Webサイトのアクセスはあるのに、問い合わせ・資料請求・購入につながらない。そんなときに「CTAの色を変える」「フォーム項目を減らす」といった施策から始めるケースがあります。
しかし、CVRが低い原因が流入ユーザーのズレにあるなら、フォームを直しても大きな改善は期待できません。反対に、購入・問い合わせ意向の高いユーザーが十分に来ているのにフォームで大量に離脱しているなら、EFOが優先施策になります。
この記事の結論
CVR改善で重要なのは、施策をたくさん実行することではなく、どこで成果を失っているかを特定し、その原因に合った施策を選ぶことです。
この記事では、CVR改善を「計測→分析→原因特定→優先順位→検証」の流れで整理し、代表的な施策と使い分けを解説します。
CVR改善とは|「率を上げる」ことだけが目的ではない
CVR(Conversion Rate)は、設定した母数のうち、問い合わせ・資料請求・購入などのコンバージョンに至った割合です。一般的には、
CVR = コンバージョン数 ÷ 母数 × 100
で計算します。母数にはセッション数・ユーザー数・広告クリック数などが使われます。
ただし、CVRが高ければ必ず良いとは限りません。たとえば、月間10,000セッション・CVR1%なら100CVですが、流入を大幅に絞って2,000セッション・CVR3%になると、CVRは3倍でもCV数は60件に減ります。
そのため、CVR改善は率だけでなく、流入数・CV数・その後の売上や商談まで含めて評価することが重要です。
CVRの定義や計算方法を詳しく知りたい場合は、CVR(コンバージョンレート)とは?をご覧ください。
CVR改善の前に確認する3つのこと
1. 何をCVとするかを決める
商品購入、問い合わせ、資料請求、無料相談、会員登録など、サイトによってCVは異なります。
複数のCVポイントがある場合は、すべてを同じ価値として扱わないことが重要です。たとえば「資料DL」と「問い合わせ」は、件数だけでなく、その後の商談化率・購入率も分けて確認します。
2. 計測が正しいか確認する
計測漏れ、二重計測、社内テストの混入などがあると、改善判断そのものを誤ります。GA4などで、
- CVが正しく計測されているか
- 母数の定義が期間比較で揃っているか
- フォーム送信や購入完了の重複がないか
- 主要ページ・チャネル別に分析できるか
を確認します。計測の設計そのものはGA4でCVR改善を進める方法で解説しています。
3. CVRだけで成功を判断しない
CVRは成果を構成する一つの指標です。ECなら売上・客単価、BtoBなら有効商談・受注など、最終成果までつなげて見ます。
平均値は参考になりますが、CV地点や流入構成が違えば単純比較できません。CVRの平均・目安は、自社の過去推移やチャネル別データと合わせて使うのが実務的です。
CVR改善の5ステップ

STEP1|数値を分解する
サイト全体のCVRだけでは、何を直すべきか分かりません。最低限、
- 流入チャネル別
- ランディングページ別
- デバイス別
- 新規 / 再訪別
- CVポイント別
- 広告ならキャンペーン・キーワード別
に分けて確認します。
「全体CVRが1%」よりも、「指名流入は4%だが非指名SEOは0.2%」「PCは2%だがスマホは0.5%」のように分解した方が、改善仮説を立てやすくなります。
STEP2|ボトルネックを特定する
次に「どこで成果を失っているか」を探します。たとえば、
- そもそもターゲット外の流入が多い
- ページを見ても価値が伝わっていない
- 比較に必要な情報が不足している
- CTAまで到達していない
- CTAは押されるがフォームで離脱している
- 送信はされるが売上・商談につながらない
など、問題箇所によって打ち手はまったく異なります。
STEP3|改善仮説を作る
データだけで原因を断定せず、「なぜこの数字になっているのか」という仮説を作ります。
アクセス解析に加えて、ヒートマップ、検索キーワード、広告検索語句、営業担当へのヒアリング、問い合わせ内容、受注・失注理由などを組み合わせると精度が上がります。
STEP4|優先順位を決めて実行する
施策は「やりやすい順」ではなく、PENGINでは簡易的に 期待インパクト × 仮説の確からしさ ÷ 実行コスト という観点で優先順位を考えます。これは厳密なスコアリング式ではなく、複数の改善案を比較するための判断フレームです。
たとえば、月10セッションしかないページのCTA改善より、月5,000セッションある主要LPの訴求ズレを直す方がインパクトは大きい可能性があります。
ただし、アクセス数だけで判断せず、事業への近さも考慮します。少量でも商談・売上に直結するページは優先度が高い場合があります。
STEP5|検証して学習を残す
変更後は「CVRが上がったか」だけでなく、CV数・売上・商談品質まで確認します。
可能な場合はA/Bテストを行い、難しい場合でも変更日・変更内容・対象ページ・前後数値を記録します。ただし前後比較だけでは、施策による効果だと確定はできません。流入構成や季節性が変わっていないかもあわせて確認します。
一度の成功施策を「どのサイトにも効くベストプラクティス」にせず、どんな条件で効いたのかを残すことが重要です。
PENGINが運営するYouTubeチャンネル「CVR研究所」では、A/Bテストの進め方を紹介しています。
CVRが低い主な原因と改善施策

原因1|流入しているユーザーがターゲットとずれている
広告ターゲティングやSEOキーワードが商材と離れていると、サイトを改善してもCVRは上がりにくくなります。主な改善策:
- 広告キーワード・オーディエンスを見直す
- 検索意図とランディングページの対応を確認する
- 商材から遠いSEOテーマへの投資比率を見直す
- 高意向ユーザーが使う比較・料金・事例テーマを強化する
原因2|訴求・オファーが流入意図と合っていない
広告や検索結果では「料金」を期待して来たのに、ページで料金の考え方が分からない。初心者向け情報を探しているのに専門用語ばかり。このような期待とのズレは離脱につながります。主な改善策:
- ファーストビューで誰向け・何が得られるかを明確にする
- 広告文・検索意図とLPのメッセージを合わせる
- ターゲット別にページや訴求を分ける
- オファーの内容・条件・メリットを具体化する
原因3|意思決定に必要な情報が足りない
商品・サービスに興味を持っても、価格、実績、レビュー、導入方法、返品条件など必要な情報が足りなければ行動できません。主な改善策:
- 実績・レビュー・顧客の声を追加する
- 料金・プラン・購入条件を明確にする
- FAQを充実させる
- 導入・利用プロセスを説明する
- 不安や反論を先回りして解消する
原因4|CTA・CVポイントが合っていない
「購入」「問い合わせ」だけが正解とは限りません。検討初期のユーザーに対して重いCVしかなければ、行動されにくくなります。主な改善策:
- CTA文言を具体化する
- ページ内容とCTAのオファーを一致させる
- 必要に応じて資料DL、無料診断、会員登録など段階的なCVを用意する
- CTAの位置・表示回数をユーザー行動に合わせて設計する
CTAの決め方はSEO記事のCTA設計で詳しく整理しています。
原因5|フォームやUIに摩擦がある
行動意欲があるユーザーでも、入力項目が多い、スマホで入力しづらい、エラー理由が分からないと離脱します。主な改善策:
- 不要な入力項目を減らす
- 自動入力・入力補助を活用する
- エラーを入力箇所の近くに分かりやすく表示する
- スマホで実際に入力テストする
- CTAから完了までのステップを確認する
フォーム内部の診断手順はEFOによるフォーム離脱の改善方法で扱っています。
原因6|速度・エラーなど技術的な問題がある
ページが遅い、リンク切れ、フォーム送信エラー、購入完了ページが正しく動かないなど、技術要因でCVを失うこともあります。主な改善策:
- PageSpeed Insights等で表示速度を確認する
- 404・リンク切れを確認する
- フォーム・決済・完了画面を定期的にテストする
- デバイス・ブラウザ別に不具合がないか確認する
サイトタイプ別に見るCVR改善の考え方
LP
広告・流入元と訴求の一致、ファーストビュー、CTA、フォームが主要な確認箇所です。LPは流入元を比較的コントロールしやすいため、広告ごとにメッセージを分けることも検討します。
LPのCVR改善については「CVR研究所」でも解説しています。
オウンドメディア
記事ごとの検索意図とCTAの一致が重要です。情報収集記事に強い営業CTAだけを置くより、テーマに合った資料・事例などを用意した方が自然なケースがあります。
オウンドメディアのCVR改善策は、以下の動画でも紹介しています。
ECサイト
商品情報、レビュー、送料・返品、在庫、決済、カート〜購入完了までの摩擦を重点的に確認します。EC固有のCVRについてはECサイトのCVR改善で詳しく解説します。
「CVR研究所」では、ECサイトでCVR改善施策を実施した事例も紹介しています。
BtoBサイト
BtoBではCVRだけでなく商談化率・受注率まで見る必要があります。また、比較検討や社内稟議に必要な情報が不足していることもCV阻害要因になります。BtoBサイトのCVR改善では、PENGINの5層診断を使って詳しく整理しています。
CVR改善に使う分析ツール
目的によって必要なツールは異なります。
- アクセス解析:GA4など
- 検索流入分析:Google Search Console
- ユーザー行動:ヒートマップ・セッション録画
- 検証:A/Bテストツール
- 技術確認:PageSpeed Insightsなど
ツールは入れること自体が目的ではありません。「何を確かめたいのか」を決めてから選ぶことが重要です。具体的な比較はCVR改善ツールの比較記事に役割を分けます。
PENGINのCVR改善事例
医療系SaaS|CV数が約30件/月から約300件/月へ
PENGINでは、医療系SaaS企業に対して、サービスサイトのCVR改善とオウンドメディア運用を支援しました。
サービスサイトの設計見直し、SEO記事制作、記事内CTAの整備などを継続した結果、公開事例では月間CV数が約30件から1年で約300件へ10倍に増加し(CVは問い合わせ・資料ダウンロード等の合計です)、Web経由の商談創出も月140件まで伸びています。
詳細:オウンドメディア運用×CVR改善でCV数10倍・商談数も大幅に増加
これは単一施策の効果ではなく、集客からCVポイントまで複数のボトルネックを一体で改善した事例です。特定の施策に成果を帰属させないでください。
BtoBサイトリニューアル|お問い合わせ数が20%増加
別の公開事例では、問い合わせログからターゲット像を整理し、サイト構造とコンバージョン導線を再設計した結果、お問い合わせ数が120%に増加(20%増)しています。
この事例も複数の変更を伴うため、特定の1施策の効果ではなく、分析→設計→改善を一体で行った例として捉えます。
CVR改善でやってはいけないこと
成功事例をそのまま真似する
「フォームを短くする」「CTAを目立たせる」「ポップアップを出す」などは条件によって有効ですが、すべてのサイトに同じ効果があるわけではありません。成功事例は施策ではなく、前提条件とセットで見ることが重要です。
CVRだけを最大化する
CVRを高く見せるために低意向の流入を減らした結果、CV数や売上が落ちることもあります。CVRは目的ではなく、成果を改善するための指標です。
複数の要素を同時に変えすぎる
大規模リニューアルなどを除き、複数施策を同時に変更すると、何が効いたか分からなくなります。優先度の高い仮説から順に検証します。
サンプルが少ないのに結論を急ぐ
アクセスやCVが少ない場合、短期間の上下は偶然の影響を強く受けます。数値だけで断定せず、期間や母数、定性情報も合わせて判断します。
CVR改善でよくある質問
-
Q.CVRは何%を目標にすべきですか?
-
Q.CVRが低い場合、何から改善すればよいですか?
-
Q.アクセスが少なくてもCVR改善をすべきですか?
-
Q.A/Bテストは必須ですか?
-
Q.CVR改善・CRO・LPO・EFOはどう違いますか?
まとめ|CVR改善は施策ではなくボトルネックから始める
CVR改善で最初にやるべきことは、「CVRを上げる施策」を探すことではありません。
- 計測を整える
- 数値を分解する
- ボトルネックを特定する
- 改善仮説に優先順位をつける
- 実行・検証して学習を残す
この流れを繰り返すことで、サイトごとの改善ノウハウが蓄積されます。
PENGINでは、アクセス解析・SEO・広告・コンテンツ・Webサイト設計を分断せず、ファネル全体から成果を阻害しているボトルネックを整理します。
PENGINが運営するYouTubeチャンネル「CVR研究所」では、CVR改善の具体例を紹介しています。
「アクセスはあるのに問い合わせや購入が増えない」「何から改善すべきか分からない」という場合は、サイト分析・CVR改善支援をご覧ください。

