「施策は動いているのに成果が積み上がらない」。BtoBマーケティングの支援をしていると、こうしたご相談を多く受けます。
担当者が懸命に施策を実行しているにもかかわらず、問い合わせが増えない。PDCAを回しているのに過去のデータが残っておらず次の手が打てない。役員から「結局、売上に効いているのか」と問われても答えられない。
この記事の結論
PENGINの支援では、判断するための材料が整っていないことが一因になっているケースがあります。人員・予算・決裁권限・施策内容など他の要因もありますが、この記事では計測・ログ・撤退条件の3点に絞って解説します。
BtoBマーケティングで必要な3つの判断
施策を継続して成果につなげるには、次の3つの判断が常に求められます。

- 続ける判断:成果が出る見込みがあるか(例:SEO記事の表示・順位・CVが伸びているか)
- 直す判断:どこをどう改善するか(例:どのページのCVRが低く、どこを直せば効くか)
- やめる判断:うまくいかない施策への投資を止めるか
この3つを、マーケティング担当者だけでなく、チーム全体・経営層まで同じ材料で共有できる状態にすることが、BtoBマーケティングを継続させる鍵になります。
逆に言えば、施策が止まる会社では、この3つのどれかが「誰も判断できない」状態になっています。
そもそもBtoBマーケティングで何を設計するかはBtoBマーケティングとは?、戦略から落とし込む手順はBtoBマーケティング戦略の立て方で解説しています。
施策が止まる会社の3つの共通点
共通点①:KPIが計測できていない
最もよく見られるのが、マーケティングのKPIと経営のKPIがつながっていないケースです。
ページビューやセッション数、リード数は追えていても、それが相談・受注にどうつながっているかが見えていないと、経営層は「投資を続けるべきか」を判断できません。
「SEO記事を月10本公開しました」という報告だけでは、経営判断の材料になりません。「記事経由でリードが月20件発生し、そのうち3件が相談に至っています」というレベルまで整理して初めて、継続投資の根拠になります。
ここでつまずく場合、計測そのものが不十分なこともあります。フォーム送信が計測されていない、テスト送信が混ざっている、資料請求と相談が同じCVとして数えられている、といった状態です。計測の設計から見直す場合は、GA4でCVR改善を進める方法を参考にしてください。
KPIの置き方と、分けて見るべき単位はBtoBマーケティングのKPIで解説しています。
共通点②:施策のログが残っていない
データが取れていても、「何を改善するためにやった施策で、結果どうだったか」という記録がなければ、同じ失敗を繰り返してしまいます。
施策のログは「目的・KPI・結果・次のアクション」をセットで残すことが重要です。
たとえばウェビナーの参加率が低ければ、「申し込み48件・参加19件(前回は申し込み40件・参加22件)→ 欠席理由と開催条件を確認」のように、比較対象とセットで記録する習慣をつけましょう(数値は説明用の例です)。参加率が下がった原因は、この数字だけでは決められません。開催時間やリマインドは、確認したうえで立てる仮説として扱います。記録があれば、1年後に同じ問題が再発したときも原因の特定と改善が早くなります。
担当者が変わったときに施策の経緯が失われるのも、ログがない会社でよく起きることです。
共通点③:やめる条件が決まっていない
撤退ラインが引かれていないと、効果が出なくてもずるずると施策を続けてしまったり、反対に少し上手くいかないだけで早期撤退してしまったりします。
「3ヶ月後にこの数値を達成できなければ別の施策に切り替える」という条件をあらかじめ決めることで、感情ではなくデータで判断できるようになります。
最初から厳密な数値目標を置けない場合は、行動目標から始め、3〜6ヶ月後を目処に定量的なKPIへ切り替えると取り組みやすくなります。
ただし、施策によって成果が見え始めるまでの期間は異なります。SEOのように蓄積型の施策と、広告のように即時に反応が出る施策を、同じ期間で判断しないよう注意してください。
やめる条件を決めずに走り続けた結果どうなるかは、BtoBマーケティングの失敗例で実例を挙げています。
判断できる状態をつくる5つのステップ
施策を止めないためには、「やること」ではなく「判断条件」を先に整えることが重要です。

- KPIをつなぐ:PV・リード数で止めず、相談・商談・受注まで接続する
- ログの型を決める:目的・KPI・結果・次のアクションをセットで残す
- 撤退条件を決める:いつまでに何がどうなっていなければやめるかを着手前に書く
- 一枚に集約する:施策ごとの判断材料を同じ表に並べる
- 定例で回す:見る場をつくり、判断を先送りしない
判断シートに入れる7項目
施策ごとの判断材料は、1枚の表にまとめると共有しやすくなります。PENGINでは、次の7項目を並べています。
| 列 | 項目 | 書くこと |
|---|---|---|
| A | 施策名 | SEO記事、ウェビナー、ホワイトペーパーなど |
| B | 目的 | 資料請求を増やす、既存リードを商談化する、など |
| C | ファネル位置 | リード獲得、リードフォローなど |
| D | KPI | CV数/商談数、参加数/商談数、DL数など |
| E | 目標値・期限 | 月15CV/月3商談(3ヶ月)など |
| F | 現状 | 3ヶ月目:18CV/4商談 など |
| G | 次の判断 | 計測する/改善/やめる と、その理由 |

重要なのは、G列の「次の判断」まで同じ表に書くことです。現状の数値だけを並べても、見る人によって解釈が分かれます。「この数値だから、次はこうする」までを書いて初めて、担当者と経営層が同じ材料で判断できるようになります。
定期的な数値会議やシートを活用した振り返りを仕組み化することで、マーケティング全体を止めずに前進させることができます。
施策が進まないとき、実は別の場所で止まっていることもある
判断材料を整えても成果が動かない場合、施策の管理ではなく受け皿側で止まっていることがあります。
- 流入は増えているが、問い合わせフォームまで到達していない
- 問い合わせは増えたが、対象外の相談ばかりで商談にならない
- 商談にはなるが、サイト上の情報が足りず比較で負けている
このうち、サイト側のどこで落ちているかを切り分ける方法はBtoBサイトのCVR改善方法で整理しています。施策の選び方そのものを見直す場合はBtoBマーケティングの手法も参考にしてください。
よくある質問
-
Q.KPIは何個くらい設定すべきですか?
-
Q.撤退条件はどれくらいの期間で設定すればよいですか?
-
Q.判断シートは誰が管理するのですか?
まとめ|施策を増やす前に、判断できる状態をつくる
BtoBマーケティングの施策が進まない会社には、KPIが経営指標とつながっていない、施策のログが残っていない、やめる条件が決まっていないという共通点があります。
いずれも「施策が足りない」問題ではなく、続ける・直す・やめるを判断できない問題です。
KPIを相談・商談・受注まで接続し、ログの型を決め、撤退条件を先に書き、1枚の表に集約して定例で回す。この順番で整えると、施策は止まりにくくなります。
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