CVR改善の方法|原因の見つけ方・優先順位・施策を実務視点で解説

CVR改善の方法|原因の見つけ方・優先順位・施策を実務視点で解説

この記事の監修者

鈴木 将太 |CMO

大手メーカーでの企画職や個人事業の経験を持つ。現在は大手企業からベンチャー企業まで、幅広い企業のマーケティング伴走支援やWebディレクションを担当。
BtoBマーケティングを幅広く網羅し、サイト設計に深い理解を持つ。トレンドを取り入れたデザインから業界特化型のデザインまで柔軟に対応しています。

Webサイトのアクセスはあるのに、問い合わせ・資料請求・購入につながらない。そんなときに「CTAの色を変える」「フォーム項目を減らす」といった施策から始めるケースがあります。

しかし、CVRが低い原因が流入ユーザーのズレにあるなら、フォームを直しても大きな改善は期待できません。反対に、購入・問い合わせ意向の高いユーザーが十分に来ているのにフォームで大量に離脱しているなら、EFOが優先施策になります。

この記事の結論
CVR改善で重要なのは、施策をたくさん実行することではなく、どこで成果を失っているかを特定し、その原因に合った施策を選ぶことです。

この記事では、CVR改善を「計測→分析→原因特定→優先順位→検証」の流れで整理し、代表的な施策と使い分けを解説します。

CVR改善とは|「率を上げる」ことだけが目的ではない

CVR(Conversion Rate)は、設定した母数のうち、問い合わせ・資料請求・購入などのコンバージョンに至った割合です。一般的には、

CVR = コンバージョン数 ÷ 母数 × 100

で計算します。母数にはセッション数・ユーザー数・広告クリック数などが使われます。

ただし、CVRが高ければ必ず良いとは限りません。たとえば、月間10,000セッション・CVR1%なら100CVですが、流入を大幅に絞って2,000セッション・CVR3%になると、CVRは3倍でもCV数は60件に減ります。

そのため、CVR改善は率だけでなく、流入数・CV数・その後の売上や商談まで含めて評価することが重要です。

CVRの定義や計算方法を詳しく知りたい場合は、CVR(コンバージョンレート)とは?をご覧ください。

CVR改善の前に確認する3つのこと

1. 何をCVとするかを決める

商品購入、問い合わせ、資料請求、無料相談、会員登録など、サイトによってCVは異なります。

複数のCVポイントがある場合は、すべてを同じ価値として扱わないことが重要です。たとえば「資料DL」と「問い合わせ」は、件数だけでなく、その後の商談化率・購入率も分けて確認します。

2. 計測が正しいか確認する

計測漏れ、二重計測、社内テストの混入などがあると、改善判断そのものを誤ります。GA4などで、

  • CVが正しく計測されているか
  • 母数の定義が期間比較で揃っているか
  • フォーム送信や購入完了の重複がないか
  • 主要ページ・チャネル別に分析できるか

を確認します。計測の設計そのものはGA4でCVR改善を進める方法で解説しています。

3. CVRだけで成功を判断しない

CVRは成果を構成する一つの指標です。ECなら売上・客単価、BtoBなら有効商談・受注など、最終成果までつなげて見ます。

平均値は参考になりますが、CV地点や流入構成が違えば単純比較できません。CVRの平均・目安は、自社の過去推移やチャネル別データと合わせて使うのが実務的です。

CVR改善の5ステップ

CVR改善を、数値を分解する、ボトルネックを特定する、改善仮説を作る、優先順位を決めて実行する、検証して学習を残す、の5ステップで進める図。5で得た学習を1へ戻して繰り返すことを示しています。
PENGIN整理。外部で確立された標準フレームではありません。

STEP1|数値を分解する

サイト全体のCVRだけでは、何を直すべきか分かりません。最低限、

  • 流入チャネル別
  • ランディングページ別
  • デバイス別
  • 新規 / 再訪別
  • CVポイント別
  • 広告ならキャンペーン・キーワード別

に分けて確認します。

「全体CVRが1%」よりも、「指名流入は4%だが非指名SEOは0.2%」「PCは2%だがスマホは0.5%」のように分解した方が、改善仮説を立てやすくなります。

STEP2|ボトルネックを特定する

次に「どこで成果を失っているか」を探します。たとえば、

  • そもそもターゲット外の流入が多い
  • ページを見ても価値が伝わっていない
  • 比較に必要な情報が不足している
  • CTAまで到達していない
  • CTAは押されるがフォームで離脱している
  • 送信はされるが売上・商談につながらない

など、問題箇所によって打ち手はまったく異なります。

STEP3|改善仮説を作る

データだけで原因を断定せず、「なぜこの数字になっているのか」という仮説を作ります。

アクセス解析に加えて、ヒートマップ、検索キーワード、広告検索語句、営業担当へのヒアリング、問い合わせ内容、受注・失注理由などを組み合わせると精度が上がります。

STEP4|優先順位を決めて実行する

施策は「やりやすい順」ではなく、PENGINでは簡易的に 期待インパクト × 仮説の確からしさ ÷ 実行コスト という観点で優先順位を考えます。これは厳密なスコアリング式ではなく、複数の改善案を比較するための判断フレームです。

たとえば、月10セッションしかないページのCTA改善より、月5,000セッションある主要LPの訴求ズレを直す方がインパクトは大きい可能性があります。

ただし、アクセス数だけで判断せず、事業への近さも考慮します。少量でも商談・売上に直結するページは優先度が高い場合があります。

STEP5|検証して学習を残す

変更後は「CVRが上がったか」だけでなく、CV数・売上・商談品質まで確認します。

可能な場合はA/Bテストを行い、難しい場合でも変更日・変更内容・対象ページ・前後数値を記録します。ただし前後比較だけでは、施策による効果だと確定はできません。流入構成や季節性が変わっていないかもあわせて確認します。

一度の成功施策を「どのサイトにも効くベストプラクティス」にせず、どんな条件で効いたのかを残すことが重要です。

PENGINが運営するYouTubeチャンネル「CVR研究所」では、A/Bテストの進め方を紹介しています。

CVRが低い主な原因と改善施策

CVRが低い原因を、流入、訴求・オファー、情報、CTA・CVポイント、フォーム・UI、技術の6領域に分け、それぞれに確認すべき問いを添えた図。施策を選ぶ前にどの領域が原因かを決める考え方を示します。
PENGIN整理。領域の切り方は実務上の整理で、標準的な分類ではありません。

原因1|流入しているユーザーがターゲットとずれている

広告ターゲティングやSEOキーワードが商材と離れていると、サイトを改善してもCVRは上がりにくくなります。主な改善策:

  • 広告キーワード・オーディエンスを見直す
  • 検索意図とランディングページの対応を確認する
  • 商材から遠いSEOテーマへの投資比率を見直す
  • 高意向ユーザーが使う比較・料金・事例テーマを強化する

原因2|訴求・オファーが流入意図と合っていない

広告や検索結果では「料金」を期待して来たのに、ページで料金の考え方が分からない。初心者向け情報を探しているのに専門用語ばかり。このような期待とのズレは離脱につながります。主な改善策:

  • ファーストビューで誰向け・何が得られるかを明確にする
  • 広告文・検索意図とLPのメッセージを合わせる
  • ターゲット別にページや訴求を分ける
  • オファーの内容・条件・メリットを具体化する

原因3|意思決定に必要な情報が足りない

商品・サービスに興味を持っても、価格、実績、レビュー、導入方法、返品条件など必要な情報が足りなければ行動できません。主な改善策:

  • 実績・レビュー・顧客の声を追加する
  • 料金・プラン・購入条件を明確にする
  • FAQを充実させる
  • 導入・利用プロセスを説明する
  • 不安や反論を先回りして解消する

原因4|CTA・CVポイントが合っていない

「購入」「問い合わせ」だけが正解とは限りません。検討初期のユーザーに対して重いCVしかなければ、行動されにくくなります。主な改善策:

  • CTA文言を具体化する
  • ページ内容とCTAのオファーを一致させる
  • 必要に応じて資料DL、無料診断、会員登録など段階的なCVを用意する
  • CTAの位置・表示回数をユーザー行動に合わせて設計する

CTAの決め方はSEO記事のCTA設計で詳しく整理しています。

原因5|フォームやUIに摩擦がある

行動意欲があるユーザーでも、入力項目が多い、スマホで入力しづらい、エラー理由が分からないと離脱します。主な改善策:

  • 不要な入力項目を減らす
  • 自動入力・入力補助を活用する
  • エラーを入力箇所の近くに分かりやすく表示する
  • スマホで実際に入力テストする
  • CTAから完了までのステップを確認する

フォーム内部の診断手順はEFOによるフォーム離脱の改善方法で扱っています。

原因6|速度・エラーなど技術的な問題がある

ページが遅い、リンク切れ、フォーム送信エラー、購入完了ページが正しく動かないなど、技術要因でCVを失うこともあります。主な改善策:

  • PageSpeed Insights等で表示速度を確認する
  • 404・リンク切れを確認する
  • フォーム・決済・完了画面を定期的にテストする
  • デバイス・ブラウザ別に不具合がないか確認する

サイトタイプ別に見るCVR改善の考え方

LP

広告・流入元と訴求の一致、ファーストビュー、CTA、フォームが主要な確認箇所です。LPは流入元を比較的コントロールしやすいため、広告ごとにメッセージを分けることも検討します。

LPのCVR改善については「CVR研究所」でも解説しています。

オウンドメディア

記事ごとの検索意図とCTAの一致が重要です。情報収集記事に強い営業CTAだけを置くより、テーマに合った資料・事例などを用意した方が自然なケースがあります。

オウンドメディアのCVR改善策は、以下の動画でも紹介しています。

ECサイト

商品情報、レビュー、送料・返品、在庫、決済、カート〜購入完了までの摩擦を重点的に確認します。EC固有のCVRについてはECサイトのCVR改善で詳しく解説します。

「CVR研究所」では、ECサイトでCVR改善施策を実施した事例も紹介しています。

BtoBサイト

BtoBではCVRだけでなく商談化率・受注率まで見る必要があります。また、比較検討や社内稟議に必要な情報が不足していることもCV阻害要因になります。BtoBサイトのCVR改善では、PENGINの5層診断を使って詳しく整理しています。

CVR改善に使う分析ツール

目的によって必要なツールは異なります。

  • アクセス解析:GA4など
  • 検索流入分析:Google Search Console
  • ユーザー行動:ヒートマップ・セッション録画
  • 検証:A/Bテストツール
  • 技術確認:PageSpeed Insightsなど

ツールは入れること自体が目的ではありません。「何を確かめたいのか」を決めてから選ぶことが重要です。具体的な比較はCVR改善ツールの比較記事に役割を分けます。

PENGINのCVR改善事例

医療系SaaS|CV数が約30件/月から約300件/月へ

PENGINでは、医療系SaaS企業に対して、サービスサイトのCVR改善とオウンドメディア運用を支援しました。

サービスサイトの設計見直し、SEO記事制作、記事内CTAの整備などを継続した結果、公開事例では月間CV数が約30件から1年で約300件へ10倍に増加し(CVは問い合わせ・資料ダウンロード等の合計です)、Web経由の商談創出も月140件まで伸びています。

詳細:オウンドメディア運用×CVR改善でCV数10倍・商談数も大幅に増加

これは単一施策の効果ではなく、集客からCVポイントまで複数のボトルネックを一体で改善した事例です。特定の施策に成果を帰属させないでください。

BtoBサイトリニューアル|お問い合わせ数が20%増加

別の公開事例では、問い合わせログからターゲット像を整理し、サイト構造とコンバージョン導線を再設計した結果、お問い合わせ数が120%に増加(20%増)しています。

詳細:BtoBサイトリニューアルを失敗しないための手順

この事例も複数の変更を伴うため、特定の1施策の効果ではなく、分析→設計→改善を一体で行った例として捉えます。

CVR改善でやってはいけないこと

成功事例をそのまま真似する

「フォームを短くする」「CTAを目立たせる」「ポップアップを出す」などは条件によって有効ですが、すべてのサイトに同じ効果があるわけではありません。成功事例は施策ではなく、前提条件とセットで見ることが重要です。

CVRだけを最大化する

CVRを高く見せるために低意向の流入を減らした結果、CV数や売上が落ちることもあります。CVRは目的ではなく、成果を改善するための指標です。

複数の要素を同時に変えすぎる

大規模リニューアルなどを除き、複数施策を同時に変更すると、何が効いたか分からなくなります。優先度の高い仮説から順に検証します。

サンプルが少ないのに結論を急ぐ

アクセスやCVが少ない場合、短期間の上下は偶然の影響を強く受けます。数値だけで断定せず、期間や母数、定性情報も合わせて判断します。

CVR改善でよくある質問

Q.CVRは何%を目標にすべきですか?

A.

一律の目標値は置きにくい指標です。業界だけでなく、流入チャネル・CV地点・商材単価によって変わります。まず自社の過去推移を同じ定義で比較し、チャネルやページ別に分解して改善余地を探します。

Q.CVRが低い場合、何から改善すればよいですか?

A.

最初に計測と流入品質を確認します。そのうえで、訴求、情報、CTA、フォーム、技術面のどこがボトルネックかを特定します。「CTAから始める」など固定した正解はありません。

Q.アクセスが少なくてもCVR改善をすべきですか?

A.

ボトルネック次第です。少ないアクセスでも高単価商材の重要ページなら改善価値があります。一方で、そもそも十分なターゲット流入がない場合は、CVR改善より集客を優先するケースもあります。

Q.A/Bテストは必須ですか?

A.

必須ではありません。十分なサンプルがある場合は有効ですが、流入が少ないサイトでは判断に時間がかかります。その場合は、変更内容と前後数値を記録し、定性情報も合わせて検証します。

Q.CVR改善・CRO・LPO・EFOはどう違いますか?

A.

CVR改善は、コンバージョン率や最終成果を改善する取り組み全般を指す文脈で使われます。CROはその最適化プロセス、LPOはランディングページ、EFOは入力フォームに対象を絞った改善です。LPOやEFOはCVR改善の手段の一部であり、流入やオファーに問題がある場合はページ・フォーム以外の改善が先になることもあります。

まとめ|CVR改善は施策ではなくボトルネックから始める

CVR改善で最初にやるべきことは、「CVRを上げる施策」を探すことではありません。

  1. 計測を整える
  2. 数値を分解する
  3. ボトルネックを特定する
  4. 改善仮説に優先順位をつける
  5. 実行・検証して学習を残す

この流れを繰り返すことで、サイトごとの改善ノウハウが蓄積されます。

PENGINでは、アクセス解析・SEO・広告・コンテンツ・Webサイト設計を分断せず、ファネル全体から成果を阻害しているボトルネックを整理します。

PENGINが運営するYouTubeチャンネル「CVR研究所」では、CVR改善の具体例を紹介しています。

「アクセスはあるのに問い合わせや購入が増えない」「何から改善すべきか分からない」という場合は、サイト分析・CVR改善支援をご覧ください。