいかもしれません。

そのような場合、外部のコンサルタントを活用してみてください。ECにおけるコンサルタントは、Web知識とビジネススキルを併せ持ち、事業全体をサポートしてくれる存在です。

ここまで解説したリピーター施策を実施するリソースやノウハウが不足している場合、これまであらゆるECサイトをサポートした経験が豊富なジャグーへご相談ください。
ジャグー株式会社

ECサイトにおけるリピーターでよくある3つの質問

ECサイトにおけるリピーターでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。

  • 質問1.リピート率の計算方法は?
  • 質問2.リピート率とリピーター率の違いは?
  • 質問3.リピーターを獲得しやすいECサイトの特徴は?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問1.リピート率の計算方法は?

リピート率の計算方法は、2回目や3回目の購入や前回の購入から6ヶ月以内に再び購入する顧客を対象とします。また、特定の商品や店舗、購入形態を限定するケースもあり、内容に合わせてリピート率を求めることが重要です。

具体的な計算式は以下の通りです。

  • リピート率(%)=一定期間のリピート顧客数(人)÷新規顧客数(人)×100(%)

リピート率を算出することにより、顧客の満足度や改善余地の有無を判断できるようになります。

質問2.リピート率とリピーター率の違いは?

リピート率は再度購入する顧客の割合を示します。EC事業成長のために高めるべき数値です。

また、リピーター率はリピーターの売上貢献度を示し、必ずしも高めるべきものではありません。たとえば、リピーター率が高いとしても顧客数が少なければあまりメリットはありません。

また、販売・サービス業においては、リピート可能期間を設定し、その基準でリピート率を計算するようにしてください。

質問3.リピーターを獲得しやすいECサイトの特徴は?

リピーターを獲得しやすいECサイトの特徴には、以下のようなものが挙げられます。

  • ECサイトが見やすく操作しやすい
  • コンテンツが充実している
  • 応対・発送品質が高い

たとえば、購入ボタンの位置や商品検索方法がわかりにくければ、ユーザーは離脱しやすい傾向にあります。そのため、ユーザー目線に立ったサイトを構築することが重要です。

また、コラムやコミュニティなど再訪を促すコンテンツの充実は、リピーター獲得に欠かせない要素だといえます。これらの施策を実施することにより、リピーター獲得と長期的な関係性の構築が期待できます。

まとめ

ECサイトにおけるリピーターについて解説しました。リピーターの存在は、ECサイト運営者にとって非常に価値があります。

リピーターは安定した収入源であり、集客コストの削減やブランド価値の向上をもたらします。

ぜひ、この記事でご紹介した施策を実施し、リピーター獲得に努めてみてください。

しかし、社内に十分な知識やリソースがない場合も考えられます。もしも、リピーター獲得施策に課題がある方は、弊社ジャグーまでお気軽にご相談ください。
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