BtoB企業はWeb制作会社をどう比較して選んだのか?公開インタビュー22件の調査

この記事の監修者

鈴木 将太 |CMO

大手メーカーでの企画職や個人事業の経験を持つ。現在は大手企業からベンチャー企業まで、幅広い企業のマーケティング伴走支援やWebディレクションを担当。
BtoBマーケティングを幅広く網羅し、サイト設計に深い理解を持つ。トレンドを取り入れたデザインから業界特化型のデザインまで柔軟に対応しています。

Web制作会社を探すとき、発注担当者は何社ぐらいを比較し、最後は何を決め手にしているのでしょうか。費用、デザイン、実績、提案内容、公開後の運用。選定基準として挙げられる項目は多いものの、実際の発注経験に基づいて確かめる機会は限られています。

そこでPENGINの公開インタビュー22件を読み、制作会社の比較社数、選定理由、候補の絞り方、選定前の不安を分類しました。

この調査は、PENGINに発注した顧客を対象とする事後インタビューの分析です。 制作会社全般が選ばれる理由や、国内BtoB企業全体の傾向を示すものではありません。PENGINを選ばなかった企業の声は含まれず、公開用のインタビューという性質上、肯定的な評価に偏る可能性があります。その限界を踏まえ、発注担当者が制作会社の比較観点を考えるための材料としてまとめます。

調査概要

項目内容
調査日・確認日2026年10月8日
対象PENGIN公式サイトで公開中の顧客インタビュー22件すべて
選定理由について具体的な記述があるインタビュー18件(BtoB 12/BtoB・BtoC混在 3/BtoC 3)
BtoBに分類した公開インタビュー全体15件。このうち選定理由の記述がある12件を主要集計に使用
集計対象比較社数、選定理由、探し方、候補を絞った基準、事前の懸念、公開後の評価
分類方法12種類の選定理由コード。1社で複数の理由を挙げた場合は複数回答として記録
再検証抽出した128か所の引用を公開ページの文と突き合わせた

分類上の「BtoB」は、制作したサイトの主要な読者や取引相手をもとに判断しました。オーダーメイド看板を扱う10tan様のECサイトも、看板を主に店舗・事業者が購入する商材と判断し、本集計ではBtoBに分類しています。ECという形態だけでなく、対象顧客によって区分したものです。ただし、個人の購入も含みうるため判断の分かれる事例です。10tan様を除くと、選定理由が判明したBtoBサンプル数は11社となります。

なお、比較社数・価格・選定理由について「記載がない」ということは、比較をしなかった、価格を気にしなかったという意味ではありません。質問項目がインタビューごとに異なる点に注意が必要です。

結果1|比較社数が分かるBtoB企業8社は、3〜13社を検討していた

BtoBの15件のうち、比較社数を確認できたのは8件でした。その8件では、比較社数は3〜13社、中央値は6社です。残る7件は社数を特定できず、0社や1社と扱っていません。

社数の範囲BtoB企業数
3〜5社3社
6〜9社3社
10社以上2社
社数不明7社

比較社数には、原文の表現からPENGINを含めた社数に換算した値が含まれます。イシハラサクセス様は「PENGINさん以外にも5社」から6社、NUXE様は「他にも検討していた企業が10社ほど」から11社、BENDROOT様は「PENGINさんと並行して12社」から13社としました。ダイナミック企画様の「6〜7社」は、中央値の計算では6.5社として扱っています。

発注時に必ず6社へ声をかけるべき、という意味ではありません。あくまで今回の顧客インタビューで社数が判明した企業の分布です。まず要件をそろえて比較可能な候補を集め、進め方や条件の合う会社へ絞り込むことが重要だと考えられます。

たとえばBENDROOT様は、インタビューで「PENGINさんと並行して12社の制作会社を検討」と説明しています。集計ではPENGINを含め13社と数えましたが、これは原文にある「並行して12社」から換算した値であり、厳密な回答社数を改めて聞いたものではありません。

三和エフエムデザイン様は4社を比較し、東京大学TLO様は約6社から最終的に2社へ絞り込んだ経緯を語っています。

結果2|2段階で候補を絞る事例があった

候補企業を一度に1社へ決めたのではなく、「最低条件を満たすか」と「提案の中身が合うか」を分けて判断した事例が見つかりました。

ダイナミック企画様は、発注プラットフォーム経由で紹介された6〜7社と打ち合わせを行い、予算感やサイトのイメージ、自社で更新できるWordPressへの対応といった条件から2社に絞り込みました。そのうえで、エンタメ関連の制作実績を判断材料に選定しています。インタビュー全文

東京大学TLO様も、マッチングプラットフォームを通じて約6社の話を聞き、2社に絞りました。既存サイトのWordPressを使わない全面改修など、依頼意図と異なる提案が候補から外れた一因でした。そのうえで、求めていた内容を超える提案を評価しています。インタビュー全文

2事例だけで一般的な購買プロセスだと断言はできませんが、見積もりを比べる前に「外せない条件」を言語化する意味がよく分かります。

結果3|選定理由では「提案内容」が8/12社で最多

制作会社を選んだ理由の記述があるBtoB企業12社について、理由を12種類に分類しました。1社が複数の理由を挙げているため、合計は12を超えます。

選定理由言及した企業数(分母12)
提案内容の個別性・具体性8社
マーケティング・SEO・集客視点6社
価格・費用対効果5社
公開後の運用・伴走4社
事業理解・意図の汲み取り3社
要件・契約条件の適合3社
デザイン・表現力2社
制作実績2社
選定時の対応・コミュニケーション1社
担当者・会社への信頼1社
その他1社
紹介・既存の関係0社

最多は「提案内容の個別性・具体性」でした。ここでいう提案内容は、単に企画書が丁寧だったということではありません。ヒアリングした事業に即して内容が変わっていること、完成形や必要な施策が具体的であること、要望以上の選択肢が示されることなどを含みます。

「マーケティング・SEO・集客視点」が6社、「公開後の運用・伴走」が4社という結果も特徴的です。BtoBサイトを公開時点の納品物だけでなく、公開後にどう使うかまで含めて検討していた企業が、今回の標本には見られます。

価格を選定理由に挙げた企業は、BtoBの5社を含む全18件では6社いました。しかし、今回コード化した発言では、価格だけを唯一の理由として挙げた企業は0社でした。予算は重要な条件ですが、それだけでは最終的な選定理由を説明しきれなかった、というのがこの顧客群に限った結果です。

結果4|選定前の不安には「低価格・テンプレート型制作への不満」も

全22件を対象に、選定前の懸念や以前の経験についても分類しました。選択肢が多くて選べない、専門知識がない、提案が自社の意図と違う、公開後に成果が出るか不安、といった話がありました。

特に、低価格・テンプレート型の制作への不満・懸念は5件で確認できました。そのほか、専門知識の不足4件、提案と意図のずれ3件、制作だけでは成果につながらない懸念3件でした。これは質問項目が統一されていないインタビューから抽出した記述数であり、不満を持つ企業の一般的な割合ではありません。

テンプレート型の制作が悪いという意味でもありません。予算や目的に合っていれば合理的な選択です。問題になるのは、その方式で実現できること・できないことや、公開後の更新方法が十分に説明されない場合でしょう。

イシハラサクセス様は、初めは予算重視だったものの、公開後の運用や保守の条件を含めて判断が変わったと説明しています。価格だけでは見えにくい比較ポイントです。

結果5|候補の探し方は不明が多く、傾向の断定はできない

全22件で、PENGINを知った経路や候補企業の探し方が記載されていたのは8件でした。

確認できた経路件数(22件中)
発注・マッチングプラットフォーム5件
YouTube2件
知人からの紹介1件
記載なし・不明14件

この数字は、実際の流入構成を示すものではありません。探し方を聞いていないインタビューが多く、記述の有無も担当したインタビュアーによって違います。Google検索やAI検索が使われなかった、という意味ではありません。

特徴的な発注事例

イシハラサクセス様:予算優先から長期的な費用対効果へ

イシハラサクセス様は、当初は最も低予算の制作会社を選ぶつもりだったと振り返っています。最終的には、SEO・運用、契約条件、費用対効果を含めて総合的に判断しました。提案時の予算と、その後の運用費用を分けて見ることの重要さが読み取れます。詳しいインタビュー

BENDROOT様:求める表現方法を明確にした

無形のコンサルティングサービスを伝えるため、オリジナル図解を使いたいという要望がありました。多くの制作会社と比較するなかで、表現方法への対応と費用の納得感を選定条件としていました。比較社数の多さそのものより、必要条件を明確にできていたことが参考になります。詳しいインタビュー

大黒自動車部品商会様:提案段階のデザイン案が決め手に

大黒自動車部品商会様は、別の会社へ依頼する方向に傾いていましたが、提案時に具体的なデザイン案が示され、完成のイメージを持てたことが決め手になったと語っています。実績の列挙だけでは伝わらない、提案の具体性を評価した事例です。詳しいインタビュー

東京大学TLO様:CMS要件を含めて絞り込んだ

東京大学TLO様は、希望するWordPressの継続利用など、技術・運用要件に合わない提案を外し、残った候補で提案内容を比較しました。デザインだけではなく、今後誰がどう運用するかまで選定条件にしていた事例です。詳しいインタビュー

ダイナミック企画様:自社の業界に近い実績を見た

ダイナミック企画様は、予算やイメージが合う候補へ絞った後、エンタメ関連の制作実績を判断材料にしました。サイトを何のために使うかという要件と、近い制作経験をあわせて見る例です。詳しいインタビュー

発注担当者向けチェックリスト

調査で出てきた発言を、選定時に使える質問へ置き換えました。すべての案件に必要な項目という意味ではありません。

  • サイトの目的、顧客、購買プロセスを理解した提案になっているか
  • 制作方式(テンプレート・オリジナル)と、その範囲が明確か
  • 提案段階で、完成形や情報構造をイメージできるか
  • 必要な図解・技術説明・原稿作成に対応できるか
  • 近い業種・サイト種類の公開事例があるか
  • 総額だけでなく、別途費用・公開後の運用費用を確認したか
  • CMSやサーバー、保守契約に希望と異なる縛りがないか
  • 公開後の更新・保守・SEO・改善は誰が担当するか
  • 納期は自社の情報提供・承認の時間を含めても現実的か
  • 社内の担当・承認者・制作会社側の窓口を決めたか
  • 急な確認時に連絡できる手段と、連絡速度の期待を共有したか
  • 成果が出る時期や条件について、過度な約束をしていないか
  • 公開後に連絡・相談できる体制を確認したか

この調査の限界と今後の改善

繰り返しになりますが、本調査はPENGINに発注し、納品後に公開インタビューへ協力した顧客の回答をまとめたものです。PENGINを選ばなかった企業は含まれず、国内のBtoB企業全体を代表する統計ではありません。

また、インタビューは統一質問票で実施されたものではありません。選定理由を質問していない記事があり、欠損は「該当なし」ではなく「不明」としました。理由の分類は1名によるコーディングであり、複数人の判定一致率を検証していません。対象はBtoB主要分析で12社と小規模です。引用した発言は公開記事と照合しましたが、公開用に編集された記事であり逐語録ではありません。

今後は「比較した会社数」「候補を見つけた方法」「最後の候補から外した理由」「決め手になった提案内容」を共通の質問に加えることで、欠損を減らし、時系列でも比較できるデータへ改善します。

調査対象のインタビュー(22件)

2026年10月8日時点でPENGIN公式サイトに公開している顧客インタビューです。

次に読む記事|制作会社の候補を比較したい方へ

ここまでの結果は、「制作会社を選ぶときに何を確認するか」を考える材料です。実際の会社を選ぶ段階では、評価項目を揃えて比べる必要があります。

→ BtoBサイト制作会社7社の比較と選び方|8つの評価基準

調査の元データについて:記事に掲載した件数・コード・分母は2026年10月8日時点の公開インタビュー22件をもとに整理しました。集計原票には記事別の根拠引用と分類を記録しています。