ECサイトの集客において、SNS広告は欠かせない存在です。しかし、運用に慣れていない場合は、効果的な活用ができていないかもしれません。

そこで、本記事では、ECサイトの集客にSNS広告が欠かせない理由やECサイト運営にSNS広告を活用するメリット、売上アップにつながるSNSマーケティング活用法について解説しています。また、SNS広告活用事例についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ECサイトの集客にSNS広告が欠かせない3つの理由

まず、ECサイトの集客にSNS広告が欠かせない理由について解説します。

  • ECサイト市場が拡大している
  • SNS利用者が増加している
  • 商品購入にSNSを参考にするユーザーが多い

それでは詳しくみていきましょう。

1.ECサイト市場が拡大している

ECサイトの市場は、年々成長し続けています。経済産業省が2021年8月に発表した「電子商取引に関する市場調査報告書」によると、2021年の日本のBtoC-EC市場は20.7兆円に達し、前年比で7.35%の成長を遂げました。

さらに、BtoB-EC市場も372.7兆円と前年比2.5%増加しており、市場の拡大は、今後も続くと予想されます。この市場拡大のなかで、ECサイトの集客においてSNS広告の重要性は高まっています。

消費者のオンライン活動が増えるなか、SNS広告はターゲット層に直接リーチする効果的な手段となっており、その影響力は大きいです。

参考:電子商取引に関する市場調査報告書| 経済産業省

2.SNS利用者が増加している

SNSの利用者数は著しく伸びており、総務省が2020年5月に発表した「令和元年通信利用動向調査」によれば、日本のSNS利用率が全年代で上昇しているのがわかります。この傾向は、ビジネスにおけるSNS活用の重要性を示しています。

SNS広告を通じて見込み客にリーチし、新たな顧客層を開拓するチャンスが拡大しているのです。このような状況から、SNSはECサイト運営者にとって欠かせない集客ツールであるといえます。

参考:令和元年通信利用動向調査の結果|総務省

3.商品購入にSNSを参考にするユーザーが多い

SNSの影響力が拡大するなか、多くのユーザーが商品購入にSNSでの情報を参考にしています。アライドアーキテクツ株式会社の調査によると、X(旧Twitter)を通じて商品やサービスを購入した経験があるユーザーは60.5%に上る結果です。

このデータは、SNSが購買決定に及ぼす影響の大きさを示しています。消費者はECサイトでの購入前に、口コミを確認したり、似た商品やサービスの評価を比較検討しているのです。

また、企業のSNSを通じた積極的な情報発信やレビュー数が多い商品やサービスに影響を受ける傾向にあります。このように、ECサイトへの集客には、SNSの活用が欠かせない存在となっています。

なお、ECサイトにおけるSNSの活用については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
ECサイトの集客に活用できるSNS7選|運用のポイントや活用する際の注意点を詳しく解説します!

参考:2021年度「Twitter企業公式アカウント」の利用実態を調査 | アライドアーキテクツ株式会社のプレスリリース

ECサイト運営にSNS広告を活用する5つのメリット

次に、ECサイト運営にSNS広告を活用するメリットについて解説します。

  • ブランディングが構築しやすい
  • コストをかけずに情報発信できる
  • 見込み顧客の獲得に有効である
  • 拡散性が高い
  • 顧客ロイヤリティを高められる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.ブランディングが構築しやすい

SNSでは、単に商品やサービスを紹介するだけでなく、ブランドの個性やメッセージを伝えるクリエイティブなコンテンツを展開できます。これにより、独自のブランドイメージを構築し、消費者の心に深い印象づけが可能です。

さらに、SNSは社会貢献活動や採用情報、プレスリリースなどの情報も幅広く発信できるため、多角的な広報ツールとしても活躍します。このように、SNS広告を駆使することで、ブランドの魅力を効果的に伝え、顧客との深いつながりを築けます。

2.コストをかけずに情報発信できる

SNS広告を活用すれば、自社のSNSアカウントを通じて、最新の情報やプロモーションを自由かつ迅速に共有が可能です。SNSの大きなメリットは、利用が基本的に無料であるため、低予算で幅広いユーザーにリーチし、積極的なマーケティング活動を実施できます。

また、ターゲットとなる消費者層に直接アプローチできるため、広告効果の最大化が期待できます。SNS広告の活用により、限られた予算のなかでも効果的なブランドプレゼンスの構築が可能です。

3.見込み顧客の獲得に有効である

SNSでの投稿にエンゲージメントを示すユーザーは、自社商品に関心を持つ潜在的な顧客と考えられます。特に、サイト未訪問者に対してSNSを通じてアプローチできるのは大きなメリットです。

メールマガジンやLINE公式アカウントでは登録が前提となるためハードルが高いですが、InstagramやX(旧Twitter)のようなオープンなプラットフォームでは、登録なしで幅広い層にリーチできます。

これにより、多様なユーザーに興味や関心を持ってもらい、新しい顧客層の開拓が可能です。

4.拡散性が高い

SNS上でのシェア機能、たとえばX(旧Twitter)の「リツイート」機能などを利用することで、商品情報や消費者のレビューが瞬く間に拡散されます。これにより、ECショップが多くの人々の目に触れやすくなり、注目されることも少なくありません。

さらに、ユーザーが生成する口コミは、ブランド認知の拡大から購買促進に至るまで、強力な影響力を持っています。このような口コミの獲得と拡散は、SNSを利用する大きなメリットであるといえます。

5.顧客ロイヤリティを高められる

SNS上では、企業がユーザーと直接コミュニケーションをとり、製品やサービスへのフィードバックに対して、迅速に応答する場が創出されています。これにより、顧客満足度が向上し、信頼感を高めることが可能です。

さらに、公式アカウントのSNS上での振る舞いは、そのまま企業への好感度に直結します。アカウント運用担当者が「企業の中の人」として、リアリティやオリジナリティを露出して、ユーザーとの親近感を育むことで、ブランドへの好感度が高まります。

このように、SNS広告を通じて顧客との絆を深めることで、長期的なブランドロイヤリティの構築が可能です。

ECサイトの売上アップにつながる5つのSNSマーケティング活用法

次に、ECサイトの売上アップにつながるSNSマーケティング活用法について紹介します。

  • SNSアカウントの運用
  • SNSインフルエンサーによるPR
  • SNS広告の配信
  • ライブコマース
  • SNSキャンペーンの実施

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.SNSアカウントの運用

ECサイトの売上向上には、SNSマーケティングの活用が欠かせません。その中心となるのが、SNSアカウントの効果的な運用です。

この手法により、自社ブランドを積極的に発信し、消費者との直接的なコミュニケーションを図れます。SNSアカウントは、会社の「顔」として消費者とつながる重要なツールです。

コメントを通じて消費者の疑問を解決することで信頼を築き、長期的なファンを獲得できます。また、基本的な運用方法としては、プロフィールにECサイトへのリンクを掲載し訪問を促すこと、新商品やセール、キャンペーン情報の投稿が挙げられます。

2.SNSインフルエンサーによるPR

人気のインスタグラマーやユーチューバーなど、特定分野で影響力を持つインフルエンサーは、多くのフォロワーに対して大きな影響を及ぼします。彼らに自社の商品を紹介してもらえれば、そのファン層に対して効率的に商品を宣伝でき、新規顧客の獲得が期待できます。

インフルエンサーは、非常に多くのフォロワーがいるため、この信頼関係を活かせば、彼らの発言は消費者の購買行動に強く影響を与える可能性が高いです。また、インフルエンサーを選ぶ際には、その分野での立ち位置や過去の実績を確認し、フォロワー数だけでなく総合的に判断することが重要です。

ただし、2023年10月以降は、ステルスマーケティングは景品表示法上の不当表示に該当し、違法であるため、十分に注意してください。

3.SNS広告の配信

SNS広告は、ユーザーのフィードに自然に挿入されるものが多く、ほかの投稿と同様に違和感なく表示されます。これにより、消費者は自社の広告をより受容しやすくなります。

また、SNSのビッグデータを利用することで、年齢、性別、興味関心などに基づき、自社ブランドと親和性の高いターゲットに絞った広告配信が可能です。また、数百円から出稿できるため、マス広告に比べて低予算での着手が可能であり、小規模なビジネスにも適しています。

さらに、効果的な使い方としては、収益性の高い商品ページへの誘導、ECサイトのセールやキャンペーンの告知、新規ユーザーや新しいマーケットへの開拓などがあります。これらの戦略は、ECサイトの売上を効果的に高めるために重要な施策です。

4.ライブコマース

ライブコマースは、ライブ配信を利用して製品やサービスを紹介し、ECサイトへの誘導や購入を促す効果的なSNSマーケティング手法です。この方法では、動画を通じて情報を豊富に発信できるだけでなく、自社のファンや関心を持つ消費者と直接コミュニケーションを取りながら商品を紹介できます。

リアルタイムでの質問への回答によって、消費者の不安や疑問を即座に解消し、購入へと導くことが可能です。企業担当者による実施や、影響力のあるインフルエンサーをゲストに迎えることで、より多くのフォロワーを巻き込み、ECサイトへの誘導が期待できます。

5.SNSキャンペーンの実施

SNSキャンペーンは、ユーザーに積極的な行動を促すSNSマーケティングの効果的な施策です。たとえば、写真コンテストを実施し、優秀な作品に賞品を提供する方法があります。

このアプローチは、インテリア、料理、フラワーアレンジメントなどさまざまなジャンルに応用可能です。SNS上で自社製品に関する魅力的な写真が増えることにより、ブランドの認知度の拡大や新たな関心を持つユーザーの獲得につながります。

また、集めた写真を自社アカウントで紹介したり、広告クリエイティブとして利用することで、さらなる効果が期待できます。この手法は、ユーザー生成コンテンツの獲得、フォロワー数の増加、ブランドの話題性獲得に有効な施策です。

なお、ECサイトのマーケティングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【担当者向け】ECマーケティングとは?今すぐ使える集客施策やリピート施策をわかりやすく紹介!

ECサイトの売上アップにつながるSNS広告活用事例7選

次に、ECサイトの売上アップにつながるSNS広告活用事例7選を紹介します。それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.ニトリ

1.ニトリ

参考:ニトリ

インテリア製品を展開するニトリは、ECサイトの売上アップにSNS広告を活用しています。特にInstagramの利用が顕著で、2020年11月時点でのフォロワー数は110万人に達しており、「ショッピング機能」を最大限に活用して、ユーザーをECサイトへ効果的に誘導しています。

たとえば、Instagramプロフィールに「ショップタグ」を追加し、ユーザーがタップすることで販売中の製品カタログの表示が可能です。また、投稿では魅力的なインテリアコーディネートの写真を掲載し、気になる商品を見つけたユーザーがスムーズにECサイトに遷移できるよう配慮されています。

2.ベイクルーズ

2.ベイクルーズ

参考:ベイクルーズ

ベイクルーズは、SNS広告の活用により、ECサイトの売上アップに成功しているファッションブランドです。たとえば、Instagramでは、商品を紹介する投稿で着用感のわかりやすい動きのある画像や動画を採用し、消費者の購入意欲を刺激しています。

また、InstagramだけでなくFacebookやX(旧Twitter)でもブランドごとの専用アカウントを持ち、多角的なSNS展開を実現しています。さらに、投稿では共感性や親近感を与えるコンテンツ作りに注力しており、ユーザーが直感的に商品の魅力を感じるような投稿が特徴的です。

3.イトーヨーカドー

3.イトーヨーカドー

参考:イトーヨーカドー

イトーヨーカドーは、Facebookを活用してECサイトの売上を向上させている成功事例の1つです。同社のFacebookページでは、キャンペーン情報や新商品の紹介が積極的に実施されており、特にネット通販限定の商品やキャンペーンの展開が目立ちます。

このように、ネット通販限定の販売やキャンペーンは、サイトへの遷移率を高め、集客力を向上させるのに効果的です。

4.LOWYA

4.LOWYA

参考:LOWYA

LOWYAはインテリアECサイトとして、手頃な価格とセンスの良い商品で人気です。特に、公式X(旧Twitter)アカウントでLOWYAに関するユーザーのツイートを積極的にリツイートし、ファンとの相互コミュニケーションを促進し、ブランドのファン層を拡大しています。

さらに、LOWYAはユーチューバーとのコラボレーションを実施し、家具を使用したルームツアー動画をYouTubeで公開しています。このようなインフルエンサーマーケティングは、商品の魅力をよりリアルに伝え、視聴者の購買意欲を高める効果が高い施策の1つです。

5.ユニクロ

5.ユニクロ

参考:ユニクロ

ファッション小売り大手「ユニクロ」は、X(旧Twitter)を用いたECサイトの売上向上に成功しているファッションブランドです。たとえば、季節ごとのトレンド商品や新作を積極的にX(旧Twitter)で紹介し、ECサイトへの誘導を図っています。

特に注目すべきは、さまざまなファッションコーディネートを提示し、ユーザーに具体的な商品使用シーンをイメージさせるアプローチです。また、ユニクロは自社の折込チラシをX(旧Twitter)で配信し、限られた文字数のなかでも効率的に情報を伝えています。

これらの投稿にはECサイトへのリンクが含まれており、直接的なサイト訪問を促進しています。

6.ChooMia

6.ChooMia

参考:ChooMia

大人の女性をターゲットにしたプチプラアクセサリーブランドのChooMia(チュミア)はInstagramを効果的に活用してECサイトの売上を伸ばしている成功事例です。同ブランドは、フィード投稿やショッピング連携はもちろん、リールでの動画を通じて商品の魅力をアピールし、ユーザーの興味を惹きつけています。

また、ストーリーズやダイレクトメッセージ(DM)を用いてユーザーからのフィードバックを集め、商品開発やカスタマーサービス、サイトの改善に活かしている点も特徴です。このようなユーザーとの直接的なコミュニケーションは、コンバージョン率(CVR)の向上につながっています。

7.楽天市場

7.楽天市場

参考:楽天市場

楽天市場のLINE活用は、ECサイトの売上アップに寄与するSNS広告戦略の成功事例です。楽天市場のLINE公式アカウントでは、一般的な製品情報やキャンペーン発信の枠を超え、人気キャラクター「お買いものパンダ」と「小パンダ」を用いたポイントプレゼント企画を数多く実施しています。

さらに、お買いものパンダと小パンダのLINEスタンプや特別なポイント企画の情報を積極的に提供しています。このような取り組みは、激しい競争が繰り広げられるEC市場において、ブランディングを通じた自社サイトへの誘導が可能です。

ECサイトのSNS広告でよくある3つの質問

最後に、ECサイトのSNS広告でよくある質問について紹介します。

  • 質問1.ECサイト集客にSNSを活用する際の注意点は?
  • 質問2.ECサイトの広告費の目安は?
  • 質問3.ECサイトの広告分析にツールを利用するメリットは?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.ECサイト集客にSNSを活用する際の注意点は?

ECサイト集客にSNSを活用する際の注意点は以下のとおりです。

  • ターゲットと親和性の高いSNSを選択する
    SNSはそれぞれ利用者層が異なるため、自社ブランドとターゲットとの親和性が高いSNSを選ぶことが重要になる
  • SNSの専任担当者をつける
    SNSは地道な積み重ねが重要であるため、担当者を専任し、一貫した世界観のもとで運用するのが望ましい
  • 炎上・ステマを防止するためのリテラシーを高める
    SNS担当者のリテラシーが低いと、思わぬ炎上につながる場合がある。リテラシーを高める教育を実施し、適切な運用者の育成が重要となる

質問2.ECサイトの広告費の目安は?

ECサイトの広告費の設定は、広告主自ら予算設定するのが一般的です。広告予算は、取り扱う商品の種類や価格、広告の目的や目標によって大きく変わります。

そのため、一定の平均予算や一般的な目安を定めることは難しいです。ECサイト運営者が自社に適した広告予算を知りたい場合、業界の専門家に相談し、ビジネスモデルや市場状況をもとにしたシミュレーションが重要になります。

なお、ECサイトの広告費用のおおよその目安は以下のとおりです。

ECサイト費用
Googleショッピング広告10万円/月
リスティング広告50万円/月
ディスプレイ広告10万円/月
SNS広告30万円/月
アフィリエイト広告自社商材の売上の10%
メールマガジン広告50万円/回

質問3.ECサイトの広告分析にツールを利用するメリットは?

ECサイトの広告分析にツールを利用するメリットは非常に大きいです。広告の成果を測定し、戦略を最適化するためにはデータが不可欠ですが、ツールを使用することで以下のメリットが得られます。

  • 誰でも簡単にデータを解析できる
    専門の知識がなくても、直感的なインターフェースを通じて広告のパフォーマンスが解析できる
  • 分析結果を活用できる
    データをもとに広告戦略を調整し、より効果的なキャンペーンを展開できる。これにより、無駄な広告費を削減し、ROIの向上が可能となる
  • 業務効率化につながる
    自動化されたレポート生成やデータ可視化機能により、時間と労力を節約でき、戦略の策定と改善に集中できる

まとめ

この記事では、ECサイトの集客にSNS広告が欠かせない理由やSNS広告を活用するメリット、売上アップにつながるSNS広告活用事例について解説しました。

SNS利用者は年々増加しており、商品購入の参考にSNSを活用するユーザーも非常に多いです。そのため、ECサイトの集客においても、SNS広告は欠かせません。

また、SNS広告には、ブランディングの構築や見込み顧客の獲得に対する有効性、拡散性の高さなどのメリットがあります。これらのメリットを享受するためにも、ぜひこの記事を参考にSNS広告を活用してみてください。

なお、SNS広告を活用したECサイトの集客にお困りの場合は、サポート実績が豊富にある弊社ジャグーまでお気軽にご相談ください。
ジャグー株式会社