CVRはECサイトの売上を直接左右する重要な指標です。その最適化は、ECサイト成功への鍵を握ります。

本記事では、CVRの基本から計算方法、さらには改善するための具体的な施策まで、2023年最新の情報をもとに解説します。ECサイトのCVRに伸び悩んでいる運営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは?

ECサイトにおけるCVRとは、Webサイトに訪れたユーザーのなかで「最終行動(ゴール)」に至った割合を表す重要な指標です。

ECサイトの最終行動(ゴール)とは、「商品の購入」を指します。CVRは、「訪問者の何割が商品を購入したか」を直接的に示しています。

ECサイト運営者にとって、CVRを理解し分析することは必須です。CVRを理解することで、ユーザーがサイトを離脱する理由の発見や成果が出ない原因の解明につながります。

CVRの計算方法

コンバージョン率(CVR)はサイトの成果を示す指標となり、計算方法は以下のとおりです。

  • CVR(%)=CV(コンバージョン数)÷セッション数×100

たとえば、訪問者数が10,000人、商品購入数100件だとすると、CVRは1%です。注意点としては単純な訪問者数や成果の数だけでなく、CVRを用いて訪問者の成果達成率を評価することが欠かせません。

CVRの目安は「1~3%程度」

ECサイトのCVRは、通常1〜3%とされています。また、広告経由でのCVRの中央値は1.84%です。

さらに、上位25%のECサイトでのCVRは3.71%、トップ10のサイトは6.25%だとされています。ジャンルごとの傾向としては、法律、BtoBサービス、金融関係のサイトと比較してECサイトのCVRは低い傾向です。

広告経由CVRは0.59%、検索流入CVRは2.81%となり、検索流入の方が高くなります。そのため、ECサイト運営者はCVRを定期的に分析・解析し、低い場合はサイト改善が必要です。

参考:What Is a Good Conversion Rate? It’s Higher Than You Think!

商品ジャンル別の平均CVR

2022年第4四半期の商品ジャンル別平均CVRは、以下のとおりです。

  • ヘルスケア4.6%
  • アパレル4.2%

また、高単価商品ジャンル(自動車、家電)においてはCVRが低い傾向にあります。それに対して、価格が安い商品(食品/飲料、医療/美容コマースサイト)は、高いコンバージョン率です。

さらに「楽天市場」の優良店の数値を見てみると、ギフトジャンルでの平均CVRは4.9%を記録しています。

ECサイトのCVRが低くなる主な原因は4つ

次に、ECサイトのCVRが低くなる主な原因について解説します。

  • サイトの構造自体に問題がある
  • 広告のターゲティングが適正でない
  • 環境や市場の変化に対応できていない
  • ユーザーが求める商品がない

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.サイトの構造自体に問題がある

ECサイトのCVRが低い原因として、サイトの構造や利便性に問題があるおそれがあります。たとえば、入力フォームの項目が多かったり、問い合わせフォームの位置がわかりづらかったりすることが挙げられます。

また、信頼性が低い表現の使用や検索機能の使い勝手の悪さ、商品情報が不十分といった点についても、ユーザーの購買意欲を低下させてしまう原因です。

これらを改善するには、CTA(Call To Action)を用いたマーケティング手法や、ユーザー中心の設計の見直しによって、コンバージョン率の向上を目指してみてください

2.広告のターゲティングが適正でない

Web広告の内容とECサイトの商品との間にズレがあると、流入は増えてもコンバージョン率が低下するリスクがあります。

また、ターゲット設定が不正確であると、関心のないユーザーに広告が表示されることがあり、狙っていた層から外れるおそれが高まります。そのため、ターゲティングは精密にし、ユーザーニーズに適した内容の広告を作成しなければなりません。

3.環境や市場の変化に対応できていない

業界の成長や経済動向、物価変動など、市場環境の変化に対応できなければ、競合に追い抜かれたり、ニーズからの乖離が生じたりするリスクがあります。

そのため、企業は市場の状況や社会情勢を敏感に察知し、変化に対応していく努力が必要です。また、数値的な指標を定期的に確認し、自社の行動を適正に保つ体制作りも欠かせません。

4.ユーザーが求める商品がない

ユーザーが求める商品がECサイトで売られていない、もしくは、見つけられなければコンバージョンに至りません。このような事態を防ぐには、以下のような施策を検討してみてください。

  • 商品取扱いの検討
  • 集客方法の変更
  • ユーザーニーズ調査
  • サイト内検索ツールの導入
  • ユーザーの声の収集
  • ページ遷移や離脱ページの分析

社内の状況に応じて、適切な施策を実施し、ユーザーが求める商品をそろえることが重要です。もしも、自社でCVRが低くなる原因を特定できない場合、豊富な支援実績があるジャグーまでお気軽にご相談ください。
ジャグー株式会社

ECサイトのCVRを改善する13の施策

次に、ECサイトのCVRを改善する施策について解説します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.ECサイトのコンセプトを見直す

ECサイトの雰囲気が商品やユーザー層に合っていない場合、コンセプトを見直すことをおすすめします。このようなトラブルは、ページ増設時にブレが生じることが多い傾向にあります。

この際、以下の手順でブレを特定し、改善してみてください。

  • キーワード特定
  • 販売方法やターゲット層、ニーズ調査をする
  • デザインを統一し、操作性向上を図る

実際に改善し、一定期間運用したあとgoogleアナリティクスなどで効果測定をします。このときに、リニューアルした効果が見られない場合は継続的に問題の特定と改善に取り組むようにしてください。

また、完全リニューアルには数百万円のコストがかかることもあり、初回の投資並みの予算を見込めると安心です。

2.モバイルファーストに対応する

現在、ECサイトへのアクセスは、スマートフォン経由が70%以上を占めています。多くのECサイトがパソコン表示を優先していますが、スマートフォンでの操作性が低下すると離脱リスクが高まります。

これを予防するには、レスポンシブWebデザインやダイナミックサービングの採用が欠かせません。また、googleはモバイルファースト・インデックス基準を採用しているため、SEO効果とユーザーの利便性向上も期待できます。

3.フォームの最適化を図る

ECサイトにおけるフォームの使いやすさは、CVR向上に効果があります。具体的な最適化の例を挙げると、項目数を最小限にし、入力作業を短縮することが効果的です。

ほかにも、レイアウトで各項目を1つずつ表示したり、エラーチェック機能で正確な入力をサポートしたりすると、ユーザーの利便性を高め、CVR向上につながります。

4.複数の決済方法を用意する

複数の決済方法を用意することによって、CVR向上が見込めます。一部のユーザーは、アカウント作成や過剰な個人情報の入力を避けたいと感じる人もいるようです。

そのため、ID決済やアプリを通した決済を導入することによって、安心感を与えることにつながります。また、10代のユーザーや海外ユーザーへ対応することも重要です。

5.TOPページのデザインを変更する

TOPページは、サイトへ訪れるユーザーを商品ページへ導く役割があります。そのため、トレンドに合わせてデザイン更新と検索窓を配置しなおすことが必要です。具体的には、以下のポイントを押さえて変更するようにしてみてください。

  • サイト構造の複雑化を防ぐ
  • 直感的に設計する
  • 効果検証と最適化を繰り返す
  • TOPページの変更は比較的安価なため、年間予算に組み込む

これらの施策を講じることによって、ブランド認知度を高めながら、ユーザーの関心を引き付ける効果を期待できます。

以下の記事では、売れるECサイトのデザインについて解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。

売れるECサイトのデザインにある共通点は4つ|最新トレンドやUI/UXでチェックすべきポイントを解説

6.商品画像を豊富に用意する

ECサイトでは、商品ページの充実が購買意欲に大きく影響します。そのなかでも、商品画像は購入の決め手となることが多い傾向です。

そのため、複数の角度からの撮影により、色合いや質感が伝わりやすいように工夫しなければなりません。また、商品を使用しているカットを掲載することにより、より具体的なイメージを伝えられます。

可能な限り、サイズ情報や使用方法、使用イメージの画像を掲載し、ユーザーへ情報を十分に伝えるように取り組んでみてください。

7.良いレビュー・口コミを獲得する

ユーザーは他者の口コミを重視し、購入前に参照する場合がほとんどです。そのため、多様かつ信頼性が高い口コミを集めることによって、CVR向上につながります。

また、詳細な商品レビューや信頼性のあるコメントは、購入意思の決定と信頼度向上に大きな影響を及ぼします。

口コミを獲得する施策としては、投稿者に特典を提供する施策が最適です。たとえば、購入後にレビューすることで割引クーポンをプレゼントすると、効率よく口コミを集められます。

8.クーポンを発行する

クーポンを発行することは、顧客の購買促進に効果的です。割引や送料無料などの特典があれば、購入意欲を刺激できます。

また、利用期限を設定することによって緊急性を演出することもおすすめしたい施策の1つです。

注意点としては、利益計算をしながら計画的にクーポンを発行しなければならないことが挙げられます。頻繁に発行してしまうと、価格競争に陥るリスクが高まってしまいます。

9.ECサイトをメディア化する

ECサイトをメディア化することによって、ブランド認知度とCVRを高めやすくなります。たとえば、商品の使用方法やシーンをコンテンツ化することによって、読者の関心を引きつけることが可能です。

また、ストーリーやインフルエンサーとコラボレーションすることにより、ブランディングにも役立ちます。ユーザーに寄り添ったコンテンツを発信することで、信頼性の獲得と関係性強化が期待できます。

10.サポート体制を充実させる

サポート体制の強化は、CVR向上に欠かせません。具体的には、購入前後の問い合わせやクレーム、返品対応で高品質な対応を心がけるようにしてください。

高品質な対応を重ねることによって、顧客満足度の向上及び信頼関係を構築可能です。信頼関係を深めることにより、ロイヤリティーの醸成と長期的な関係性を構築できます。

11.カゴ落ちを防ぐ

「カゴ落ち」は、ユーザーがECサイトで商品をショッピングカートに入れたものの、最終的には購入に至らないケースを指す用語です。

この割合は、ECサイト全体で約70%近くとされています。そのため、カゴ落ち率を改善することによって、CVR向上に直結するといえます。

具体的なカゴ落ち対策には、以下のようなものが挙げられます。

  • あらゆる決済方法を提供する
  • 購入手続きの入力項目を減らす
  • 入力フォームの最適化を図る

カゴ落ちする要因を分析し、改善を図るようにすることで、CVR向上が期待できます。

より詳しくカゴ落ち防止の施策を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ECサイトの「カゴ落ち」とは?起こる理由や防ぐための施策、対策におすすめのツールをご紹介!

12.目的に合ったツールを導入する

目的に応じたツールの導入もCVRを高める施策の1つです。たとえば、チャットボットを導入することによって、ユーザーの疑問解消と商品購入の促進につながります。また、24時間365日稼働することによって、営業時間外でも対応可能です。

さらに、実店舗とは違い、直接接客することが難しいECサイトの弱点を接客ツールでカバーできるようになります。これらのことにより、CVRの向上が期待できます。

13.外部のコンサル会社に依頼する

自社であらゆる施策を実施しても効果を実感できない場合、外部のコンサル会社にサポートを依頼することも効果的です。

ECにおけるコンサル会社は、これまでにサポートした経験が豊富にあり、自社が抱える課題に応じて最適な戦略を立案してくれます。

コンサル会社を選ぶ際、自社の課題や出品ジャンル、予算を明覚にしたうえで相談するようにしてみてください。

また、弊社ジャグーでは月間10社に限りますが、無料でサイトの現状分析サービスを提供しています。社内で課題を明確化できない場合にも役立てられますので、お気軽にご相談ください。
ジャグー株式会社

ECサイトのCVR向上に役立つ4つのツール

ECサイトのCVR向上に役立つツールには、以下の4つが挙げられます。

  • Web接客ツール
  • チャットボット
  • EFOツール
  • サイト分析・解析ツール

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.Web接客ツール

Web接客ツールは、ECサイト訪問者へオンライン接客を実現できるツールです。顧客ごとにパーソナライズされた接客を期待できます。

具体的には、ユーザーが抱いた疑問の解消やおすすめを提案することが可能です。そのため、離脱率の低減やCVR向上を見込めます。

適切かつスピーディーな情報を提供することによって、ユーザーとの良好な関係性の構築が可能です。

2.チャットボット

チャットボットは、注目されているツールの1つです。24時間365日自動で返信できるため、営業時間外でも顧客対応できます。

また、商品検索や購入、注文状況の確認についても可能です。さらに、AIが搭載されているツールでは自然な会話ができ、ユーザー好みの商品提案ができます。

ユーザーとスムーズなコミュニケーションを図ることによって、顧客満足度の向上も見込めます。

3.EFOツール

EFOツール(Entry Form Optimization)は、入力フォームを最適化するためのツールです。入力支援機能を活用することによって、ユーザーのストレスを軽減できます。

また、利用状況の可視化と分析をすることで、離脱ポイントの特定と改善点を見つけることも可能です。しかし、効果的に運用するには時間を要する場合が多いため、サポートプログラムを提供しているツールから選ぶようにすることをおすすめします。

4.サイト分析・解析ツール

サイト分析・解析ツールは、ECサイトの数値化をし、客観的な判断材料を提供してくれるツールです。具体的に得られる情報・データには、以下のようなものが挙げられます。

  • PVやCVRなどの数値的データの収集
  • 離脱率ページの特定
  • カゴ落ち箇所の特定

これらのように、ユーザーの行動傾向や人気商品、流入経路などの情報を把握できるようになります。ツールを利用して得た情報をもとに、CVR向上につながる施策の立案が可能です。

ECサイトのCVRでよくある3つの質問

ECサイトのCVRでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。

  • 質問1.オフラインでCVRを高める方法は?
  • 質問2.ECサイトにおける離脱率の平均値は?
  • 質問3.ECサイトの戦略における基本的な考え方は?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問1.オフラインでCVRを高める方法は?

ECサイトのCVRを改善するには、カスタマーサクセスが非常に重要です。カスタマーサクセスは、ユーザーの行動をガイドする役割を果たします。具体的には以下のような方法があります。

  • 割引クーポンの通知
  • 新商品情報提供
  • 返品・クレーム対応
  • 送料無料
  • 即日配送

また、これらに加えて返品可能・保証期間を伸ばすことによって、顧客満足度を高められます。

質問2.ECサイトにおける離脱率の平均値は?

ECサイトにおける離脱率の平均値を計算することは非常に難しいことだといえます。これは取り扱いジャンルや価格帯に応じて、離脱率に大きな違いが見られることが理由です。

そのため、自社の現状に合わせた分析が求められます。具体的には、サイト内での離脱率平均値の推移を比べることが効果的です。1ヶ月ごとに数値を確認し、離脱率を改善する施策を繰り返すようにしてください。

また、ECの離脱率に関する情報は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【担当者向け】ECサイトにおける離脱率の平均値|改善する8つの対策について徹底解説!

質問3.ECサイトの戦略における基本的な考え方は?

ECサイトの戦略における基本的な考え方の要素は、以下の3つです。

  • 集客
  • CVR
  • 客単価

これらの要素を理解し、戦略的にアプローチすることが求められます。また、売上は以下の式で計算することが可能です。

  • 売上=集客人数×CVR×客単価

これらのデータ収集と分析を継続することが、改善のためには欠かせません。サイトを立ち上げた段階では、集客データを集め、その後にCVRや客単価の高める施策を実施することが重要です。

自社の強みを活かし、改善余地が大きいポイントに焦点を当てることが基本的なEC戦略だといえます。

まとめ

ECサイトにおけるCVRについて解説しました。CVRを高めることによって、売上アップに直結します。そのため、計算方法や平均値を知ることは非常に重要です。

この記事では、CVRの計算方法から低くなる主な原因、改善施策まで解説しました。ぜひ参考にして、売上アップを目指してみてください。

しかし、自社でCVRが低い原因を特定したり、効果的な施策を講じたりすることが難しい場合も考えられます。その場合、豊富なサポート実績がある弊社ジャグーまでお気軽にご相談ください。
ジャグー株式会社