ECサイトの構築やリニューアルを検討している方は、その費用をどのように賄おうか頭を抱えているかもしれません。
その場合、補助金の活用を考えてみてはいかがでしょうか。この記事では、ECサイト構築に利用できる5つの補助金制度について解説します。補助金を活用して、自社のビジネスを成功に導きましょう。
ECサイトの構築に活用できる補助金は5つ
ECサイトの構築に活用できる補助金には、以下の5つが挙げられます。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- 各自治体で提供する補助金
ここではそれぞれの対象事業者から必要書類、申請スケジュールまでそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.IT導入補助金
引用:IT導入補助金
IT導入補助金は中小企業・個人事業主の業務効率化や売上アップを実現するため、ITツールの導入を支援する補助金です。
最大で450万円・補助率3/4までが支給されるこの補助金は、補助額や採択率は平均的なものの、ECサイトの構築事例が多い点や採択数が多い点が特徴だといえます。
また、ITツールを導入する際には、ハードウェアの設備投資も補助の対象です。2022年の公募枠には通常枠のほか、「デジタル化基盤導入枠」が設けられており、受発注ソフトや決済ソフト、ECソフトの導入に特化し、PCやタブレットのハードウェア購入費用、ソフトウェア費、クラウド利用料(最大2年分)も補助対象でした。
ただし、この「デジタル基盤導入枠」を利用する場合、ITツールは「会計、受注、決済、EC」に限定される点に注意が必要です。
対象事業者
IT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」の対象者に関する条件は、交付申請時点で日本国内において法人登記し、事業を営む法人や個人です。
また、事業規模ごとの要件は以下の通りです。
■中小企業・個人事業
業種や資本金、従業員の数によって条件が異なります。
- 製造業、建設業、運輸業:資本金3億円以内、従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以内、従業員100人以下
- サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業除く):資本金5,000万円以内、従業員100人以下
- 小売業:資本金5,000万円以内、従業員50人以下
- ゴム製品製造業:資本金3億円以内、従業員900人以下
- ソフトウエア業、情報処理サービス業:資本金3億円以内、従業員300人以下
- 旅館業:資本金5,000万円以内、従業員200人以下
- その他の業種:資本金3億円以内、従業員300人以下
- 特定の法人(医療法人、社会福祉法人、学校法人など):従業員300人以下
■小規模事業者
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):従業員5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:従業員20人以下
- 製造業その他:従業員20人以下
業種や事業規模ごとに定められた要件を全て満たすことが求められます。
申請条件
ECサイトの構築については、IT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」から申請できます。具体的な条件は以下の通りです。
- 登録されたIT導入支援事業者との相談を経て、ITツールを選定する
- ECサイトの構築時は、ASPカートを使用して新規にサイトを立ち上げる
- モール型ECサイトへの出店時は、サイト制作を伴う新規出店が必要となる
IT導入支援事業者でない企業に構築を依頼する場合や自社での構築、ECサイトのリニューアルのみの場合は、補助金の対象外です。
詳しい内容やその他の条件については、IT導入補助金の「ITツール登録要項」を参照してください。
補助額
IT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」を利用して、ECサイト構築に関する補助が申請できます。具体的な補助内容と金額は以下の通りです。
- 種類:デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
- 対象ソフトウェア:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト
- 補助対象経費区分:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費
機能要件
- 会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上→補助率:3/4以内、補助額:(下限なし)〜50万円以下
- 会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上→補助率:2/3以内、補助額:50万円超〜350万円
必要書類・申請要件
IT導入補助金の申請に際して、必要とされる書類や申請要件は以下の通りです。
必要書類
- 直近分の法人税の納税証明書(「その1」または「その2」)
- 履歴事項全部証明書(発行から3か月以内のもの)
- 直近分の所得税の納税証明書(「その1」または「その2」)
- 確定申告書の控え
- 運転免許証(有効期限内のもの)・運転経歴証明書または住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
申請要件
- IT導入支援事業者との確認後、インボイス制度等に関する情報を事務局に報告
- 交付申請や実績報告時、交付規程第32条に基づく事務局や中小機構の立入調査への協力
- 協力が得られない場合、交付決定の取り消しや補助金の返還を求められることへの同意が必要
申請手順
申請から補助金交付までの手順は以下の通りです。
- IT導入支援事業者・ITツールの選択
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業の実施(ITツールの発注・契約・支払い)
- 事業実績報告
- 補助金交付手続き(補助金額の決定)
- 補助金交付
- 事業実施効果報告
また、交付申請の前に「gBizIDプライム」アカウントの取得が必要です。
補助金の利用の注意点として、事務局から「交付決定」の通知を受け取ったあとに、ITツールの発注・契約・支払いを実施しなければなりません。
事前にこれらの手続きを進めてしまうと、補助金の交付対象外となるおそれがあります。
申請スケジュール
補助金申請の公開スケジュールは以下の通りです。また、最新情報については「IT導入補助金」公式サイトから確認してください。
□ IT導入支援事業者の登録申請
登録申請:2023年3月20日(月)受付開始(終了時期は後日案内予定)
採択決定:通知によりお知らせ
□ ITツール(ソフトウェア、サービス等)の登録申請
募集期間:2023年3月20日(月)受付開始(終了時期は後日案内予定)
□ 交付申請期間
募集期間:2023年3月28日(火)受付開始(終了時期は後日案内予定)
□ デジタル化基盤導入枠スケジュール
- 1次締切分:締切日:2023年4月25日/交付決定日:2023年5月31日
- 2次締切分:締切日:2023年5月16日//交付決定日:2023年6月21日
2.事業再構築補助金
引用:事業再構築補助金
「事業再構築補助金」とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業の売上回復が見込めない状況で、変化の波に乗り新たな事業展開への挑戦をする中小企業を支援する補助金です。
この補助金には「成長枠」「グリーン成長枠」「卒業推進枠」「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」の8つの事業類型が存在します。
対象事業者
事業再構築補助金の対象事業者は、「中小企業」と「中堅企業」です。いずれの事業者も細かな規程が存在するため、詳細な対象条件については「事業再構築補助金」公式サイトで確認してください。
さらに、事業再構築の類型には「①製品等の新規性要件」「②市場の新規性要件」「③新事業売上高10%等要件」が設けられています。
補助額
事業再構築補助金の「成長枠」における補助金の上限額は7,000万円です。ECサイトの構築にかかる経費は「クラウドサービス利用費」として計上できます。
種類
- 事業再構築補助金「成長枠」
補助対象経費区分
- 建物費、機械装置・システム構築費(リース料含む)
- 技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費
- 知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
補助率
- 中小企業者等:1/2(大規模な賃上げの場合:2/3)
- 中堅企業等:1/3(大規模な賃上げの場合:1/2)
補助額
- 従業員数20人以下:100万円~2,000万円
- 従業員数21〜50人:100万円~4,000万円
- 従業員数51~100人:100万円~5,000万円
- 従業員数101人以上:100万円~7,000万円
必要書類・申請要件
必要な書類としては、事業計画書や認定経営革新等支援機関による確認書、決算書などです。さらに、市場拡大要件の説明書や賃金引上げ計画の誓約書が必要です。
また、事業再構築補助金の申請には特定の要件を満たさなければなりません。以下の3つの基本要件を満たす必要があります。
- 売上が減少している
- 新分野展開、業態転換、事業再編に取り組んでいる
- 認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定する
また、コロナ以前に取り組んだことのない新事業をECサイトで立ち上げることも考慮されます。
申請手順
申請から補助金交付までの手順は以下の通りです。
- 説明会参加
- 電子申請
- 補助金交付候補者の採択通知
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業実施・実績報告
- 確定検査(交付額の確定)
- 補助金の請求・支払い
- 事業化状況報告・知的財産権等報告
また、申請前に事務局が主催する説明会への参加が必須となり、電子申請する場合は「gBizIDプライム」アカウントの取得が必要です。
申請スケジュール
公開中の第10回公募の申請スケジュールは以下の通りです。最新情報については「事業再構築補助金」公式サイトをご参照ください。
- 公募開始:2023年3月30日
- 申請受付:調整中
- 応募締切:2023年6月30日
- 補助金交付候補者の採択発表:2023年8月下旬〜9月上旬頃(予定)
3.小規模事業者持続化補助金
引用:小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者の持続的な経営を支援する補助金です。
経営計画の見直しや作成を基盤として、販路開拓や生産性向上の取り組みを後押しします。この補助金には「通常枠」のほか、特別枠として「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」が設けられており、それぞれ特有の申請条件が存在します。
対象事業者
小規模事業者持続化補助金の対象となる事業者は、日本国内に所在する小規模事業者、個人事業主、または日本国内に本店を有する法人です。また、以下の条件を満たす必要があります。
業種に基づく小規模事業者の定義を満たすこと
- 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)常勤の従業員数が5人以下
- 宿泊・娯楽業を含むサービス業、製造業その他:常勤の従業員数が20人以下
対象者に該当すること
- 会社や営利法人(例:株式会社、合名会社など)、個人事業主(商工業者を含む)、特定の条件を満たす特定非営利活動法人など
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
- 確定済みの直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 過去10か月以内に「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>」や「令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」の採択を受けて補助事業を実施していないこと
- 一般型などの「小規模事業者持続化補助金」の各事業で採択を受け、補助事業を実施した場合、指定の報告書提出が行われていること
- 一般型の「卒業枠」で採択を受けて補助事業を実施していないこと
対象事業者の規定や適用条件については、小規模事業者持続化補助金の公式サイトでご確認ください。
必要書類・申請要件
小規模事業者持続化補助金の申請には、定められた書類の提出が必要です。
- 申請書、宣誓・同意書
- 補助事業計画書
- 貸借対照表および損益計算書
- 株主名簿(該当する場合のみ)
- 申請書、宣誓・同意書
- 補助事業計画書
- 直近の確定申告書または開業届
また、ECサイト(ネットショップ)構築を目的とした場合、補助対象となる経費は「ウェブサイト関連費」のみです。これには、ウェブサイトの作成・更新、インターネット広告、SEO対策、システム開発などが含まれます。但し、会社の単なる営業活動に関わる広告や、公開に至らなかったコンテンツなどは対象外とされています。
補助額
小規模事業者持続化補助金「通常枠」における補助金額の上限は50万円となっており、補助対象経費区分は以下の通りです。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
補助率は2/3となっており、特にウェブサイト関連費に関しては補助金総額の1/4です。また、インボイス特例の要件を満たす場合は、補助上限額がさらに50万円追加されます。
申請手順
申請から補助金交付までの手続きの流れは以下の通りです。
- 申請手続き
- 採択・交付決定
- 補助事業の実施
- 実績報告書の提出
- 確定検査・補助金額の確定
- 補助金の請求・入金
- 事業効果報告
この申請手続きは、電子申請または郵送で行います。また、商工会や商工会議所の地区によって申請先が異なる点に注意しなければなりません。電子申請をする場合、「gBizIDプライム」アカウント取得が必要です。
申請スケジュール
公開されている申請スケジュールは以下の通りです。詳細や最新スケジュールについては「小規模事業者持続化補助金」公式サイトをご確認ください。
- 公募要領公開:2022年3月22日
- 申請受付開始:2022年3月29日
- 申請受付締切:2023年2月20日
申請受付締切日:2023年6月1日
- 事業支援計画書交付の受付締め切り:原則2023年5月25日
- 事業実施期間:交付決定日から2024年4月30日
- 実績報告書提出期限:2024年5月10日
申請受付締切日:2023年9月7日
- 事業支援計画書交付の受付締め切り:原則2023年8月31日
- 事業実施期間:交付決定日から2024年7月31日
- 実績報告書提出期限:2024年8月10日
4.ものづくり補助金
引用:ものづくり補助金
「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」とは、働き方改革や現代の変化に対応し、新たな経営開発を実現するための設備投資を支援する補助金です。
補助対象として「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」の5つの枠が設定されています。
対象事業者
「ものづくり補助金」の対象となる事業者は、主に中小企業や小規模事業者として定義されており、これには個人事業主、特定非営利活動法人(NPO)、社会福祉法人も含まれています。
これらの事業者が、さまざまな投資や取り組みをする際の経費を一部補助することがこの制度の目的です。
対象事業者としての詳細な条件や、補助金の具体的な額、申請方法などの細かな規程が設けられており、「ものづくり補助金」の公式サイトをご確認ください。
必要書類・申請要件
「ものづくり補助金」の申請に際しての必要書類及び申請要件は以下の通りです。
- 申請書、宣誓・同意書
- 事業計画書
- 直近2年間の貸借対照表・損益計算書
- 労働者名簿
- (法人の場合)法人事業概況説明書
- (個人事業主の場合)所得税の青色申告書の写し
また、希望する補助枠や特例によって、追加の資料提出が求められることがあります。さらに、補助金を受けるための事業者の遵守事項も存在します。
詳細情報については「ものづくり補助金」の公式サイトからご確認ください。
申請要件については3〜5年の期間を対象とした事業計画の策定をし、以下の3つを満たす必要があります。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること
- 事業場内の最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上とすること
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること
補助額
「ものづくり補助金」の「通常枠」における補助額は以下の通りです。
- 補助対象経費区分
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費(ECサイト構築が該当)
- 原材料費
- 知的財産権等関連経費
補助率
- 通常:1/2
- 小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:2/3
補助額
- 従業員数5人以下:100万円~750万円
- 従業員数6〜20人:100万円~1,000万円
- 従業員数21人以上:100万円~1,250万円
最大の補助金額は1,250万円となっており、「グローバル市場開拓枠」の「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」では、「広告宣伝・販売促進費」も補助の対象です。
申請手順
申請から補助金交付までの手順は以下の通りです。
- 採択通知
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業実施・実績報告
- 確定検査(交付額の確定)
- 補助金の請求・支払い
また、事業化状況報告や知的財産権の状況を報告しなければなりません。こちらの手続きは電子申請のみで受け付けている点に注意が必要です。そのため、事前に「gBizIDプライム」アカウントの取得が欠かせません。
申請スケジュール
「ものづくり補助金」の申請スケジュールは、以下の通りです。
- 公募開始日:2023年4月19日(水)17:00
- 申請開始日:2023年5月12日(金)17:00
- 申請締切日:2023年7月28日(水)17:00
最新情報については「ものづくり補助金」公式サイトをご確認ください。
5.各自治体で提供する補助金
自治体ごとに提供されている補助金には、以下の2つが挙げられます。
- 例1.インターネット販売販路開拓支援事業補助金
- 例2.ECサイト活用補助金
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
例1.インターネット販売販路開拓支援事業補助金
秋田県美郷町では、町産品の販路拡大や地域産業の振興を目的として、町内の中小企業や個人事業主がインターネットを活用した販路開拓の環境整備にかかる費用の一部を補助しています。
対象者と補助額は以下の通りです。
補助対象者
- 暴力団関係者でないこと
- 「性風俗関連特殊営業」または「接客業務受託営業」を行わないこと
- 宗教上の組織もしくは団体でないこと
- 町税および使用料等の滞納がないこと
補助対象経費
自社ホームページの開設や変更にかかる委託費
- 補助率: 2/3
- 補助限度額: 20万円
インターネット販売システムの開設にかかる委託費
- 補助率: 2/3
- 補助限度額: 20万円
例2.ECサイト活用補助金
引用:ECサイト活用補助金
東京都中央区では、中小企業者が構築するECサイトの一部を補助するための「ECサイト活用補助金」が整備されています。制度の詳細については以下の通りです。
補助対象者
- 規定に該当する中小企業者であること
- 中央区に事業所を有し、「風俗営業等」の行為を行わないこと
補助対象経費
- ECサイトの構築費用
- 補助率: 1/10
- 補助限度額: 6万円
ECサイト構築で補助金を申請する際の注意点は5つ
ECサイト構築で補助金を申請する際の注意点には、以下の5つが挙げられます。
- 審査に必ず通るとは限らない
- 補助金の支給までには時間がかかる
- 申請には多くの時間と手間がかかる
- 補助金の支給後には報告が必要になる
- 支援事業者によって採択率が異なる
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.審査に必ず通るとは限らない
補助金の申請には時間と労力がかかりますが、審査に必ず通るとは限りません。たとえば、各補助金の採択率は約半分程度とされており、一定の採択枠が設定されているため、書類にわずかな不備があるだけで落とされる事業者も存在します。
そのため、はじめから補助金ありきで事業計画を立てると、審査に通らなかった場合の資金繰りに支障をきたすことが想定されます。事業を進める際、審査に通らない可能性を考慮したうえで計画しなければなりません。
書類作成に自信がない方は、行政書士や専門家に相談しながら準備することをおすすめします。
2.補助金の支給までには時間がかかる
補助金の申請が通っても、事業実施後に補助金が支給される流れが多く、実際の交付までには時間がかかることが一般的です。
具体例を挙げると、ECサイト構築に関する補助金の場合、ITツールの発注、契約をし、支払いは事業実施後とされています。
実際に発生した経費をまとめて交付手続きを行い、補助金が振り込まれるのが一連の流れです。
つまり、事業者は初めにECサイト構築の費用を全額自己負担する形となるため、「補助金を受け取ってから構築費用を支払う」という考え方は危険です。
そのため、補助金を活用する場合でも、事前の資金計画や余裕を持った準備が欠かせません。
3.申請には多くの時間と手間がかかる
補助金の申請には、正確な要件の理解や必要書類の作成、事業計画の策定など、多くの時間と手間がかかります。
たとえば、「IT導入補助金」の場合、法人は履歴事項全部証明書や納税証明書を用意する必要があり、事業計画書の提出も必須です。
これらの書類には詳細な規程が設けられており、簡単には手続きできません。また、電子申請を予定している場合は、「gBizIDプライム」アカウントの取得も必要となり、1〜2週間程度の時間がかかります。
また、申請期間についても締切があるため、あらかじめ補助金の詳細を調査し、余裕をもって準備を進めることが大切です。
4.補助金の支給後には報告が必要になる
事業再構築補助金やIT導入補助金を受け取る際、事業報告の提出が必須です。
この報告は、申請時に提出した事業計画書に基づくものであり、計画との大きな乖離が確認された場合、支給された補助金の返還を求められるおそれがあります。
このような事態を防ぐには、補助金の利用計画をしっかりと立て、実際の事業進行においてもその計画に従って行動することが重要です。
5.支援事業者によって採択率が異なる
支援事業者ごとに採択率が異なる点に注意が必要です。
基本的には、補助金の額が大きく、採択率についても高いIT導入補助金から検討することをおすすめします。
申請手続きの中で、事前に支援事業者への相談が必須とされており、相談先選びが非常に重要です。
申請の成否は、書類の作成方法によって大きく変わるため、信頼性と実績のある支援事業者や行政書士などの専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。
まとめ
2023年最新版として紹介したECサイト構築に活用できる5つの補助金は、多くの企業や個人にとって大きなチャンスとなります。
各補助金には特有の特徴や適用条件があるため、自社の事業内容や目的に応じて適切な補助金を選び、申請することが重要です。
また、申請時の注意点や書類の準備など、細かい部分でのミスを避けるためのコツも紹介しました。この情報を活用し、賢く補助金を利用して、ビジネスのさらなる飛躍を目指してみてください。
もしも、ECサイトの運営に困っている方は、自社ECの立ち上げから業務代行まで豊富なサポート実績がある弊社ジャグーまでご相談ください。
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