この記事の監修者

粟飯原 匠 |CEO

ベンチャーやスタートアップにて新規事業のマーケティング・セールスを担当し年商5億円までのグロースを経験。PENGIN Inc.を創業し、現在は上場企業やレガシー産業のマーケティング戦略の立案〜実行支援までを担当。

GA4を導入しているのに、「どこを直せば問い合わせが増えるのか分からない」ということは珍しくありません。

原因の一つは、GA4のレポートを見ること自体が目的になり、何を判断するための数字なのかが決まっていないことです。

この記事の結論
GA4は改善施策を決める道具ではなく、「どこで何が起きているか」を観測する道具です。定義する → 観測する → 分解する → 仮説を立てる → 再計測するの順で使います。

この記事では、BtoBサイトのCROを進めるために、GA4で何を測り、どの数字をどう読み、次に何を調べるかを整理します。

GA4を使ったCROを、成果の定義、必要な行動の観測、条件をそろえた分解、原因仮説、施策後の再計測の5段階で整理した図。数字を見るだけでなく、仮説と改善を循環させる考え方を示します。
PENGIN整理。GA4はレポート閲覧ではなく、改善判断のための観測に使います。

まず「何を成果とするか」を決める

GA4の設定を触る前に、サイト上の成果を分けます。

たとえば、資料請求、問い合わせ、相談予約、商談実施、受注は同じ成果ではありません。資料請求数が増えても、相談対象に合うリードが増えていなければ、営業側の成果は変わらない可能性があります。

PENGINでは、少なくとも次の3層を分けます。

層例主な確認先
サイト上の行動CTAクリック、フォーム開始、受付成功GA4・GTM・フォーム
営業上の成果有効リード、商談実施CRM・案件管理
事業上の成果受注、売上、粗利CRM・会計・案件管理

GA4だけで全てを完結させるのではなく、サイト外で確定する成果は営業側の記録とつなぎます。

CVRは、分母と分子を明確にしてから比較する

「CVR」という言葉は便利ですが、何を分母にするかで意味が変わります。

たとえば、広告クリックに対するフォーム送信率と、LPを入口としたセッションに対する受付成功率は別の指標です。ユーザー単位のキーイベント率とも同じではありません。

そのため、レポート名だけで「CVRが高い・低い」と判断せず、分母・分子・対象期間・流入条件・CVの定義を揃えます。

異なる定義の率を横並びにすると、「改善したように見えるが母数が変わっただけ」ということが起こり得ます。

GA4では「フォームを見た・始めた・送った」を分けて見る

フォームの問題を確認するとき、ページビューと最終CVだけでは、途中のどこで止まったか分かりません。

Google アナリティクスでは、フォーム操作の計測に form_start と form_submit が用意されています。Google アナリティクス|フォームのレポート方法でも、フォーム開始と送信を分けてファネルで確認する方法が案内されています。

ただし、form_submit が計測されたことと、自社の受付システムに問い合わせが正常保存されたことは同義とは限りません。外部フォーム、JavaScript送信、エラー、二重発火など、実装によって差が生じる可能性があります。

問い合わせの成果として計測する場合、Googleは generate_lead を推奨イベントとして案内しています(Google アナリティクス|推奨イベント)。実装する場合も、自社では何を「リード獲得」とするかを決め、フォームやCRMの件数と突合します。

フォームそのものの改善方法は、EFOによるフォーム離脱の改善方法で詳しく扱っています。

CROでは、ファネルを「観測する場所」として使う

たとえばSEO記事から問い合わせまでなら、次のように分解できます。

記事流入 → CTAクリック → フォーム到達 → フォーム開始 → 受付成功 → 有効リード → 商談

ここで重要なのは、数字が最も低い場所をそのまま原因と決めないことです。

CTAクリックが少なくても、CTAが見えないのか、記事と資料が合わないのか、読者がまだ相談段階ではないのかで対応は変わります。フォーム完了率が低くても、入力項目だけでなく、相談内容への不安や流入のミスマッチが表面化している可能性があります。

GA4は「どこを詳しく調べるか」を絞るために使い、ページ内容・ヒートマップ・フォームエラー・問い合わせ内容・商談記録を合わせて原因仮説を作ります。

CTAの判断はSEO記事のCTA設計、SEO記事全体の診断はSEO記事から問い合わせが来ない3つの原因で深掘りできます。

分析するときは、条件を揃えて分解する

全サイト平均だけを見ると、改善対象を見失うことがあります。たとえば次の条件で分けます。

  • ランディングページ
  • 流入元・チャネル
  • デバイス
  • CVの種類
  • 新規/再訪など、実際に意味のある区分

ただし、分解しすぎて母数が小さくなると、一件の増減で率が大きく動きます。対象件数と期間を見ながら、意思決定できる粒度まで戻します。

広告LPなら検索語句や広告文も合わせて確認します。ページだけを見て原因を決めない考え方は、広告LPのCVR改善でも解説しています。

BtoBでは、受付成功の先までつなげる

BtoBサイトでは、フォーム送信を最終成果とすると、質の低いCVを増やしても改善と判定してしまうことがあります。

Googleの推奨イベントには、BtoBなどのリード獲得向けに qualify_lead、disqualify_lead、working_lead、close_convert_lead などが用意されています。これらを必ずGA4に実装する必要があるという意味ではありませんが、フォーム送信後にも評価すべき段階があることを整理する参考になります。

サイト流入、CTA、フォーム開始、受付成功をWeb計測として確認し、その先の有効リード・商談・受注をCRMなどの営業データにつなぐBtoBの評価ファネル。受付成功だけを最終成果にしない考え方を示します。
Google アナリティクスの推奨イベントを参考にしたPENGIN整理。Web計測と営業成果を分けてつなぎます。

PENGINでは、Web側の受付成功と、CRM等で管理する有効リード・商談・受注を対応づけて考えます。個人情報をそのままGA4へ送らず、実装方法とデータ管理ルールを決めてください。

送信後の日程予約や商談接続は、BtoBサイトのサンクスページ改善で扱っています。

ダッシュボードは「見るため」ではなく「判断するため」に作る

自動レポートやダッシュボードは便利ですが、項目が多いほど改善が進むわけではありません。

定例で見る数字は、「変化したら誰が何を確認するか」を決められるものに絞ります。たとえば次のような構成です。

指標変化したときに確認すること
対象LPへの流入広告・検索・参照元など流入構成の変化
CTA到達/クリックCTAの可視性、記事との関連、文言
フォーム開始フォーム到達後に入力する理由があるか
受付成功入力中の摩擦、エラー、受付処理
有効リード・商談CVの質、営業フォロー、ターゲット適合

数字を一覧にするだけではなく、変化時の確認先までセットにすると、レポートを改善業務へつなげやすくなります。

改善施策を実行したら、変更内容と比較条件を残す

施策を実施したら、いつ・何を変えたかを記録します。

CTA、フォーム、LP、広告を同時に大きく変えたなら、結果を一つの要素の効果とは説明しません。要素単独の効果を見たい場合は、比較条件を揃えたテストを検討します。

公開前後を比べる場合も、流入元、デバイス、CV定義、計測方法が変わっていないかを確認します。季節性や広告予算の変化など、ページ外の要因も記録します。

GA4は施策を「成功」にしてくれるものではありません。観測した数字と現場情報を組み合わせ、次の仮説を作るために使うことが重要です。

よくある質問

Q.サンクスページを見たらCVとして計測すれば十分ですか?

A.

実装方法の一つですが、直接アクセスや再読み込み、外部フォームなどを含めて自社の受付成功と一致するか確認します。ページ表示だけを唯一の正解としません。

Q.form_submit と generate_lead は同じですか?

A.

同じではありません。form_submit はフォーム送信の操作、generate_lead はリード獲得を示す推奨イベントです。自社でどの送信をリードとして扱うかを定義し、必要に応じて使い分けます。

Q.GA4の数値が悪いところから順に直せばよいですか?

A.

数値は調査箇所を絞る材料です。低い数字の背景に、流入の違い、情報不足、フォームの不具合、営業対象とのミスマッチなど複数の原因があり得ます。事業への影響と改善余地を見て優先順位を決めます。

まとめ|GA4は「改善箇所を見つける観測装置」として使う

GA4でCVR改善を進めるときは、ダッシュボードを作ることから始めるのではなく、まず成果と計測地点を定義します。

そのうえで、流入から受付成功までを分解し、営業側の有効リード・商談・受注とつなげます。数字が低い工程を原因と決めつけず、次に調べる場所を絞るために使いましょう。

サイト全体のCVR改善の考え方は、BtoBサイトのCVR改善方法で整理しています。

PENGINでは、計測だけでなく、データをもとにサイトの課題を特定し、改善施策の設計・実行まで支援しています。サイト分析・改善支援をご確認いただくか、Webサイト改善について相談するからお問い合わせください。

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