Amazonへの出店を検討している方で、価格自動設定について知りたいという方もおられるのではないでしょうか。

この記事では、Amazonの価格自動設定でカスタマイズできるルールや価格自動設定のメリット・デメリットについて解説します。また、Amazonの価格自動設定を登録するステップについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Amazonの価格自動設定とは?

Amazonの価格自動設定は、オンラインマーケットプレイスにおいて出品者が利用できる便利な機能です。このツールを使えば、出品者は自分の商品の価格をあらかじめ設定した範囲内で自動的に調整できます。

この設定により、市場の動向や競合他社の価格変動に応じて、柔軟かつ迅速に販売価格の最適化が可能です。これにより、商品の競争力を維持しつつ利益を最大化できます。

Amazonの価格自動設定でカスタマイズできる5つのルール

次に、Amazonの価格自動設定でカスタマイズできるルールについて解説します。

  • 競争力があるおすすめ出品
  • 競争力のある最低価格
  • 販売点数の目標に基づく価格
  • 他社サイトの価格
  • 法人向け競争力のあるおすすめ出品

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.競争力があるおすすめ出品

Amazonの「競争力があるおすすめ出品」機能では、出品者は自分の商品の販売価格をカスタマイズできます。具体的には、以下の3つの設定から選択可能です。

  • おすすめ出品価格より低い
  • おすすめ商品の価格と一致
  • おすすめ商品価格を上回る

この機能は、同じ商品を複数の出品者が出品している場合に役立ちます。市場の動向に合わせて価格を自動的に調整することで、商品が品切れになったり価格が変動した際に、自身の商品がおすすめ商品として紹介される可能性を高めます。

2.競争力のある最低価格

Amazonでの「競争力のある最低価格」とは、現在市場にある同じ商品のなかで最も低い価格に合わせる設定です。このルールに基づいて、出品者は以下の3つのオプションのなかから価格設定ができます。

  •  最低価格よりも低く設定
  •  最低価格と同じ価格に設定
  • 最低価格よりも高く設定

この設定はとくに、Amazonの新規セラーやアカウントの評価がまだ高くない出品者に有効です。最低価格で販売している場合、価格自動設定機能は次に低い価格との比較に基づいて実施されます。

このアプローチにより、出品者は価格競争でほかの出品者に対して差別化が図れます。

3.販売点数の目標に基づく価格

設定した期間内の目標販売点数に基づき、商品の価格を自動調整できます。この設定を用いると、目標販売点数に達していない場合は、販売を促進するために自動的に価格を下げることができます。

また、価格を見直すタイミングは、1日に1回や7日に1回など、出品者が自由に設定可能です。このルールは、在庫の早期回転や不良在庫の処分にとくに効果的です。これにより、市場の需要に応じた柔軟な価格設定が実現し、在庫管理の効率化に貢献します。

4.他社サイトの価格

他社サイトの価格とは、Amazon以外のオンラインショップの価格を基準にして自分の商品価格を決定する方法です。この設定を利用することで、ほかのオンラインショップと比較して最も安い価格で商品を提供したいと考える消費者をターゲットにできます。

しかし、Amazonで商品を検索している顧客がほかのサイトまで足を延ばして購入するケースは少ないため、このルールによるメリットは限定的です。つまり、他社サイトの価格に基づく価格設定は、競争力を高めるための戦略としては有効ですが、Amazon内での顧客のニーズを満たすためには必ずしも最適ではない可能性があります。

5.法人向け競争力のあるおすすめ出品

Amazonビジネスへの出品者は、法人や個人事業主向けに競争力のある価格を提供するために、販売価格に対する割引率を設定できます。この割引率は、商品1点ごとにカスタマイズすることも、数量割引から選択することも可能です。

さらに、販売価格を変更した際には、自動的に法人向け割引率が適用されるため、法人価格や数量割引価格を個別に設定しなくても済む便利なルールです。これにより、法人向け競争力のある価格設定がスムーズにでき、Amazonビジネスでの販売戦略を効果的に展開できます。

Amazonの価格自動設定のメリットは3つ

次に、Amazonの価格自動設定のメリットについて解説します。

  • カートの獲得がしやすくなる
  • 価格調整の労力を軽減できる
  • 一番安い価格で商品を販売できる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.カートの獲得がしやすくなる

カートを獲得する状態とは、Amazon商品ページ上の「カートに入れる」ボタンを含むエリアで、最初に出品者の店舗名が表示される状態を指します。

カートを獲得することで、購入までのスムーズな流れにつながり、売上の拡大に寄与します。また、価格自動設定を活用しておけば、「なるべく安い価格を設定する」というカート獲得の条件を満たすことも可能です。

なお、Amazonでのカートの獲得については、こちらの記事で詳しく解説しています。

Amazonにおけるショッピングカートの獲得状況を確認する方法|取得の前提条件や獲得方法もご紹介

2.価格調整の労力を軽減できる

価格設定には市場や類似商品のリサーチが必要であり、作業には時間とコストがかかります。しかし、Amazonの価格自動設定機能を活用すれば、価格設定にかかるリソースを大幅に削減できます。

これにより、販売促進や集客などのコア業務に割く時間が確保でき、効率的なAmazonでの運用を実現可能です。つまり、価格調整の手間を減らし、ビジネスの成果を最大化するために価格自動設定は非常に有益です。

3.一番安い価格で商品を販売できる

出品者評価の低さが原因で、他社商品と同価格で購入してもらえない場合は、価格を下げて価格競争力を持たせることで、価格での差別化が図れます。

これにより、より多くのユーザーを引き寄せ、売上を向上させることが可能です。適切な価格設定がわからない方や売上を増やしたい方にとって、価格自動設定は非常に有効なツールであるといえます。

Amazonの価格自動設定のデメリットは3つ

次は、Amazonの価格自動設定のデメリットについて解説します。

  • SKUが多い場合は設定に時間がかかる
  • 利益が減少するおそれがある
  • 初心者にはルールが難しい

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.SKUが多い場合は設定に時間がかかる

SKU(Stock Keeping Unit)は、在庫管理における最小品目数を表す単位で、簡単にいえば「出品している商品の種類数」を意味します。Amazonでは、自動価格設定は1日に最大15,000点までと限られており、商品点数が多い店舗の場合、価格調整に数日かかる場合もあります。

また、価格を間違えて設定してしまうと、訂正するのにも時間がかかるため、自動価格設定を利用する際には、設定条件の確認と慎重な操作が必要です。

2.利益が減少するおそれがある

Amazonの価格自動設定機能を利用する際は、競合商品に対して価格を自動的に下げるのが一般的です。しかし、このプロセスにはリスクが伴います。

とくに、競合他社も同じ自動設定機能を使用している場合、価格競争が激化し、互いに価格を下げ続けることになります。これは、両者が設定した最低価格に到達するまで続き、結果として利益率が著しく低下する可能性も否定できません。

したがって、利益率を維持または向上させたい商品に対しては、価格自動設定の慎重な管理が重要です。

3.初心者にはルールが難しい

商品知識が限られていたり、せどりの経験が少なかったり、また最近になってFBAを利用しはじめたばかりの人々にとって、この機能の利用には一定の課題があります。

初心者は、まず市場の動向を理解し、商品価格がどのように変動するかを学ぶことが重要です。価格の上昇パターン、価格変動のグラフの解釈方法、さらに商品の特徴を把握することが、自動価格設定を効果的に利用するための基礎となります。

これらの知識を蓄積したうえで、自動価格設定を活用すると、出品戦略の効率化と最適化が期待できます。

Amazonの価格自動設定を登録する3つのステップ

次に、Amazonの価格自動設定を登録するステップを紹介します。

  • ステップ1.価格設定のルールを作る
  • ステップ2.価格設定のルールを定義する
  • ステップ3.SKUを選択する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

ステップ1.価格設定のルールを作る

Amazonの価格自動設定を登録する際は、以下の手順で設定してください。

  • セラーセントラル内の「価格」の項目から、「価格の自動設定」をクリック
ステップ1.価格設定のルールを作る①
  • 画面右上「カスタム価格設定ルールを作成」を選択後、価格ルールの新規作成ページが立ち上がる
ステップ1.価格設定のルールを作る②
  • ルールタイプのプルダウンから、適用したいルールを選択

確実にショッピングカートボックスを獲得するため、「競争力のある最低価格」を設定し、最低価格をキープできるようにするのがおすすめ

  • ルールに名前を付け、画面下「マーケットプレイスの選択に進む」をクリック
ステップ1.価格設定のルールを作る③

ステップ2.価格設定のルールを定義する

次のステップでは、価格設定のルールを定義します。手順は以下のとおりです。

  • マーケットプレイスの選択画面が表示される
  • 日本のAmazonのみで販売を行っている場合は「Amazon.co.jp」にチェックを入れ、「保存して価格設定ルールの選択を続ける」をクリック
  • ルールの詳細を設定後に実施する

最低価格よりいくら安い金額設定にするかがポイントとなり、カートが獲得できる最低価格をキープできれば問題ありません

  • 「このルールをAmazon.co.jpに保存する」ボタンをクリック
ステップ2.価格設定のルールを定義する①

ステップ3.SKUを選択する

最後に、SKUを選択します。以下の手順で選択してください。

  • 価格の自動設定画面の「価格設定のルールセット」内に作成したルールがあり、その右側にある「SKUを編集」をクリックする
ステップ3.SKUを選択する①
  • 商品を選択できるページが表示される
    作成したルールに合わせて価格の自動化を行いたい商品を一覧左のチェックボックスから選択し、リストの上にある「一括処理」から、適用させるルールを設定する
ステップ3.SKUを選択する②
  • それぞれの商品価格に対し、上限と下限を設定する

Amazonの自動価格設定でよくある3つの質問

最後に、Amazonの自動価格設定でよくある質問を紹介します。

  • 質問1.自動価格設定を解除/削除する方法は?
  • 質問2.Amazonの価格自動設定を効果的に活用するポイントは?
  • 質問3.Amazonの価格自動設定がおすすめの人は?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.自動価格設定を解除/削除する方法は?

自動価格設定の解除/削除する場合は、以下の手順で解除が可能です。

  • セラーセントラルの価格の自動設定ページを表示する
  • 作成した価格設定のルールの定義を確認する
  • 右側のアクションより削除、保留など選択できるため、自分が希望する所を選択し、クリックする
  • SKUを解除したい場合、該当のSKUの実行アクションから外せば解除される

質問2.Amazonの価格自動設定を効果的に活用するポイントは?

Amazonの価格自動設定を効果的に活用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • カートボックスを獲得したい商品に適用する
    カートボックスの獲得が売上に直結するため、売行きを改善したい商品に価格自動設定を適用。Amazonでは、価格が競合出品者と比べて乖離しているとカートボックスの獲得率が下がるため、カートボックスの獲得が未達成の商品にこの設定を施すのが効果的
  • グループごとにルールを統一する
    商品をカテゴリー別などのグループにわけ、それぞれに合った価格自動設定ルールを適用することで、効率的な価格管理が可能となる。たとえば、「在庫処分をしたい商品」などのグループを設け、これらの商品にはより低価格で売れるようなルール設定するのがおすすめ

これらのポイントの活用により、Amazonでの販売戦略がより柔軟かつ効果的になります。また、これらのルールをマニュアル化することで、社内での共通理解が促進され、誰もが簡単に価格設定に対応が可能な点も大きなメリットです。

質問3.Amazonの価格自動設定がおすすめの人は?

Amazonの自動価格設定機能は、特定のニーズを持つ出品者にとって役立つツールです。とくに、出品時の価格設定に多くの時間を費やすことなく、効率的に売上を伸ばしたい方々に最適です。

このツールは、限られた時間のなかでも最大限の収益を生み出したいと考えている出品者にとって、重要な手助けとなります。さらに、自動価格設定の利用に加えて、Amazonの専門家に運用を委ねるという選択肢も有効です。

この方法を取ることで、出品者は販売戦略のほかの側面に集中でき、ビジネスの成長をさらに加速させることが可能になります。

まとめ

この記事では、Amazonの価格自動設定でカスタマイズできるルールや価格自動設定のメリット・デメリット、Amazonの価格自動設定を登録するステップについて解説しました。

Amazonの価格自動設定は、商品の価格をあらかじめ設定した範囲内で自動的に調整できる便利な機能です。「競争力のある最低価格」に設定しておけば、カートが獲得しやすくなるメリットがあります。

また、価格調整にかかる労力を軽減できるのも大きなメリットです。一方で、価格競争により、利益が減少する可能性もあるため、運用には慎重さも求められます。これらの要素を網羅的に理解し、適切な価格設定を選択することがビジネスの成功につながります。

なお、Amazonへの出店や価格設定でお困りの場合は、支援実績が豊富なジャグーまでお気軽にご相談ください。⇒ジャグー株式会社