ショッピング広告は、Web広告においてポピュラーな広告のひとつです。ECサイトなどを運営する際には、掲載を検討する機会の多い広告になります。
この記事では、ショッピング広告の概要からメリット・デメリット、掲載する際のステップなどを詳しく解説しています。販売・ECサイト担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
ショッピング広告とは?
ショッピング広告は、ECサイトや実店舗の商品を画像や価格情報と共に宣伝する広告手法です。この広告では、詳細な商品情報を掲載し、購入意欲の高いユーザーをターゲットにしています。
この手法により、ユーザーは商品情報を理解したうえで購入を検討するため、通販事業者にとっては非常に効果的な広告方法といえます。ECサイトや店舗での購入促進に有効であり、商品の魅力を直接伝えることが可能です。
ショッピング広告の仕組み
ショッピング広告はキーワード入札ではなく、商品データ(商品フィード)に基づいて自動的に表示されます。Google Merchant Centerにアップロードされた商品フィードをGoogle 広告と連携し、ユーザーの検索語句と関連性がある商品を表示する仕組みです。
オークションの対象となる商品は、商品データの質や入札価格に基づいて選ばれます。商品データと検索語句の関連性が高いほど、ショッピング広告として表示される可能性が高まります。
ショッピング広告の掲載場所
Googleショッピング広告は、ユーザーの検索体験を豊かにするために、さまざまな場所で表示されます。表示される際の画像イメージは、以下のとおりです。
上記のような広告は、以下の場所に表示されます。
- Google画像検索
- Google検索パートナーサイト
- Google検索のショッピングタブ(一部の国のみ)
- Google検索(検索結果の横に表示、テキスト広告とは別)
このような多角的な露出により、商品の視認性が高まり、より多くの潜在的な顧客にリーチが可能になります。
ショッピング広告費用
Googleショッピング広告の課金はクリックごとに発生します。クリック単価(CPC)は商品により異なりますが、一般的に10〜30円程度です。このCPCは通常の検索連動型広告よりも低い傾向にあります。
また、2020年10月からGoogle検索の「ショッピングタブ」に無料で広告を掲載できる無料リスティングが開始されました。この無料枠は、有料広告の下部に位置しており、広告予算が限られている場合やショッピング広告の効果を試したい場合に適しています。
ショッピング広告を活用する5つのメリット
ショッピング広告を活用するメリットには、以下の5つが挙げられます。
- キーワードを設定しない
- 検索広告よりも上位に表示できる
- 具体的な商品情報を表示できる
- クリック単価が安い
- 商品ごとに詳細ページへ直接誘導できる
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
1.キーワードを設定しない
ショッピング広告は、検索キャンペーンと異なり、キーワード設定する必要がありません。商品情報に基づいて関連性の高い検索語句に広告を表示します。このため、キーワード単位での入札調整は必要なく、効率的な運用が可能です。
また、ショッピング広告を検索広告と併用し、検索キャンペーンで取りこぼしたキーワードを補える利点があります。
2.検索広告よりも上位に表示できる
ショッピング広告は、検索広告よりもページ上部に画像付きで表示されるため、目立つ位置に広告が掲載できます。とくに、スマートフォン利用時にユーザーの注意を引きやすいのがメリットです。
また、1回の検索で複数の商品広告が表示されることがあり、広告主の複数のショッピング広告が同時に表示される場合もあります。これにより、他の広告に比べて目立ち、露出を高める効果があります。
3.具体的な商品情報を表示できる
ショッピング広告では、商品の画像、名前、価格、店舗名などの具体的な情報の掲載が可能です。このため、ユーザーは広告をクリックする前に商品の詳細を知ることができ、購入意欲のある顧客を効果的に集められます。
これは検索広告のテキスト情報のみの伝達とは異なり、より魅力的な商品紹介ができる点がメリットとなります。
4.クリック単価が安い
ショッピング広告の魅力のひとつは、クリック単価(CPC)が比較的安い点です。これは、ECサイト限定の配信や複雑な設定により競合が少ないことが影響しています。広告枠も多く、他広告と比べ競合が少ないため、安価なクリック単価で効果的なリーチが可能です。
BtoB向けECサイトの事例では、ディスプレイや検索広告に比べて低いCPCが見られ、広告費用対効果が高いとされています。
5.商品ごとに詳細ページへ直接誘導できる
Google ショッピング広告の特徴として、商品ごとにリンクを直接設定できる点があります。ユーザーが興味を持った商品の広告をクリックすると、その商品の詳細ページに直接誘導されるため、購入までのプロセスがスムーズです。
また、これらの広告はMerchant Centerの商品データを基に自動で掲載されるため、検索広告のように個別に設定する手間が不要です。
ショッピング広告を活用する2つのデメリット
ショッピング広告を活用するデメリットには、以下の2つが挙げられます。
- フィードの作成と更新に手間がかかる
- 入札コントロールが難しい
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
1.フィードの作成と更新に手間がかかる
ショッピング広告を出稿するには、商品データを含む「商品フィード」の作成を実施します。このフィードは在庫状況など、変更が頻繁に必要な項目を含むため、定期的な更新が必要です。
情報が一致しないと広告審査に通らないリスクがあり、項目も多いため、作成および更新に時間がかかってしまう点がデメリットです。
しかし、フィード作成後は、メンテナンスが容易になることもあります。また、フィードが煩雑になる場合はカートシステムの連携機能や外部サービスの活用も検討する価値があります。
2.入札コントロールが難しい
ショッピング広告では、検索キャンペーンのようなキーワード別の細かい入札調整ができません。広告表示は商品フィードやランディングページの情報に基づきます。
不要なキーワードを避けるために除外キーワードを設定することは可能です。しかし、詳細なキーワード制御はできないため、運用が簡単な反面、特定のニーズに合わせた広告調整が難しくなります。
Google が自動的に最適化するため、一部のニーズや限定された予算での運用には不向きな側面があります。
ショッピング広告を掲載する際の3つのステップ
ショッピング広告を掲載する際のステップには、以下の3つが挙げられます。
- ステップ1.Merchant Centerを設定する
- ステップ2.商品フィードを作成しアップロードする
- ステップ3.Google 広告でショッピングキャンペーンを作成する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
ステップ1.Merchant Centerを設定する
Google Merchant Centerの設定は、以下のような流れで実施します。
- Merchant Center用のGoogleアカウントを取得
- Merchant Centerへのサインアップ
- ショップ情報や管理者情報の入力
サインアップまで済んだら、ビジネス名やWebサイト、配送サービスの情報を入力し、送料の計算テーブルを設定します。その後、ビジネスの表示名や住所を「ビジネス情報」で設定し、WebサイトのURLも登録してください。
Google広告アカウントとの紐づけやポリシー審査も行い、最終的に配送時間や送料の設定を完了させれば、アカウントの設定は終わりです。
ステップ2.商品フィードを作成しアップロードする
Google Merchant Centerで「商品フィードを作成」を選択し、販売先の国と言語を選んだ後、メインフィードの名前を入力してください。
フィードの設定方法として「Google スプレッドシート」を選択し、テンプレートから新しいスプレッドシートを作成します。
商品情報は詳細かつ正確に入力し、アップロード後はMerchant Centerの「診断」画面で審査状況を確認します。商品数が多い場合や更新頻度が高い場合はデータフィードを利用すると効率的です。
ステップ3.Google 広告でショッピングキャンペーンを作成する
Google広告でショッピングキャンペーンを作成する手順は次のとおりです。
- キャンペーン作成画面に移動し、ショッピングキャンペーンを選択
- キャンペーン目標を選び「通常のショッピングキャンペーン」をサブタイプとして設定する
- キャンペーン名、入札単価、予算などを定めてキャンペーンを作成
- 作成が完了すると、自動的に「すべての商品」の商品グループが生成される
より詳細な入札調整が必要な場合は、商品グループの分割も可能です。
ショッピング広告を掲載する際に注意が必要なコンテンツや行為
ショッピング広告を掲載する際に注意が必要なコンテンツや行為には、以下の3つが挙げられます。
- 禁止されているコンテンツ
- 禁止されている行為
- 制限付きコンテンツ
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
1.禁止されているコンテンツ
Googleショッピング広告に掲載できない、禁止されているコンテンツは以下のとおりです。
- 攻撃的、不適切なコンテンツ(人種差別、暴力、犯罪現場など)
- 危険度の高い商品(違法薬物、武器(製造方法を含む)、爆薬など)
- 偽造品(他の商標と同一か、ほとんど区別がつかない商標やロゴを含む商品)
- 不正行為を助長する商品(ハッキングの方法、偽造文書、学業不正行為商品など)
- ショッピング広告の掲載対象外なもの(チケット、乗り物、金融商品など)
上記の内容に該当するものは決して掲載しないでください。
2.禁止されている行為
Google広告では以下の行為が禁止されています。
- 不当なデータ収集とデータ利用:安全ではないSSL接続を通じたクレジットカード情報などの収集
- 広告ネットワークの不正利用:ユーザーに有益でないコンテンツ(不当な順位操作など)
- 不実表示:実際と異なる特典などの不実表示
上記の行為はGoogleの広告ポリシーに違反し、禁止されています。
3.制限付きコンテンツ
Google広告では、一部のコンテンツは掲載可能ですが、特定の制限が適用されます。
- アルコール飲料
- 成人向けコンテンツ
- 著作権で保護されたコンテンツ
- ギャンブル
- ヘルスケア
- 高脂肪、高塩分、高糖分の食品および飲料
- 政治関連
- 商標関連
上記のコンテンツの広告掲載にはGoogleの特定のガイドラインが適用されるため、注意が必要です。詳細については、Googleの公式ガイドラインを確認してください。
ショッピング広告で成果を上げるための3つのポイント
ショッピング広告で成果を上げるためのポイントには、以下の3つが挙げられます。
- 商品フィードは常に最新の状態にしておく
- 画像や商品概要で商品の魅力を伝える
- 商品フィードは任意の項目も設定する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
1.商品フィードは常に最新の状態にしておく
商品フィードを常に最新の状態に保つことは、Googleショッピング広告の重要な要素です。広告と実際の商品情報に食い違いがあると、ユーザーの期待を裏切り、離脱を招くリスクがあります。
とくに、価格変更や在庫切れの情報は迅速な更新が必要です。広告をクリックしても在庫がない場合、商品の購入が不可能なためクリック分の広告費が無駄になります。
また、Googleは広告とサイト情報の一貫性もチェックしているため、商品フィードの変更がある際は速やかな更新が推奨されます。
2.画像や商品概要で商品の魅力を伝える
ショッピング広告では「タイトル・画像・商品概要」が重要です。ユーザーはこれらを見て商品の興味を判断します。目立つタイトルを設定し、画像は他商品との差別化を図り、商品概要で詳細情報とサイトの強みを伝えてみてください。
タイトルは短くても商品内容が分かるように、画像は魅力的なものを選び、商品概要では具体的な情報の提供がポイントです。
3.商品フィードは任意の項目も設定する
ショッピング広告の商品フィードには、必須項目と任意項目があります。詳細な情報を提供し、適切なユーザーに対して効果的な広告表示が可能となります。そのため、任意項目もできる限り記入し、成果向上を目指すことが必要です。
また、広告のワーディングも重要で、表現や言葉遣いに注意し、一貫性を持たせましょう。
ショッピング広告でよくある3つの質問
ショッピング広告でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.ショッピング機能があり広告配信ができる主な媒体は?
- 質問2.Googleショッピングの「無料掲載枠」とは?
- 質問3.リスティング広告やディスプレイ広告との違いは?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
質問1.ショッピング機能があり広告配信ができる主な媒体は?
ショッピング機能を持ち、広告配信が可能な主なプラットフォームには、以下の6つがあります。
- Google:ショッピング広告
- Yahoo!広告:動的ディスプレイ広告
- Facebook広告:売上キャンペーン
- Instagram:ショッピング広告
- LINE広告:LINEショッピング広告
- Pinterestアド:ショッピングアド/パーソナライズコレクションアド
それぞれの媒体には、ユーザーの年齢層や性別など、メインユーザーのペルソナがそれぞれ異なります。商材との相性を考えながら、最適な広告配信先を決めてください。
質問2.Googleショッピングの「無料掲載枠」とは?
Googleショッピングには、広告費不要の「無料リスティング」掲載枠が存在します。この枠はGoogle検索結果の「ショッピングタブ」下部に位置し、有料広告と組み合わせて、効果的な売上増加を図ることが可能です。
無料リスティングを活用すれば、費用をかけずに自社商品の露出を増やせるため、コストを抑えながらの集客と売上アップにつながります。
質問3.リスティング広告やディスプレイ広告との違いは?
検索広告(リスティング広告)とディスプレイ広告の違いは、以下のとおりです。
【検索広告(リスティング広告)】
- キーワードと広告文を設定するテキスト広告
- 検索結果画面の上部、または最下部に表示される
- 特定のキーワードをピンポイントで狙う際に有効(BtoB事業やニッチな商材など)
- キーワードに対して入札できる
【ディスプレイ広告】
- 画像を使って視覚的なアプローチが可能
- 商品の販売促進・実店舗への集客に特化
一方で、ショッピング広告は商品画像と詳細情報を記載できるため、視覚的なアプローチが可能です。
ECサイトのリスティング広告については、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒ECサイトのリスティング広告とは?成功させるポイントと見直す際のポイントをわかりやすく解説します!
まとめ
この記事では、ショッピング広告の概要からメリット・デメリット、掲載する際のステップなどを解説しました。ショッピング広告は商品データ(商品フィード)に基づいて自動的に表示される仕組みのため、キーワード設定も不要でクリック単価も高い、優秀なWeb広告です。
しかし、フィードの作成と更新に手間がかかる点や、入札コントロールが難しく思ったような成果を出すのが難しい広告でもあります。
ショッピング広告をお考えの際は、弊社ジャグーへぜひご相談ください。大手ECモールをはじめ、広告運営にも多彩な実績のあるジャグーが最適な運用をご提案します。
⇒ジャグー株式会社