ECサイト公開後、時間が経つとリニューアルを検討しなければなりません。この記事では、リニューアルするタイミングや成功させるためのポイント、必要となるステップについて詳しく解説します。
サイトリニューアルの必要性を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ECサイトのリニューアルを検討すべきタイミングは5つ
ECサイトのリニューアルを検討すべきタイミングには、以下の5つが挙げられます。
- システムの老朽化
- 機能面の不足
- レスポンシブへの対応
- サイトデザインが古い
- セキュリティ面でのリスクがある
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
1.システムの老朽化
ECサイトのシステムが古くなると、セキュリティが弱くなったり、新しい機能に対応できなくなったりするケースがあります。
ASPやクラウドのようなシステムは定期的に更新されます。しかし、パッケージやオープンソースのシステムを使用している場合は、数年で老朽化するため、定期的なリニューアルが欠かせません。
2.機能面の不足
事業が拡大するにつれて、ECサイトの機能不足が明らかになります。また、売上拡大のための販促施策には、システムのリニューアルが必要となる場合があります。
バックエンド業務の効率化や外部サービスとの連携が難しければ、よりサポートが充実したシステムへのリニューアルを検討してみてください。
3.レスポンシブへの対応
マーケティング施策を実施するためにも、ECサイトのリニューアルが必要です。たとえば、コンテンツマーケティングを実施しようとしても、現在のシステムがサポートしていない場合、リニューアルしなければなりません。
また、SEO施策に必要なURLのリダイレクトが高額であるなどの制約がある場合も、リニューアルの検討が必要です。このように、マーケティング施策の実施がシステムによって制限される場合、適切なリニューアルの実施が重要となります。
4.サイトデザインが古い
ECサイトのデザインが時代遅れになると、ユーザーに悪い印象を与えるおそれがあります。とくに視認性や可読性が低いデザインは、ユーザーの滞在時間や再訪問率の低下につながりかねません。
これらは直接売上に影響を与えるため、デザインのリニューアルは重要です。トレンドに合わせてデザインを更新しなければ、サイトデザインが古くなり、ユーザーエクスペリエンスが損なわれます。
なお、ECサイトのデザインに関する情報はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒売れるECサイトのデザインにある共通点は4つ|最新トレンドやUI/UXでチェックすべきポイントを解説
5.セキュリティ面でのリスクがある
セキュリティの不備は、業務効率の低下や情報漏洩のリスクを増大させます。とくに、ECサイトは顧客情報を多く扱うため、セキュリティの問題はサイトの信頼性にも影響を及ぼしかねません。
そのため、新しい技術に対応したセキュリティ対策を実施し、ユーザーの安全と信頼の確保が重要です。古くなったシステムやセキュリティ対策の見直しは、リニューアルを検討する要因となります。
ECサイトのリニューアルにかかる費用
ECサイトのリニューアルにかかる費用はリニューアルの規模によって大きく異なります。具体的な費用の目安については、以下の通りです。
構築方法 | 費用目安 |
ECモール | 0~数万円 |
ASPカート | 0~数十万円 |
オープンソース | 数十万円〜数千万円 |
ECパッケージ | 数十万円〜数千万円 |
これらの費用はあくまで目安となり、プロジェクトの具体的な要件や機能、デザインの複雑さによって大きく変動します。
ECサイトのリニューアルを成功させるための7つのポイント
ECサイトのリニューアルを成功させるための7つのポイントについて解説します。
- リニューアルの目的を明確にする
- 現状の課題を洗い出す
- 将来を見越した事業計画を立てる
- リニューアルにかける予算や製作期間を検討する
- 現場スタッフ意見を設計に取り入れる
- Webマーケティングの知識が豊富な開発会社を選ぶ
- UIやUXを意識したサイトデザインにする
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
1.リニューアルの目的を明確にする
ECサイトのリニューアルを成功させるためには、まずリニューアルについて具体的な目的が重要です。現行サイトの課題を洗い出し、売上が伸び悩んでいる原因を特定します。
そのうえで、リニューアルによって解決したい課題や達成したい成果を具体的に定めるようにしてください。このプロセスを経ることで、優先的に変更すべき箇所が見えてきます。
2.現状の課題を洗い出す
リニューアルの際、現場の社員の意見を取り入れることが重要です。とくに、顧客対応している担当者は、ユーザーからの生の声を直接聞いているため、サイトの課題を特定するのに重要な情報を有しています。
大規模な事業者では、経営層や管理職のみで進めるのではなく、実際にサイトを運営している現場の意見を反映させ現状の課題を洗い出すようにしてください。
3.将来を見越した事業計画を立てる
リニューアルする際には、短期的な目的だけでなく、長期的な事業計画の考慮が大切です。事業拡大のスピードや方向性を考慮し、将来的に必要となる機能や外部サービスとの連携についても検討します。
とくに、API連携に対応しているシステムを選択することで、外部とのスムーズな連携が可能です。
4.リニューアルにかける予算や製作期間を検討する
リニューアルにかける予算や製作期間は、プロジェクトの範囲や目標に応じて検討する必要があります。そのため、費用面だけでなく、リニューアルのための期間も計画に含めることが重要です。
また、リニューアルの目的や求められる機能、デザイン要件などを総合的に考慮し、実現可能な予算と時間枠も設定が求められます。
5.現場スタッフ意見を設計に取り入れる
現場スタッフの意見は、ECサイトのリニューアルにおいて非常に重要です。スタッフは、日々の運用を通じてユーザーのニーズやサイトの課題に深く触れているため、その意見はリニューアルの方向性や機能改善において貴重なインサイトを提供します。
経営層やプロジェクトチームだけでなく、現場スタッフの意見をリニューアル計画に取り入れ、よりユーザーフレンドリーなサイトへの改善が可能です。
6.Webマーケティングの知識が豊富な開発会社を選ぶ
ECサイトのリニューアルの最終目的は多くの場合「売上アップ」です。そのため、単なるサイト制作だけでなく、Webマーケティングに強い開発会社の選定が求められます。
Webマーケティングの知識が豊富な会社は、商品が売れるための具体的な知識があるため、見た目だけでなく「売上アップ」を実現できるサイト設計を実現可能です。
7.UIやUXを意識したサイトデザインにする
ECサイトのリニューアルにおいてUI(User Interface)とUX(User Experience)を意識したデザインは重要です。UIはユーザーがサイトを使う際の操作や表示に関わる部分となり、UXはサービスを通じてユーザーが得る体験を指します。
目指すべきは「ユーザーにとって使いやすく満足できるサイトを作ること」です。近年では、顧客体験を重視したサイト作りが主流となっており、売上向上に直結するとされています。メインターゲット層にとって快適なサイトとなるように心がけが重要です。
ECサイトのリニューアルに必要な7つのステップ
ECサイトのリニューアルに必要なステップは、以下の7つが挙げられます。
- ステップ1.問題点や改善点を明確にする
- ステップ2.コンセプトを定義する
- ステップ3.企画書を作成する
- ステップ4.プロジェクトチームを作る
- ステップ5.要件定義を実施する
- ステップ6.ベンダーを決定する
- ステップ7.運用テストを実施する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
ステップ1.問題点や改善点を明確にする
リニューアルの計画を立てる際、まず現在のサイトの問題点や改善点をしっかりと把握することが重要です。企業側の視点だけではなく、実際に利用されるユーザーがどのように困っているか、どうすればスムーズに購買行動が完了できるかを考慮しなければなりません。
また、サイトを運営しているスタッフの意見も重要です。リニューアルによって運営の効率が悪化すると、ミスが増えて売上に影響するおそれがあるため、運営スタッフの声は欠かせません。ユーザーの視点と運営の実情をバランスよく考慮し、改善を進めることがポイントです。
ステップ2.コンセプトを定義する
ECサイトのコンセプトを明確にすることが求められます。「誰に」「何を」「どうやって」届けるかを基に、具体的な目標設定が重要です。
たとえば、「1ヶ月のアクセス数を15%増加させる」のような具体的数値を用いた目標を設定します。さらに、その目標に合わせてコンセプトを見直し、ターゲットやタッチポイントの最適化を図るようにしてください。
ステップ3.企画書を作成する
これらの課題や改善点、コンセプトを基に企画書を作成します。企画書には、サイトリニューアルの概要、背景、目的、ターゲット、現行サイトの課題と改善策、リニューアル後の目標、他社の成功事例、予算やスケジュールなどを含めるようにしてください。
こうすることで、リニューアルの必要性と期待される効果を明確にし、経営層や上層部の理解と支持を得ることが期待できます。
ステップ4.プロジェクトチームを作る
ECサイトのリニューアルを進めるために重要なことは、社内で専門プロジェクトチームを立ち上げることです。このチームには、以下のメンバーを含めるようにしてください。
- プロジェクトリーダー
- 実際の業務に詳しいメンバー
- 決裁権者
大規模なリニューアルの場合、複数の業務が同時進行するため、リーダーはリニューアルに関する対応を取りまとめ、スケジュールに従って業務を進行する役割を担います。また、業務に精通している人は、現状のルールや運営状況をリニューアルに反映させるために必要です。
決裁権者は、開発会社の選定や予算の決定など、最終的な決断を下す責任者となります。
ステップ5.要件定義を実施する
プロジェクトチームが決定したあとは、事前に作成されたリニューアル要件を基に、開発会社と必要な機能、システム、デザインの確認が必要です。
この過程では、現場の意見も重要であり、運営スタッフも開発会社との打ち合わせへ参加をおすすめします。要件定義では、開発者の視点から新たな課題の発見が可能です。
また、開発会社との綿密な打ち合わせによって、社内では見逃されがちな問題点を明らかにし、より効果的なリニューアルを実現できます。
ステップ6.ベンダーを決定する
ECサイトのリニューアルにおいてベンダーの選定は、社内の要望や現状を踏まえようにします。
まず、ネット検索を通じて各開発会社の実績や強みに着目してリサーチしてください。次に、選定した候補へ連絡を取り、リニューアルの意図を伝え、コンペへの参加を依頼します。
その後、コンペを開催し、費用、実績、デモ画面、プロジェクトの理解度などに注目して、提案を評価してください。最終的にはコンペの結果を基にベンダーを選定し、社内の承認を得て正式に決定します。
ステップ7.運用テストを実施する
開発完了後、すぐにサイトをオープンするのではなく、運用テストの実施が重要です。これはサイトの信頼性を確保する目的があります。
テストでは商品の購入プロセスやユーザー側の操作性、視認性を確認し、目立った問題がないかをチェックしてください。
もしも、問題が見つかった場合は開発会社に修正を依頼します。問題が解消されたら、サイトをオープンしてください。これらのプロセスにより、ユーザーに安定したサービスの提供が可能です。
ECサイトのリニューアルでよくある3つの質問
ECサイトのリニューアルでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.ECサイトをリニューアルオープンする際に掲載すべき内容は?
- 質問2.ECサイトのリニューアルに補助金は活用できる?
- 質問3.ECサイトをリニューアルする際に注意すべきポイントは?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。
質問1.ECサイトをリニューアルオープンする際に掲載すべき内容は?
ECサイトをリニューアルオープンする際、SNS投稿やプレスリリースを活用した告知が重要です。また、告知内容には以下の項目を含めるようにしてください。
- 挨拶文
- リニューアルした意図
- リニューアル機能
- 日付
- 締めの挨拶文
これらの情報をお知らせに掲載することで、ユーザーの関心を引き、サイト訪問数の増加につなげられます。
質問2.ECサイトのリニューアルに補助金は活用できる?
ECサイトのリニューアルでは、以下の補助金制度が利用できます。
- 事業再構築補助金:経済社会の変化に対応するためのビジネス再構築を支援。特定の条件を満たす中小・中堅企業が対象
- IT導入補助金:中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に経費の一部を国が負担
これらの補助金は申請が通れば多額の支援を受けられるため、ECサイトのリニューアル時には活用してみてください。
なお、ECサイトの補助金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【2023年最新版】ECサイトの構築に活用できる補助金は5つ|申請する際の注意点も徹底解説!
質問3.ECサイトをリニューアルする際に注意すべきポイントは?
ECサイトのリニューアルは必ずしも売上の向上を保証するものではありません。リニューアルによってユーザビリティが低下し、アクセス数や売り上げが減少するリスクがあります。リニューアルを検討する際には、以下の点に注意が必要です。
- 目標設定:具体的なKPI(Key Performance Indicator)を設定し、リニューアルの方向性を明確にする
- 問題点の洗い出し:現状のECサイトを分析し、改善点を特定する
- リダイレクト設定:URLが変更される場合は、301リダイレクトを適切に設定し、新しいサイトへのアクセスを確保する
これらの準備と計画により、リニューアルの効果を最大化し、失敗を防げるようになります。
まとめ
ECサイトで中長期的な売上拡大を目指すためには、リニューアルが欠かせません。費用と手間はかかりますが、将来の成長のため綿密な準備と迅速な実施が重要です。この記事では、ECサイトのリニューアルを検討すべきタイミングから成功させるポイント、必要となるステップについて解説しました。
ぜひ、参考にしてサイトリニューアルを進めてみてください。しかし、社内リソースで対応し切れないことも考えられるかもしれません。その場合、EC事業のサポート実績が豊富にある弊社ジャグーまでお気軽にご相談ください。
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