この記事の監修者

鈴木 将太 |CMO

大手メーカーでの企画職や個人事業の経験を持つ。現在は大手企業からベンチャー企業まで、幅広い企業のマーケティング伴走支援やWebディレクションを担当。
BtoBマーケティングを幅広く網羅し、サイト設計に深い理解を持つ。トレンドを取り入れたデザインから業界特化型のデザインまで柔軟に対応しています。

AI検索で引用されるには一次情報が要る、とよく言われます。ただ「調査予算がない」「うちには出せるデータがない」という理由で止まっている会社がほとんどです。

実際には、運用していれば材料は溜まっています。この記事では、大掛かりな調査をせずに自社で一次情報を作る方法を整理します。

検討段階ごとに何のコンテンツを用意するかはBtoBのコンテンツマーケティング、AI検索の対策全体はAI検索の対策|LLMO・AIOで比較候補に入るための情報設計にまとめています。

なぜBtoBで一次情報が効くのか

BtoBの検討では、担当者が社内で説明して合意を取る過程があります。そのとき使われるのは、一般論ではなく根拠のある具体的な記述です。

BtoB顧客が抱える3つの不安

不安担当者が確かめたいこと一次情報で答えられること
自社に合うか分からない似た規模・業種で成立するのか実際に支援した条件と、そのときの進め方
成果が出るか分からないどれくらいで何が変わるのか自社で運用して出た数値と、その集計条件
他社と何が違うか分からない判断の基準は何かどういう場合に自社が向かないか

いずれも、一般論では答えになりません。検討段階と関わる人の整理はBtoBの購買プロセスで解説しています。

自社で作れる一次情報の4種類

自社で作れる一次情報を4区分で示した図。自社の実測値、検証の記録、失敗の記録、独自の分類
自社で作れる一次情報の4種類(PENGIN整理)

1. 自社の実測値

運用して実際に出た数値です。件数が少なくても、集計条件と「業界平均ではない」ことを明記すれば一次情報として成立します。

PENGINでは、接点別の商談化率や、比較メディア3社の費用と受注額を公開しています。実例はBtoBマーケティングでPENGINが実際にやってしまった失敗と比較メディア3社を実際に使って検証をご覧ください。

数値を出すときは、次の3つを必ず添えてください。これが無いと、読んだ人も引用するAIも、その数値をどこまで信じてよいか判断できません。
①いつからいつまでの集計か ②母数は何件か ③何をもってその状態と数えたか

2. 検証の記録

試した施策と、前後で何が動いたかの記録です。「効果が確認できなかった」も、他社が書いていない情報になります。

PENGINでも、llms.txt を設置して効果を確認できなかった経緯をllms.txtの効果は確認できた?過去の検証と現在の判断で公開しています。

3. 失敗の記録

やってみて合わなかったこと、その理由です。成功事例を書く会社は多い一方、失敗を書く会社は多くありません。検討している人にとっては、失敗の条件のほうが判断に使えます。

4. 独自の分類

現場の判断を整理した切り口です。数値がなくても作れます。ただし外部で確立された標準フレームではないことを断ったうえで出します。標準であるかのように書くと、裏が取れないまま広がることになります。

引用されない書き方と、される書き方

引用されにくい書き方と引用されやすい書き方を2列で比較した図
書き方の違い(PENGIN整理)

AIの回答に使われるとき、ページ全体ではなく特定の1〜2文が切り出されます。結論が段落の最後に埋もれていたり、条件が別の段落に書かれていたりすると、そのままでは使えません。

条件つきで言い切る

「場合によります」で終える書き方は、正確ではあっても引用されません。「◯◯のときは△△」と条件をつけて言い切るほうが、読み手にとっても判断材料になります。

当てはまらない条件も書く

どこまで当てはまるかを書いておくと、誤って使われることを防げます。「自社の運用での経験値であり、業界平均ではない」といった一文がこれに当たります。

AIと人の役割分担

工程AIに任せられること人がやること
構成づくり検索意図の整理、見出し案の列挙どの検討段階向けかを決める
下書き一般論の記述、言い換え、要約自社の数値・事例・判断を入れる
事実確認—数値の出典と集計条件の確認
推敲冗長な表現の削除、表記ゆれの統一言い切ってよい範囲の判断

AIに任せられないのは、一次情報そのものと、どこまで言い切るかの判断です。ここを外注や生成に任せると、他社と同じ内容になります。

生成AIで量産しても、埋まらないもの

記事の本数は増やせますが、自社の実測値・検証・失敗は増えません。比較検討の段階で読まれるのはそちらなので、本数を増やしても問い合わせが増えないという結果になりやすくなります。

何から始めるか

  1. すでに社内にある数値を1つ探す:問い合わせ件数、商談化率、施策の前後比較など。完璧でなくてよい
  2. 集計条件を書き出す:期間・母数・何をもってそう数えたか
  3. 「業界平均ではない」と明記して公開する:これがないと、断定として受け取られる
  4. 失敗した施策を1つ書く:数値がなくても、条件と理由が書ければ一次情報になる
  5. 他社メディアや登壇で言及される機会を作る:自社サイト内だけで完結させない

効果をどう測るかはBtoBマーケティングのKPI設計、検索面の設計はBtoBのSEO|商談までの距離で設計する、獲得した接点の扱いはBtoBのリード獲得にまとめています。

一次情報の作り方でよくある質問

Q.件数が少ない数値でも公開していいですか?

A.

集計条件と母数を書き、業界平均ではないと明記すれば公開できます。むしろ、条件が書かれていない大きな数値より、条件が明確な小さい数値のほうが判断に使えます。件数が少ないことを理由に隠すより、少ないことを書いたうえで出してください。

Q.競合に手の内を明かすことになりませんか?

A.

数値と進め方を公開しても、同じ結果が出るとは限りません。BtoBの検討では、何を根拠にそう言えるかが判断材料になるため、公開しないことによる機会損失のほうが大きくなりやすいと考えています。

Q.生成AIで記事を作るのは避けるべきですか?

A.

避ける必要はありません。構成づくりや一般論の記述、推敲では有効です。任せられないのは、自社の数値・事例・判断と、どこまで言い切るかの線引きです。そこを人がやれば、生成AIを使っていること自体は問題になりません。

Q.一次情報を出せば必ず引用されますか?

A.

必ずではありません。引用は書き方にも左右されますし、AIの回答は毎回変わります。一次情報があることは必要条件であって、十分条件ではありません。書き方(条件つきで言い切る・1〜2文で完結させる)もあわせて整えてください。

Q.調査レポートのような大掛かりなものが必要ですか?

A.

必要ありません。自社の運用で出た数値、試して効果がなかった記録、うまくいかなかった施策の理由など、すでに社内にあるものから始められます。

まとめ|材料はすでに社内にある

  1. 一次情報は、実測値・検証の記録・失敗の記録・独自の分類の4種類から作れる
  2. 数値には期間・母数・数え方を必ず添え、業界平均ではないと明記する
  3. 条件つきで言い切り、1〜2文で意味が完結する書き方にする
  4. AIに任せられないのは、一次情報そのものと言い切る範囲の判断
  5. 自社サイト内で完結させず、外部からの言及も作る

作った一次情報がAIの回答でどう扱われているかを確認したい場合は、AI検索最適化(LLMO)支援で現状の確認からご相談いただけます。

「自社に出せる一次情報が分からない」「何から書けばよいか決められない」という場合は、PENGINのBtoBマーケティング伴走支援をご覧ください。

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