ECサイトの出店は、多くの企業や個人にとって魅力的な選択肢となっています。しかし、出店を決める前に考えなければならないことは、各サイトの手数料がどのような構造になっているか把握することです。

本記事では、 ECサイトの出店方法やECサイト運営にかかる主な手数料について解説しています。また、ECサイトの手数料の比較についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ECサイトの出店方法は2パターン

ECサイトにおける出店方法の種類には、以下の2つが挙げられます。

  • モール型
  • ASP型

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.モール型

モール型ECサイトとは、ショッピングモールのように多数のネットショップが1つのプラットフォーム上に出店する形態です。Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの代表的なECモールがこれに該当します。

多くのユーザーに商品をアピールできる利点があり、売り場の土台が確立されています。個人や初心者でも参入しやすいのが特徴です。

これに対して、「自社ECサイト」は独自の路面店のような存在となります。モール型ECサイトがWeb上のショッピングモールであれば、自社ECサイトはWeb版の独立店舗と考えてください。

2.ASP型

ASP型、または「ASP(Application Service Provider)」とは、カート会社が提供するECプラットフォームをレンタルしてECサイトを構築・運営するサービスのことを指します。

この形式では、事業者側でサーバーを準備する必要がありません。ECサイトに要求される多くのシステムや機能が初めからプラットフォームに備わっています。これにより、サイトのデザインやブランディングが容易で、コストを抑えて導入することが可能です。

しかし、無料サービスを利用すると機能が限定されたり、カスタマイズの範囲が狭まったりします。集客や販売の拡大を図る場合は、機能やカスタマイズの制限が少ない有料サービスの選択がおすすめです。特に、ネットショップ運営が初めての方や不慣れな方は、集客の面での課題が生じる可能性があるため注意が必要です。

ECサイト運営にかかる主な手数料は4つ

ECサイト運営における主な手数料は、以下の4つが挙げられます。

  • 決済手数料
  • 販売手数料
  • 初期費用・月額費用
  • 振込手数料

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.決済手数料

決済とは、商品やサービスとその対価となるお金とのやりとりを完結させることを指し、ECサイトではさまざまな決済方法が存在します。

主に、クレジットカード決済、コンビニ決済、スマホ決済などです。これらの決済方法にはそれぞれ手数料がかかります。たとえば、クレジットカード決済手数料は売上の2%〜5%、銀行振込手数料は1回あたり100円〜500円、コンビニ決済手数料は1回あたり100円〜300円が一般的です。

また、モール型のECサイトを利用する場合、商品が購入されるごとに販売手数料としてサービス側に支払う必要があります。これらの手数料はECサイト運営者の売上に大きな影響を及ぼすため、各手数料やビジネスの規模、ニーズを検討し、適切な決済サービスの選択が求められます。

2.販売手数料

販売手数料は、商品が販売されるたびに特定のサービス側に支払う必要がある費用です。ASP型のサービスを利用する際には、このほかにもシステム利用料がかかることが一般的です。

ASP型とは、外部のアプリケーションサービス提供者からシステムをレンタルし、ECサイトを運営する形態を指します。月額費用や初期費用が無料のサービスも存在しますが、システム利用料や販売手数料は運営する機能やサポートの充実度に応じて変動します。自社のニーズに合わせて最適なプランを選ぶことが必要です。

3.初期費用・月額費用

初期費用は、ECサイトの開設に際して必要となる導入費用です。サービスによっては無料となる場合もあります。ショップの開設や運営に関する費用はサービスによって異なるため、利用するサービスを選ぶ際の重要なポイントとなります。

一方で、月額費用はECサイトを運営するに際し、毎月発生する固定費用です。商品が売れたかどうかに関わらず毎月必ず必要となります。

4.振込手数料

振込手数料は、売上金の出金や商品の代金を振り込む際に発生する手数料を指します。金融機関によりかかる費用が異なる点に注意してください。

出金依頼時に一定額以上の出金が必要であったり、事務手数料が追加で発生することもあるため、確認した上で運営を始める必要があります。

銀行振込の場合、1回あたり100円〜500円が相場となりますが、オンラインバンキングの利用や特定の銀行同士の提携などによって、割引や手数料無料のサービスを享受できることもあります。

【モール型】ECサイトの手数料比較

モール型ECサイト6社の手数料を比較しました。特徴などを紹介します。

Amazon

Amazon

引用:Amazon

内容費用
決済手数料3.9%
販売手数料8%~15%
初期・月額費用0円~4,900円
振込手数料Amazonギフト券:手数料なし
クレジットカード:手数料なし
コンビニ:手数料なし
電子マネー:手数料なし
PayPay:手数料なし
代金引換:324円(税込)
ATM:銀行ごとの手数料
ネットバンキング: 銀行ごとの手数料

Amazonはモール型ECサイトの最大手の1つとして知られ、強力な集客力が特徴です。出店に関する月額費用や販売手数料は、出品プランや商品カテゴリーに応じて異なります。

たとえば、小口出品の場合は1商品につき100円、大口出品の場合は月額4,900円です。前者は小規模販売を希望する出品者、後者は大規模販売を目指す出品者に適しています。

配送方法には、自社での発送と、FBA(Fulfillment by Amazon)を利用したAmazon委託の二つの選択肢があります。料金は配送方法や商品サイズなどによって変動する形態です。FBAの利用には、配送料のほか、在庫保管手数料や購入者返品手数料も考慮する必要があります。

Amazonの手数料に関することは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
Amazonでの販売にかかる手数料とは?計算方法や手数料を抑えるコツを徹底解説します!

楽天市場

楽天市場

引用:楽天市場

内容費用
決済手数料3.24%~
販売手数料月間売上2%~7%
初期・月額費用60,000円(初期)、19,500円~(月額)
振込手数料(以下、各金融機関によって振込手数料が異なる)
クレジットカード
コンビニ
楽天 Pay
楽天ポイント
楽天キャッシュ
楽天銀行
代引き
後払い
携帯キャリア
銀行振込

楽天市場は定期的なセールや大型キャンペーン、楽天ポイントを活用した集客、そして楽天のECコンサルタントによる売上向上のアドバイスが得られるメリットがあります。

月額費用には、システム利用料(月間売上の2%~7%)、楽天ポイント原資(通常1%)、ECモールのシステム開発料(0.1%)、楽天スーパーアフィリエイト料、R-messe利用料、そして楽天ペイ利用料などが含まれます。

特に、楽天スーパーアフィリエイトは、楽天のパートナーサイトを経由した商品購入時にパートナーサイトへ支払う料金で、商品カテゴリーにより異なります。

楽天市場の手数料に関することは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
楽天市場の出店にかかる手数料は高い?出店にかかる手数料や抑えるコツを徹底解説!

Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピング

引用:Yahoo!ショッピング

内容費用
決済手数料3.0%~
販売手数料月間売上6~7%
初期・月額費用0円
振込手数料クレジットカード:決済金額の3.24%(非課税)
コンビニ決済:150円/件~300円/件(税別)
モバイル支払い(キャリア決済):決済金額の4.48%(税別)
PayPayカード:決済金額の3.0%
PayPay(残高):決済金額の3.0%(税別)
PayPay(クレジット):決済金額の3.0%(税別)
ヤフーショッピング商品券:決済金額の3.0%(税別)
ゆっくり払い:決済金額の3.24%(税別)
コンビニ決済:150円/件~300円/件(税別)
銀行振込決済(ペイジー):150円/件(税別)

Yahoo!ショッピングは、初期費用や月額固定費などの基本的な出店料が0円で出店できます。出店者はPayPayを活用した販促キャンペーンを実施でき、Yahoo!ショッピングから自社ECサイトへの誘導も可能です。

しかし、モールの販促活動には一定の費用がかかることがあります。ストアポイント原資やキャンペーン原資、アフィリエイトに関連する手数料などです。

アフィリエイトはYahoo!ショッピング以外の場所で商品ページのリンクを通じての集客を意味します。これには2種類の手数料がかかることが特徴です。費用は売上額に応じて変動し、たとえば10万円の売上では約5,800円(税込)の費用負担となります。

au PAY マーケット

au PAY マーケット

引用:au PAY マーケット

内容費用
決済手数料決済手数料・販売手数料の合計4.5%~9%
販売手数料決済手数料・販売手数料の合計4.5%~9%
初期・月額費用0円(初期)、(月額)
振込手数料(以下、各金融機関によって振込手数料が異なる)
クレジットカード
コンビニ
au Pay
後払い
携帯キャリア
ソフトバンクまとめて支払い
d払い
銀行振込

au PAY マーケットは、初期費用は0円、月額費用は5,280円です。決済手数料と販売手数料の合計は4.5%〜9%となっています。

入金サイクルは、月1回の場合は当月末締め翌月末払い、月2回の場合は15日締め翌月15日払いおよび月末締め翌月末払いです。

au PAYマーケットを利用する主なメリットとして、auユーザーの取り込みが期待できる点、大手ショッピングモールと比較して出品者が少ないためライバルが少ない点、そして料金体系がシンプルでわかりやすい点が挙げられます。

Qoo10

Qoo10

引用:Qoo10

内容費用
決済手数料0%
販売手数料6~10%
初期・月額費用0円
振込手数料精算金額の振込手数料として、150円(1回あたり)発生

Qoo10は、初期費用や月額費用が0円と非常にリーズナブルです。また、決済手数料は0%で、販売手数料は6〜10%となっています。

入金サイクルは、商品の配送完了後5日〜15日経過した水曜日に行われます。とくにファッションや美容に関心の高い女性からの支持が厚いECサイトです。Qoo10の利用メリットとして、初期・月額費用の無料、越境ECへの参画がしやすいこと、物流代行サービスの提供などが挙げられます。

メルカリShops

メルカリShops

引用:メルカリShops

内容費用
決済手数料
販売手数料10%
初期・月額費用0円
振込手数料200円/回

メルカリShopsは、フリマアプリ最大手の「メルカリ」アプリ上で、多くの顧客に店舗や商品をアピールすることができます。ECサイト運営がはじめての方でも大きな利益を得るチャンスが高まります。

さらに、メルカリShopsの初期費用や月額費用は無料となっています。販売手数料は10%、振込手数料は200円/回というコスト構造で、経費を抑えた運営が可能です。

【ASP型】ECサイトの手数料比較

ASP型ECサイト7社の手数料を比較しました。特徴などを紹介します。

BASE

BASE

引用:BASE

内容費用
決済手数料3.6%
販売手数料40円+3%
初期・月額費用0円
振込手数料250円/回(2万円未満の場合は別途500円が必要)

BASEは、ネットショップ出店実績の多さとデザインの豊富さで知られるサービスです。初期費用や月額費用が無料の点が魅力的です。

また、BASEの特徴は800万人以上のユーザーが利用する専用アプリや、Instagramとの簡単な連携、およびブログとの連携機能で、お店の魅力を多角的に発信できる点です。

カラーミーショップ

カラーミーショップ

引用:カラーミーショップ

内容費用
決済手数料クレジットカード:4.0%
Amazon Pay:3.9%
楽天ペイ:月額2,200円 + 4% など
販売手数料0円
初期・月額費用レギュラー:4,950円
ラージ:9,595円
プレミアム:39,600円
振込手数料50円〜700円/回

カラーミーショップは、専門知識がない方でも簡単にネットショップを開設できるサービスです。GMOグループ「GMOペパボ」が運営するEC運営システム提供会社になります。

カラミーショップの特徴は、販売手数料がかからないこと、デザインテーマの豊富さ、カスタマイズの自由度の高さ、そして丁寧なカスタマーサポートが挙げられます。

MakeShop

MakeShop

引用:MakeShop

内容費用
決済手数料3.14%~
販売手数料0円
初期・月額費用初期費用:11,000円
月額費用:12,100円
振込手数料250円/回

MakeShopは、GMOグループが運営するECサイト構築サービスです。2004年のサービス開始以来、10年連続でECサイトでの流通金額No.1の実績を持っています。

SNSやモール連携機能を備え、売上アップが期待できるサービスがあります。MakeShopの特徴は、デザインテンプレートが170種類、搭載機能が651種類もあり、さまざまな機能を実装できる点が挙げられます。

Shopify

Shopify

引用:Shopify

内容費用
決済手数料3.15%~5%
販売手数料0.5%~5%+440円
初期・月額費用初期費用:0円
月額費用:5ドル~2,000ドル
振込手数料0円/回

Shopifyは、2004年にカナダで創業されました。現在は全世界175ヶ国、170万店舗以上で使用される世界最大のECプラットフォームです。

手数料の詳細として、初期費用が無料で、月額費用やクレジットカード手数料などの詳細が明確に提示されている点です。

Shopifyの特徴は、簡単にカスタマイズできる多数のテンプレートと、SNS連携が容易なことです。越境ECにも対応しており、サイトデザインのテンプレートが100種類以上用意されています。

STORES

STORES

引用:STORES

内容費用
決済手数料3.6~5%
販売手数料0円
初期・月額費用初期費用:0円
月額費用:0円
振込手数料0円/回

STORESは、SNS感覚で手軽にECサイトを作成できるサービスです。独自の表現を容易にデザインに取り入れることができます。

STORESの特徴は、初期費用が無料でリスクを抑えられる点、業界最安級の手数料、Instagramとの連携によるSNS集客、そして顧客管理機能が搭載されている点です。

Wix ストア

Wix ストア

引用:Wix ストア

内容費用
決済手数料3.6%~
販売手数料0円
初期・月額費用初期費用:0円
月額費用:1,800円~3,800円
振込手数料

Wixストアは、世界中で700万以上のビジネスユーザーが利用するEコマースプラットフォームです。商品ギャラリーやショッピングカートを完備した本格的なネットショップを簡単に開設できます。

Wixストアの特徴は、月額料金や決済手数料の詳細が明確なことです。商品の受注管理から配送、フルフィルメント、複数の販売チャネルでの販売まで、すべてを一か所で管理できる点が特徴です。

minne

minne

引用:minne

内容費用
決済手数料d払い/auかんたん決済:165円
コンビニ決済:220円
後払い決済:370円
販売手数料10.56%
初期・月額費用初期費用:0円
月額費用:0円
振込手数料220円/回

minneは、GMOペパボ株式会社が提供する国内最大級のハンドメイドマーケットプレイスです。minneの特徴は、スマホひとつで簡単に利用できるため、初めての出品者にも非常におすすめな点です。

メディアでも頻繁に取り上げられており、2021年12月末時点の作家・ブランド数は80万件、アプリダウンロード数は約1,330万件に達しています。

ECサイトの手数料でよくある3つの質問

ECサイトの手数料でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。

  • 質問1.月額費用と手数料はどちらを重視すべき?
  • 質問2.手数料以外で注意すべきポイントは?
  • 質問3.インストール型のECサイトとは?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問1.月額費用と手数料はどちらを重視すべき?

主要なECプラットフォームを比較すると、初期費用や月額費用が無料のサイトでは決済手数料が高めに設定されているのに対し、月額費用が発生するプラットフォームは手数料が低く設定されています。

つまり、「開設当初にお金がかかるタイプ」か、「開設は無料だが売る際には安いタイプ」どちらが良いかということになります。ECサイトを開設したてで資金がない場合は、初期費用や月額費用が無料のECサイトがおすすめです。

質問2.手数料以外で注意すべきポイントは?

国内には100万店舗を超えるネットショップが存在します。一方で、90%以上の店舗が月売上1万円以下という現状があります。

多くのオーナーがネットショップを立ち上げるだけで「売上が伸びる」と考えがちです。そのため、ただ出店費用や決済手数料に目を向けるのではなく、実際の売上向上のための戦略や施策の理解と導入が重要になります。

質問3.インストール型のECサイトとは?

インストール型のECサイトは、自分で用意したサーバー上にソフトをインストールして立ち上げる方式です。フルスクラッチとして知られる完全オリジナルのショップ作成に近いため、高い自由度が魅力となっています。

しかし、すべてを自社サーバー内で構築するため、セキュリティやサーバーの保守運用など、ASP型やモール型では考慮しない点も自身で対応する必要が出てきます。

さらに、ASP型と同じく独自の集客活動が求められ、はじめての事業者にはハードルが高いECサイトです。

まとめ

この記事では、各ECサイトの手数料の特徴や、出店方法、手数料の種類について紹介しました。

ECサイトの選択は、出店者にとって大きな決断です。そのなかで、手数料は事業の利益に直結する要因の1つになります。しっかりと比較検討し、自社にとって最適なECサイトを選択することで、ビジネスの成功につながっていきます。

もしも、どのECサイトで運用をしようか迷う場合、もしくは売上が思うように伸びないと感じられたら、自社ECの立ち上げから業務代行まで豊富なサポート実績がある、弊社ジャグーまでお気軽にご相談ください。⇒ジャグー株式会社