BtoBでは、サイトを見た人がその場で発注を決めることはほとんどありません。社内で説明し、合意を取り、稟議を通すという過程があります。
この過程を段階に分けて見ると、自社のサイトに何が足りていないのかが特定しやすくなります。この記事では、購買プロセスを6段階に整理し、各段階でサイトに求められるものをまとめます。
この記事の位置づけ|BtoB受注設計モデルの第1段階
PENGINでは、BtoBの受注につながる仕組みを4つの問いに分けて考えています。この記事はそのうち第1段階「顧客はどう動くか」を扱います。他の段階は、それぞれの記事で解説しています。

| 段階 | 問い | 記事 | そこで決めること |
|---|---|---|---|
| 1 | 顧客はどう動くか | この記事 | 検討の段階を分け、どこで止まっているかを特定する |
| 2 | 各段階に何を用意するか | BtoBのコンテンツマーケティング | 段階ごとに必要なコンテンツと、社内で使える材料を決める |
| 3 | どの接点から商談を作るか | BtoBのリード獲得 | 接点によって商談化率が変わるため、接点を決めてから手法を選ぶ |
| 4 | どう数字で管理するか | BtoBマーケティングのKPI設計 | 接点別に指標を分け、集計定義とやめる条件まで決める |
1つでも飛ばすと、数値は動いても次の打ち手が決まらなくなります。順番に決めることを前提にした体系です。
BtoBの購買プロセスは6段階に分けられる

段階の数や順序は、商材・単価・組織の規模によって変わります。ここでの6段階は、自社サイトで何が抜けているかを確認するための枠組みとして整理したものです。
1. 問題が起きる
担当者の交代、既存の仕組みが限界に来た、他部署から要請が来たといった出来事がきっかけになります。この段階では、まだ何を調べればよいかも定まっていません。
2. 課題を言葉にする
起きていることを、社内で共有できる言葉にする段階です。ここから検索が始まります。「問い合わせが増えない」「サイトが古い」といった漠然とした言葉で調べられることが多くなります。
3. 解決方法を調べる
打ち手の選択肢と、それぞれの向き不向きを確認します。手法の比較や進め方の手順が読まれる段階です。検索されるキーワードの数が多くなりやすい段階でもありますが、どの段階でどれだけ検索されるかは商材によって変わります。
4. 発注先を比較する
対応範囲、進め方、体制、費用感を確認して候補を絞ります。問い合わせが発生するのは、多くの場合この段階以降です。
5. 社内で合意を取る
上長、決裁者、関係部署に説明します。担当者が導入したいと思っていても、ここで止まることがあります。サイト運営側から見えにくい段階です。
6. 発注する
条件を詰めて契約します。稟議の形式や、予算の時期に左右されます。年度末や期初に集中する商材もあります。
1件の案件に、立場の違う人が関わる
BtoBでは、サイトを見た人と、最終的に決める人が同じとは限りません。

担当者にとって分かりやすい説明と、上長や決裁者に共有されたときに使える情報は、必ずしも同じではありません。担当者が社内で説明するための材料を、別に用意しておく必要があります。
それぞれが見ているもの
| 立場 | 見ているもの | サイト側で用意すること |
|---|---|---|
| 担当者 | 自分の困りごとが解決するか、進め方が現実的か | 実務ベースの解説、進め方の手順、問い合わせのしやすさ |
| 上長 | 工数と進め方、社内のリソースで回るか | 体制・スケジュール・社内で必要になる作業の明示 |
| 決裁者 | 費用対効果と、他の投資と比べた優先順位 | 費用の考え方、判断材料になる事例 |
| 関係部署 | セキュリティ、契約条件、支払い条件などの要件 | 対応範囲・条件面の記載、問い合わせ先の明示 |
すべてをサイトに書ききれない場合は、資料に切り出して渡す方法もあります。コンテンツの持たせ方はBtoBのコンテンツマーケティングにまとめています。
問い合わせが来るのは後半、情報収集が活発なのは営業接触前
サイト運営で見落とされやすいのが、この非対称です。
この傾向は外部調査でも示されています。米6sense社が北米・APAC・EMEAのBtoB購買担当者約5,000人を対象に行った調査では、買い手が売り手に最初に接触する時点は、購買プロセスの約61%まで進んだところだったと報告されています(同社の2024年版では69%で、1年で短縮しています)。
この調査は北米・APAC・EMEAを対象としたもので、日本国内の商習慣に限定した数値ではありません。また、どの検索行動がどの段階で起きるかは商材によって変わります。自社で判断する際は、問い合わせ経路と初回商談での確認内容から実態を取ってください。
出典:6sense「2025 B2B Buyer Experience Report」(2025年11月公開)
- 段階2〜3(課題を言葉にする・解決方法を調べる)では、情報収集は活発だが問い合わせは起きにくい
- 段階4〜5(発注先を比較する・社内で合意を取る)では、問い合わせが起きるが検索の量は少ない
流入を増やすと段階2〜3の読者が増え、問い合わせを増やすと段階4〜5の読者が必要になります。どちらが足りていないかで、やることが変わります。
商談が足りていないときは後半から手を付ける
段階4〜5に届く情報(対応範囲、進め方、事例、費用の考え方)を先に整えます。すでに検討に入っている人に届くため、問い合わせにつながるまでが短くなります。
サイト側の整え方はBtoBサイト改善の進め方とBtoBサイトのデザイン、他社の構成例はBtoBサイトの成功事例を参照してください。
流入が足りていないときは前半を増やす
段階2〜3で検索されているテーマのコンテンツを増やします。ただし成果が出るまでに時間がかかるため、始める前にやめる条件を決めておきます。検索面の設計はBtoBサイトのSEO設計にまとめています。
段階ごとに、自社サイトに何があるか確認する
次の表で、自社サイトに何が用意されているかを確認できます。1つもない段階があれば、そこが検討の止まる場所になっている可能性があります。
| 段階 | サイトで用意するもの | この段階のCV |
|---|---|---|
| 2. 課題を言葉にする | 起きている状態を整理した記事 | 基本的に発生しない |
| 3. 解決方法を調べる | 手法の比較、進め方の手順、実務資料 | 資料ダウンロード |
| 4. 発注先を比較する | 対応範囲、進め方、事例、料金の考え方 | 相談・見積もり依頼 |
| 5. 社内で合意を取る | 費用対効果の考え方、スケジュール、体制 | 追加相談・資料請求 |
| 6. 発注する | 契約までの流れ、条件面の記載 | — |
獲得した接点の扱いはBtoBのリード獲得、目標の置き方はBtoBマーケティングのKPIにまとめています。
購買プロセスを整理するときの注意
フレームを先に決めない
段階の数や名前をきれいに揃えることが目的ではありません。自社の受注実績から、実際に何が起きていたかを確認して整理します。
- 受注できた案件で、最初に問い合わせてきた人の役割を確認する
- そのとき社内で何が起きていたかを確認する
- 決裁までに誰が出てきたかを確認する
- 失注した案件が、どの段階で止まったかを分ける
商談の冒頭で確認できる内容がほとんどです。受注が数件しかない段階では仮説として扱い、件数が増えたら見直します。
段階を増やしすぎない
段階を細かく分けるほど管理は精緻になりますが、各段階に離脱があるため、最後まで残る人数は少なくなりやすくなります。PENGIN自身がこれで失敗した経緯と、どう判断すべきかはBtoBマーケティングでPENGINが実際にやってしまった失敗で公開しています。
BtoBの購買プロセスでよくある質問
-
Q.購買プロセスとカスタマージャーニーは違いますか?
-
Q.段階はいくつに分けるのが正解ですか?
-
Q.検討期間はどれくらいですか?
-
Q.担当者と決裁者、どちらに向けて書けばよいですか?
-
Q.どの段階から着手すべきですか?
まとめ|段階に分けると、抜けている場所が特定できる
- 購買プロセスを段階に分け、自社サイトに何があるかを確認する
- 1件の案件に立場の違う人が関わることを前提に、社内で使える材料を用意する
- 問い合わせが来るのは後半、検索されるのは前半という非対称を踏まえる
- 商談が足りていないときは後半、流入が足りていないときは前半から手を付ける
- 段階は自社の受注実績から整理し、増やしすぎない
BtoBマーケティング全体の考え方はBtoBマーケティングとは、進め方の手順はBtoBマーケティング戦略の立て方、手法の選び方はBtoBマーケティングの手法にまとめています。
「どの段階で検討が止まっているか分からない」「何から整えるべきか判断できない」という場合は、PENGINのBtoBマーケティング伴走支援をご覧ください。
